top of page

神奈川県の相続で養子縁組が揉める理由|弁護士が解説

  • 執筆者の写真: 誠 大石
    誠 大石
  • 5月30日
  • 読了時間: 21分

はじめに

相続対策として「孫を養子にする」「子の配偶者を養子にする」「連れ子と養子縁組をする」といった方法が検討されることがあります。


養子縁組には、家族関係を法的に整理できるという面があります。また、相続税の基礎控除や生命保険金の非課税枠との関係で、税務上のメリットが生じる場合もあります。


しかし、相続対策としての養子縁組は、使い方を誤ると大きな相続トラブルの原因になります。


なぜなら、養子縁組は単なる節税手段ではなく、民法上の親子関係を作る制度だからです。養子になった人は、原則として実子と同じように相続人になります。その結果、既存の相続人の取り分が減り、遺留分にも影響が出ます。


神奈川県内でも、横浜、川崎、相模原、藤沢、横須賀など、親族関係が複雑な相続や、不動産をめぐる相続では、養子縁組が原因で遺産分割協議が止まってしまうことがあります。


この記事では、止まった相続を終わらせる弁護士 大石誠が、相続と養子縁組が揉める理由、養子縁組無効確認訴訟のポイント、節税目的の養子縁組の注意点、そしてトラブルを防ぐための実務的な対策を解説します。


なお、この記事では、主に相続対策の場面で問題となりやすい普通養子縁組を前提に説明します。


■私の相続は止まっている?まだ自分で解決できる?簡易診断はこちらへ


神奈川県の相続で養子縁組が揉める主な理由

相続で養子縁組が揉める最大の理由は、養子縁組によって相続人の構成が変わることです。


養子は、縁組によって養親の子としての地位を取得します。そのため、相続の場面では、原則として実子と同じ立場で相続人になります。


たとえば、父が亡くなり、相続人が長男と長女の2人だけであれば、子ども2人で遺産を分けることになります。しかし、生前に父が孫1人を養子にしていた場合、相続人は長男、長女、養子となった孫の3人になります。


この場合、長男と長女から見ると、自分たちの相続分が減ることになります。


「父は本当にそのつもりで養子縁組をしたのか」

「節税のためだけに名前を借りたのではないか」

「なぜその孫だけを養子にしたのか」

「他の相続人に何の説明もなかったのはおかしい」


このような不満が重なると、遺産分割協議は一気に感情的な対立に変わります。


特に、神奈川県の相続では、自宅不動産や収益不動産が遺産の中心になっているケースも少なくありません。不動産は現金のように簡単に分けられないため、相続人が1人増えるだけで分割方法が難しくなることがあります。


