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遺留分を請求されたが払えない場合は?期限の許与・分割払い・初動対応を解説

  • 執筆者の写真: 誠 大石
    誠 大石
  • 2月26日
  • 読了時間: 19分

はじめに

相続が始まった後、遺留分を請求されたものの、手元に十分な現金がなく困ってしまうケースは珍しくありません。特に、相続した財産の大半が不動産である場合や、事業に使っている資産、自社株のようにすぐ現金化しにくい財産である場合には、「払わなければいけないのは分かるが、今すぐは無理だ」という切実な状況に陥りやすいものです。


このような場面で大切なのは、「払えないから仕方ない」と放置しないことです。遺留分の問題は、初動を誤ると、相手方との対立が深くなり、調停や訴訟に発展し、最終的な負担が大きくなることがあります。特に注意したいのは、支払いが遅れることで遅延損害金が問題になる場合がある点です。


もっとも、現実には、受け継いだ財産の内容からしてすぐに現金を用意できないこともあります。そのようなときに検討すべきなのが、交渉による分割払いと、裁判所に対する期限の許与の主張です。ただし、期限の許与は主張すれば必ず認められるものではなく、事情に応じた見通しの検討が欠かせません。


この記事では、遺留分を請求されたが払えない場合に、まず何をすべきか、どのような流れで話が進むのか、期限の許与と分割払いはどう違うのか、不動産や非上場株式、事業資産が絡むケースで何が問題になりやすいのかを、横浜の弁護士の視点から分かりやすく解説します。


遺留分を請求されたが払えない場合でも、まず無視してはいけない理由

遺留分を請求されたとき、すぐにお金を用意できないと、「どうせ払えないのだから今は何もできない」と考えてしまう方がいます。しかし、請求を受けたにもかかわらず放置する対応は、基本的に避けるべきです。


遺留分侵害額請求は、一定の相続人に保障された最低限の取り分が侵害された場合に、その不足分に相当する金銭の支払いを求めるものです。現在の実務では、遺留分の問題は、原則として金銭で解決する仕組みになっています。そのため、「不動産を相続したのだから不動産の一部を返せばよい」という単純な話にはなりません。請求を受ける側としては、金銭での支払いを念頭に対応方針を立てる必要があります。


そして、払えない場合ほど、無視のリスクは大きくなります。返答がないまま時間が過ぎると、相手方は「任意の話し合いでは解決しない」と判断し、弁護士への依頼や法的手続に進みやすくなります。こちらに事情があるとしても、それをきちんと説明せず沈黙していれば、誠実に対応していないと受け取られかねません。


さらに、支払いが遅れた場合には、遅延損害金が問題になることがあります。もともとの請求額だけでなく、解決までの期間に応じて負担が増える可能性があるため、「いずれ払うことになるなら先延ばしでも同じ」と考えるのは危険です。特に、解決まで長期化しやすい事案では、この点が見過ごせません。


そのため、遺留分を請求されたが払えない場合こそ、最初にやるべきことは、無視ではなく整理です。請求内容を確認し、相続財産の内容を把握し、どの範囲なら対応できるのかを見極めたうえで、交渉方針を考える必要があります。


遺留分を請求されたときの基本的な流れは「交渉→調停→訴訟」

遺留分の問題は、いきなり裁判になるとは限りません。実際には、多くのケースで、まずは話し合いから始まります。全体の流れをつかんでおくと、今どの段階にいて、次に何が起こり得るのかを冷静に見極めやすくなります。


最初の段階は、当事者間の交渉です。相手方本人から請求されることもあれば、相手方が依頼した弁護士から内容証明郵便などで請求書が届くこともあります。この段階では、請求額そのものに争いがあるのか、支払い方法が問題なのか、不動産や株式の評価が争点なのかによって、交渉の内容が変わります。


交渉でまとまらない場合には、調停に進むことがあります。調停は、家庭裁判所で調停委員を介して話し合いを進める手続です。相手と直接激しくやり合うというより、裁判所の場で整理しながら合意点を探る手続であり、感情的な対立が強い相続案件では現実的な選択肢になりやすいといえます。


それでも解決しない場合には、最終的に訴訟になります。訴訟では、財産評価、遺留分の計算、特別受益や持戻しの有無、支払方法、期限の許与が認められるべき事情の有無など、個別の論点が法的に争われます。ここまで進むと、請求される側にとっても、単に「今お金がない」というだけでは足りず、なぜ一括払いが困難なのか、どのような支払計画が現実的なのかを資料に基づいて主張していく必要があります。


