遺留分請求を弁護士に頼むといくらかかる?
- 誠 大石

- 2025年12月16日
- 読了時間: 8分
更新日:2 日前
はじめに
遺留分の問題を抱えたとき、多くの方が「弁護士に相談したいけれど、費用がどれくらいかかるのか心配」という気持ちを持ちます。
横浜で相続の相談を受けていると、「費用のことを聞いたら嫌がられそうで聞けなかった」「着手金を払ったのに何も解決しなかったらどうしよう」という不安を率直に話してくださる方が少なくありません。
この記事では、遺留分請求を弁護士に依頼したときにかかる費用の仕組みと相場、弁護士に頼むべきケースとそうでないケース、依頼前に確認すべきポイントを、できる限り具体的に解説します。
「費用が心配だから動けない」を解消し、正しい判断ができるようになることを目的にした記事です。
遺留分請求の弁護士費用の仕組み
1-1. 弁護士費用は「着手金+報酬金」が基本
弁護士費用は大きく2つの要素で構成されます。「着手金」と「報酬金(成功報酬)」です。
着手金とは、事件を受任した段階で支払う費用です。結果に関わらず発生するもので、「依頼を受けた対価」と考えると理解しやすいでしょう。相手が支払いに応じなかった場合でも、着手金は返金されません。
報酬金は、依頼の結果として経済的な利益を得た場合に支払う費用です。たとえば遺留分侵害額として100万円を回収できた場合、そこから一定割合を弁護士に支払います。「回収できてから払う」部分なので、着手金と合わせて「成功してから多くかかる」イメージを持つと実態に近いです。
1-2. その他にかかる費用
着手金・報酬金以外に、以下の実費がかかることがあります。
費用の種類 | 内容・目安 |
相談料 | 初回無料の事務所が多い。30分5,000円程度の事務所もある |
印紙代・郵便代 | 内容証明郵便、調停・訴訟申立て時の裁判所費用 |
出張日当 | 遠方の裁判所への出廷が必要な場合 |
不動産鑑定費用 | 不動産評価が争点になる場合(別途費用が発生することがある) |
遺留分請求の弁護士費用の相場
2004年に弁護士費用の「旧報酬規程」が廃止されて以来、費用は事務所ごとに自由に設定できるようになっています。そのため「絶対の相場」はありませんが、実務的な目安として以下のイメージを持っておくと参考になります。
2-1. 着手金の目安
遺留分請求の着手金は、請求する経済的利益(遺留分侵害額の見込み額)をもとに計算するのが一般的です。旧規程を参考にした慣行では、経済的利益の8〜10%前後が着手金となるケースが多いですが、事務所によって「一律20万円〜30万円」と定額にしているところもあります。
たとえば遺留分侵害額が500万円と見込まれる場合、着手金は40〜50万円前後になることがあります。ただし、事案の複雑さや地域によって変わります。
2-2. 報酬金(成功報酬)の目安
報酬金は、実際に得られた経済的利益(回収できた金額)の16〜20%前後が目安です。着手金と合わせると、回収額の25〜30%程度を費用として想定しておくと、実態に近いケースが多いです。
なお「完全成功報酬型(着手金ゼロで回収額の一定割合のみ)」を採用している事務所もあります。初期費用を抑えたい場合は探してみる価値がありますが、その場合は報酬率が高めに設定されていることが多いので、総支払額で比較するのが賢明です。
2-3. 具体的な試算例
ケース | 費用の目安(着手金+報酬金の概算) |
遺留分侵害額:200万円・交渉で解決 | 着手金20〜30万円+報酬金30〜40万円=合計50〜70万円程度 |
遺留分侵害額:500万円・調停で解決 | 着手金40〜50万円+報酬金80〜100万円=合計120〜150万円程度 |
遺留分侵害額:1,000万円・訴訟に発展 | 着手金60〜80万円+報酬金160〜200万円=合計220〜280万円程度 |
あくまで目安ですが、遺留分侵害額の3〜5割が費用になることもあるため、「回収できる金額と費用が見合うか」の確認は依頼前に必ず行うべきです。
費用対効果の考え方——弁護士に頼む価値があるケース
費用の話をするとき、「いくらかかるか」と同じくらい重要なのが「弁護士に頼まないとどうなるか」という視点です。
3-1. 弁護士なしで動くと損するケース
次のようなケースでは、弁護士なしで動くと最終的に損をする可能性が高くなります。
【弁護士への依頼が費用対効果に見合うケース】
① 相手が無視・拒否しており、自力での交渉が進まない
→ 弁護士が窓口になることで交渉が再開するケースが多い。本人同士では感情戦になりやすい。
② 財産に不動産が含まれており、評価額で争いが生じそう
→ 路線価・固定資産税評価・不動産鑑定のどれを使うかで請求額が大きく変わる。判断を誤ると損失に直結。
③ 生前贈与・特別受益の計算が複雑
