弁護士が語る!横浜で今こそ考えたい認知症対策と家族信託の基本
- 誠 大石
- 2024年7月28日
- 読了時間: 11分
更新日:5月8日
横浜での認知症リスクと資産凍結の不安
神奈川県でも、相続・遺留分をめぐるトラブルや、親の認知症による資産凍結への不安から、専門家への相談ニーズが高まっています。
実際、「親の遺産分割でもめていて困っている」「もし親が認知症になったら銀行口座が凍結されるのでは?」といった声もよく耳にします。
ある意識調査では「最もなりたくない病気」1位が認知症(42.6%)で、2位のがん(28.7%)を上回ったとの結果もあり、それだけ多くの方が認知症リスクに不安を感じていることがわかります。
こうした問題に備える方法として、近年注目されているのが「民事信託(家族信託)」や「任意後見契約」です。
この記事では、横浜で認知症対策として家族信託を検討する理由とメリット、信託契約の手続きについて詳しく解説し、家族が安心して資産管理を行えるような具体的な方法を提案します。
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認知症による資産凍結とは?横浜の事例から考える
横浜で実際に起きた資産凍結のケースとその問題点
横浜市在住のAさん(80代)は認知症を患い始めた後、医師から判断能力に問題があると診断されました。Aさんは不動産や株式などの資産を多く所有していましたが、判断能力が低下したことにより資産を管理・処分する手段が限られてしまいました。家族がAさんの代わりに資産を動かそうとしましたが、認知症診断後の資産処分は成年後見制度の利用が必要となり、家族が困惑したといいます。
このように、認知症発症後に資産管理の必要が出てきた場合、資産が凍結され、適切な対策がないと家族が自由に管理できなくなります。特に、生活費や医療費などに必要な資産であっても、すぐに処分できないという課題が生じます。
認知症と資産管理の現状:家族が直面する課題
認知症のリスクがある高齢者が資産を抱えたまま意思能力を失うと、法的に「成年後見制度」を利用しなければならないケースがほとんどです。しかし、成年後見制度には手続きや費用、後見人の選任などの手間がかかり、家族が日常的に資産を管理するには大きな負担がかかります。
家族信託はこうした課題を解消するために有効であり、事前に契約を結んでおくことで、家族が資産を管理・運用できる環境を整えることが可能です。
認知症は単なる健康上の問題に留まらず、財産管理や相続手続にも大きな障害となり得ます。判断能力を失った後に家庭裁判所で後見人を選任してもらう(法定後見)方法はありますが、制約が多くスムーズとは言えません。
そこで重要になるのが、事前に備えるための対策です。
民事信託(家族信託)でできる認知症対策
家族信託の仕組みとメリット
「家族信託」という言葉を最近耳にした方もいるかもしれません。これは、自分の財産の管理や処分を信頼できる家族に託し、将来まで管理・活用してもらう仕組みです。
家族信託とは、財産の所有者(委託者)が信頼できる家族などの「受託者」に資産の管理や運用を託し、利益を受け取る人(受益者)を設定する仕組みです。
以下が家族信託の主要な登場人物です。
委託者: 財産の所有者(高齢の親が多い)
受託者: 資産管理を担当する人(通常、子供や家族)
受益者: 資産の利益を受け取る人(委託者自身、またはその家族)
この仕組みによって、認知症リスクを抱える高齢者も、信頼する家族に財産を任せつつ、安心して生活を送ることができます。
また受益者は連続して指定することができ、委託者を指定したとしても、委託者死亡後の次の受益者を決めておくこともできます。
横浜の弁護士が伝える「家族信託」と「成年後見制度」の違い
成年後見制度は、判断能力を失った場合に家庭裁判所が後見人を選任し、資産の管理を行う仕組みです。
しかし成年後見制度には、資産の自由な処分が制約されるというデメリットがあります。対して家族信託は、自由度が高く、資産の管理や運用の指示も事前に契約で定めることができるため、意図した資産運用を続けられるメリットがあります。
