借地権・底地・共有持分があると遺留分はどうなる?神奈川県の弁護士が解説
- 誠 大石

- 2025年12月27日
- 読了時間: 21分
はじめに
相続が発生したとき、遺留分をめぐる争いは「財産がいくらなのか」という評価の問題から始まることが少なくありません。預貯金のように金額が明確な財産であれば、争点は比較的絞りやすいでしょう。しかし、相続財産の中に不動産が含まれ、とくにその不動産が借地権、底地、共有持分といった複雑な権利関係を伴っている場合には、話は一気に難しくなります。
実務では、「相続税の申告ではこの金額だったのに、遺留分ではそんなに高く評価されないのではないか」「そもそも売れない財産なのに、高い価格を前提に金銭を支払えと言われても困る」といった相談がよくあります。これは、遺留分の計算で問題となる価額が、税務上の評価額ではなく、相続開始時の時価を基準に考えられるためです。しかも、借地権や底地、共有持分は、通常の土地・建物以上に「評価額」と「現実に売れる価格」の差が大きくなりやすいという特徴があります。
とくに神奈川県では、都市部・住宅地・商業地が混在し、古くからの借地関係や親族間で共有になっている不動産が残っているケースも珍しくありません。そのため、一般的な相続記事で語られる「不動産は査定を取って分けましょう」というレベルの話では対応できない場面が多くあります。評価だけでなく、誰が保有し続けるのか、どうやって金銭を支払うのか、売却できない場合にどう和解を組み立てるのかまで見据えて考える必要があります。
この記事では、借地権・底地・共有持分がある場合の遺留分について、基本的な考え方から、なぜ揉めやすいのか、通常の不動産評価記事と何が違うのか、そして流動性の低い財産を前提にどのような解決設計が考えられるのかまで、神奈川県で相続案件を扱う弁護士の視点から整理します。
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遺留分における借地権・底地・共有持分の基本
遺留分算定では「相続開始時の時価」が基準になる
遺留分の問題を考えるうえで、まず押さえておきたいのは、何を基準に財産を評価するのかという点です。遺留分算定の基礎となる財産は、被相続人が相続開始時に有していた財産を基準に把握し、その価額も相続開始時点を基準として検討するのが原則です。
ここで重要なのは、「相続税評価額で自動的に決まるわけではない」ということです。相続税の申告では、路線価や固定資産税評価額など、税務上のルールに従って財産額を算出します。しかし、遺留分の場面で問題になるのは、裁判になった場合も含めて認定されるであろう時価です。したがって、税務上の数字がそのまま遺留分の計算に使われるとは限りません。
この違いは、一般的な不動産であっても問題になりますが、借地権や底地、共有持分のような権利関係が複雑な不動産では、よりいっそう大きな意味を持ちます。税務評価は画一的な基準で処理される一方、時価評価では、その物件が実際にどの程度の条件で市場流通しうるのか、どのような制約が付いているのかが重視されるからです。
相続税評価額と遺留分の時価評価はなぜ違うのか
相続税評価額と時価がずれる理由は、そもそも制度目的が異なることにあります。税務の場面では、多数の納税案件を一定のルールで公平・迅速に処理する必要があります。そのため、路線価や借地権割合のように、全国的・地域的に統一的な基準を用いて機械的に計算することに合理性があります。
これに対し、遺留分は個別の当事者間の紛争です。問題となるのは、当該財産が現実にどのような価値を持つかであり、実際の利用状況、処分制約、第三者の権利関係、売却可能性などを無視することはできません。とくに借地権であれば地主の承諾や借地条件の影響、底地であれば借地人がいることによる利用制限、共有持分であれば単独所有と異なる市場性の低下が、それぞれ価格形成に大きく影響します。
その結果、相続税評価額では高く出るのに、実際の売買価格ベースではかなり低く見ざるを得ないこともあります。逆に、立地や需給によっては、税務評価より時価のほうが高く評価される場面もありえます。大切なのは、「税金の計算でこうだったから、遺留分でも同じはずだ」と考えないことです。
