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神奈川の空き家相続で売却できない時の手続きを弁護士が解説

  • 執筆者の写真: 誠 大石
    誠 大石
  • 5月14日
  • 読了時間: 24分

はじめに

神奈川県で実家などの空き家を相続したものの、「相続人の一部が協力しない」「売却に反対している相続人がいる」「連絡をしても返事がない」といった理由で、空き家の処分が進まないケースがあります。

空き家は、所有者がはっきりしていない状態や、相続人同士の共有状態のままでは、売却・解体・賃貸活用などを進めにくくなります。

特に、相続人が複数いる場合には、誰か一人の判断だけで空き家全体を売却できるとは限りません。反対する相続人、協力しない相続人、連絡が取れない相続人がいる場合には、法的手続きを使って所有関係を整理する必要があります。

この記事では、神奈川県で空き家を相続した方に向けて、相続人が協力しない場合にどのような手続きを検討すべきかを、弁護士の視点から解説します。


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神奈川で空き家相続人が協力しないと売却できない理由

相続した空き家を売却したいと思っても、相続人全員の意向が一致しなければ、手続きが進まないことがあります。

その理由は、相続不動産が「相続人全員の共有状態」になりやすいからです。


相続空き家は「遺産共有」または「共有」になる

被相続人が亡くなった時点で、実家などの不動産は相続財産になります。

遺産分割協議が終わる前の空き家は、相続人全員で共有しているような状態、いわゆる「遺産共有」の状態になります。

その後、遺産分割協議や調停などで「相続人Aと相続人Bが2分の1ずつ取得する」といった形になれば、今度は通常の共有不動産になります。


つまり、相続空き家は、

・遺産分割前の遺産共有

・遺産分割後の共有

・誰か一人が取得した単独所有

のどの状態にあるかによって、取るべき手続きが変わります。


空き家の売却・解体には原則として全員の協力が必要

空き家を任意に売却する場合、通常は相続人全員または共有者全員の協力が必要です。

たとえば、相続人が3人いるにもかかわらず、そのうち1人が売却に反対している場合、他の2人だけで空き家全体を第三者に売却することは困難です。

また、建物の解体や大規模な改修も、共有物の変更に当たる可能性があるため、安易に一部の相続人だけで進めるべきではありません。

もちろん、自分の共有持分だけを売却することは理論上可能な場合があります。しかし、空き家全体を売るわけではないため、買主が見つかりにくかったり、後のトラブルにつながったりする可能性があります。


反対する相続人がいると任意売却が進まない

相続人の中には、

・思い出のある実家を売りたくない

・売却価格に納得できない

・他の相続人と感情的に対立している

・相続分に不満がある

・連絡を無視している

・費用負担だけは避けたい

といった理由で、売却に協力しない人もいます。

このような場合、単に「説得を続ける」だけでは時間が過ぎてしまいます。

空き家は放置すればするほど、建物の老朽化、固定資産税、近隣トラブル、管理費用の問題が大きくなります。そのため、一定期間話し合っても進展しない場合には、法的手続きに進むかどうかを検討する必要があります。