養子が増えると他の相続人の取り分が減る

養子縁組の効果として最も分かりやすいのは、相続人が増えることです。


相続人が増えれば、相続税の基礎控除が増える可能性があります。一方で、民法上は、養子が新たな相続人として登場します。


そのため、既存の実子からすると、養子縁組は「税金を下げるための対策」ではなく、「自分の取り分を減らす行為」と見えることがあります。


この認識のズレが、相続トラブルの出発点になります。


実子と養子は原則として同じ相続権を持つ

普通養子縁組をすると、養子は養親の子として扱われます。相続の場面でも、原則として実子と同じように法定相続人になります。


この点を十分に理解しないまま、「相続税が安くなるらしいから」「孫に財産を渡しやすくなるから」という理由だけで養子縁組をすると、後で大きな問題になります。


養子縁組は、税務上の人数調整ではありません。法律上の親子関係を作る手続です。


この違いを理解していないと、相続開始後に、想定していなかった人が相続人として遺産分割協議に加わることになります。


特定の孫や子の配偶者だけを養子にする不公平感

相続で揉めやすいのは、特定の人だけを養子にしたケースです。


たとえば、孫が複数いるのに長男の子だけを養子にした場合、他の子や孫から見ると「長男家だけが優遇された」と受け止められます。


また、長男の妻だけを養子にした場合、長女や次男から見ると「血縁のない人が相続人になった」と感じることがあります。


相続では、法律上の正しさだけでなく、親族間の納得感が非常に重要です。


たとえ養子縁組が法的に有効であっても、他の相続人が納得していなければ、遺産分割協議は止まりやすくなります。


相続対策としての養子縁組に潜む法務上のリスク

相続対策として養子縁組を考える場合、まず確認すべきなのは「民法上、何が起きるのか」です。


相続税の試算だけを見て判断すると、法務上のリスクを見落とすことがあります。


養子縁組によって変わるのは、税金だけではありません。相続人、法定相続分、遺留分、遺産分割協議の当事者、将来の承継ラインまで変わります。


養子縁組で相続人構成が変わる

相続人構成が変わると、遺産分割協議のメンバーも変わります。


相続人が1人増えるだけで、全員の合意を得る難易度は上がります。


特に、不動産が多い相続では、次のような問題が起こります。

・誰が自宅を取得するのか

・代償金を誰がいくら支払うのか

・収益不動産を売却するのか、共有にするのか

・養子が遠方に住んでいて協議が進まない

・養子と他の相続人の関係が薄く、話し合いが難しい


相続対策として養子縁組をしたつもりでも、相続人が増えることで、かえって協議が止まることがあります。


遺留分をめぐるトラブルが起きやすい

養子は、原則として実子と同じように遺留分を持ちます。


そのため、遺言書で特定の相続人に多く財産を残そうとしても、養子を含めた遺留分の問題を考えなければなりません。


反対に、養子に多く財産を残す内容の遺言書を作成した場合、実子から遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。


養子縁組と遺言書は、必ずセットで考える必要があります。

「養子にしたから安心」

「遺言書を書いたから大丈夫」


このように片方だけで考えると、相続開始後に争いが残ることがあります。


■遺留分を請求できる人、遺留分の計算・期限等を解説


前妻・前夫の子や連れ子がいる家庭で揉めやすい理由

再婚家庭では、養子縁組が特にトラブルになりやすいです。


前婚の子がいる一方で、後婚配偶者の連れ子を養子にしている場合、相続開始後に、前婚の子と後婚側の家族が同じ相続人として協議することになります。


お互いに面識が少ないこともあり、最初から不信感を抱きやすい構図です。


前婚の子から見ると、「父の晩年に突然、別の家族が相続人になった」と感じることがあります。後婚側から見ると、「長年一緒に暮らしてきたのだから相続するのは当然だ」と感じることがあります。


