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不在者財産管理人とは?神奈川県の相続で役立つ知識

  • 執筆者の写真: 誠 大石
    誠 大石
  • 2024年5月31日
  • 読了時間: 10分

更新日:2025年12月26日

はじめに

相続手続きが進められない——そんな場面に直面するのが「相続人の一人が行方不明」というケースです。実はこのような状況は珍しくなく、特に高齢の親族が亡くなったあとに、長年音信不通だった兄弟姉妹が相続人になるようなケースでは、現実的な対応が求められます。

神奈川県でも、こうした相続トラブルの相談が増えており、行方不明の相続人がいる場合には「不在者財産管理人」という制度を活用することになります。

前提として、行方不明の相続人がいる場合、他の相続人だけで遺産分割協議を進めることはできません。全ての相続人が参加して初めて遺産分割協議が有効となるからです。

そこで、行方不明の相続人がいる場合には、「不在者財産管理人」を選任する必要があります。

行方不明の相続人の権利を保護するために、家庭裁判所が選任した人物を「不在者財産管理人」といいます。

不在者財産管理人は、行方不明者の代わりにその財産を管理し、相続手続きに参加する役割を果たします。これにより、行方不明者の権利が適切に保護され、他の相続人も安心して手続きを進めることができます。


この記事では、神奈川県で相続人が行方不明の場合に活用される「不在者財産管理人」について、弁護士の視点からわかりやすく解説します。失踪宣告や相続財産清算人との違い、選任の注意点まで、相続トラブルを避けるための実務的なポイントを整理します。


不在者財産管理人とは?神奈川県の相続で役立つ知識」というのが今回のテーマです。


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神奈川県での相続における「不在者財産管理人」とは?

相続において、相続人のうち一人が行方不明の場合、手続きが滞ってしまうことがあります。というのも、相続は「全員の合意」が必要な手続きが多いため、所在不明の相続人がいると、遺産分割協議が成立しないからです。


こうした場面で活用されるのが「不在者財産管理人」という制度です。


従来の住所又は居所を去り,容易に戻る見込みのない者を「不在者」といいます。

不在者財産管理人とは、行方不明の相続人の代わりに財産を管理・保全し、必要に応じて遺産分割協議に参加するために家庭裁判所から選任される人物です。弁護士が選ばれることが多く、客観的・中立的な立場から手続きに関与します。


たとえば、神奈川県内で親族が亡くなり、相続人の一人が長年連絡の取れない兄弟であった場合、他の相続人は家庭裁判所(横浜家庭裁判所など)に申し立てを行い、不在者財産管理人を選任してもらうことで、遺産分割協議を進めることができます。


選任にあたっては、申立書、行方不明の事実を証明する資料(住民票の除票、不在届など)、戸籍関係書類、財産目録などが必要です。裁判所の判断により、適任とされる弁護士などが管理人に就任します。


なお、不在者財産管理人は、単なる「代理人」ではなく、家庭裁判所の監督のもと、管理や処分を行う特別な立場にあります。管理の範囲や行動内容については、裁判所の許可が必要な場合もあるため、選任後も綿密な対応が求められます。


不在者財産管理人の主な役割は以下の通りです:


1.行方不明者の財産を管理・保全する。財産目録の作成も行い、家庭裁判所への報告を行います。

2.相続手続きにおいて、行方不明者の代理人として参加する

3.必要に応じて、行方不明者のために財産を処分する

不在者財産管理人は、行方不明者の財産を適切に管理し、その権利を守るために重要な役割を果たします。家庭裁判所により選任されるため、信頼性が高く、公正な立場で業務を遂行することが求められます。

不在者財産管理人になるには、何か国家資格等は必要ありませんが、職務を適切に行えることが必要です。弁護士,司法書士などの専門職が選ばれることもあります。

特に重要なのは、不在者財産管理人は、不在者の権利を守ることを目的としていますので、不在者に不利な遺産分割協議はできません。最低でも法定相続分に対応する財産は確保する必要がありますし、法定相続分を下回る内容であれば裁判所が遺産分割協議に応じることを許可しないと考えておく必要があります。