通常の不動産評価記事では対応しにくい理由
一般的な相続記事では、不動産評価について「査定を取る」「必要なら鑑定をする」といった説明にとどまることが多いものです。しかし、借地権・底地・共有持分が絡む案件では、それだけでは不十分です。なぜなら、問題は単なる価格の上下ではなく、「何をどの前提で評価するのか」そのものが争点になるからです。
たとえば、借地権が本当に独立した財産的価値を持つのか、底地にどの程度の処分可能性があるのか、共有持分に共有減価をかけるべきか、それとも取得者との関係で併合利益があるのか、といった論点は、通常の居住用不動産の査定とはまったく別の検討を要します。
この種の案件では、評価論と法的整理が切り離せません。したがって、単に不動産会社の査定書を並べるだけでは足りず、権利関係の法的構造を踏まえて、どの評価が合理的かを組み立てる必要があります。
借地権があると遺留分評価はなぜ揉めやすいのか
借地権割合と実勢価格が一致しない理由
借地権が遺留分で揉めやすい最大の理由の一つは、税務上の借地権割合と、市場での実際の価値が一致しないことです。路線価図には借地権割合が定められており、税務の世界ではそれをもとに計算するのが通常です。しかし、この割合はあくまで税務上の画一的基準であって、現実の売買市場でそのまま通用するとは限りません。
実際の借地権は、地主の承諾なく自由に譲渡できないことが多く、更新や条件変更にも交渉が必要です。また、建物の老朽化、地代の水準、借地契約書の有無、残存期間、法定更新の可能性など、価格を左右する事情が多岐にわたります。そのため、税務上は相応の割合で評価されていても、市場ではもっと低く見られることがあります。
遺留分を請求する側からすれば、「そんなに価値があるなら、その価額を前提に金銭を支払ってほしい」と考えやすいでしょう。他方で、借地権を取得した側からすれば、「その金額では現実に売れないし、現金化できない」と反論したくなります。このズレが、そのまま紛争の火種になります。
譲渡承諾や利用制限が借地権価格に与える影響
借地権の価格を考えるとき、見落としてはいけないのが譲渡承諾や利用制限の問題です。借地権は、更地を自由に処分する場合とは異なり、地主との関係が常に影響します。譲渡に承諾が必要であれば、買い手はそのハードルを考慮しますし、承諾料の負担が見込まれるなら、その分だけ経済的価値は下がります。
また、建物の用途や再建築の可否、契約条件の内容によっても価値は大きく変わります。たとえば、住宅用としてしか使いにくい借地権と、一定の収益性が見込める借地権では、同じ面積でも評価は違ってきます。建物が老朽化していて事実上建替えが必要なのに、地主との関係で再建築や条件変更が簡単ではないという場合も、価格には相当の影響があります。
こうした事情は、路線価の借地権割合だけでは反映できません。遺留分の場面では、こうした個別事情をどこまで具体的に示せるかが重要になります。
借地権の有無や消滅合意が争点になるケース
借地権案件では、「いくらで評価するか」以前に、「そもそも借地権が存在するのか」が争いになることもあります。古い親族間の土地利用では、契約書がなく、地代の授受も曖昧で、使用貸借なのか賃貸借なのかがはっきりしないことがあります。その場合、独立した借地権として扱えるのか、それとも弱い使用権にとどまるのかで、財産価値は大きく変わります。
また、被相続人の生前に借地権の合意解除や消滅処理がなされていた場合、その処理が実質的に遺留分を害するものでなかったかが問題になることもあります。表面的には契約終了に見えても、実態としては著しく不利益な処分であれば、遺留分の算定において無視できない論点になる可能性があります。
このように、借地権案件は単なる価格論ではなく、権利の存否や処分行為の評価まで争点が広がりやすいのが特徴です。そのため、早い段階で事実関係と資料を丁寧に整理することが欠かせません。
神奈川県で借地権付き不動産の相続が難しくなる典型場面
