不動産があるせいで遺産分割がまとまりません。売る・住む・共有のどれも揉めています。どうすればいいですか?
- 誠 大石

- 3月7日
- 読了時間: 5分
不動産がある相続で遺産分割がまとまらないときの進め方 売る・住む・共有で揉めた場合の整理法
相続で不動産が入ると、遺産分割は一気に難しくなります。預貯金のように単純に分けにくく、「売って現金化したい人」「そのまま住みたい人」「とりあえず共有でよいと考える人」で意見が割れやすいからです。特に実家や賃貸中の土地建物は、感情面と経済面がぶつかりやすく、話し合いが長引く典型です。こうした場面では、誰の意見が強いかで決めるのではなく、分割方法ごとの現実性を順番に検討することが重要です。
結論:最初に「共有を最終案にしない」ことが大切
結論からいうと、不動産相続で揉めたときは、最初に「共有を最終案にしない」ことが大切です。共有は一見折衷案に見えますが、将来の管理、修繕、固定資産税、売却のたびに再び対立しやすく、問題を先送りしがちです。実務では、現物分割、代償分割、換価分割、共有分割の順で現実性を検討し、住みたい人がいるなら代償金を払えるか、売るなら全員協力で任意売却できるか、共有しかないなら何年・どう管理するかまで決める必要があります。協議で限界が見えたら、早めに遺産分割調停へ進む判断が有効です。
なぜ整理の順番が重要なのか
家庭裁判所の手続でも、不動産の分け方には現物分割、代償分割、共有分割、換価分割という基本形があります。実家に住み続けたい人がいるなら、まずその人が取得し、他の相続人へ代償金を支払う方法を検討するのが一般的です。ただし、気持ちだけでは足りません。代償金を払える資力があるか、住宅ローンや貯蓄で現実に実行できるかが必要です。
一方、誰も十分な代償金を出せないなら、第三者へ売却して代金を分ける換価分割が現実的です。売却価格でもめる場合は、不動産会社の査定を複数取り、それでも折り合わなければ鑑定まで視野に入れます。なお、相続開始時に配偶者がその家に住んでいた場合は、配偶者居住権という選択肢が使えることもあります。単純に「住むか売るか」の二択ではない点も見落とせません。
よくある誤解
よくある誤解は、「とりあえず共有なら丸く収まる」という考えです。実際には、共有になった後の方が問題は増えます。修繕費を誰が出すのか、空き家のままにするのか、賃貸に出すのか、売却に誰が反対するのかで、次の争いが始まりやすいからです。
また、「住んでいる人がいるなら当然その人のものになる」という理解も正確ではありません。住んでいる事実は大事ですが、それだけで自動的に取得できるわけではありません。相続分、他の相続人への代償、配偶者かどうか、被相続人との関係などを踏まえて整理する必要があります。
実務での注意点
まず着手すべきなのは、不動産の名寄せ、登記事項証明書、固定資産税評価証明書、利用状況、住宅ローン残高、賃料収入の有無をそろえることです。裁判所は原則として遺産を探してくれないため、資料不足のままでは調停でも前に進みません。さらに、不動産の「名義が本当に被相続人か」「他人との共有が混じっていないか」が争いになると、遺産分割の前に別の訴訟対応が必要になることもあります。
加えて、不動産相続は登記を放置しないことも重要です。相続登記には申請義務があり、話し合いがまとまった後にも、その内容に応じた登記申請が必要です。「揉めているから何もしない」は危険で、協議と登記対応を切り分けて考える必要があります。
士業としての支援内容
司法書士は相続登記、戸籍収集、相続関係の整理に強く、税理士は相続税評価や申告が絡む案件で力を発揮します。一方で、「売るか住むか共有か」で相続人同士の対立が強くなっているなら、弁護士が交渉や調停対応の中心に入る方が進みやすくなります。不動産相続は、登記の問題と紛争の問題が同時に走るため、案件の段階に応じて専門家を分けることが重要です。
まとめ
不動産があるせいで遺産分割がまとまらないときは、感情論で押し切るのではなく、現物分割、代償分割、換価分割、共有分割の順で現実性を比べるのが基本です。特に共有は安易な着地点にせず、住みたい人には代償金の実行可能性、売る案には査定と売却条件、住み続ける配偶者には居住権の検討まで含めて整理してください。話し合いが平行線なら、資料を整えたうえで早めに調停を視野に入れることが、結果として最短の解決につながります。
不動産があるせいで遺産分割がまとまりません。売る・住む・共有のどれも揉めています。どうすればいいですか?でした。
『止まった相続を終わらせる弁護士』大石誠
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【追記】
税理士・司法書士・行政書士の先生に依頼したのに、相続が止まったままではありませんか?
手続は進んでも話し合いが進まない。相続が止まるのには理由があります。
「止まった相続を終わらせる」という考え方はこちらにも掲載しました。




