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認知症になった後では遺言は作れない?有効になるケースと注意点を解説

  • 執筆者の写真: 誠 大石
    誠 大石
  • 5 日前
  • 読了時間: 4分

「認知症になってからでも遺言書は作れるのでしょうか?」という質問は、家族の相続対策を考え始めた方からよく寄せられます。高齢化が進む中で、認知症の診断を受けた親や家族がいる場合、「もう遺言は作れないのではないか」「今からでも間に合うのか」と不安になる方も少なくありません。遺言は相続トラブルを防ぐ大切な手段ですが、作成時の判断能力が大きく関係する制度でもあります。 ここでは、認知症と遺言の関係について、法律上の考え方と実務上の注意点をわかりやすく解説します。


認知症でも判断能力があれば遺言は作成できる

結論から言うと、認知症と診断されていても、遺言を作ることが絶対にできないわけではありません。法律上は「遺言能力(いごんのうりょく)」と呼ばれる判断能力があれば、遺言は有効に作成できます。


民法では、遺言は満15歳以上で「遺言の内容を理解できる能力」がある人であれば作成できるとされています。つまり、重要なのは「認知症という診断名」ではなく、「遺言作成時に内容を理解して判断できる状態だったかどうか」です。そのため、軽度の認知症や初期段階であれば、有効な遺言が認められるケースもあります。


判断能力の有無がポイント

遺言が有効かどうかは、遺言を作成した時点の判断能力によって判断されます。具体的には、次のような点が考慮されます。


・自分の財産の内容を理解しているか

・誰にどの財産を渡すのか理解しているか

・遺言の意味や結果を理解しているか


もし認知症が進行しており、これらの内容を理解できない状態で遺言が作られた場合、その遺言は無効と判断される可能性があります。実際の裁判でも、医師の診断書、介護記録、当時の会話の様子などが証拠として検討されることがあります。


よくある誤解:認知症=遺言は無効ではない

よくある誤解として、「認知症と診断されたら遺言はすべて無効になる」という考えがあります。しかし、これは正確ではありません。


認知症には軽度から重度までさまざまな段階があり、症状の進行度によって判断能力の有無は異なります。また、時間帯によって状態が比較的安定しているケースもあります。そのため、認知症の診断があるだけで遺言が無効になるわけではなく、「作成時の状態」が重要になります。


実務での注意点:後から争われない遺言を作る

認知症が疑われる状況で遺言を作成する場合、後から相続人同士で争いになるケースも少なくありません。そのため、実務では次のような対策が取られることがあります。


・公正証書遺言で作成する

・医師の診断書を取得する

・作成時の様子を記録しておく

・専門家が立ち会う


特に公証役場で作成する「公正証書遺言」は、公証人が本人の意思能力を確認するため、トラブル予防の観点からよく利用されています。


士業としての支援内容

弁護士などの専門家は、遺言書の作成支援や相続対策のサポートを行っています。具体的には、遺言内容の整理、適切な遺言方式の提案、公証役場との調整などをサポートすることが可能です。


また、認知症が進む前の段階で、遺言だけでなく「任意後見契約」や「家族信託」といった制度を組み合わせた財産管理対策を検討することもあります。こうした制度を早めに検討することで、将来のトラブルを防ぐことにつながります。


まとめ

認知症になった後でも、遺言の内容を理解できる判断能力があれば遺言を作成することは可能です。ただし、判断能力が疑われる状況では、後から遺言の有効性が争われるリスクもあります。


そのため、相続対策として遺言を検討している場合は、できるだけ早い段階で準備を進めることが重要です。特に高齢のご家族がいる場合は、専門家に相談しながら、公正証書遺言など信頼性の高い方法で作成することをおすすめします。早めの対策が、家族の安心と円満な相続につながります。


弁護士 大石誠

横浜市中区日本大通17番地JPR横浜日本大通ビル10階 横浜平和法律事務所

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