どちらにも言い分があります。


このような相続では、感情論だけで話し合いを進めると、協議が長期化しやすくなります。


養子縁組無効確認訴訟とは何か

相続開始後に養子縁組が争われる場合、典型的には「養子縁組無効確認訴訟」が問題になります。


養子縁組無効確認訴訟とは、すでに届け出られている養子縁組について、「そもそも有効な養子縁組ではなかった」と主張して、その無効確認を求める訴訟です。


相続の場面では、他の相続人が「被相続人には養子縁組をする意思がなかった」と主張するケースがあります。


民法上の「縁組意思」が争点になる

養子縁組が有効であるためには、当事者に縁組をする意思が必要です。


ここでいう縁組意思とは、単に届出書に署名押印したという形式だけではなく、法律上の親子関係を作る意思があったかどうかという問題です。


無効を主張する側は、次のような事情を主張することがあります。

・本人は養子縁組の意味を理解していなかった

・税理士や一部の親族に言われるまま署名しただけだった

・相続税対策の説明しか受けていなかった

・養子との実質的な親子関係がなかった

・高齢や認知症により判断能力が低下していた


一方、有効を主張する側は、次のような事情を積み上げます。

・以前から親子同然の関係があった

・本人が養子として迎えたいと話していた

・手続時に専門家から説明を受けていた

・本人が相続や戸籍への影響を理解していた

・養子との交流や扶養、介護の実態があった


養子縁組無効確認訴訟では、過去の会話、手紙、日記、医療記録、介護記録、専門家の説明資料、手続に立ち会った人の証言などが重要になります。


高齢や認知症がある場合に問題となるポイント

高齢の親が晩年に養子縁組をした場合、他の相続人から「本当に理解していたのか」と疑われることがあります。


特に、認知症の診断がある場合や、要介護認定を受けている場合は、養子縁組当時の判断能力が問題になります。


ただし、認知症の診断があるからといって、直ちに養子縁組が無効になるわけではありません。


重要なのは、養子縁組をした時点で、本人が法律上の親子関係を作る意味を理解できていたかどうかです。


そのため、相続対策として養子縁組をする場合には、本人の意思確認を丁寧に行い、その過程を記録に残しておくことが重要です。


形式上は届出があっても無効主張されるケース

市区町村に養子縁組届が受理されているからといって、相続開始後に絶対に争われないわけではありません。


戸籍上は養子になっていても、他の相続人が「縁組意思がなかった」と主張する可能性があります。


特に次のようなケースでは注意が必要です。

・養子縁組を他の相続人に知らせていなかった

・養親が高齢で判断能力に不安があった

・養子との交流実態がほとんどなかった

・節税目的だけが強調されていた

・一部の相続人だけが手続を主導していた

・養子縁組と同時期に遺言書や贈与も行われていた


これらの事情が重なると、「財産目当ての養子縁組ではないか」という疑念が生まれやすくなります。


節税目的の養子縁組は有効なのか

相続対策として養子縁組を検討する方が最も気にするのが、「節税目的の養子縁組は有効なのか」という点です。


この点について、最高裁平成29年1月31日判決は、相続税の節税目的があるからといって、直ちに養子縁組が無効になるわけではないという判断を示しています。


つまり、節税の動機と、法律上の親子関係を作る意思は、併存し得るという考え方です。


ただし、これは「節税目的なら何をしても有効」という意味ではありません。


節税目的だけで直ちに無効とはいえない

最高裁の考え方を前提にすると、相続税の節税目的があること自体は、養子縁組を無効にする決定的な理由にはなりません。


実務上も、節税の説明を受けたうえで養子縁組をしたというだけでは、直ちに無効とはいえません。


問題は、その養子縁組に、法律上の親子関係を作る意思が本当にあったかどうかです。


たとえば、孫を養子にするケースでも、単に相続税の基礎控除を増やすためだけだったのか、それとも将来的に家を継がせたい、親族関係を法的に整えたいという意思があったのかによって、見方は変わります。