家族信託は「認知症対策」として事前に準備できる点で、成年後見制度よりも柔軟で、本人や家族のニーズに沿った対応が可能です。
横浜で家族信託を活用するメリット
認知症による資産凍結リスクを防ぐ具体的な効果
家族信託を活用することで、横浜における資産凍結リスクが大幅に軽減されます。
たとえば、信託契約を通じて受託者に家族の生活費や医療費のために資産を管理・運用する権利を与えることで、柔軟な対応が可能になります。
特に、横浜のような不動産価値が高い地域では、財産の管理や資産運用に家族信託が有効です。
収益物件をお持ちのご家族、地主さんでは、柔軟に修繕工事や土地活用ができるため、特におすすめです。
地域特有のメリットと横浜での対応方法
横浜では、不動産の活用や資産運用の需要が高く、家族信託の利用によって地域特有の事情にも対応できます。例えば、高齢者が所有するマンションを信託財産として管理し、将来の売却や賃貸運用を委託者の意向に沿って実施できるため、横浜の資産管理ニーズに合った対策を講じることができます。
家族信託の注意点と失敗を防ぐポイント
信託契約時に気を付けるべき重要事項
もっとも、民事信託は契約内容の自由度が高い反面、専門知識なしに設計するとミスや想定外の事態の原因にもなりえます。
信託財産の範囲や運用方法、終了事由などを綿密に決めておかないと、「せっかく信託したのに必要なときに機能しない」ということにもなりかねません。
こうしたリスクを避けるためにも、次に述べる任意後見制度などと併せて検討しつつ、専門家のサポートのもとで信託契約を締結することが重要です。
信託財産の範囲の決定: どの財産を信託に含めるか慎重に選定し、財産目録を明確にします。
受託者の選任: 受託者には信頼できる家族や親族を選ぶのが重要で、責任感があり財産管理に詳しい人が望ましいです。
契約内容の明確化: 資産の運用や処分について、契約で具体的な指示を記載することで、後々のトラブルを避けられます。
弁護士が回答するよくある質問と対策
信託財産の活用方法: 家族信託を活用することで、どのように資産を管理すべきかについての質問が多くあります。弁護士のアドバイスに基づき、受託者が柔軟に対応できるよう契約内容を明確化することが重要です。
受託者への負担: 受託者が負担に感じる場合もありますので、定期的に弁護士に相談し、必要に応じて受託者変更の対応も検討することが推奨されます。
家族信託の手続き方法:横浜で弁護士に相談するメリット
依頼から契約完了までの流れと費用
家族信託は専門的な契約内容を含むため、弁護士への相談が重要です。手続きの流れは以下のようになります。
相談とヒアリング: 弁護士に相談し、希望する信託内容や資産運用についてヒアリングを行います。
契約書の作成: 弁護士が信託契約書を作成し、委託者と受託者の確認を受けます。
信託財産の移転手続き: 不動産などの信託財産がある場合、法務局での手続きが必要になります。
弁護士への依頼は費用がかかりますが、契約内容や税務対策についても総合的に相談できるため、長期的な安心を得るための投資と言えるでしょう。
横浜の弁護士に相談することで得られる安心感
弁護士に相談することで、法的な側面から安心して資産管理を行えるようになります。また、契約後も随時相談を受けることができ、契約内容の見直しや受託者変更などのサポートが受けられます。横浜エリアでの資産凍結リスクを回避するためにも、専門家への相談は重要です。
任意後見契約で将来に備える
もう一つの有効な認知症対策に「任意後見契約」があります。
任意後見契約とは、将来認知症などで判断能力が低下したときに備えて、あらかじめ自分で選んだ信頼できる人(任意後見人)に代理を依頼する契約です。
公証役場で公正証書を作成し、あなたが元気なうちに「誰に」「何を任せるか」を決めておく点が特徴です。
いざ判断能力が衰えた際には、家庭裁判所がその契約に基づいて任意後見人を正式に選任し、支援がスタートします。
任意後見契約を結んでおくメリットは主に次のとおりです。