→ 計算対象の生前贈与を見落とすと、本来請求できる金額より低い額で合意してしまうことがある。
④ 期限が迫っており、意思表示と証拠保全を急ぐ必要がある
→ 手続きを一つ間違えると権利を失う。弁護士が迅速に対応することでリスクを回避できる。
3-2. 自分で対応できる限定ケース
一方、次のような条件がすべて揃っている場合は、弁護士なしでの対応も現実的な選択肢になります。
相手が話し合いに応じる意思があり、財産が預貯金中心でシンプルであり、生前贈与や不動産評価の争いがなく、双方の感情的な対立が浅い——こうしたケースであれば、書式を参考にした内容証明の送付と、合意書の作成まで自分で進めることも可能です。
ただし「最初は簡単に見えたのに、途中で複雑になった」というパターンも多く、そのタイミングで弁護士を入れると最初から依頼するよりかえって費用がかかることもあります。少しでも不安があれば、相談だけ先にしておくことをおすすめします。
費用が心配な方へ——法テラスと費用分割
4-1. 法テラスの費用立替制度
日本司法支援センター(法テラス)には、収入・資産が一定基準以下の方を対象に、弁護士費用を立て替える「民事法律扶助制度」があります。立て替えた費用は後から月々分割で返済する仕組みです(返済が困難な場合は猶予・免除の制度もあります)。
遺留分請求も対象になりますが、「審査が必要」「依頼できる弁護士が限定される場合がある」という点に注意が必要です。時間的余裕がある場合に、まず法テラスへの相談を検討するのも一つの方法です。
4-2. 費用の分割払い
多くの法律事務所では、着手金の分割払いに対応しています。「着手金を一括で用意できない」という場合でも、相談時に事情を伝えれば柔軟に対応してくれる事務所が少なくありません。費用の心配はまず相談の中で率直に話してみてください。
弁護士への依頼前に確認すべきポイント
弁護士への依頼を検討するとき、最初の相談で確認しておくべきことがあります。後から「思っていた費用と違った」「方針が合わない」とならないための確認です。
【相談時に必ず確認するチェックリスト】
□ 着手金・報酬金の金額(計算式も含めて)
□ 実費(印紙代・通信費等)は別途かかるか
□ 交渉・調停・訴訟など段階が進む場合に追加費用が発生するか
□ 見込まれる回収額と費用のバランス(費用対効果)
□ 担当弁護士は誰か(事務員対応にならないか)
□ 連絡の頻度・方法(報告をどのくらいもらえるか)
□ 解決までの目安の期間
これらを確認することで、弁護士との間で認識の齟齬が生まれにくくなります。特に費用の計算式は「経済的利益の○%」という説明だけでは実額がわかりにくいため、具体的な数字で確認することが大切です。
横浜・神奈川で遺留分請求の相談をするなら
遺留分請求を相談する弁護士を選ぶとき、「相続案件の経験が豊富か」は重要な判断基準です。相続・遺留分は、不動産評価や生前贈与の計算、相続人関係の把握など、民法だけでなく税法・不動産法務の知識も関わる複合的な分野です。
横浜・神奈川エリアでは、自宅不動産が中心の相続財産になるケースが多く、「不動産の評価をどう扱うか」で請求額が大きく変わることがあります。地域の不動産事情を理解している弁護士に相談することが、実務上有利に働くことがあります。
【私について】
相続・遺留分案件に注力し、横浜・神奈川エリアの案件を多数解決してきました。
初回のご相談では、費用の見通しも含めて丁寧に説明しています。「費用のことを聞きにくい」という方も、ぜひ率直にお聞かせください。
まとめ
この記事では、遺留分請求を弁護士に依頼した場合の費用について解説しました。要点を整理すると以下のとおりです。
項目 | 要点 |
費用の構成 | 着手金(依頼時に支払)+報酬金(回収後に支払)が基本 |
着手金の目安 | 経済的利益の8〜10%前後、または定額20〜30万円程度 |
報酬金の目安 | 回収額の16〜20%前後。着手金と合算して25〜30%前後になるケースが多い |
費用対効果が高いケース | 相手が無視・不動産が絡む・生前贈与が複雑・期限が迫っているなど |
費用が心配な場合 | 法テラスの利用、事務所への分割払い相談を検討 |
依頼前の確認 | 費用の計算式・段階追加費用の有無・回収見込みを必ず確認 |
「費用が心配だから一歩踏み出せない」という状況が一番リスクです。まずは相談だけでも早めに動くことが、遺留分請求の成否に直結します。
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費用の不安も含めて、まずはご相談ください。初回のご相談では、費用の見通しを含めて丁寧にご説明します。
以上、遺留分請求を弁護士に頼むといくらかかる?でした。
弁護士 大石誠
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