まず確認すべき相続空き家の状況

相続人が協力しない場合、最初に確認すべきなのは「今その空き家がどの法的状態にあるのか」です。

ここを誤ると、本来申し立てるべき手続きとは違う手続きを選んでしまう可能性があります。


遺産分割が終わっているかどうかを確認する

まず確認すべきなのは、遺産分割協議がすでに成立しているかどうかです。

遺産分割協議書が作成されておらず、相続登記もされていない場合には、まだ遺産分割前である可能性があります。

一方で、過去に遺産分割協議書を作成し、相続人複数名の共有名義で登記されている場合には、遺産分割後の共有状態になっている可能性があります。

遺産分割前か、遺産分割後かによって、主に次のように手続きが変わります。

・遺産分割前:遺産分割調停・審判

・遺産分割後:共有物分割訴訟

・所在不明者がいる:不在者財産管理人などの検討

・誰か一人が単独取得済み:所有者本人による売却・解体等を検討


相続人の人数・持分・連絡状況を整理する

次に、相続人が誰なのかを整理します。

必要になる主な情報は次のとおりです。

・被相続人の出生から死亡までの戸籍

・相続人全員の戸籍

・相続人の住所

・相続人との連絡状況

・相続放棄をした人の有無

・遺言書の有無

・すでに亡くなっている相続人がいる場合の代襲相続人の有無

相続人の一部が亡くなっている場合、その人の子どもなどが新たな相続人になることがあります。

神奈川県内の古い実家では、親の相続を放置している間に相続人が増え、いざ売却しようとしたときに相続人が10人以上になっているケースもあります。


空き家の登記・固定資産税資料を確認する

空き家の状況を把握するためには、不動産登記事項証明書や固定資産税関係の資料も確認しましょう。

確認すべき資料には、次のようなものがあります。

・土地の登記事項証明書

・建物の登記事項証明書

・固定資産税納税通知書

・名寄帳

・公図

・地積測量図

・建物図面

・建築確認関係資料

・空き家の写真

・修繕や解体の見積書

・不動産会社の査定書

売却を目指す場合には、少なくとも登記上の所有者、土地建物の面積、抵当権などの権利関係、建物の状態を把握する必要があります。


売却・解体・賃貸活用のどれを目指すか方針を決める

相続人間で協議をする前に、「何を目指すのか」を明確にすることも重要です。

空き家の選択肢には、主に次のものがあります。

・空き家を売却して代金を分ける

・誰か一人が取得して他の相続人に代償金を払う

・解体して土地として売却する

・賃貸物件として活用する

・リフォームして使用する

・寄付や国庫帰属制度を検討する

・共有関係を解消するために訴訟を行う


相続人が協力しないケースでは、感情的な対立だけでなく、「売るのか、残すのか」「いくらなら納得するのか」「解体費用を誰が負担するのか」という具体的な条件が原因になっていることもあります。

弁護士に相談する際も、最終的に何を実現したいのかを整理しておくと、手続きの見通しを立てやすくなります。


遺産分割前に相続人が協力しない場合の手続き

まだ遺産分割が終わっていない空き家について、相続人の一部が協力しない場合には、遺産分割調停を検討します。


相続人同士の協議で解決できない場合

相続では、まず相続人同士の話し合いによって遺産分割協議を行います。


空き家については、

・売却して売却代金を相続分に応じて分ける

・相続人の一人が取得して他の相続人に代償金を支払う

・共有のままにする

・解体費用を差し引いて分配する

・他の預貯金などと調整して取得者を決める

といった方法が考えられます。


しかし、相続人の一人でも合意しなければ、遺産分割協議は成立しません。

特に空き家は、預貯金のように単純に分けることができないため、取得者・評価額・売却時期・解体費用をめぐって争いになりやすい財産です。


家庭裁判所の遺産分割調停を申し立てる

相続人同士の話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。

遺産分割調停では、裁判所の調停委員を通じて、相続人間の意見を整理しながら合意を目指します。

神奈川県内の事件では、相手方の住所地などに応じて、横浜家庭裁判所本庁、川崎支部、相模原支部、横須賀支部、小田原支部などが関係することがあります。実際の管轄は、相続人の住所や申立ての内容によって異なるため、事前に確認が必要です。


遺産分割調停で必要になりやすい資料は、次のとおりです。

・遺産分割調停申立書

・被相続人の戸籍一式

・相続人全員の戸籍

・相続関係説明図

・不動産登記事項証明書

・固定資産評価証明書

・遺産目録

・不動産査定書

・空き家の写真

・解体費用や修繕費用の見積書


調停で話し合う売却・代償分割・共有解消の方法

遺産分割調停では、空き家について主に次のような解決方法を検討します。


1つ目は、換価分割です。

空き家を売却し、売却代金から諸費用を差し引いた残額を相続人で分ける方法です。誰も空き家を使う予定がなく、売却価格について合意できる場合に選択されやすい方法です。


2つ目は、代償分割です。

相続人の一人が空き家を取得し、他の相続人に対して代償金を支払う方法です。実家を残したい相続人がいる場合や、誰かが住み続けたい場合に検討されます。


3つ目は、現物分割です。

土地を分筆するなどして、物理的に分ける方法です。ただし、住宅地の空き家では現実的でないことも多くあります。


4つ目は、共有のままにする方法です。

ただし、共有のままにすると、将来の売却・解体・管理で再び相続人間の同意が必要になり、問題を先送りするだけになることがあります。


弁護士の視点では、空き家トラブルでは「とりあえず共有にする」という解決は慎重に考えるべきです。共有関係を残すと、次の相続でさらに共有者が増え、売却や管理がますます困難になる可能性があるためです。