後見人を自分で指定できる安心感: 将来の後見人を家族や信頼できる第三者から自分の意思で選べるため、「知らない専門職が後見人に就任するのは不安…」という心配を減らせます。実際、何の準備もしないまま法定後見になると、後見人の約80%は親族以外の専門家(弁護士・司法書士等)が選ばれているのが現状です。任意後見契約を活用すれば、ご自身の希望に沿った人にサポートを任せられる点で安心です。
必要なときにスムーズに支援開始: 任意後見契約があれば、判断能力低下時に家庭裁判所での手続きを経て速やかに支援を開始できます。誰が何を行うか事前に決まっているため、周囲があわてることなく速やかに介護・財産管理の体制を整えられます。法定後見のように後見人選びで時間がかかったり、親族間で意見が割れるリスクも低減します。
財産管理から身上監護まで幅広く対応: 任意後見人には、預貯金の管理や支払いなどの財産管理だけでなく、介護サービスの契約手続きや医療費の支払いといった身上監護(生活・療養のサポート)まで包括的に任せることができます。信託が財産面の対策だとすれば、任意後見は生活面も含めて本人を支える仕組みと言えます。認知症によって必要になる様々な手続きを、本人に代わって柔軟に進めてもらえる点は大きな利点です。
契約発効後は家庭裁判所により任意後見監督人(第三者)が選ばれ、任意後見人の活動をチェックする仕組みもあります。
これは契約内容の逸脱や不正を防ぎ、本人の権利保護を図るためのものです。任意後見人として信頼できる家族を選んでおけば、監督人のもとで家族の愛情と専門職の客観性の両面から支援が受けられることになります。
民事信託と任意後見、上手に活用するポイント
ここまで民事信託と任意後見についてそれぞれ見てきましたが、実際にはこの二つは対立する選択肢ではなく、お互いを補完し合う関係です。
最後に、信託と後見を上手に組み合わせるポイントについて触れておきます。
目的に合わせた使い分け: 民事信託は主に「財産の管理・承継」に強みを発揮する制度で、一方の任意後見は「生活支援や信託でカバーできない財産管理」を補う制度です。例えば、自宅や預金といった主要資産は家族信託で凍結を防ぎつつ、信託契約に入れなかった年金収入の管理や介護の手続きは任意後見人に任せる、といった使い分けが考えられます。
併用して万全の備え: ケースによっては家族信託と任意後見を併用することが最も安心なプランになります。信託で経済面を確保し、任意後見で生活面を支えることで、認知症によるトラブルをほぼ網羅的に防ぐことができるからです。実際、信託契約と任意後見契約を両方結んでおき、将来に備えて万全の体制を整える方も増えています。
専門家と相談して計画: 信託と後見を組み合わせる場合、それぞれの契約内容を適切に設計し、相互に矛盾なく機能させることが大切です。例えば、信託でどこまで資産を預けるか、任意後見で何を委任するか、といった点は専門的な判断が求められます。経験豊富な弁護士や司法書士など専門家に相談しながら進めることで、ご家庭の事情に合ったベストな認知症対策プランが立てられるでしょう。
まとめと結論
認知症による資産凍結や相続トラブルのリスクは、事前の対策次第で大きく軽減することが可能です。民事信託や任意後見契約を活用すれば、たとえ将来ご本人の判断力が低下した場合でも、大切な財産を守りつつ円滑に管理・相続していく道筋をつけることができます。
ただし、こうした制度は早めに準備しておくことが肝心です。元気なうちにこそ、将来に備えた手続きを整えておきましょう。
「専門性」と「共感」を兼ね備えた士業のサポートを受けることで、不安の多い認知症対策も安心して進めることができます。
当事務所でも家族信託や任意後見の活用を含めた相続・財産管理のご相談を承っております。
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家族信託に関する不安や質問については、横浜エリアで家族信託に詳しい弁護士に相談することが推奨されます。弁護士に依頼することで、安心して財産を託すことができ、将来のリスク回避にもつながるでしょう。
以上、「弁護士が語る!横浜で今こそ考えたい認知症対策と家族信託の基本」でした
弁護士 大石誠
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