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公証役場に行かずにOK?横浜の弁護士が教えるデジタル遺言の作り方

  • 執筆者の写真: 誠 大石
    誠 大石
  • 9月23日
  • 読了時間: 7分

更新日:9月25日

はじめに

相続対策として遺言書を準備したいと考える方は多いものの、「公証役場が遠い」「足が不自由で外出が難しい」「仕事が忙しくて時間が取れない」といった理由で、公正証書遺言の作成を諦めてしまう方も少なくありません。特に都市部である横浜では、人口も多く、公証役場の予約が取りづらいという声もあります。


そんな中、2025年10月から始まる新制度「デジタル公正証書遺言」が注目を集めています。これは、公証人法の改正により、自宅などからウェブ会議を通じて公正証書遺言を作成できるようになるという画期的な制度です。



本記事では、「公証役場に行かずにOK?横浜の弁護士が教えるデジタル遺言の作り方」と題して、横浜の弁護士の視点から、この新しい制度の仕組みや手続き方法、メリット・注意点までを詳しく解説します。

相続に備えて遺言書の作成を検討している方は、ぜひ参考にしてください。


デジタル公正証書遺言とは?その仕組みと特徴

デジタル公正証書遺言とは、2025年10月1日から施行される法改正により、公証人と遺言者、証人が物理的に同じ場所に集まることなく、ウェブ会議システムを用いてリモートで作成できる新しいタイプの公正証書遺言です。


これまでの公正証書遺言は、公証役場に遺言者本人と2人の証人が出向き、公証人の面前で作成する必要がありました。しかし、新制度では、各参加者がそれぞれの場所からリモートで参加し、ウェブ会議を通じて内容確認や本人確認が行われるようになります。遺言書そのものも紙に署名・押印するのではなく、PDF形式の文書に電子署名を行い、電子データとして保存されます。


この制度の大きな特徴は、遺言の「効力」そのものは従来の紙の公正証書と一切変わらないという点です。作成方法がオンラインになるだけで、法的な安全性・信頼性はこれまで通り確保されています。


また、正本・謄本の交付方法も選べるようになり、従来の書面での受け取りに加えて、電子データとしての交付も可能になります。これにより、遠方に住む家族ともデータを共有しやすくなるというメリットもあります。


高齢者や体が不自由な方、遠方に住んでいる方にとって、この制度は大きな負担軽減につながるでしょう。


横浜でデジタル公正証書遺言を作るために必要なもの

デジタル公正証書遺言を自宅などからリモートで作成するためには、いくつかの機材や準備が必要です。これらを事前に整えておくことで、公証人との打ち合わせや証人の参加もスムーズに進められます。以下に、横浜でこの制度を利用する際に必要な主な機材と条件を紹介します。


まず必須なのは、安定したインターネット環境です。遺言の作成時にはウェブ会議(主にMicrosoft Teamsなど)を使用するため、映像や音声が安定してやり取りできる通信回線が不可欠です。


次に必要なのが、ウェブ会議に対応したパソコンです。マイクとカメラが内蔵されている機種であれば、別途機材を用意する必要はありませんが、古いパソコンやデスクトップ型の場合は、外付けのWebカメラとマイクを用意する必要があります。また、公証役場とのやり取りに使用するメールアドレスも必須です。


さらに、電子サインを行うためにはタッチ入力に対応したディスプレイ(タブレットなど)や専用ペンが必要です。紙の書類への署名の代わりに、PDF文書への電子署名を画面上で行うためです。


証人もリモートで参加できますが、それぞれが別々の場所からアクセスすることが前提です。証人にもパソコンや通信環境の準備が求められます。


横浜市内にはICT環境が整った高齢者施設や病院も多いため、そこからのアクセスもしやすく、活用の幅は広がっています。事前に必要な機材を準備し、公証役場や弁護士としっかり打ち合わせをしておくことで、スムーズなリモート作成が可能になります。


横浜の弁護士が解説!リモートでの作成手順と注意点

デジタル公正証書遺言をリモートで作成する際は、いくつかの具体的な手順と注意点があります。ここでは、横浜の弁護士として、制度を正しく活用するための流れと注意すべきポイントを解説します。