調停がまとまらない場合は遺産分割審判へ進む

遺産分割調停で合意できない場合には、遺産分割審判に移行します。

審判では、裁判官が遺産の内容、相続人の主張、不動産の評価、各相続人の事情などを踏まえて、遺産分割の方法を判断します。

空き家については、

・誰が取得するのか

・代償金をいくらにするのか

・売却して分けるべきか

・他の遺産とどのように調整するか

が問題になります。


相続人の一部が協力しない場合でも、裁判所の手続きを進めることで、話し合いが止まったままの状態から前進できる可能性があります。


遺産分割後も空き家を処分できない場合の共有物分割訴訟

すでに遺産分割が終わり、相続人が空き家を共有している場合には、遺産分割調停ではなく、共有物分割訴訟を検討します。


共有状態の空き家は共有物分割訴訟で解決を図る

共有物分割訴訟とは、共有者間で共有物の分割について話し合いがまとまらない場合に、裁判所に共有関係の解消を求める手続きです。

たとえば、兄弟3人で神奈川県内の実家を3分の1ずつ共有しているものの、1人が売却に反対している場合、他の共有者が共有物分割訴訟を提起することが考えられます。

共有物分割訴訟は、単に「相手に売却へ同意させる手続き」ではありません。裁判所に対して、共有関係をどのように解消するかを判断してもらう手続きです。


現物分割・代金分割・全面的価格賠償の違い

共有物分割訴訟では、主に次のような分割方法が検討されます。


1つ目は、現物分割です。

土地を分筆するなどして、共有物そのものを物理的に分ける方法です。広い土地であれば可能性がありますが、建物付きの住宅地では難しいことがあります。


2つ目は、代金分割です。

不動産を競売などで売却し、その代金を共有持分に応じて分ける方法です。誰も取得を希望しない場合や、話し合いによる売却ができない場合に問題となります。


3つ目は、全面的価格賠償です。

共有者の一人が不動産全体を取得し、他の共有者に対して持分相当額の金銭を支払う方法です。取得を希望する共有者に資力があり、不動産を残す合理性がある場合に検討されます。


空き家の場合、建物を物理的に分けることは難しいため、現物分割ではなく、売却による代金分割や、誰か一人が取得する全面的価格賠償が現実的な選択肢になることがあります。


