遺留分侵害額請求を受けた(された)場合の対応|横浜の弁護士が初動から解決まで解説
- 誠 大石

- 3月3日
- 読了時間: 6分
更新日:2 日前
はじめに
ある日突然、内容証明郵便が届いた。「遺留分侵害額請求をします」という文面に、頭が真っ白になる——。
これは珍しいことではありません。遺言で財産を受け取った方(受遺者)や、生前贈与を受けた方(受贈者)のところに、他の相続人から請求が届くケースは実務で頻繁にあります。
このページでは、請求を受けた側が最初に何をすべきか、どんな反論ができるか、無視したらどうなるか、払えない場合にどうするかを、弁護士の視点から順番に解説します。
結論を先に言うと:無視は絶対にしてはいけません。しかし「請求が来た=全額払わなければならない」でもありません。
請求を受けたらまず確認する3つのこと
内容証明が届いたとき、感情的に動く前に、冷静に以下の3点を確認することが重要です。この3点が「戦略の出発点」になります。
確認①|請求者は本当に遺留分権利者か
遺留分侵害額請求ができる人は法律上限定されています。配偶者・子(代襲相続人を含む)・直系尊属(父母・祖父母)だけです。
特に注意が必要なのは「兄弟姉妹には遺留分がない」という点です。兄弟から請求が来ても、原則として法律上の根拠がありません。請求者が誰であるかを戸籍で確認し、そもそも請求権者に当たるのかを最初に検証してください。
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確認②|時効(1年・10年)は成立していないか
遺留分侵害額請求権には消滅時効があります。「遺留分侵害を知った時から1年」または「相続開始から10年」のいずれか早い方が経過していれば、時効を援用して請求を退けられる可能性があります。
実務で重要なのは「知った時」の判断です。請求者が「最近知った」と主張していても、過去のやり取り・遺言書の開示・通知書の日付などから、実際にはもっと前から知っていたと主張できる場合があります。内容証明の送付日と、相手が「知った」可能性がある日付を慎重に検討してください。
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確認③|請求額は正しく計算されているか
請求側が提示してくる金額が、常に正確とは限りません。遺留分の計算には「基礎財産の確定・生前贈与の範囲・不動産評価・債務控除・相手の自己取得分の控除」など複数の変数があり、どれか一つが違えば金額が大きく変わります。
「請求額が来た=その金額が正しい」と思い込まずに、独自に検算することが重要です。過大請求だった、というケースは実務では珍しくありません。
「無視する」は最悪の選択——リスクを正確に知る
請求を受けた側が取りがちな行動の一つが「無視(放置)」です。しかし、これは非常に危険です。
無視した場合に起きること | 具体的なリスク |
調停が申し立てられる | 家庭裁判所から呼出状が届く。無視すると不利な裁判所の判断になりうる |
訴訟に発展する | 欠席判決で相手方の請求額がそのまま認容されるリスク。遅延損害金も。 |
強制執行される | 預貯金・給与・不動産の差押えが行われる |
遅延損害金が加算される | 支払い遅れの期間に応じて法定利率(年3%)の遅延損害金が発生 |
「払いたくない」という気持ちは理解できます。しかし、無視を続けても請求額が消えることはなく、むしろ状況は悪化します。返答しない場合でも、弁護士に相談して対応方針を決めることが最優先です。
反論できる場合——請求を減額・排除するための主な論点
反論①|時効の援用(1年・10年の経過)
最も強力な反論です。「知ってから1年」または「相続開始から10年」が経過している場合、時効を援用すれば請求を退けられます。ただし時効は自動的には適用されず、「時効を援用する」という意思表示が必要です。
反論②|基礎財産の計算が過大
請求側が主張する基礎財産(相続財産+生前贈与-債務)に誤りがある場合、これを正すことで請求額を減らせます。よくあるパターンは次の3つです。第一に、生前贈与として計上されている支出が実は生活費の援助や立替払いであり贈与ではないと主張できるケース。第二に、請求者が控除すべき自己取得分(すでに受け取った財産)を計算に入れていないケース。第三に、不動産評価が実勢より高すぎる評価方法を使っているケースです。
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反論③|遺留分の事前放棄がある
被相続人の生前に、家庭裁判所の許可を得て遺留分を放棄している場合、その請求者は遺留分侵害額請求ができません。被相続人の生前に相続対策として遺留分放棄の手続きが行われていた場合は、その記録を確認してください。
払えない場合の現実的な対処法
「請求額は正しいが、現金がなくて払えない」という状況も多くあります。この場合、次の手段を検討します。
対処の方向性 | 内容と注意点 |
分割払いの交渉 | 請求者と合意できれば分割払いが可能。支払回数・期限・遅延損害金を明確にした合意書を作成する |
不動産などの代物弁済 | 現金ではなく不動産・有価証券などで清算する。評価額の合意が必要 |
相続した不動産の売却 | 不動産を売却して資金を作る方法。売却に時間がかかる点に注意 |
支払猶予の申し出 | 法律上「期限の許与」として、裁判所が支払に猶予を与える制度がある(民法1047条3項) |
「払えない」という状況を放置せず、早めに弁護士を通じて相手方と交渉することが重要です。誠実に対応していれば、分割払いや代物弁済で合意できるケースは多くあります。
対応の流れ(初動〜解決まで)
ステップ | やること |
STEP 1|内容証明受け取り後すぐ | 弁護士に相談。「3つの確認」(適格・時効・金額)を整理 |
STEP 2|1〜2週間以内 | 独自に遺留分侵害額を計算し、反論の方向性を確定 |
STEP 3|書面で回答 | 「検討中」または「反論あり」を相手方に通知。無視しない |
STEP 4|交渉 | 金額・支払方法を協議。合意できれば合意書を作成 |
STEP 5|調停(不合意の場合) | 家庭裁判所の調停に移行。資料を揃えて争点を絞る |
STEP 6|訴訟(調停不成立の場合) | 証拠に基づく主張・立証。和解も視野に |
弁護士に依頼するタイミング
請求を受けた側にとって、弁護士を入れるタイミングは早ければ早いほど有利です。理由は3つあります。
第一に、時効の主張など初動の対応が結果を左右することがあるためです。第二に、金額の検算は専門知識がないと誤りを見抜けないためです。第三に、弁護士が窓口になることで、感情的なやり取りを避け、条件交渉に集中できるためです。
【こんな場合は特に早めに相談を】
□ 内容証明が届いたばかり(初動対応が重要)
□ 請求額が大きく、払えるか不安
□ 不動産評価や生前贈与の解釈で争いになりそう
□ 時効が成立している可能性がある
□ 相手がすでに弁護士をつけている
横浜で遺留分のご相談
請求された側の対応は、初動が非常に重要です。「払うべきかどうか」の判断も含めて、まずご相談ください。
以上、遺留分侵害額請求を受けた(された)場合の対応|横浜の弁護士が初動から解決まで解説でした。
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弁護士 大石誠
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