このように、遺留分を請求された場合の流れは、まず交渉、次に調停、最後に訴訟、という順序で進むのが一般的です。横浜市や神奈川県内の相続案件でも、この流れを前提に初動から備えておくことで、無用な長期化を避けやすくなります。


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遺留分を請求されたが現金がない場合の対応策

では、現実に手元資金が足りない場合、どう動けばよいのでしょうか。大切なのは、感覚的に「無理です」と答えるのではなく、客観的に状況を整理することです。


まず確認したいのは、相続財産の中身です。預貯金がどの程度あるのか、不動産はどのような性質のものか、収益不動産なのか自宅なのか、株式が上場か非上場か、事業資産を売却すると経営に影響が出るのかなど、資産の内容によって対応は大きく変わります。相手方の請求が過大である可能性もあるため、請求額を前提に動く前に、財産評価や計算の妥当性を検討することも重要です。


次に、支払可能性を現実的に見極めます。たとえば、一定額ならすぐ支払えるのか、数か月の猶予があれば対応できるのか、不動産売却や借入れが必要なのか、一括払いは無理でも分割払いなら可能なのかといった点を整理します。この作業をせずに交渉へ入ると、場当たり的な発言になり、かえって不信感を招きやすくなります。


そのうえで、一括での支払いが難しいなら、分割払いの交渉や、後に述べる期限の許与の検討が必要になります。ここで重要なのは、単に「お金がない」と言うだけでは足りないということです。なぜ今すぐ払えないのか、いつまでにどうやって支払うつもりなのか、どの財産をどう処分・活用する見込みなのかを、できる限り具体的に示す必要があります。


また、遺留分の案件では、財産評価が争点になることが少なくありません。不動産しか相続していないと思っていても、その評価方法次第で金額は変わり得ますし、非上場株式の評価はさらに専門的です。請求された段階で、法的な見通しと評価面の整理を同時に進めることが、結果として有利な解決につながります。


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期限の許与とは?遺留分で問題になる場面をわかりやすく解説

遺留分を請求されたが払えない場合によく出てくる言葉が、「期限の許与」です。(民法1047条5項が新設されました)

これは、裁判所が、一定の事情を踏まえて、支払いの全部または一部について相当の期限を与える制度です。


遺留分侵害額請求により、受遺者・受贈者は原則として「直ちに」金銭債務を負うことになりますが、これでは、多額の遺贈・贈与の場合には即時一括払いが著しく困難になる場合があります。

そこで、受遺者・受贈者の保護と、遺留分権利者の回収保障のバランスを図るため、裁判所に相当の期限を付与する裁量を認めたものです。


分かりやすくいえば、「今すぐ一括で払うのは現実的ではないが、一定期間あれば支払える」という事情がある場合に、その猶予を裁判所に認めてもらう余地がある、ということです。遺留分の制度が金銭請求化されたことで、受け継いだ財産が不動産や株式など現金化しにくいものであっても、金銭での支払い義務が問題になります。そのため、すぐに現金を用意できない事情に配慮する必要があり、このような制度が設けられています。


もっとも、ここで注意したいのは、期限の許与は、単に「払えないので待ってください」とお願いするだけの制度ではないという点です。裁判所が関与する場面で、支払い猶予を認めるべき事情があるかどうかが問題になります。したがって、感情論や抽象的な事情説明では足りず、なぜ一括払いが難しいのか、その困難が一時的なものなのか、期限を与えることで将来的な支払いが見込めるのかが問われます。


また、期限の許与は、交渉段階で相手方と合意する分割払いとは異なります。交渉では相手が応じなければ成立しませんが、期限の許与は、裁判所の判断が関わる点に特色があります。ただし、裁判所が必ず認めてくれるわけではありません。あくまで事情に応じて「相当の期限」が与えられる可能性があるにとどまります。


裁判所が考慮する事情として、以下のようなものが挙げられます。

・相続財産の内容(不動産中心か,金融資産中心かなど)