神奈川県では、都市部を中心に古くからの借地関係が残っている地域があり、相続時に初めて権利関係の複雑さが表面化することがあります。被相続人は長年問題なく居住していたとしても、相続人の代になると、売却・建替え・共有解消のいずれも簡単ではないと判明することがあります。
たとえば、相続人の一人が借地権付き建物に居住し、他の相続人は現金での遺留分支払いを求めるケースでは、取得者側が「住み続けたいが、借り入れも難しく、売るにも地主対応が必要」という板挟みになりがちです。こうした場面では、評価をどうするかだけでなく、どの程度の支払期限が現実的か、分割払い・代物弁済・持分移転などを含めて設計する必要があります。
底地の遺留分評価で注意すべき争点
底地は「土地を持っていても自由に使えない」財産
底地とは、借地権が設定された土地について、地主側が有する権利です。形式的には土地所有権であっても、その土地は借地人の利用に供されているため、地主が自由に使用・処分できるわけではありません。ここに、底地評価の難しさがあります。
一般の感覚では、「土地を持っているのだから価値は高いはずだ」と思われがちです。しかし、現実には、底地だけを第三者に売ることは容易ではありません。買い手から見れば、自分で使えず、収益性も限定され、借地人との関係調整も必要になるからです。そのため、底地は「所有権であるのに、実勢価格はかなり低くなる」という特徴を持ちます。
遺留分では、この性質を無視できません。評価上は相応の額に見えても、すぐ現金化できる資産ではない以上、そのことを踏まえた主張立証が必要になります。
相続税評価と市場価格が大きくずれる理由
底地は、税務上は借地権割合との関係で一定の方法により評価されます。しかし、市場で売買される底地の価格は、税務評価どおりにならないことが珍しくありません。なぜなら、底地の価値は、借地人との関係、地代の水準、契約内容、更新状況、将来的な権利整理の可能性などに強く左右されるからです。
たとえば、地代が低く、借地人との関係も固定化しており、第三者が参入して利益を上げにくい底地は、買取業者などに売却するとかなり低い価格帯でしか評価されないことがあります。他方で、借地人への売却であれば、完全所有権に近づく利益があるため、第三者売却より高い価格でまとまる余地もあります。つまり、「誰に売るか」によっても価格が変わりうるのです。
この点は、遺留分での評価対立に直結します。請求する側は高めの理論値を主張し、支払う側は現実の換価可能性を重視した低めの価格を主張しやすいからです。底地評価では、机上の計算だけでなく、市場の実態を踏まえる視点が重要です。
無償返還合意や使用関係がある場合の見方
底地に関する案件では、借地契約の内容や、無償返還に関する合意の有無が問題になることがあります。形式的には借地権のように見えても、税務上の届出や契約実態、親族間の利用関係によっては、通常の借地関係とは異なる評価が相当な場合があります。
このような場面では、単純に「底地だから何割」と決められません。借地人側の権利がどこまで強いのか、返還時にどのような処理が想定されているのか、実際の利用実態がどうなっているのかを踏まえて、より中間的な評価が検討されることがあります。遺留分の実務では、税務の形式だけではなく、実質的な支配・利用関係を見ていく姿勢が重要です。
売れない底地が遺留分トラブルを深刻化させる理由
底地が遺留分でやっかいなのは、評価論だけでなく、「売れにくいのに支払義務だけは現実に生じる」という点にあります。遺留分侵害額請求は金銭債権ですから、最終的には金銭での支払いが問題になります。しかし、底地は換金までに時間がかかり、しかも思ったような価格で売れないことが少なくありません。
その結果、底地を取得した相続人は、資産としては一定額を持っていると扱われながら、実際には手元資金が乏しく、支払いに窮することがあります。ここで無理に売却を進めれば、不利な価格で処分せざるを得ないこともありますし、借地人との交渉が必要で短期間ではまとまらないこともあります。
このような「評価はあるが流動性が低い」という性質こそが、底地案件を難しくします。したがって、底地が絡む遺留分では、価額の議論と同時に、支払方法・支払時期・代替的な解決策まで含めて考える必要があります。