民法上は有効でも税務上のメリットが否認される可能性

ここで注意すべきなのは、民法上の有効性と、相続税法上の取り扱いは同じではないという点です。


民法上は有効な養子縁組であっても、相続税の計算上、養子を法定相続人の数に含めることが制限される場合があります。


相続税の計算では、基礎控除額や生命保険金の非課税限度額などについて、法定相続人の数が重要になります。


しかし、相続税法上、法定相続人の数に含めることができる養子の数には制限があります。


・実子がいる場合は、原則として養子1人まで。

・実子がいない場合は、原則として養子2人まで。


この制限を超えて養子縁組をしても、民法上は相続人になる一方で、税務上の人数には十分に反映されないことがあります。


つまり、相続人としての権利は増えるのに、期待していた節税効果は出ないという事態が起こり得ます。


これは、相続トラブルを招きやすい非常に危険な状態です。


相続税対策と争族リスクは分けて考える必要がある

相続対策では、税額だけを見て判断してはいけません。


たしかに、養子縁組によって相続税の基礎控除や生命保険金の非課税枠が増える可能性はあります。


しかし、その結果として相続人間の対立が激しくなり、遺産分割協議が数年単位で止まってしまえば、税務上のメリットを上回る損失が発生することがあります。


たとえば、次のようなコストが発生します。

・遺産分割調停や訴訟の費用

・不動産を活用できない機会損失

・相続税申告のための対応負担

・親族関係の悪化

・二次相続まで含めた設計のやり直し


相続対策として養子縁組を検討する場合は、「税金がいくら下がるか」だけでなく、「その養子縁組によって誰が不満を持つか」まで考える必要があります。


■相続税の申告期限内に遺産分割協議がまとまらない場合のリスクと対処はこちら


子の配偶者や連れ子を養子にする場合の注意点

相続対策の現場では、子の配偶者や連れ子を養子にするケースがあります。


たとえば、長男の妻が長年介護をしてくれているため、感謝の気持ちとして養子にするケースです。


また、再婚相手の連れ子を、実の子と同じように扱いたいという理由で養子にするケースもあります。


このような養子縁組自体は、家族の実態に合っている場合もあります。


しかし、離婚や家族関係の変化が起きたときに、大きな問題が生じます。


離婚しても養子縁組は自動的には解消されない

子の配偶者を養子にした後、その子夫婦が離婚したとします。


この場合、子夫婦が離婚したからといって、養親と子の元配偶者との養子縁組が自動的に解消されるわけではありません。


離縁をしない限り、元婿や元嫁が養子として残ることがあります。


そのまま相続が発生すると、元婿や元嫁が相続人として遺産分割協議に参加する可能性があります。


他の相続人から見れば、「すでに家族ではないはずの人が相続人として出てきた」と感じるでしょう。


この不満は、遺産分割協議を大きくこじらせる原因になります。


元婿・元嫁が相続人として残るリスク

子の配偶者を養子にする場合には、将来の離婚リスクまで想定する必要があります。


養子になった元婿や元嫁が相続人として財産を取得すると、その後、その財産が元婿や元嫁の再婚相手、その子どもへ承継されていく可能性もあります。


被相続人としては、「家の財産を子や孫に残したい」と思っていたのに、結果として想定外の承継ラインができてしまうことがあります。


特に、自宅不動産、同族会社株式、先祖代々の土地などがある場合には、子の配偶者を養子にするかどうかは慎重に判断すべきです。


離縁や死後離縁で解決できない問題もある

養子縁組を解消する方法として、離縁があります。


しかし、離縁には相手の同意が必要になる場合があり、関係が悪化してからでは簡単に進まないことがあります。


また、養親が亡くなった後に死後離縁を検討するケースもありますが、死後離縁は、すでに発生した相続権を当然に消す手続ではありません。


「後で離縁すればよい」

「死後離縁で何とかなる」

このように考えて養子縁組をするのは危険です。


養子縁組は、入口よりも出口の方が難しい制度だと考えておくべきです。


神奈川県で多い養子縁組トラブルの典型例

ここでは、神奈川県の相続相談でも問題になりやすい養子縁組トラブルの典型例を整理します。


前婚の子と後婚配偶者の連れ子が対立するケース

再婚家庭で、後婚配偶者の連れ子を養子にしているケースです。


相続開始後、前婚の子と、後婚側の養子が相続人として向き合うことになります。


この場合、前婚の子は「自分たちの知らないところで相続人が増えていた」と感じやすく、後婚側は「長年一緒に暮らしてきたのだから当然」と考えやすいです。


双方の感情が対立しやすいため、弁護士が間に入って法的な権利関係と現実的な解決案を整理する必要があります。


特定の孫だけを養子にしたケース

孫が複数いるのに、特定の孫だけを養子にしたケースも揉めやすいです。


特に、養子になった孫の親が遺産分割を主導している場合、他の相続人から「親子で財産を取りに来ている」と疑われることがあります。


このようなケースでは、なぜその孫を養子にしたのか、被相続人の意思を説明できる資料が重要になります。


高齢の親が晩年に養子縁組をしたケース

高齢の親が亡くなる数年前、または亡くなる直前に養子縁組をした場合、他の相続人から無効主張が出やすくなります。


