相続人の一人と連絡が取れず、遺産分割が止まっています。何から手をつければいいですか?
- 誠 大石

- 2025年12月11日
- 読了時間: 5分
更新日:4月6日
相続人の一人と連絡が取れず、遺産分割が止まったら?最初にやるべきことと進め方
相続の手続が止まる原因として意外に多いのが、「相続人の一人と連絡が取れない」というケースです。兄弟姉妹と長年疎遠だった、前婚の子がいて所在が分からない、住所は分かっていたのに郵便が戻ってきた――こうした状況では、他の相続人だけで話を進めることはできず、遺産分割協議はそこで止まってしまいます。焦って裁判所に行く前に、まず何を確認し、どこまで調べ、それでも難しいときにどんな手続へ進むのかを整理しておくことが大切です。
結論:連絡が取れない相続人がいても、すぐにその人を外して遺産分割を進めることはできません
結論からいうと、最初に手をつけるべきなのは「相続人の確定」と「住所・所在の調査」です。連絡が取れない相続人がいても、すぐにその人を外して遺産分割を進めることはできません。まず戸籍を集めて本当に相続人かどうかを確認し、そのうえで戸籍附票や住民票などから最新の住所をたどります。
それでも行方が分からない場合には、不在者財産管理人の選任や、7年以上生死不明なら失踪宣告の検討へ進みます。
なぜ最初に戸籍と住所調査なのか
遺産分割は、原則として相続人全員が関与して進める手続です。誰が相続人なのかが曖昧なままでは、話合いも調停も前へ進みません。そのため、被相続人の出生から死亡までの戸籍や、相続人全員の戸籍を集めて、相続人の範囲を固めることが出発点になります。
次に重要なのが住所調査です。単に電話がつながらない、LINEの返信がないというだけでは、「所在不明」とまではいえません。戸籍附票や住民票、過去に届いた郵便物、親族からの聞き取りなどで、最後に確認できる住所をたどる必要があります。実務では、ここを飛ばしてしまい、後で手続がやり直しになることがあります。相続手続全体で戸籍の束を使い回しやすくするため、法定相続情報証明制度を利用して整理するのも有効です。
よくある誤解
よくある誤解は、「一人だけ連絡がつかないなら、残りの相続人で決めてしまえばよい」という考えです。しかし、その方法で作った遺産分割協議書は、後で無効になるおそれがあります。連絡不能の相続人を外したまま名義変更や預金解約を進めるのは危険です。
もう一つ多いのが、「住所が分からないなら、すぐ失踪宣告を使えばよい」という誤解です。失踪宣告は、生死不明の状態が7年間続いているなど、要件がかなり重い制度です。単に所在が分からない段階では、まず不在者財産管理人の選任を検討するのが通常です。制度の順番を誤ると、時間も費用も余計にかかります。
実務での注意点
住所調査をしても行方が分からない場合、家庭裁判所で不在者財産管理人の選任を申し立て、その管理人を相手方として遺産分割の話合いや調停を進める流れになります。ただし、これは自動的に進むものではなく、不在であることを示す資料や財産資料などの準備が必要です。裁判所の案内でも、不在者の戸籍謄本、戸籍附票、不在の事実を示す資料、財産資料などが必要書類として示されています。
また、不動産が含まれる相続では、遺産分割がまとまらなくても相続登記の問題を放置しないことが重要です。相続登記には3年以内の申請義務があり、遺産分割前でも相続人申告登記で基本的義務を果たせる場合があります。つまり、「連絡が取れないから全部止める」のではなく、止まっている部分と先に進める部分を切り分ける発想が必要です。
士業としての支援内容
司法書士は戸籍収集、相続関係の整理、法定相続情報の作成支援、相続登記や相続人申告登記の対応で力を発揮します。一方、弁護士は、相続人間の交渉、調停申立て、不在者財産管理人が関わる場面での法的整理、相手方との対立がある案件に向いています。連絡が取れないだけでなく、財産の開示拒否や取り分の争いまで起きているなら、早めに弁護士へ相談した方が全体は進みやすくなります。
まとめ
相続人の一人と連絡が取れず、遺産分割が止まっているときは、まず戸籍で相続人を確定し、戸籍附票や住民票などで住所調査を行うことが第一歩です。それでも所在が分からなければ、不在者財産管理人の選任、7年以上生死不明なら失踪宣告という順で検討します。大切なのは、「連絡が取れないから様子を見る」のではなく、今の段階で必要な手続を切り分けて動くことです。相続は時間がたつほど関係者が増え、資料も散りやすくなります。早めに司法書士や弁護士へ相談し、止まっている原因を手続の問題なのか、紛争の問題なのかに分けて整理することが、解決への近道になります。
以上、相続人の一人と連絡が取れず、遺産分割が止まっています。何から手をつければいいですか?でした。
『止まった相続を終わらせる弁護士』大石誠
横浜市中区日本大通17番地JPR横浜日本大通ビル10階 横浜平和法律事務所
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【追記】
税理士・司法書士・行政書士の先生に依頼したのに、相続が止まったままではありませんか?
手続は進んでも話し合いが進まない。相続が止まるのには理由があります。
「止まった相続を終わらせる」という考え方はこちらにも掲載しました。




