top of page

兄弟姉妹には遺留分はあるのか?相続でよくある誤解を解説

  • 執筆者の写真: 誠 大石
    誠 大石
  • 2月9日
  • 読了時間: 6分

更新日:23 分前

相続の場面で「兄弟姉妹には遺留分があるのか?」という疑問は意外と多く寄せられます。特に、遺言書で「兄弟に財産を全く渡さない」と明記されているケースや、親が亡くなった後に兄弟間でのトラブルが発生した場合など、遺留分の有無が大きな関心事となるからです。



本記事では、兄弟姉妹の遺留分に関する法律上の取り扱いや、相続実務での注意点をわかりやすく解説します。



兄弟姉妹には遺留分はない

結論から言うと、兄弟姉妹には遺留分はありません。つまり、被相続人が遺言などで兄弟姉妹に一切の財産を渡さないとしても、それは法律上問題ないということです。


遺留分とは、民法で認められた「相続人が最低限受け取ることができる財産の取り分」のことです。遺留分が認められているのは、被相続人の「直系卑属(子や孫など)」と「直系尊属(親など)」、および「配偶者」に限られています。兄弟姉妹はこの対象に含まれないため、遺留分の請求(遺留分侵害額請求)はできません。


この制度は、故人の意思を尊重しつつも、配偶者や子どもといった近親者の生活を守るために設けられたものであり、兄弟姉妹についてはその保護の対象外とされているのです。


なぜ兄弟姉妹には遺留分がないのか

遺留分制度の趣旨と対象者

遺留分とは、被相続人(亡くなった方)の遺言や生前贈与があっても、一定の相続人が取り戻せる「最低限の取り分」のことです。民法は以下の人にのみ遺留分を認めています。


相続人の種類

遺留分の有無

配偶者

あり

子・孫(代襲相続人)

あり

直系尊属(父母・祖父母)

あり(子がいない場合)

兄弟姉妹・甥姪

なし


兄弟姉妹が対象外とされているのは、「被相続人の財産形成に対する貢献や生活依存度が、配偶者・子・親に比べて一般的に低い」という立法上の判断によります。感情的な納得しやすさとは別に、法律はこの線引きを明確にしています。


「相続人」と「遺留分権利者」は別物

よくある誤解として、「相続人なら遺留分もある」と思いがちですが、これは間違いです。兄弟姉妹が法定相続人になる場面(子も親もいない場合)でも、遺留分は認められません。つまり遺言で「全財産を第三者へ」と書かれていれば、兄弟姉妹はそれを法的に覆す手段として遺留分請求を使うことはできません。


遺留分がなくても取れる手段——4つの選択肢

「遺留分がない=何もできない」ではありません。状況によっては以下の手段が残っています。それぞれの有効性と限界を理解した上で、自分のケースに当てはまるかを確認してください。


手段① 遺言の無効を争う

遺言そのものに法的な問題がある場合、遺言の無効確認を求めることができます。無効になりうる典型例は次のとおりです。


【遺言が無効になりうるケース】

・遺言書の形式が整っていない(自筆証書で日付や署名が抜けているなど)

・作成時点で遺言者が認知症等で判断能力(意思能力)を欠いていた

・詐欺・強迫によって作成させられた

・公正証書遺言でも、遺言能力がなかったことが立証できる場合


ただし、遺言の無効を主張するには「判断能力がなかった」ことを立証する必要があり、医師の診断書や当時の状況の証拠が不可欠です。感情的な「おかしい」だけでは裁判所は動きません。


手段② 遺産分割協議で話し合う

遺言がある場合でも、相続人全員が合意すれば遺言と異なる内容の遺産分割ができます(遺言の内容を事実上変更する合意)。受遺者(遺言で財産をもらった人)が同意してくれれば、遺言にかかわらず兄弟姉妹に財産が渡る形にすることは可能です。ただしこれは相手の「任意の同意」が前提であり、法的強制力はありません。


手段③ 寄与分を主張する

被相続人の財産の維持・増加に特別に貢献した(介護・療養看護・事業への貢献など)場合、「寄与分」として法定相続分よりも多くの財産を取得できる可能性があります。ただし寄与分は「特別の貢献」が必要であり、通常の親族間の助け合い程度では認められません。また、遺言がある場合は寄与分の主張が制限される場面もあります。


手段④ 不当利得・使途不明金を追及する

遺言とは別に、相続財産が正当な理由なく他の相続人に流れていた(生前に不正に引き出された、管理を任された者が着服したなど)場合は、不当利得返還請求や損害賠償請求が使える可能性があります。これは遺留分の問題ではなく別の法的根拠ですが、実務では遺留分と合わせて検討されることがあります。



兄弟姉妹間の相続トラブルでよく見るパターン

横浜での相談実務で頻繁に見る兄弟姉妹間の相続トラブルには、いくつかの典型パターンがあります。

トラブルのパターン

有効な対応の方向性

「親の遺言で全部が長男へ」→自分は何ももらえない

遺言の有効性を確認。任意での話し合いも検討

親が認知症になった後に作られた遺言が出てきた

遺言作成時の意思能力を医療記録等で確認→無効主張も

長年、一人で親の介護をしてきたのに財産ゼロ

寄与分の主張を検討。証拠(日誌・医療費領収書等)の整理が先決

相続直前に親の預金が大量に引き出されている

使途不明金・不当利得の追及を検討

遺言で全額が愛人や第三者に遺贈されている

遺言の有効性・意思能力を確認


弁護士に相談すべきタイミング

「遺留分がないから諦めるしかない」と自分で判断してしまう前に、一度弁護士に相談することをおすすめします。遺留分以外の手段が残っているかどうかは、具体的な事実関係を確認しないと判断できないからです。


【こんな場合は早めに相談を】

□ 遺言書の内容に不自然さ・不審点がある(作成時期・状況・内容の偏り)

□ 親が認知症だった時期に遺言が作成されている

□ 長年の介護や生活支援など、特別な貢献があった

□ 相続直前に預金残高が大きく減っている、不審な資金移動がある

□ 他の相続人(受遺者)が話し合いに応じない


遺留分がない以上、法的に強制できる手段は限られます。しかし「何が使えるか」の選択肢を正しく把握した上で動くことと、最初から諦めることは全く違います。まずは相談だけでも、早めに動くことが重要です。


まとめ:兄弟姉妹には遺留分はないが、トラブル回避には配慮が必要

兄弟姉妹には法的に遺留分が認められていないため、遺言で財産を渡さないとされても、それを覆すことはできません。ただし、実際の相続現場では誤解や感情的対立が起きがちです。遺言書の作成段階での配慮や、相続手続き時の丁寧な説明が、円満な相続には不可欠です。


相続について不安がある場合は、早めに専門家に相談し、正しい知識と手続きを備えることをおすすめします。


弁護士 大石誠

横浜市中区日本大通17番地JPR横浜日本大通ビル10階 横浜平和法律事務所

【今すぐ相談予約をする】

電話:〔045-663-2294

横浜の弁護士が解説|人身傷害保険の死亡保険金は相続財産に含まれる?

関連記事


bottom of page