揉めていない相続人同士だけで不動産を売却できますか?手続きと注意点を徹底解説
- 誠 大石

- 3月4日
- 読了時間: 3分
更新日:11月7日
相続が発生すると、不動産をどう扱うかが大きな問題になります。中には「相続人の一部は揉めているが、自分たち(揉めていない相続人)だけで先に不動産を売ってしまいたい」と考える方も少なくありません。
しかし、相続不動産の売却には法律上のルールがあり、感情や一部の合意だけで進めることはできません。この記事では、「揉めていない相続人だけで不動産を売却できるのか?」という疑問に対して、法律的な観点からわかりやすく解説します。
結論:全相続人の同意がなければ売却はできない
相続が発生した時点で、不動産は法定相続人全員の「共有財産」となります。そのため、仮に一部の相続人が協力的でも、全員の同意がなければ不動産の名義変更(相続登記)も、売却も原則として行うことはできません。
なぜ全員の同意が必要なのか
相続発生後、遺産分割が完了するまでは不動産は「相続人全員の共有物」として扱われます。売却するには以下の2つのステップが必要です:
1. 遺産分割協議で誰が不動産を相続するかを決める
2. その人が名義人となった上で売却を進める
つまり、揉めている相続人がいて遺産分割協議がまとまっていない状態では、相続登記もできず、売却の法的手続きにも進めません。
仮に一部の相続人だけで売買契約を締結した場合、その契約は無効または取消対象となり、買主との間にトラブルが発生するリスクもあります。
実務での注意点
・遺産分割協議書の作成が不可欠
売却の前提として、法定相続人全員で合意した内容を明文化し、署名・捺印した遺産分割協議書を作成する必要があります。これは登記申請時にも必要です。
・相続登記が先
被相続人の名義から売却することはできません。まず相続登記を行い、相続人名義に変更してから売却します。
・反対する相続人がいる場合の対応
どうしても協議がまとまらない場合は、家庭裁判所で「遺産分割調停」を申立てることが可能です。最終的には「共有物分割訴訟」によって売却を実現することもありますが、時間と費用がかかります。
専門家のサポートを活用する
相続人の中で揉め事がある場合や連絡が取れない人がいる場合、行政書士や司法書士、弁護士など専門家の支援を受けることで、トラブルを避けてスムーズに手続きを進められる可能性があります。
行政書士は遺産分割協議書の作成、司法書士は登記手続き、弁護士は調停や訴訟の対応が主な支援内容です。相続人の意見が割れている場合には、早期に第三者の専門家を介入させることで事態の悪化を防ぐことができます。
まとめ:全員の合意が前提、焦らず法的手続きを
相続不動産の売却には、相続人全員の合意が不可欠です。揉めていない相続人だけで手続きを進めることは、法律上許されておらず、のちのち深刻なトラブルに発展する可能性があります。
まずは相続人全員で冷静に話し合い、どうしても合意が難しい場合は、専門家や裁判所の手続きを活用することが重要です。
弁護士 大石誠
横浜市中区日本大通17番地JPR横浜日本大通ビル10階 横浜平和法律事務所
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