・義務者の支払能力・資力、年齢・健康状態

・支払額の多寡、遺留分権利者側の生活状況・保護の必要性

・すでに取得している遺産部分、これまでの協議経過


期限の許与が問題になりやすい典型事例

期限の許与が実際に問題になりやすいのは、相続した財産の中身に特徴があるケースです。典型的なのは、不動産しか相続していない場合です。


たとえば、親の自宅や賃貸不動産を相続したものの、預貯金はほとんどなく、遺留分を支払うだけの現金が手元にないというケースがあります。この場合、不動産を売れば支払えるとしても、売却には時間がかかりますし、自宅であれば生活基盤に直結します。収益不動産であれば、売却の判断が今後の生活設計にも影響します。このような場面では、「すぐ払えないが、一定期間内に売却や資金調達を行って支払う」という事情が問題になりやすくなります。


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次に多いのが、自社株や非上場株式を承継したケースです。事業承継の場面では、後継者が会社の株式を集中して取得していることがありますが、非上場株式は容易に市場で売却できるものではありません。評価も難しく、仮に売却できたとしても、会社経営そのものに重大な影響が出ることがあります。このようなケースでは、株式を持っているからといって、直ちに金銭での支払い能力があるとは限りません。


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さらに、事業用不動産や設備、運転資金に関わる資産を相続した場合も同様です。相続した財産を急いで処分すれば、事業継続に深刻な支障が出ることがあります。たとえば、工場、店舗、事務所、主要設備などを抱えたまま遺留分を請求されると、「資産はあるのに現金がない」という状況になりがちです。このような案件では、単に個人の資産処分の問題ではなく、事業への影響も含めて検討しなければなりません。


横浜市内でも、不動産価値が高い一方で流動性に乏しい案件や、家業承継に絡む相続案件は珍しくありません。だからこそ、どの財産がどの程度換価可能なのか、処分にどれだけ時間がかかるのかを具体的に整理することが、期限の許与を考えるうえでも重要になります。


分割払いと期限の許与の違い

遺留分を請求されたが払えない場合、「分割払い」と「期限の許与」が同じもののように扱われることがありますが、実際には別の話です。ここを混同すると、対応方針を誤りやすくなります。


分割払いは、基本的に当事者間の合意によって決まります。たとえば、毎月いくらずつ支払うのか、頭金を入れるのか、何回で完済するのか、遅延したときはどうするのか、といった内容を話し合って決めます。相手方が納得すれば、訴訟に至る前の交渉段階や調停段階でも成立し得ます。柔軟な解決が可能なのがメリットです。


これに対し、期限の許与は、裁判所が相当の期限を与えるかどうかが問題になるものです。こちらは「相手が納得するかどうか」だけでなく、「法的にみて、猶予を与えるのが相当か」が問われます。したがって、分割払いの提案が拒否された場合でも、事情によっては期限の許与を主張する余地がある一方、逆にいえば、事情が不十分であれば期限の許与が認められないこともあります。


また、分割払いは、実務上かなり有力な解決手段ですが、相手方にとって不安が大きい提案では受け入れられにくくなります。たとえば、総額が高額で、支払期間が長く、担保もなく、途中で支払いが滞ったときの手当てもない、という提案では合意は難しいでしょう。これに対し、一定の頭金を用意し、残額の支払時期を明示し、必要に応じて担保や期限の利益喪失条項を設けるなど、具体性のある提案は受け入れられやすくなります。


このように、分割払いは交渉の話、期限の許与は裁判所の判断が関わる話であり、似ているようで役割が異なります。実務では、まずは分割払いの交渉を試みつつ、争いが深まった場合に期限の許与も視野に入れる、という流れで考えることが多いでしょう。


期限の許与を主張する際に考慮されやすい事情

期限の許与を考える場合、どのような事情が重視されるのでしょうか。法律上、画一的なチェックリストがあるわけではありませんが、実務的にはいくつか重要な観点があります。


まず大きいのは、相続財産の大半が換価しにくい資産であることです。不動産、自社株、事業資産など、価値はあっても短期間で適正価格による現金化が難しい財産を中心に相続している場合には、「資産があるのだからすぐ払えるはずだ」とは言い切れません。この事情は、期限の許与を求めるうえで出発点になります。


次に、すぐに払えない事情に合理性があることも重要です。単に資金管理が甘かった、使えるお金を別に使ってしまった、という話では説得力が弱くなります。これに対し、相続財産の性質上、売却や借入れに一定の期間を要する、処分によって居住や事業継続に重大な影響がある、といった事情は、より具体的で説明しやすいものです。


さらに、支払意思が明確であることも重要です。期限の許与は、最終的に支払うつもりがある人に対して、そのための合理的な時間を与える制度として考えるべきものです。そのため、「今は無理です」と言うだけでなく、いつまでに何をするのか、一部でも先に払えるのか、売却活動や資金調達の準備を進めているのかなど、誠実な対応が求められます。


