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孫は遺留分を請求できる?甥姪は?横浜の弁護士が相続関係を解説

  • 執筆者の写真: 誠 大石
    誠 大石
  • 1 日前
  • 読了時間: 12分

更新日:12 時間前

孫は遺留分を請求できる?甥姪は?横浜の弁護士が相続関係を解説

「子どもが先に亡くなっている場合、孫には遺留分があるのだろうか」

「兄弟が先に亡くなっていて、甥や姪が相続人になるなら、その甥姪にも遺留分はあるのだろうか」


相続のご相談では、このような疑問がよく出てきます。特に、家族関係が少し複雑になると、「代襲相続できる人」と「遺留分を請求できる人」が同じように見えてしまい、混同されやすい傾向があります。


しかし、結論ははっきりしています。孫は、亡くなった子の代襲相続人であれば、遺留分権利者になることがあります。他方で、甥姪は、兄弟姉妹の代襲相続人として相続人になることがあっても、遺留分はありません。


ここで重要なのは、「相続人になれること」と「遺留分があること」は別の問題だという点です。代襲相続によって相続人になれるからといって、必ずしも遺留分まで認められるわけではありません。


この記事では、孫と甥姪の違いを軸に、代襲相続と遺留分の関係を整理します。あわせて、「長男が先に亡くなっており孫がいるケース」と「兄が先に亡くなっており甥がいるケース」を比較しながら、実務上どこを確認すべきかもわかりやすく解説します。横浜市で相続や遺留分のご相談を受けている弁護士の立場から、初めての方にも読みやすいよう順を追って見ていきましょう。


結論|孫には遺留分があり得るが、甥姪にはない

最初に結論を整理します。


被相続人の子がすでに亡くなっていて、その子に子ども、つまり被相続人から見て孫がいる場合、その孫は「子の代襲相続人」として相続人になります。そして、もともとの立場が「子の系統」であるため、遺留分も認められる可能性があります。


これに対し、被相続人の兄弟姉妹が相続人になる場面で、その兄弟姉妹が先に亡くなっていて甥姪が代わりに相続人になることがあります。これが「兄弟姉妹の代襲相続」です。ただし、兄弟姉妹にはそもそも遺留分がありません。そのため、その代襲相続人である甥姪にも遺留分は認められません。


つまり、整理すると次のとおりです。


・孫

 子の代襲相続人となる場合があり、その場合は遺留分権利者になり得る


・甥姪

 兄弟姉妹の代襲相続人となる場合があるが、遺留分権利者にはならない


この違いは、孫か甥姪かという呼び名だけで決まるのではなく、どの系統の相続人なのかによって決まります。実際の相談では、「代襲相続人なら遺留分もあるのでは」と考えてしまう方が少なくありませんが、そこは分けて理解する必要があります。


まず押さえたい「相続できる」と「遺留分がある」の違い

相続では、「法定相続人にあたるか」と「遺留分があるか」は別々に検討します。


法定相続人とは、民法上、相続人になる資格がある人のことです。配偶者は常に相続人となり、これに加えて、子、直系尊属、兄弟姉妹の順で相続人が決まります。そして、一定の場合には代襲相続が起こり、亡くなった人に代わってその子などが相続人になります。


一方、遺留分とは、一定の相続人に最低限保障される取り分です。被相続人が遺言で特定の人にすべての財産を与えると書いていたとしても、遺留分のある相続人は、一定の範囲で金銭請求ができます。


ここで注意したいのは、法定相続人の全員に遺留分があるわけではないということです。兄弟姉妹には遺留分がありません。したがって、兄弟姉妹の代襲相続人である甥姪にも、やはり遺留分はありません。


遺留分とは何か|横浜の弁護士が基本から整理

遺留分は、被相続人の財産処分の自由を一定程度制限して、残された家族の生活や公平を守るための制度です。


たとえば、「全財産を長男に相続させる」「世話をしてくれた知人にすべて遺贈する」といった遺言があると、ほかの家族がまったく何も受け取れない可能性があります。こうした極端な不公平を避けるため、民法は一定の相続人に最低限の取り分を認めています。これが遺留分です。


もっとも、遺留分は現物の財産をそのまま取り戻す制度ではありません。現在の制度では、遺留分を侵害された人は、「遺留分侵害額請求」として金銭の支払いを求めることになります。


なお、遺留分が認められるのは、配偶者、子、直系尊属などです。逆に、兄弟姉妹には認められていません。この違いが、孫と甥姪の結論を分ける大きなポイントです。


兄弟姉妹に遺留分がない理由

兄弟姉妹が相続人になるのは、被相続人に子も直系尊属もいない場合です。言い換えれば、兄弟姉妹は相続順位としては後順位に位置づけられています。


民法は、被相続人の配偶者や子など、より近い立場の家族の保護を重視しています。そのため、兄弟姉妹には相続権自体は認めつつも、最低限の取り分である遺留分までは保障していません。


