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【メモ】遺産分割審判と配偶者居住権

  • 執筆者の写真: 誠 大石
    誠 大石
  • 4月7日
  • 読了時間: 2分

更新日:2 日前

「家庭裁判所は、配偶者居住権の設定を命じる遺産分割審判をすることができるが、その場合、配偶者居住権の成否、存続期間、建物所有権が制約される不利益度合い等を考慮することが求められる。」

「家庭裁判所は、他の相続人に対し、配偶者居住権の負担付所有権(土地・建物)の取得を希望する者がいるかを確認し、仮に取得希望者がいない場合でも、現物分割の原則に従い、取得させるのが相当な当事者がいないかを検討し、そのような当事者がいない場合には、配偶者居住権の負担付きの不動産として任意売却するか競売に付することになる。見通しとして、任意売却・競売によっても売却・競売できる可能性が低い場合には、共有分割による合意を目指すことにならざるを得ない。」

(「家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務」第4版 380ページ)


【審判例】

・遺産分割申立事件 福岡家裁 令和5年6月14日 審判

相手方Bは、本件各建物につき存続期間を相手方Bの終身の間とする配偶者居住権を取得し、今後とも本件不動産に居住することを希望している。相手方Cは、配偶者居住権が設定された本件各建物を取得することを了解している。申立人は、本件不動産の取得を希望しておらず、相続分を金銭で取得することを希望している。

・以上の事実関係の下で、相手方Cが受ける不利益の程度を考慮してもなお、配偶者である相手方Bの生活を維持する必要があるから、相手方Bに本件各建物につき存続期間を同人の終身の間とする配偶者居住権を取得させ、相手方Cに本件不動産の所有権を取得させた事例。

・相手方Bから、申立人及び相手方Cに対して、代償金を支払うことになるが、相手方Bは遺産である現預金を取得することで、代償金を支払う能力が認められた事例。

・配偶者居住権について、当事者全員は、簡易な評価方法によることを合意した事例。

計算方法

①現在の査定評価額

②負担付き建物所有権の価額 法定耐用年数超過により0円

③負担付き土地所有権の価額 土地の現在価格×配偶者所有権取得者の簡易生命表上の平均余命を残存期間とするライプニッツ係数

④配偶者居住権の価額 ①-(②+③)=配偶者居住権の価額





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