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【メモ】家庭裁判所の遺産分割事件における具体的な分割方法②

  • 執筆者の写真: 誠 大石
    誠 大石
  • 2024年10月2日
  • 読了時間: 2分

更新日:2024年11月6日

現物分割について


現物分割で遺産を取得するときの考慮要素


・相続人(取得者)の意向

取得者の意向は、原則として尊重する。相続人の一人が特定の遺産の取得を希望し、これに異議がなければ、他に不都合が生じない限り、取得させる

ただし、転売目的など、自己使用でない場合は、その尊重の程度は低くなる。取得希望が競合した場合には、取得の必要性の優劣で決する


・被相続人の意向

尊重すべきではあるが、その内容が公平ではない場合、原則として、遺産の公平な分配という観点を中心に据えるべきであって、被相続人の意向に左右される必要はない


・相続人の遺産取得の必要性

職業、年齢、心身の状況、従前の利用関係などが考慮される

農業経営の後継者、営業用財産、自社株など

年少者や心身障害者がいる場合には、その者の保護という観点からの分割が求められる

一般的に、相続開始前から遺産を使用している者については、相続開始後もその使用を継続する必要性が高いといえる

被相続人の配偶者など、被相続人から厚い信頼を寄せられていた者が相続開始前から不動産を使用していた場合には、その利用関係を尊重して分割する


・賃借権の分割の注意点

賃借土地を分筆するなど、一つの賃借権を分割して、取得した相続人各自が、取得した部分について独立した賃借人となることは、賃貸人が承諾しない限りできない。土地賃借権を分割する場合には土地所有者を参加させ、その承諾を得て、分割する必要がある


家庭裁判所の遺産分割事件における具体的な分割方法について


参考文献

松本哲泓「設例解説 遺産分割の実務 ―裁判官の視点による事例研究―」令和6年9月 307~310ページ

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