不在者財産管理人と失踪宣告の違い

「行方不明の相続人がいる」と聞くと、「失踪宣告をすればよいのでは?」と考える方も少なくありません。しかし、不在者財産管理人と失踪宣告は、制度の趣旨も手続き内容も大きく異なります。


不在者財産管理人は、「一時的に行方がわからない」相続人がいる場合に、相続手続きなどを円滑に進めるために設けられる制度です。一方で、失踪宣告は、7年以上生死不明である人物を法律上「死亡した」とみなす制度です。


つまり、不在者財産管理人は「行方不明者が生きている前提」で選任され、その人の財産を保全し、相続手続きにも代理として関与する役割があります。対して失踪宣告は、「死亡したもの」として法的効果を生じさせるため、失踪者自身の財産が相続の対象になります。


例えば、神奈川県での実務でも、家族が7年以上行方不明であるときに失踪宣告を申し立てることは可能ですが、その間に急ぎ相続を進めたい場合は、まず不在者財産管理人を選任して対応するケースが一般的です。


失踪宣告は法的に重い意味を持つため、申立には慎重な判断が必要です。仮に後に失踪者が現れた場合には、相続や財産の取り扱いが複雑になるリスクもあります。そのため、まずは不在者財産管理人の選任から対応するのが現実的といえるでしょう。


相続人が誰もいないケースと「相続財産清算人」の役割や違い

相続手続きにおいては、「相続人の一部が行方不明」というケースだけでなく、「そもそも相続人が誰もいない」という状況もあります。このような場合に選任されるのが「相続財産清算人」です。不在者財産管理人とは目的も役割も異なるため、混同しないよう注意が必要です。


不在者財産管理人は、行方不明の相続人が存在するが、生存している可能性が高い場合に選任されます。一方で、相続人が一人もいない場合、または相続人が全員相続放棄した結果誰も相続する者がいないときに、家庭裁判所が「相続財産清算人」を選任します。


神奈川県内でも、相続放棄が続いて誰も手続きを進められなくなったという相談が寄せられることがあり、その際には相続財産清算人の申立てが検討されます。清算人は、故人の財産を調査し、債務の返済や資産の処分を行い、残余財産があれば国庫に帰属させるという重要な役割を担います。


不在者財産管理人は、行方不明者の「代理」としての役割ですが、相続財産清算人は、誰にも帰属しない財産を「処分・整理する」立場です。手続きの目的や進め方も異なるため、状況に応じて正しく制度を選択することが大切です。


不在者財産管理人は、行方不明者の財産を「管理」「保存」するために選任されます。

一方、相続財産清算人は、相続人が不在または全て相続放棄した場合に、相続財産の処分や債務の支払い(「清算」)を行うために選任されます。


このような制度の違いを理解し、早めに弁護士などの専門家に相談することで、無用なトラブルを避けることができます。


不在者財産管理人を選任する際の注意点

不在者財産管理人を選任する際には、制度を正しく理解し、適切に手続きを進めることが重要です。特に神奈川県での実務においては、地域ごとの裁判所の運用や必要書類の違いにも配慮する必要があります。


申立ての準備

まず、選任申立ての準備段階で注意すべきは、行方不明者の所在不明状態を客観的に証明する資料の準備です。住民票の除票や、居所調査報告書、通知が届かないことを示す証拠などが必要です。これらが不十分だと、裁判所で申立が却下される可能性もあります。


家庭裁判所への申立て

不在者財産管理人の選任は、家庭裁判所への申し立てが必要です。

不在者財産管理人選任の申立て後には、家庭裁判所による調査が行われ、それでもなお、行方不明者を発見できないときに、不在者財産管理人が選任されます。

このとき、裁判所は関係する行政機関に照会をかけているようです。実際に経験した事例としては、ハローワークに照会をかけて頂き、住民票上の住所ではない、現在の住所が判明したことがありました。