まず、作成希望者は事前に公証役場や弁護士と連絡を取り、遺言内容の相談や証人の手配を行います。相談は対面でもオンラインでも可能です。遺言の内容がある程度固まったら、公証人との間でリモート作成の日程を調整します。


作成当日は、Microsoft Teamsなどのウェブ会議ツールを用いて、公証人・遺言者・証人がそれぞれ別の場所から参加します。会議内では、まず遺言者の本人確認が行われ、顔写真付きの身分証をカメラに映して確認します。その後、公証人が遺言の内容を読み上げ、遺言者が内容を確認し、同意の意思を表明します。


その後、電子署名の手続きに入ります。紙に署名する代わりに、PDF文書上で電子ペンなどを用いて署名を行います。証人2人も同様に署名を行い、公証人が最終確認をして完了です。


注意点としては、通信環境の不具合が生じると、会議が中断してやり直しとなる可能性があるため、事前に機材とネット環境の動作確認をしておくことが重要です。また、電子署名に不慣れな方は、練習しておくか、サポートを受けられるようにしておくと安心です。


制度としての仕組みは整っていても、操作ミスや手続き漏れによって無効になるリスクもゼロではありません。そうしたリスクを避けるためにも、弁護士のサポートを受けながら手続きを進めることが推奨されます。


横浜での活用事例と弁護士が感じるメリット・予想される課題

デジタル公正証書遺言の制度は、全国的に導入されるものですが、横浜のような都市部では特にその利便性が発揮されやすいといえます。すでに公証役場や弁護士事務所では、制度施行に向けた準備が進められており、一部では運用テストも始まっています。


たとえば、横浜市内の高齢者施設に入所している80代の女性が、自宅に戻ることが困難な状況で、弁護士のサポートを受けながらリモートで遺言作成を行ったケースがあります。施設のスタッフが機材準備を手伝い、弁護士と連携して本人確認や意思確認を実施。スムーズに遺言が完成し、本人も家族も安心したという声が寄せられています。


このように、身体的な制約や距離の問題を理由にこれまで遺言作成を断念していた方でも、新制度を活用すれば、時間と労力を大幅に削減しながら、法的に有効な遺言を残すことが可能になります。


一方で、弁護士として感じる課題もあります。まず、操作に不慣れな高齢者にとっては、ウェブ会議や電子署名の手続きが負担になる可能性があること。また、証人や家族との連携も必要になるため、完全に一人で対応するのは難しいケースが多いです。


さらに、現時点では制度の運用に関する詳細がすべて確定しているわけではないため、今後のガイドラインや事務手続きの変更にも注意が必要です。


こうした課題に対しては、専門家である弁護士がサポートに入ることで、制度を最大限に活用しつつ、リスクを回避することができます。特に横浜のような都市部では、ICT環境に強い専門家の支援を受けやすいという点も大きなメリットです。


【まとめ|相続対策として、今こそ遺言を見直そう】

2025年10月から始まるデジタル公正証書遺言の制度により、これまで公証役場まで出向くことが難しかった方でも、自宅や施設から安心して遺言書を作成できる時代が到来します。制度の導入により、相続対策のハードルが大きく下がり、より多くの方が自分の意思を確実に残せるようになります。


相続は、いつ起きても不思議ではない重要な問題です。だからこそ、元気なうちに備えておくことが家族への思いやりとも言えるでしょう。特に、制度変更が迫るこのタイミングで、遺言の内容や作成方法を見直すことを強くおすすめします。


【横浜の弁護士に相談するメリットとお問い合わせ先】

デジタル公正証書遺言は、制度としては便利ですが、手続きや必要機材、法的なチェックなど、専門知識が求められる場面も少なくありません。特にリモートでの作成は、新しい技術に不慣れな方にとっては戸惑いがあるかもしれません。


横浜の弁護士であれば、地域の公証役場との連携経験があり、制度の最新情報にも精通しています。遺言内容の法的チェックはもちろん、証人の手配やリモート作成時の機材サポートまで、一貫して支援が可能です。


相続や遺言に不安を感じている方、デジタル化に関する疑問をお持ちの方は、ぜひ一度、弁護士へご相談ください。あなたとご家族にとって最善の相続対策をご提案いたします。


弁護士 大石誠

横浜市中区日本大通17番地JPR横浜日本大通ビル10階 横浜平和法律事務所

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