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不動産を共有名義のままにしておくとどんなリスクがある?将来後悔しないために知っておくべき注意点

  • 執筆者の写真: 誠 大石
    誠 大石
  • 8月4日
  • 読了時間: 3分

更新日:11月7日

相続や贈与、購入時の事情により、不動産を複数人で「共有名義」にするケースは珍しくありません。とくに相続においては、遺産分割の合意が難航した場合などに「とりあえず共有のままにしておこう」と判断されることもあります。


しかし、不動産を共有名義のままにしておくと、思わぬトラブルやリスクを招く可能性があります。この記事では、共有名義の不動産に潜むリスクと、その対処法について解説します。


結論:共有名義のままでは将来的なトラブルを招くリスクが高い


不動産を共有名義のままにしておくと、売却・修繕・利用などの意思決定が複数人の合意に依存するため、自由な管理・処分が困難になります。将来的に相続人が増えることで権利関係が複雑化し、揉めごとの原因にもなります。


共有名義の主なリスクとは?

1. 売却や建て替えができない可能性

 不動産を売却・建て替え・賃貸に出すなどの行為には、共有者全員の同意が必要です。1人でも反対すれば実行できません。


2. 共有者の死亡により相続人が増加する

 共有者の1人が亡くなった場合、その持分はさらに相続され、次の世代に引き継がれます。結果として関係者が増え、意思決定がますます難しくなります。


3. トラブル時の調整が困難

 共有者間で意見が食い違った場合、感情的な対立に発展することもあります。修繕費の負担割合や使用方法を巡って揉める事例も少なくありません。


4. 共有者の債務により差し押さえの可能性

 共有者が個人的な借金などでトラブルを起こした場合、その持分が差し押さえられたり、競売にかけられる恐れもあります。


5. 管理が曖昧になり、老朽化や空き家リスクが増す

 「誰が管理するのか」が不明確なままだと、不動産の老朽化や空き家問題に発展することも。固定資産税や修繕費も滞ることがあります。


よくある誤解

「共有名義にしておけば皆が平等で揉めない」と思われがちですが、実際には「誰が何をどこまで管理・負担するか」が曖昧なため、揉める原因になりがちです。


また、「自分の持分だけ売れる」と考える人もいますが、実際には持分だけでは買い手がつきにくく、売却は困難なケースが多いです。


実務での注意点

共有名義のまま不動産を保有する場合でも、管理ルールを事前に文書で取り決めておくことが重要です。例えば、「管理者を1名決める」「費用負担割合を明記する」などの合意を、書面に残しておくことで後のトラブルを防げます。


また、可能であれば共有状態を解消する(持分の買い取り、代償分割など)方向での話し合いも早めに検討した方が良いでしょう。


専門家ができるサポート

司法書士や行政書士は、共有状態の解消に向けた合意書の作成や、持分移転登記の手続きをサポートできます。弁護士であれば、共有物分割請求などの法的手続きも可能です。


また、不動産鑑定士や税理士が評価や税務の観点から助言することもできます。共有状態のままにしておくリスクが高いと感じた場合は、専門家に早めに相談するのが得策です。


まとめ:共有名義はリスクと隣り合わせ、早めの対策が鍵

一見「平等」で「便利」に見える不動産の共有名義ですが、実際には多くの制約と将来的なリスクを伴います。とくに相続後の共有は時間とともに複雑化し、処分や管理の自由を失いかねません。


現状が共有名義である場合でも、専門家の助けを借りて適切な対策を講じることで、将来のトラブルを未然に防ぐことができます。後悔する前に、早めの行動をおすすめします。


弁護士 大石誠

横浜市中区日本大通17番地JPR横浜日本大通ビル10階 横浜平和法律事務所

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