共有持分の評価では共有減価が問題になる
共有持分が単独所有より低く評価される理由
不動産が共有になっている場合、被相続人が有していたのは土地や建物そのものではなく、その共有持分です。共有持分は、単独所有権と比べて、自由な使用・処分に制約があります。他の共有者との調整が必要であり、単独で物件全体を支配できるわけではないため、市場では買い手が限られます。
このため、共有持分の評価では、一般に市場性の減退を反映した減価が問題になります。これがいわゆる共有減価です。実際に共有持分だけを第三者が取得しても、すぐ自由活用できるわけではない以上、完全所有権と同じ価格で評価するのが不自然であることは理解しやすいでしょう。
遺留分の場面でも、この考え方は重要です。とくに、被相続人が第三者と共有していた不動産については、単純に全体価格に持分割合を掛けただけの計算では、実勢とかけ離れる可能性があります。
共有減価が認められる場合と認められない場合
もっとも、共有持分だからといって、常に機械的に共有減価がされるわけではありません。評価の場面では、その持分が誰に帰属し、どのような形で利用・処分されることが想定されるかが重要です。
たとえば、相続人の一人がすでに他の持分を持っており、被相続人の持分を取得することで単独所有に近い状態になるのであれば、単なる共有持分のまま放置される場合とは事情が異なります。この場合には、併合による利益が生じるため、一般的な共有減価をそのまま当てはめるのが相当でないことがあります。
逆に、被相続人の持分が第三者共有の一部であり、取得者が単独で全体を支配できないのであれば、共有減価を考慮する必要性は高くなります。共有持分評価では、形式的な持分割合だけでなく、取得後の権利状態まで視野に入れて検討すべきです。
相続人間の共有と第三者共有で評価が変わる理由
共有持分の案件で見落とされやすいのは、「誰との共有なのか」で評価の意味合いが変わることです。第三者との共有であれば、共有関係の解消には交渉や訴訟が必要になる可能性があり、取得者にとっての不確実性は大きくなります。そのため、市場性の低下を重く見ざるを得ません。
一方、相続人間の共有であり、最終的に一括売却や一人への集中取得が現実的に見込めるなら、第三者共有ほど深刻な減価を前提にする必要がない場合があります。とくに、もともと一人の相続人が半分を持ち、被相続人の半分を取得することで完全所有に至るような構造では、価格の見方は大きく変わります。
このように、共有持分は「共有だから安い」と単純化できません。誰が持ち、誰が取得し、どのように権利関係が変化するのかまで含めて見ないと、適切な評価にはたどり着けません。
借地権・底地・共有持分がある案件は通常の遺留分記事と何が違うのか
権利関係が複雑な不動産は「机上の評価」で解決しにくい
借地権・底地・共有持分が絡む案件は、一般的な遺留分問題よりも、はるかに評価前提が複雑です。通常の遺留分記事では、「不動産の時価を基準に遺留分を計算する」と説明すれば一定の理解が得られます。しかし、権利関係が複雑な不動産では、その「時価」が何を意味するのか自体が争点になります。
借地権なのか使用貸借なのか、底地にどの程度の市場性があるのか、共有減価をかけるべきか、あるいは併合利益があるのか。このような論点は、物件ごとの事実関係に強く依存し、画一的に処理できません。だからこそ、単なる相場観や不動産会社の簡易査定だけでは足りず、法的な位置づけと市場性の双方から立体的に検討する必要があります。
流動性の低さが金銭請求と正面衝突する
遺留分侵害額請求は、最終的には金銭請求です。この点が、借地権・底地・共有持分のような換価しにくい財産と相性が悪い理由です。預貯金なら支払原資の問題は比較的小さく、上場株式でも市場での売却が現実的です。しかし、複雑な権利関係の不動産は、売却に時間がかかり、買い手も限られます。
そのため、評価上は数千万円の資産があるとされても、取得者がすぐにその金額を現金で用意できるとは限りません。ここに、理論上の価額と現実の支払能力とのギャップが生まれます。このギャップを無視して結論だけを急ぐと、かえって紛争が長期化しやすくなります。