空き家売却を目指す場合に現実的な分割方法

「空き家を売却したい」という目的がある場合、最も望ましいのは、訴訟前に共有者全員で任意売却に合意することです。

任意売却であれば、市場価格に近い金額で売却できる可能性があり、競売より柔軟に進められることがあります。


しかし、反対する共有者がいて任意売却ができない場合には、共有物分割訴訟の中で、

・競売による代金分割

・共有者の一人による取得と代償金支払い

・訴訟上の和解による任意売却

などを検討します。


実務上は、共有物分割訴訟を起こした後、裁判所での話し合いを通じて和解し、任意売却に進むこともあります。


つまり、共有物分割訴訟は「必ず競売になる手続き」ではなく、共有者間の膠着状態を動かすための手段にもなります。


弁護士が訴訟前に確認する証拠・資料

共有物分割訴訟を検討する際、弁護士は次のような資料を確認します。

・不動産登記事項証明書

・共有者の持分割合

・固定資産評価証明書

・不動産会社の査定書

・建物の状態がわかる写真

・解体費用の見積書

・これまでの協議経緯

・相手方とのメールや手紙

・固定資産税や修繕費の負担状況

・空き家の管理状況

・近隣トラブルの有無

「相手が協力しない」という事実だけでなく、どのような提案をしたのか、相手がどのような理由で拒否しているのか、売却が合理的といえる資料があるのかが重要になります。


相続人の一部が行方不明・連絡不能の場合の対応

空き家相続では、相続人の一部と連絡が取れないケースもあります。

「売却に反対している」のではなく、「そもそも所在が分からない」という場合です。


所在不明の相続人がいると協議が進まない

遺産分割協議は、原則として相続人全員で行う必要があります。

そのため、相続人の一人が行方不明で連絡が取れない場合、その人を除いて協議を成立させることはできません。

たとえば、神奈川県内の実家を相続したところ、相続人の一人が長年音信不通で、住民票上の住所にも住んでいないような場合です。

このような場合には、まず戸籍附票や住民票などを調査し、所在を確認します。それでも所在が分からない場合には、不在者財産管理人の選任を検討します。


不在者財産管理人の選任を検討するケース

不在者財産管理人とは、住所や居所を去って容易に戻る見込みがない人の財産を管理するために、家庭裁判所が選任する管理人です。

不在者財産管理人が選任されると、家庭裁判所の許可を得たうえで、不在者に代わって遺産分割協議や不動産売却に関与できる場合があります。

ただし、不在者財産管理人は、所在不明者の利益を守る立場です。そのため、他の相続人に都合のよい内容であれば何でも同意してくれるわけではありません。

不在者の法定相続分が確保されているか、不在者に不利益な内容ではないかといった点が重要になります。


■不在者財産管理人の詳しい解説はこちら


失踪宣告を検討すべきケース

相続人の生死が長期間不明な場合には、失踪宣告を検討することもあります。

失踪宣告が認められると、法律上は死亡したものとして扱われ、その人について相続が開始することになります。

ただし、失踪宣告は要件が重く、単に「連絡が取れない」というだけで簡単に使える制度ではありません。

所在不明の相続人がいる場合には、不在者財産管理人で対応すべきか、失踪宣告を検討すべきか、事案ごとに慎重に判断する必要があります。


神奈川県内の家庭裁判所での手続きの考え方

神奈川県内の相続案件では、横浜家庭裁判所本庁や各支部が関係することがあります。

ただし、遺産分割調停、不在者財産管理人、失踪宣告では、申立先が異なることがあります。

そのため、

・誰の住所地を基準にするのか

・被相続人の最後の住所地はどこか

・不在者の従来の住所地はどこか

・相手方がどこに住んでいるか

を確認したうえで、管轄裁判所を判断する必要があります。


空き家を放置するリスクと早期対応の必要性

相続人が協力しないからといって、空き家を放置していると、問題はさらに大きくなります。

神奈川県内でも、横浜市、川崎市、相模原市、横須賀市、小田原市など、住宅密集地や坂の多い地域、古い住宅地では、空き家の管理不全が近隣トラブルにつながることがあります。