この考え方は代襲相続が起きても変わりません。兄弟姉妹本人に遺留分がない以上、その代わりに相続する甥姪にも遺留分はないのです。


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代襲相続とは?孫と甥姪で何が違うのか

代襲相続とは、本来なら相続人になるはずだった人が、被相続人より先に死亡しているなどの事情がある場合に、その人の子が代わって相続人になる制度です。


典型的なのは、被相続人の子が先に亡くなっていて、その子どもである孫がいるケースです。この場合、孫が子に代わって相続人になります。これが子の代襲相続です。


また、被相続人に子も親もおらず、兄弟姉妹が相続人になる場面で、その兄弟姉妹が先に亡くなっている場合には、その子である甥姪が代襲相続人になります。これが兄弟姉妹の代襲相続です。


一見すると、どちらも「先に亡くなった人の子が相続する」という点で同じように見えます。しかし、遺留分の有無については大きな違いがあります。


子の系統は再代襲が続く

子の系統では、代襲相続がさらに続くことがあります。たとえば、被相続人の子がすでに死亡しており、その孫も死亡しているが、ひ孫がいるという場合には、そのひ孫が再代襲相続人になる可能性があります。


つまり、子の系統では、代襲相続が孫で終わるとは限りません。再代襲が認められるため、相続関係を戸籍でたどっていくと、思っていた以上に下の世代まで権利が及ぶことがあります。


そして、そうした子の系統に属する代襲相続人は、遺留分についても検討対象になります。


兄弟姉妹の系統は甥姪までで止まる

これに対し、兄弟姉妹の系統では、代襲相続は甥姪までで止まります。甥姪のさらに子まで再代襲することはありません。


この点も、子の系統との大きな違いです。兄弟姉妹の系統では、そもそも相続権の及ぶ範囲が限定されていますし、遺留分もありません。


そのため、実務では「甥は相続人だから遺留分もあるはずだ」と考えてしまうと誤りになります。相続人かどうかと、遺留分権利者かどうかを切り分けて考えることが必要です。


ケース比較① 長男が死亡しており孫がいる場合の遺留分

では、具体例で見てみましょう。


被相続人Aさんには、長男Bさんと長女Cさんがいました。しかし、BさんはAさんより先に亡くなっており、Bさんには子どもDさん、つまりAさんから見て孫がいます。この場合、DさんはBさんの代わりに相続人になります。


そして、Bさんはもともと「子」ですから、遺留分のある立場でした。その地位を代襲するDさんにも、遺留分が問題になる余地があります。


たとえば、Aさんが「全財産を長女Cに相続させる」という遺言を残して亡くなったとしても、Dさんは、自分が子の代襲相続人であることを前提に、遺留分侵害額請求を検討できる可能性があります。


孫が遺留分を請求できる典型例

孫に遺留分が認められる典型例は、「被相続人の子が相続開始前に死亡している」ケースです。被相続人の子が生きていればその子が遺留分権利者になりますが、すでに亡くなっているため、その子の子である孫が代襲します。


反対に、単に孫であるというだけでは遺留分は発生しません。たとえば、被相続人の子が生きているのに、孫が「自分にも取り分があるはずだ」と主張しても、通常は認められません。孫が問題になるのは、あくまで「子の代襲相続人」になっている場面です。


この点は誤解が多いところです。相続の現場では、「孫だから当然に権利がある」という理解も見かけますが、法的には、代襲相続が成立しているかどうかを確認しなければなりません。


孫が権利者になるために確認すべき家族関係

孫に遺留分があるかを判断するには、まず戸籍で家族関係を確認します。具体的には、被相続人の出生から死亡までの戸籍、先に亡くなった子の戸籍、その孫の現在戸籍などを追っていきます。


ここで確認したいのは、次のような点です。


・被相続人の子が本当に相続開始前に死亡しているか

・その子に子どもがいるか

・養子縁組や認知など、法的な親子関係が成立しているか

・ほかに同順位の相続人がいるか


たとえば、前妻との間の子や、再婚後の子、認知した子がいる場合には、相続関係が見た目より複雑になります。家族の認識だけで判断すると、思わぬ見落としが生じることがあります。


ケース比較② 兄が死亡しており甥がいる場合の遺留分

次に、甥のケースです。


被相続人Aさんには子も親もおらず、兄Eさんと妹Fさんがいました。しかし、EさんはAさんより先に亡くなっており、Eさんには子Gさん、つまりAさんから見て甥がいます。この場合、GさんはEさんの代襲相続人として、相続人になることがあります。


ただし、ここで重要なのは、Eさんは「兄弟姉妹」の立場にすぎないということです。兄弟姉妹には遺留分がありません。したがって、Gさんが代襲相続人であったとしても、遺留分を請求することはできません。


甥は代襲相続人になれても遺留分はない

このケースでは、「甥が相続人になる」という点だけを見ると、かなり権利が強いように感じるかもしれません。しかし、遺留分の有無は別です。


たとえば、Aさんが遺言で「全財産を妹Fに相続させる」と書いていた場合、甥Gさんは、代襲相続人であることを理由に遺留分侵害額請求をすることはできません。そもそも、もとの兄弟姉妹に遺留分がないからです。