評価だけでなく交渉設計まで見据える必要がある
この種の案件では、評価が固まれば自然に解決するわけではありません。むしろ、評価論がある程度見えてきた段階から、本当の意味での交渉設計が始まります。たとえば、支払期限をどうするのか、分割払いや担保設定を認めるのか、代物弁済で調整するのか、共有整理とセットで解決するのか、といった問題です。
つまり、借地権・底地・共有持分がある遺留分案件では、「正しい理論値を出す」ことだけでは足りません。現実に履行可能で、しかも当事者双方にとって受け入れ可能な着地点を設計する視点が不可欠です。ここが、一般的な不動産評価記事との大きな違いです。
売れない財産と遺留分が衝突したときの実務対応
換価しづらい財産を相続した側の資金負担
借地権や底地、共有持分が遺産の中心である場合、取得者は「資産はあるのにお金がない」という状態に陥りやすくなります。評価上は一定額の財産を取得しているため、遺留分侵害額の負担も小さくありません。しかし、実際には簡単に売却できず、手元資金が乏しいため、直ちに支払うことが困難になります。
このようなケースで、請求する側が理論値どおりの即時一括払いを強く求めると、話はまとまりにくくなります。他方で、取得者側も「売れないから払えない」とだけ言っていては解決になりません。実務では、換価可能性、融資可能性、他の資産状況を踏まえながら、現実的な支払方法を詰めていく必要があります。
期限の許与が問題になる典型例
遺留分侵害額請求では、支払義務者に対し、裁判所が相当の期限を許与することがありえます。これは、財産構成や資金事情からみて、直ちに支払うことが酷であり、一定期間の猶予が相当といえる場合に問題となります。
借地権や底地、共有持分は、まさにこの議論が出やすい財産です。すぐ売れない、融資評価が伸びにくい、第三者との調整が必要といった事情があるため、短期間で換金するのが難しいからです。もっとも、単に「今は払いたくない」というだけでは足りず、売却活動や資金調達の具体性が求められます。
裁判所が考慮しやすい事情とは何か
期限の許与が問題となる場面では、取得者側の主張立証が重要です。相続で取得した金融資産がどの程度あるのか、自身の預貯金や収入状況はどうか、金融機関からの借り入れが可能か、不動産の売却にはどれくらいの時間と手続が必要か、といった事情を具体的に示す必要があります。
また、対象不動産が借地権や底地であることによる特殊事情、たとえば地主承諾や借地人対応が必要で売却に時間がかかること、共有持分のため一般市場では買い手が乏しいことなども、丁寧に整理すべきです。期限の許与は自動的に認められるものではありませんが、財産の性質と現実の資金事情を踏まえた主張を尽くすことで、現実的な解決に近づく可能性があります。
代物弁済や和解設計で解決を図る方法
遺留分は金銭請求が原則でも現物給付で調整できる
現在の遺留分制度では、原則として問題になるのは金銭債権です。ただし、だからといって、解決が必ず現金の授受だけに限られるわけではありません。当事者が合意すれば、金銭の代わりに不動産その他の財産を移転して解決することも考えられます。いわゆる代物弁済の発想です。
借地権や底地、共有持分が遺産の大部分を占めているケースでは、金銭で一括解決するより、物件や持分の一部を移転したほうが合理的なことがあります。もちろん、どの財産をどの価額で移転するか、取得後の管理関係をどうするかなど、詰めるべき論点は多くありますが、選択肢としては十分に検討に値します。
借地権・底地・共有持分を使った和解設計の考え方
複雑な不動産がある案件では、和解設計そのものが解決の核心になります。たとえば、借地権付き建物に居住する相続人がそのまま居住継続を希望する場合、他の相続人には現金を交えて段階的に支払う方法が考えられます。また、底地や共有持分の一部を移転し、将来的な売却や権利整理の利益を分け合う形で調整することもありえます。
重要なのは、理論上の評価額だけで押し切ろうとしないことです。買い手のいない共有持分を一方的に押し付けても、新たな紛争の種になることがありますし、逆にすべて現金で解決しようとしても履行不能になりかねません。財産の性質、当事者の意向、将来の管理可能性を踏まえて、無理のない設計を考える必要があります。