固定資産税・管理費・修繕費の負担が続く

空き家を所有している限り、固定資産税や都市計画税、管理費、修繕費などの負担が続きます。

相続人の一部だけが固定資産税を支払っている場合、「なぜ自分だけが負担しているのか」という不満が生じやすくなります。

また、建物が老朽化すれば、屋根、外壁、雨漏り、庭木、残置物、害虫などの問題も発生します。

売却するにしても、建物の状態が悪くなるほど買主が見つかりにくくなり、解体費用を見込んだ価格交渉を受けることがあります。


管理不全空家・特定空家に指定されるリスク

空き家を適切に管理しないまま放置すると、行政から指導や勧告を受ける可能性があります。

管理不全空家や特定空家として問題視されると、固定資産税の住宅用地特例が受けられなくなるリスクもあります。

「建物があるから土地の固定資産税が安い」と考えて放置していたところ、行政から勧告を受けて税負担が増える可能性がある点には注意が必要です。


倒壊・火災・不法侵入による近隣トラブル

空き家を放置すると、次のようなリスクが生じます。

・屋根や外壁の落下

・台風や大雨による損壊

・火災

・不法侵入

・害虫や動物の発生

・草木の越境

・ごみの不法投棄

・近隣住民からの苦情

・通行人への被害

空き家の管理不全によって第三者に損害が発生した場合、所有者や管理者が責任を問われる可能性があります。

相続人同士で揉めている間にも、空き家は劣化していきます。だからこそ、協力しない相続人がいる場合でも、早めに法的手続きを検討することが大切です。


神奈川県の住宅密集地で注意したい管理責任

神奈川県は、都市部、住宅密集地、海沿い、山間部など、地域によって空き家のリスクが異なります。

たとえば、横浜市や川崎市の住宅密集地では、老朽化した建物の外壁や屋根材が隣家や通行人に影響する可能性があります。

横須賀市や小田原市など海に近い地域では、塩害や台風による建物劣化が進みやすいこともあります。

相模原市や県西部の地域では、敷地が広く、草木や残置物の管理が問題になることもあります。

地域特性を踏まえ、売却・解体・管理のどれを優先すべきかを判断することが重要です。


相続放棄や相続土地国庫帰属制度で解決できるのか

空き家相続でよくある相談に、「相続放棄すれば空き家問題から解放されますか」「国に引き取ってもらえますか」というものがあります。

しかし、これらの制度で必ず解決できるとは限りません。


相続放棄をすれば必ず空き家問題から解放されるわけではない

相続放棄は、被相続人の財産も負債も相続しないための手続きです。

ただし、相続放棄には原則として期限があります。また、すでに相続財産を処分したり、相続を承認したと評価される行為をしたりすると、相続放棄が問題になることがあります。

さらに、相続放棄をすれば常に空き家の管理問題から完全に解放されるとは限りません。


「空き家を相続したくない」と考えている場合は、自己判断で動く前に、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。