一部弁済の提案や、売却準備、金融機関への相談、資料提出への協力といった行動は、交渉でも裁判でも大きな意味を持ちます。反対に、請求を受けてから何もしない、資料も出さない、話し合いにも応じない、という姿勢では、期限の許与を主張しても説得力を欠きやすくなります。


期限の許与を主張しても10割勝てるわけではない現実

検索をしていると、「期限の許与があるから、すぐに払えなくても大丈夫」といった印象を受けることがあります。しかし、実際にはそこまで単純ではありません。期限の許与は、使い方を誤ると過大な期待につながりやすい論点です。


まず前提として、期限の許与は自動的に認められるものではありません。法律上、その余地があるというだけで、個別事情を踏まえた判断になります。したがって、「不動産を相続したので当然に猶予される」「自社株だから必ず待ってもらえる」と考えるのは危険です。


また、仮に期限の許与が認められるとしても、自分が望む期間がそのまま認められるとは限りません。たとえば、こちらとしては一年以上の猶予が必要と考えていても、事情によってはもっと短い期間しか認められないこともあり得ます。あるいは、全部ではなく一部のみ猶予の対象とされる可能性もあります。


さらに、請求する側にも生活上の必要や事情があります。相手方が遺留分の支払いを前提に生活設計を立てている場合や、こちらの提案内容があまりに不透明な場合には、猶予を広く認めるのが相当とはいえないこともあります。裁判所は、請求される側の事情だけでなく、請求する側の不利益も踏まえて判断することになります。


そのため、期限の許与は「切り札」ではあっても、「必勝の制度」ではありません。重要なのは、交渉の段階から、期限の許与に頼り切るのではなく、現実的な支払案を用意しておくことです。頭金の有無、売却予定、借入れ見込み、支払時期の案などを具体的に示せるかどうかが、解決の方向性を左右します。


遅延損害金はいつから発生する?払えない場合ほど注意したいポイント

遺留分を請求されたが払えない場合、見落とされがちなのが遅延損害金です。請求額そのものばかりに目が向きがちですが、解決までに時間がかかると、その分だけ負担が増える可能性があります。


特に、相手方から具体的な支払い請求がされている場合には、遅延損害金の扱いを意識しなければなりません。案件によって起算点や争い方は変わり得ますが、少なくとも、「払えないので後で考える」という対応がそのままコスト増につながり得ることは理解しておく必要があります。


この点は、交渉中であっても同じです。話し合いをしているから遅延損害金の問題が消えるわけではありません。合意書の作り方によっては、元本だけでなく遅延損害金の扱いまで調整する必要がありますし、期限の許与が問題になる場面でも、この点を意識して主張を組み立てる必要があります。


また、遅延損害金があるからといって、焦って不利な合意をしてしまうのも避けるべきです。金額や評価に争いがあるのに、十分な検討をしないまま支払約束をすると、後で修正が難しくなることがあります。大切なのは、請求を受けた早い段階で、金額、評価、支払方法、遅延損害金の扱いを一体として整理することです。


遺留分を請求された直後の初動対応

遺留分の問題では、初動がその後の流れを大きく左右します。請求書や内容証明が届いた直後に、最低限しておきたいことがあります。


第一に、請求内容と日付を確認することです。誰が、誰に対して、どのような趣旨で、いくら請求しているのか、期限の記載はあるのか、どの財産を前提にしているのかを確認します。感情的になってしまうと、この基本作業がおろそかになりがちですが、後の対応の土台になる重要な作業です。


第二に、相続財産の一覧を作ることです。預貯金、不動産、有価証券、生命保険、非上場株式、事業用資産、負債の有無などを整理し、資料を集めます。不動産については固定資産税評価額だけでなく、実勢価格や収益性が争点になることもあります。非上場株式については、一般の相続人だけでの判断が難しい場合も多く、慎重な整理が必要です。


第三に、安易に「払えません」とだけ返さないことです。確かに実際には払えないとしても、その一言だけでは、誠実な対応とは受け取られにくく、相手方の警戒を強めてしまいます。少なくとも、請求内容を確認中であること、資料を整理していること、一定期間内に回答する意向があることなど、対応姿勢を示すことが大切です。


第四に、交渉方針を決める前に、法的な見通しを整理することです。請求額が妥当なのか、財産評価に争いはあるのか、期限の許与や分割払いをどのように位置づけるかによって、返答内容は変わります。初回の回答を軽く考えず、その後の展開を見据えて対応を組み立てることが重要です。


