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【メモ】不在者財産管理人と帰来時弁済

  • 執筆者の写真: 誠 大石
    誠 大石
  • 4月15日
  • 読了時間: 2分

「例えば、遺産分割協議の場合、被相続人の戸籍関係書類から不在者の法定相続分を調査した上、不在者の法定相続分を確保する協議書案となっているか、不在者の法定相続分を下回る内容である場合には、不在者が帰来する可能性の高低のほか、例えば、不在者が被相続人から生前贈与を受けているなどして、仮に不在者自身が遺産分割協議に参加していたとしても、法定相続分を確保するような協議がされないと考える場合に該当するかどうかなどを調査することになろう。」


「不在者が帰来する可能性が低く、仮に帰来した場合であっても、他の共同相続人において不在者の取得すべき財産相当の代償金等を支払うことができる程度の資力があると認められる場合には、遺産分割の時点では、特定の財産を不在者に取得させず、その代わりに、特定の共同相続人が、不在者が帰来して同人から請求があった場合に、不在者に代償金等を支払うことを約するいわゆる「帰来時弁済型」の遺産分割協議を成立させることも可能と解されている。

ただし、帰来時に支払われる代償金等の額が相当程度高額になる場合には、裁判官が帰来時弁済を不相当を判断することもある。帰来時弁済型の遺産分割協議の条項は、様々なものが考えられるが、典型例は、「相続人○○○○は、上記遺産の代償として、相続人(不在者)△△△△が出現し、同人から請求があった場合には、同人に対し□□を支払う。」といったものであると考えられる。この帰来時弁済型の遺産分割協議が成立した場合、ほかに管理すべき不在者の財産がなければ、不在者財産管理人が管理すべき不在者の財産はなくなるため、直ちに管理を終了することができる。」


司法協会 家事事件手続法下における書記官事務の運用に関する実証的研究 -別表第一事件を中心に 355~356ページ





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