特に、認知症、入院、施設入所、介護認定などの事情がある場合、養子縁組当時の判断能力が争点になります。


このような相続では、戸籍だけで判断するのではなく、医療記録や介護記録、当時の説明状況を丁寧に確認する必要があります。


実子の配偶者を養子にした後に離婚したケース

長男の妻を養子にした後、長男夫婦が離婚したケースです。


離婚後も離縁をしていなければ、元妻が養子として残ることがあります。


相続開始後、実子たちと元妻が相続人として協議することになれば、感情的な対立は避けにくくなります。


このような事態を防ぐには、養子縁組をする時点で、離婚や関係悪化が起きた場合の対応まで考えておく必要があります。


弁護士が見る養子縁組トラブルを防ぐポイント

養子縁組による相続トラブルを防ぐには、手続をする前の設計が重要です。


相続開始後に揉めてから対応するよりも、生前の段階でリスクを整理しておく方が、解決の選択肢は多くなります。


相続人全体への説明と合意形成を軽視しない

養子縁組を他の相続人に一切知らせずに行うと、相続開始後に強い不信感を招きます。


もちろん、すべての相続人の同意が法律上必ず必要というわけではありません。


しかし、相続対策として養子縁組をするのであれば、少なくとも、なぜ養子縁組をするのか、どのような相続設計を考えているのかを説明しておくことが望ましいです。


説明をしないまま手続だけを進めると、後から「隠していた」「だまされた」「財産目当てだ」と受け止められやすくなります。


遺言書・遺留分対策・税務試算をセットで検討する

養子縁組をする場合は、遺言書もあわせて検討すべきです。


養子縁組によって相続人が増える以上、誰にどの財産を承継させるのかを明確にしておかないと、遺産分割協議で揉める可能性が高くなります。


また、遺留分にも注意が必要です。


特定の相続人に多く財産を残したい場合でも、他の相続人の遺留分を無視すると、相続開始後に遺留分侵害額請求を受けることがあります。


さらに、相続税の試算も必要です。


養子縁組をした場合としない場合で、一次相続、二次相続、生命保険、不動産評価、小規模宅地等の特例の適用可能性などを比較する必要があります。


相続対策は、弁護士と税理士が連携して検討するのが望ましい分野です。


養子縁組の目的と本人の意思を記録に残す

将来の無効主張に備えるためには、養子縁組の目的と本人の意思を記録に残しておくことが重要です。


たとえば、次のような資料が役に立つことがあります。

・本人が養子縁組を希望した理由を書面に残す

・専門家から説明を受けた記録を残す

・養子縁組の法的効果を説明した資料を保管する

・本人の判断能力に問題がない時期に手続を行う

・必要に応じて医師の診断書や面談記録を残す

・遺言書とあわせて相続設計の全体像を整理する


大切なのは、相続開始後に「本人は分かっていなかった」と言われないようにすることです。


養子縁組は、届出書を出せば終わりではありません。将来の紛争に耐えられるだけの説明と記録が必要です。


神奈川県で相続と養子縁組に悩んだときの相談先

相続と養子縁組の問題は、税金だけでは解決できません。


税理士への相談はもちろん重要です。しかし、養子縁組によって相続人の権利関係が変わる以上、法務面の検討も欠かせません。


特に、すでに相続人間で対立が起きている場合や、遺産分割協議が止まっている場合には、弁護士に相談する必要性が高くなります。


税理士は、相続税申告や税務試算の専門家です。

一方、弁護士は、相続人間の紛争、遺産分割協議、遺留分、養子縁組無効確認訴訟、調停・訴訟対応の専門家です。


養子縁組を使った相続対策では、税務上のメリットと法務上のリスクがぶつかる場面があります。


そのため、税額だけを見て判断するのではなく、次のような点を弁護士に確認することが重要です。

・養子縁組によって誰の相続分が減るのか

・遺留分侵害の可能性はないか

・相続人間で説明すべき相手は誰か

・将来、養子縁組無効確認訴訟を起こされるリスクはないか

・遺言書や遺産分割の設計に矛盾はないか

・すでに協議が止まっている場合、どのように再開するか


相続税対策として始めた養子縁組が、相続紛争の原因になってしまっては本末転倒です。


すでに遺産分割協議が止まっている場合の対応

すでに相続が発生し、養子縁組をめぐって遺産分割協議が止まっている場合には、まず争点を整理する必要があります。


主な確認事項は次のとおりです。

・養子縁組は戸籍上いつ行われたのか

・養親の当時の判断能力に問題はなかったか

・養子との交流実態はあったか

・他の相続人への説明はあったか

・遺言書はあるか

・遺留分侵害の可能性はあるか

・相続税申告の期限との関係で急ぐべき点は何か


感情的に「養子を認めない」「相続人として納得できない」と主張するだけでは、協議は進みません。


法的に争える点と、交渉で解決すべき点を分けることが重要です。


弁護士に相談するメリット

養子縁組が絡む相続は、親族関係、財産内容、税務上の事情、過去の経緯が複雑に絡み合います。


そのため、単に法律論を説明するだけでは解決しません。


必要なのは、相続人ごとの不満や利害を整理し、どこに争点があり、どこに解決の余地があるのかを見極めることです。


止まった相続を終わらせる弁護士 大石誠は、養子縁組が絡む相続トラブルについて、遺産分割協議、遺留分、養子縁組無効確認訴訟の可能性、税理士との連携を踏まえながら、現実的な解決を目指します。