代物弁済で注意したい税務上のポイント
もっとも、代物弁済には税務上の検討が必要です。不動産を移転して債務を消滅させる場合、譲渡として扱われ、譲渡所得課税が問題になることがあります。法的にはうまく整理できても、税務まで含めて見ないと、想定外の負担が生じる可能性があります。
そのため、実際に代物弁済を検討する際には、法務だけでなく税務面も含めた確認が欠かせません。とくに借地権や底地は取得費や価額整理が難しいこともあり、安易に進めるべきではありません。遺留分の交渉では、解決後に新たな火種を残さないことが大切です。
神奈川県で借地権・底地の遺留分相談を弁護士に依頼するメリット
評価争いは法務と不動産実務の両面理解が必要
借地権・底地・共有持分が絡む遺留分案件では、単に相続法だけ分かっていても足りません。不動産の権利関係、換価可能性、共有整理の見通し、必要に応じた鑑定対応まで視野に入れる必要があります。どの論点が法的争点で、どこからが価格交渉の問題なのかを切り分けるには、実務経験が重要です。
不動産鑑定に進む前の協議設計が重要
複雑な不動産案件では、不動産鑑定が必要になることもありますが、鑑定には相応の費用と時間がかかります。そのため、最初から全面的な鑑定に進むのではなく、まずは路線価や市場実態、契約関係を踏まえて争点を絞り込み、本当に鑑定が必要な点だけを見極める発想が重要です。
弁護士が早期から関与することで、相手方との主張整理、必要資料の収集、鑑定の要否判断、交渉着地点の設定がしやすくなります。結果として、無駄なコストを抑えつつ、現実的な解決につながることがあります。
神奈川県の複雑な相続案件で早期相談が有効な理由
神奈川県では、借地・底地関係や共有不動産を含む相続案件が一定数見られます。こうした案件は、時間がたつほど関係者の主張が固定化し、売却や権利整理も難しくなりがちです。相続開始後、あるいは遺留分請求を受けた初期の段階で相談することで、評価資料の確保や交渉方針の選定がしやすくなります。
複雑な財産がある案件ほど、「とりあえず様子を見る」でよい結果になることは多くありません。早い段階で見通しを立てることが、結果として紛争の拡大防止につながります。
まとめ|借地権・底地・共有持分がある遺留分は「評価」と「解決設計」を分けて考える
借地権・底地・共有持分がある相続では、遺留分の問題は一気に難しくなります。理由は明確で、これらの財産は、単に不動産であるというだけでなく、権利関係が複雑で、時価の見極めが難しく、しかも流動性が低いからです。相続税評価額の数字だけでは実態に合わず、他方で「売れないからゼロに近い」とも言えません。まさに、評価の前提そのものが争いになりやすい領域です。
そして、この種の案件では、評価論だけで終わらないことも重要です。仮に一定の価格が見えても、取得者が直ちに現金を用意できるとは限らず、期限の許与、分割払い、代物弁済、共有整理などを含めた解決設計が必要になります。つまり、問題は「いくらか」だけでなく、「どう払うか」「どう終わらせるか」にあります。
一般論の不動産相続では対応しきれないと感じている方こそ、借地権・底地・共有持分に特有の評価論と交渉設計を分けて考えることが大切です。神奈川県で、こうした複雑な権利関係を含む遺留分問題に直面している場合には、早い段階で資料と事実関係を整理し、見通しを立てることが重要です。
借地権・底地・共有持分が絡む遺留分の問題は、一般的な相続案件よりもはるかに難度が高くなります。評価額の整理だけでなく、売却可能性、支払方法、交渉の着地点まで含めて検討する必要があります。神奈川県で複雑な不動産相続や遺留分トラブルにお悩みの方は、個別の権利関係や事情を踏まえたうえで、弁護士に相談することをおすすめします。
以上、借地権・底地・共有持分があると遺留分はどうなる?神奈川県の弁護士が解説でした。
弁護士 大石誠
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