申立人になれる人

次に、申立人には「利害関係人」であることが求められます。たとえば、相続人の一人や相続財産に関係する人などが該当します。弁護士に依頼することで、手続きの正確性と迅速性が確保されるため、専門家のサポートを得ることを強くおすすめします。


神奈川県では、横浜・川崎・相模原など家庭裁判所の管轄が分かれているため、事前にどの裁判所へ申立てを行うか確認しておくとスムーズです。


また、不在者財産管理人に選ばれた者は、財産の処分などを行う際には、家庭裁判所の許可が必要になる場合があります。選任後も裁判所との連携が必要なため、申立て後の対応についても綿密な準備が求められます。


このように、制度は便利な一方で複雑さも伴います。不備があれば相続手続き全体が長期化することもあるため、早期に弁護士に相談し、正確な情報のもと対応することが不可欠です。


管理人の監督

不在者財産管理人が選任された後も、その業務内容について家庭裁判所が監督を行います。定期的に報告書を提出し、財産の管理状況を確認することが求められます。


費用の負担

不在者財産管理人の選任の申立てには、一定の費用が発生します。

不在者財産管理人の報酬は、家庭裁判所の判断により、不在者の財産の中から支払われることになりますが、事前に費用負担について確認しておくことが重要です。


不在者財産管理人の申立てには、費用の予納が必要になる場合もあります。

不在者の財産内容からして、不在者の財産から管理人の報酬や管理費用の支払いが見込めない場合(流動資産が少ない場合)には、申立人から費用を予納させることになります。この場合、おおむね30万円~50万円が必要です。

ただ、申立人が予納金を納付した後に、管理費用を捻出できるだけの不在者の財産が形成された場合には、不在者財産管理手続の終了を待たずに、申立人に予納金が返還されることもあります。


まとめと結論(神奈川県の相続で迷ったときは)

相続人の一人が行方不明という状況は、決して珍しいことではありません。こうした場合に活用できるのが「不在者財産管理人」の制度であり、相続手続きの停滞を防ぐための有効な手段です。


神奈川県内でも、相続に関する手続きは家庭裁判所の管轄や手続き内容により異なる部分があるため、的確な情報に基づいて進めることが大切です。


また、不在者財産管理人と似た制度に「失踪宣告」や「相続財産清算人」がありますが、それぞれ法的な意味や用途が異なるため、状況に応じた正確な判断が必要になります。


不在者財産管理人の選任は専門的な知識を要する場面も多いため、少しでも不安がある場合には、早めに弁護士などの専門家へ相談することをおすすめします。相続トラブルを未然に防ぎ、スムーズな手続きを進めるためにも、専門家のサポートを上手に活用しましょう。


神奈川県での相続問題は弁護士に相談を

不在者財産管理人の選任や相続に関する手続きは、法的な知識や書類の準備が必要となるため、個人で対応するには大きな負担となることがあります。特に神奈川県のように家庭裁判所の管轄が細かく分かれている地域では、手続きの進め方にも地域差が生じることがあります。


弁護士に相談すれば、制度の選択から申立書類の作成、裁判所とのやり取りまで一貫して対応することが可能です。また、弁護士が不在者財産管理人に就任するケースも多く、専門家として中立的に手続きを進められるのも大きなメリットです。


神奈川県で相続手続きにお悩みの方は、早めに弁護士に相談することで、相続トラブルを未然に防ぎ、スムーズな解決が期待できます。まずは無料相談や問い合わせから、一歩踏み出してみましょう。


弁護士 大石誠

横浜市中区日本大通17番地JPR横浜日本大通ビル10階 横浜平和法律事務所

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不在者財産管理人とは?神奈川県の相続で役立つ知識

 
 

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