相続土地国庫帰属制度は建物付き空き家には注意が必要

相続土地国庫帰属制度は、相続などで取得した土地を一定の要件のもとで国庫に帰属させる制度です。


しかし、建物がある土地は、原則として制度の対象になりません。

つまり、空き家が建っている土地について制度を利用したい場合、建物の解体や土地の状態、境界、担保権、管理コストなど、多くの要件を確認する必要があります。


「空き家を国に引き取ってもらえばよい」と単純に考えるのは危険です。


売却・解体・寄付・国庫帰属制度の比較

空き家の処分方法には、次のようなものがあります。

・不動産会社を通じて売却する

・建物を解体して土地として売却する

・隣地所有者に売却する

・自治体や法人への寄付を検討する

・相続土地国庫帰属制度を検討する

・相続人の一人が取得する

・共有物分割訴訟で共有関係を解消する


ただし、いずれの方法でも、所有者や相続人の意思、登記、費用負担、法的権限が問題になります。

相続人が協力しない場合には、売却方法を考える前に、まず所有関係を整理する必要があります。


■相続した空き家の適切な売却方法はこちらで解説


相続人が協力しない場合は所有関係の整理が先になる

空き家を売る、壊す、貸す、寄付する、国に帰属させる。

どの方法を選ぶとしても、相続人の協力が得られなければ手続きは進みにくくなります。

そのため、協力しない相続人がいる場合には、

・遺産分割調停

・遺産分割審判

・共有物分割訴訟

・不在者財産管理人の選任

などによって、所有関係を整理することが先決です。


弁護士が解説する空き家相続トラブルの解決手順

相続人が協力しない空き家問題は、感情的な対立と法的な共有関係が絡み合うため、場当たり的に進めると長期化しやすくなります。

ここでは、弁護士の視点から一般的な解決手順を整理します。


ステップ1 相続人と不動産の状況を調査する

まずは、相続人と不動産の状況を正確に把握します。

確認すべき事項は次のとおりです。

・相続人は誰か

・相続放棄をした人はいるか

・遺言書はあるか

・遺産分割協議は終わっているか

・登記名義は誰か

・空き家の土地建物はどこにあるか

・共有持分はどうなっているか

・固定資産税を誰が払っているか

・建物の状態はどうか

・売却査定額はいくらか


この段階で、遺産分割調停を使うべきか、共有物分割訴訟を使うべきかの方向性が見えてきます。


ステップ2 協議・通知で合意形成を試みる

いきなり裁判所手続きに進む前に、相続人に対して具体的な提案を行います。

たとえば、

・空き家を売却して代金を分ける提案

・相続人の一人が取得して代償金を払う提案

・解体費用を控除して売却する提案

・不動産会社の査定書を示した提案

・一定期限までに回答を求める通知

などです。


弁護士が代理人として通知することで、相手方が話し合いに応じる場合もあります。


ただし、相手が明確に拒否している場合や、長期間無視している場合には、協議にこだわり過ぎると空き家の劣化が進んでしまいます。


【原因別の詳しい解説はこちらへ】

■遺産分割協議書にサインをしない相続人がいる場合の対処はこちらへ

■遺産分割協議書に印鑑を押してくれない相続人がいる場合の対処はこちら

■話し合いを拒否された場合の対処はこちら


ステップ3 遺産分割調停または共有物分割訴訟を選択する

協議がまとまらない場合には、法的手続きを選択します。

遺産分割前であれば、遺産分割調停を申し立てます。

すでに共有名義になっている場合には、共有物分割訴訟を検討します。

所在不明の相続人がいる場合には、不在者財産管理人の選任などを検討します。

この選択を間違えると、手続きが遠回りになる可能性があります。空き家の相続トラブルでは、「どの手続きから始めるべきか」を早い段階で見極めることが重要です。


ステップ4 売却・解体・代償金支払いなどの実行へ進む

調停、審判、訴訟、和解などで方針が決まったら、実際の処分に進みます。

具体的には、

・相続登記

・共有持分の移転登記

・不動産会社との媒介契約

・売買契約

・解体工事

・代償金の支払い

・売却代金の分配

・残置物処理

・固定資産税の精算

などを行います。


法的手続きで解決方針が決まっても、登記や売却実務でつまずくことがあります。そのため、不動産会社、司法書士、税理士、解体業者などと連携しながら進めることが大切です。


神奈川県で空き家相続に悩んだら弁護士へ相談を

相続人が協力しない空き家問題は、家族間の話し合いだけでは解決できないことがあります。

特に、神奈川県内の空き家は不動産価値が高い地域も多く、売却価格や代償金をめぐって争いになりやすい傾向があります。


相続人が協力しない場合は感情的対立が長期化しやすい

空き家相続では、単に不動産を売るかどうかだけでなく、家族の感情が強く影響します。

「親の面倒を見たのは自分だ」

「実家を売るのは納得できない」

「他の相続人だけ得をしている」

「固定資産税を払ってきた分を考慮してほしい」

このような不満があると、話し合いは平行線になりがちです。


弁護士が入ることで、感情的な対立を整理し、法的な選択肢に基づいて解決を目指しやすくなります。


裁判所手続きに進むべきかを早期に判断できる

弁護士に相談すれば、次のような点を検討できます。

・遺産分割調停を申し立てるべきか

・共有物分割訴訟を起こすべきか

・相手に通知書を送るべきか

・不在者財産管理人が必要か

・売却と代償分割のどちらが現実的か

・競売リスクをどう考えるべきか

・空き家を放置した場合の責任はどうなるか


早めに相談することで、無駄な協議を続けて時間を失うリスクを減らせます。


売却・解体・共有解消まで見据えた解決策を提案できる

空き家相続のゴールは、単に裁判所手続きを行うことではありません。

本当の目的は、

・空き家を売却する

・共有関係を解消する

・費用負担を公平にする

・管理責任から解放される

・相続人間の紛争を終わらせる

・近隣トラブルを防ぐ

ことです。


弁護士は、調停や訴訟だけでなく、その後の売却、登記、代金分配、解体、税務相談への橋渡しも見据えて対応します。


神奈川県内の空き家相続トラブルに対応する弁護士への相談案内

神奈川県で空き家相続に悩んでいる方は、次のような段階で弁護士に相談することをおすすめします。

・相続人の一部が売却に反対している

・連絡をしても返事がない相続人がいる

・空き家の固定資産税を自分だけが払っている

・相続登記ができずに困っている

・遺産分割協議書が作れない

・共有名義の空き家を売却したい

・空き家を放置して行政や近隣から連絡が来ている

・所在不明の相続人がいる

・他の相続人から一方的な要求を受けている


相談時には、戸籍、登記簿、固定資産税通知書、相手方とのやり取り、不動産査定書などを持参すると、より具体的なアドバイスを受けやすくなります。


よくある質問

Q1. 相続人の一人が反対していても空き家を売却できますか?