神奈川県で、相続対策としての養子縁組に不安がある方、すでに養子縁組をめぐって遺産分割協議が止まっている方は、早めに相談することが大切です。


よくある質問(FAQ)

①相続税対策で孫を養子にするのは違法ですか?

相続税対策を目的に孫を養子にすること自体が、直ちに違法・無効になるわけではありません。

ただし、養子縁組は法律上の親子関係を作る制度です。節税だけを目的に形式的に行うと、他の相続人から無効を主張されたり、税務上の効果が限定されたりする可能性があります。

実行前に、法務と税務の両面から検討する必要があります。


②養子縁組をすると、実子の相続分は減りますか?

はい。養子が相続人になることで、実子の法定相続分が減ることがあります。

たとえば、子が2人だったところに養子が1人加わると、子の数は3人になります。その結果、子ども1人あたりの相続分は変わります。

この点が、実子と養子の間で揉める大きな原因になります。


③子の配偶者を養子にした後、離婚したらどうなりますか?

子夫婦が離婚しても、養親と子の配偶者との養子縁組は自動的には解消されません。

離縁をしない限り、元婿や元嫁が養子として残ることがあります。そのまま相続が発生すると、元婿や元嫁が相続人になる可能性があります。

子の配偶者を養子にする場合は、将来の離婚や関係悪化のリスクも考えておく必要があります。


④養子縁組をしたら必ず相続税は安くなりますか?

必ず安くなるわけではありません。

相続税の基礎控除や生命保険金の非課税枠との関係でメリットが出ることはありますが、相続税法上、法定相続人の数に含めることができる養子の数には制限があります。

また、二次相続まで含めると、必ずしも有利にならないこともあります。

養子縁組をする前に、税理士による試算と、弁護士による紛争リスクの確認を行うことが重要です。


まとめ|相続対策の養子縁組は「節税」だけで判断しない

相続対策としての養子縁組は、効果の大きい方法です。


しかし、効果が大きいからこそ、失敗したときのトラブルも大きくなります。


養子縁組をすると、相続人構成が変わります。実子の相続分や遺留分に影響します。遺産分割協議の当事者も変わります。子の配偶者や連れ子を養子にした場合には、離婚後も関係が残ることがあります。


また、民法上は有効でも、相続税法上は期待したメリットが出ないことがあります。


つまり、養子縁組は「相続税を下げるためのテクニック」としてだけ考えるべきではありません。


重要なのは、次の3つです。

1つ目は、本人に本当に養子縁組をする意思があること。

2つ目は、他の相続人との関係や遺留分への影響を考えること。

3つ目は、税務上のメリットと紛争リスクをセットで検討すること。


神奈川県で相続と養子縁組について悩んでいる方は、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。


すでに相続が止まっている場合でも、争点を整理し、法的に主張できる点と話し合いで解決すべき点を分けることで、解決への道筋が見えてくることがあります。


相続対策として養子縁組を考えている方も、養子縁組が原因で遺産分割協議が進まなくなっている方も、まずは専門家に相談し、家族関係と財産承継の全体像を整理することが大切です。


以上、「神奈川県の相続で養子縁組が揉める理由|弁護士が解説」でした。


『止まった相続を終わらせる弁護士』大石誠

横浜市中区日本大通17番地JPR横浜日本大通ビル10階 横浜平和法律事務所

【今すぐ相談予約をする】

電話:〔045-663-2294


神奈川県の相続で養子縁組が揉める理由|弁護士が解説

【追記】

税理士・司法書士・行政書士の先生に依頼したのに、相続が止まったままではありませんか?

手続は進んでも話し合いが進まない。相続が止まるのには理由があります。

「止まった相続を終わらせる」という考え方はこちらにも掲載しました。

 
 
bottom of page