この結論は、相続に詳しくない方からすると意外に思われることがあります。しかし、法律上は明確です。甥姪には遺留分はありません。


「甥姪も請求できる」と誤解されやすい理由

甥姪について誤解が生まれやすいのは、「代襲相続人」という言葉の印象が強いからだと思われます。代襲相続人と聞くと、亡くなった人の地位をすべてそのまま引き継ぐように感じられるかもしれません。


しかし、実際には、その前提となる相続人の地位にどのような権利があったのかを見なければなりません。子の地位を代襲する孫と、兄弟姉妹の地位を代襲する甥姪では、出発点が違います。そのため、遺留分の結論も異なります。


内容証明が届いたら|請求者が本当に遺留分権利者か確認する方法

相続の実務では、遺留分侵害額請求の内容証明郵便が突然届くことがあります。このとき、請求書面に「私は代襲相続人なので遺留分があります」と書かれていても、すぐにそのまま受け入れるのは適切ではありません。


まず行うべきなのは、その請求者が本当に遺留分権利者なのかを戸籍で確認することです。


まず戸籍で続柄と代襲相続の有無を確認する

確認の出発点は、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍です。これにより、子が何人いるのか、誰が先に亡くなっているのか、認知や養子縁組があるのか、といった基本関係を把握できます。


そのうえで、請求者が孫であれば、亡くなった子との親子関係を確認します。請求者が甥姪であれば、兄弟姉妹とのつながりを確認します。


実務上は、請求者の説明だけでなく、戸籍上のつながりを必ず確認することが重要です。相続人の思い込みや、古い家族認識がそのまま事実とは限らないからです。


孫からの請求で確認したい実務上のポイント

孫から請求が来た場合には、次の点を丁寧に見ます。


・その孫が、被相続人の子の代襲相続人であるか

・代襲の原因が相続開始前の死亡など、法律上の要件を満たしているか

・ほかに同じ系統の代襲相続人がいないか

・遺留分侵害額請求の期限を過ぎていないか


孫であれば常に請求できるわけではないため、「子の代襲相続人かどうか」を最初に押さえる必要があります。


甥姪からの請求で見落としたくない注意点

甥姪から請求が来た場合は、まず「兄弟姉妹の系統かどうか」を確認します。兄弟姉妹の代襲相続人である甥姪には遺留分がないため、法的には請求が認められない可能性が高いからです。


もっとも、書面の内容や背景によっては、遺留分ではなく別の法的主張が問題になっていることもあります。したがって、名称だけで判断せず、書面全体を確認し、必要に応じて弁護士へ相談することが大切です。


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横浜市で相続・遺留分の相談をするなら弁護士へ

孫と甥姪の違いは、一見すると単純なようでいて、実際には戸籍の確認や相続関係図の整理が欠かせません。特に、再婚家庭、前妻の子、養子、認知した子がいる場合には、家族の理解と法的な結論がずれることもあります。


また、遺留分は請求できる期間にも制限があります。相手方から内容証明が届いた場合も、逆にこちらから請求したい場合も、初動を誤ると不利になりかねません。


横浜市で相続のご相談を受けていると、「親族間の話し合いで済ませようと思ったが、誰に権利があるのか分からなくなった」「請求書が届いたが、相手に本当に権利があるのか不安だ」というお声をよく伺います。こうした場面では、戸籍の収集、相続関係の確認、請求の可否の判断、相手方との交渉まで、一つひとつ法的に整理することが大切です。


まとめ|孫と甥姪の遺留分は「代襲相続」だけで判断してはいけない

孫は、被相続人の子が先に亡くなっている場合に、その子の代襲相続人として相続人になることがあります。そして、子の系統に属する以上、遺留分権利者になり得ます。


これに対して、甥姪は、兄弟姉妹の代襲相続人として相続人になることがあっても、遺留分はありません。兄弟姉妹に遺留分がないため、その代襲相続人である甥姪にも遺留分は認められないからです。


大切なのは、「代襲相続人である」という一点だけで結論を出さないことです。相続人になれることと、遺留分があることは別です。子の系統なのか、兄弟姉妹の系統なのかによって、結論は大きく変わります。


実際に請求する場面でも、請求を受ける場面でも、まずは戸籍を確認し、請求者が本当に権利者かを見極める必要があります。特に内容証明が届いた場合には、早い段階で法的整理をしておくことが重要です。


横浜市で、孫の遺留分、甥姪の遺留分、代襲相続との違いについてお悩みの方は、早めに弁護士へご相談ください。家族関係が複雑な事案ほど、最初の整理がその後の対応を大きく左右します。


以上、孫は遺留分を請求できる?甥姪は?横浜の弁護士が相続関係を解説でした。


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弁護士 大石誠

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