空き家全体を任意売却する場合、原則として相続人全員または共有者全員の協力が必要です。

反対する相続人がいる場合には、遺産分割前であれば遺産分割調停・審判、遺産分割後の共有状態であれば共有物分割訴訟を検討します。


Q2. 相続人が連絡を無視している場合はどうすればよいですか?

まずは、書面や内容証明郵便などで、売却や協議の提案を行い、期限を定めて回答を求めることが考えられます。

それでも返答がない場合には、家庭裁判所の調停や訴訟手続きを検討します。所在自体が分からない場合には、不在者財産管理人の選任が必要になることもあります。


Q3. 空き家を解体するにも相続人全員の同意が必要ですか?

建物の解体は、共有物の変更や処分に当たる可能性があります。そのため、共有者や相続人の同意関係を確認せずに進めるのは危険です。

倒壊の危険があるなど緊急性がある場合でも、後のトラブルを避けるため、事前に弁護士へ相談することをおすすめします。


Q4. 相続放棄すれば空き家の問題から完全に解放されますか?

相続放棄をすれば、原則として相続人ではなくなります。ただし、期限や手続きの問題があり、すでに財産を処分した場合などには注意が必要です。

また、相続放棄後の管理義務が問題になるケースもあります。空き家を相続したくない場合は、早めに弁護士に相談してください。


Q5. 相続土地国庫帰属制度で空き家を国に引き取ってもらえますか?

相続土地国庫帰属制度は、一定の要件を満たす土地を国に帰属させる制度です。

しかし、建物がある土地は原則として対象になりません。空き家が建っている場合には、解体や土地の状態などを含めて慎重に検討する必要があります。


まとめ|神奈川の空き家相続は共有関係の整理が重要

神奈川県で相続した空き家について、相続人が協力しない場合、任意の売却や解体は簡単には進みません。

まず確認すべきなのは、その空き家が遺産分割前なのか、遺産分割後の共有状態なのかという点です。


遺産分割前であれば、遺産分割調停・審判を検討します。

遺産分割後に共有状態となっている場合には、共有物分割訴訟を検討します。

相続人の所在が分からない場合には、不在者財産管理人や失踪宣告などの手続きが必要になることもあります。

空き家を放置すると、固定資産税、管理費、建物の老朽化、近隣トラブル、管理不全空家・特定空家の問題が発生する可能性があります。


相続人が協力しないからといって、そのまま放置するのではなく、早めに法的手続きを検討することが大切です。


神奈川県で空き家相続に悩んでいる方は、相続人との交渉、遺産分割調停、共有物分割訴訟、所在不明者への対応まで、相続不動産に詳しい弁護士へ相談することをおすすめします。


以上、神奈川の空き家相続で売却できない時の手続きを弁護士が解説でした。


神奈川県で「相続人が協力しないため空き家を売却できない」とお悩みの方は、早めに弁護士へご相談ください。状況を整理し、遺産分割調停・共有物分割訴訟・不在者財産管理人など、解決に向けた具体的な手続きをご提案します。


『止まった相続を終わらせる弁護士』大石誠

横浜市中区日本大通17番地JPR横浜日本大通ビル10階 横浜平和法律事務所

【今すぐ相談予約をする】

電話:〔045-663-2294


【追記】

税理士・司法書士・行政書士の先生に依頼したのに、相続が止まったままではありませんか?

手続は進んでも話し合いが進まない。相続が止まるのには理由があります。

「止まった相続を終わらせる」という考え方はこちらにも掲載しました。

神奈川の空き家相続で売却できない時の手続きを弁護士が解説

 
 
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