横浜で遺留分を請求された場合に弁護士へ相談するメリット

遺留分を請求されたとき、当事者同士だけで解決できる場合もあります。しかし、現金が足りない、不動産評価が絡む、非上場株式がある、感情的な対立が強いといった事情がある場合には、早めに弁護士へ相談するメリットは大きいといえます。


まず、相手方とのやり取りを整理しやすくなります。相続の問題は、過去の家族関係や感情が絡みやすく、法的論点と感情的対立が混ざってしまいがちです。第三者が入ることで、争点を法的に整理し、必要以上の対立を避けながら進めやすくなります。


また、期限の許与や分割払いの見通しを、単なる希望ではなく、法的な観点から検討できます。どの事情が主張として意味を持つのか、どういう資料が必要か、どこまで譲歩すべきかを整理できるため、場当たり的な対応を防ぎやすくなります。


さらに、交渉で解決しなかった場合にも、そのまま調停や訴訟に移行しやすいという利点があります。初期段階から資料や主張を整理しておけば、後の手続でも無駄が少なくなります。横浜市や神奈川県内で相続案件を扱う弁護士であれば、地域事情を踏まえた不動産案件への対応もしやすいでしょう。


よくある質問

Q 遺留分を請求されたら、手元に現金がなくても必ず払わなければなりませんか

遺留分侵害額請求は金銭の支払いが問題になりますので、最終的には支払いを視野に入れる必要があります。ただし、すぐに一括で払えない場合には、請求額の妥当性を検討したうえで、分割払いの交渉や期限の許与の検討をする余地があります。大切なのは、払えないことを理由に放置しないことです。


Q 不動産を売らないと払えない場合、すぐ売却しなければいけませんか

必ずしも直ちに売却しなければならないとは限りません。不動産の性質や生活・事業への影響、資金調達の見込みなどを踏まえて、一定の猶予や支払方法を検討する余地があります。ただし、何も準備せずに「売りたくない」と言うだけでは不十分です。売却の要否や時期も含め、現実的な方針を立てる必要があります。


Q 分割払いを提案すれば必ず認めてもらえますか

必ず認めてもらえるわけではありません。分割払いは相手方の合意が必要です。相手にとって納得できる内容でなければ、合意は難しくなります。頭金の有無、支払期間、担保、支払いが滞った場合の扱いなど、具体性のある提案が重要です。


Q 期限の許与はどのくらいの期間認められますか

事案によります。画一的に何か月と決まっているわけではなく、財産の性質、資金調達に必要な期間、相手方の不利益などを踏まえて判断されます。希望すればその期間が認められるものではないため、現実的な見通しと資料の準備が必要です。


Q 請求を無視するとどうなりますか

相手方が交渉を断念し、調停や訴訟に進む可能性があります。また、支払いの遅れに伴って遅延損害金が問題になることもあります。無視によって有利になることは基本的になく、むしろ解決を遠ざけることが多いと考えた方がよいでしょう。


まとめ|遺留分を請求されたが払えない場合は、早期の整理と適切な主張が重要

遺留分を請求されたが払えない場合、もっとも避けるべきなのは放置です。相続した財産が不動産、自社株、事業資産などで占められていると、現金がないのに請求だけが先に来るという厳しい状況になりがちですが、そのようなケースだからこそ、早い段階で状況を整理する必要があります。


実際の流れは、まず交渉、まとまらなければ調停、さらに争いが残れば訴訟という順で進むのが一般的です。その中で、一括払いが難しいなら、分割払いの交渉や、事情によっては期限の許与を検討することになります。ただし、期限の許与を主張しても、必ず希望どおりに認められるわけではありません。現実的な支払計画や誠実な対応があってこそ、意味のある主張になります。


また、支払いが遅れれば遅延損害金が問題になる可能性もあります。だからこそ、「現金がないから動けない」のではなく、「現金がないからこそ早く動く」という姿勢が大切です。


横浜で遺留分を請求され、払えないことでお悩みの方は、請求書を受け取った段階で、財産内容、評価、支払方法、期限の許与の可能性をまとめて検討することをおすすめします。早めに見通しを立てることが、結果として負担を抑え、解決への近道になります。


以上、遺留分を請求されたが払えない場合は?期限の許与・分割払い・初動対応を解説でした。


弁護士 大石誠

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