高齢者サポート契約の落とし穴とは?横浜の弁護士が解説
- 誠 大石

- 1月8日
- 読了時間: 9分
更新日:1月9日
はじめに
このようなニュースが飛び込んできました。
このケースでは、病気療養中の夫が将来の支援を目的に、高齢者向けの包括的サポート契約(身元保証+死後事務)を契約し、妻名義で約190万円を一括支払いしました。その後、クーリング・オフ期間を過ぎた段階で遺言書の作成を強く勧められ、遺言執行者として事業者を指定するよう誘導された点に不信感を持ち、契約解除を求めました。事業者は解約時の返金を「葬儀等の実費相当分は全額、それ以外は契約額の半額」とし、実際のサービス提供はほとんどないにもかかわらずこの条件を提示しました。
問題点は、契約解除時の精算方法(未提供サービスに対して契約額の半額しか返さない条項)が過大である疑いがある点と、契約後に重要な条件が後出しで強く求められたと申立人が主張している点です。東京都はこれを消費者契約法の観点で問題視し、紛争解決あっせんの手続きを進めています。
高齢者の単身世帯や夫婦のみの世帯が増える中、「終身サポート契約」や「身元保証サービス」など、老後の安心を支えるサービスへの関心が高まっています。とくに身寄りの少ない高齢者にとっては、病院や施設への入所時、また死後の事務処理を託す相手がいないという不安から、こうしたサービスに頼るケースが増加傾向にあります。
しかし、その一方で、これらのサービスに関するトラブルも急増しています。たとえば、横浜市内でも「高額な契約金を支払ったが、解約時に半額しか返金されない」「サービス内容を十分に説明されないまま契約を結ばされた」といった相談が後を絶ちません。高齢者が契約内容を十分に理解しないまま締結してしまい、後々問題が発覚するというケースも多く見られます。
この記事では、「高齢者サポート契約の落とし穴とは?横浜の弁護士が解説」と題して、実際に起きた事例をもとに、どのような点に注意すべきか、どのような契約条項がトラブルの原因になりうるのか、横浜の弁護士の視点から分かりやすく解説します。終身サポート契約を検討している方、すでに契約して不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
横浜での高齢者サポート契約の重要ポイント
横浜市をはじめとする都市部では、高齢者の単身化や核家族化の影響により、「終身サポート契約」や「身元保証サービス」など、老後の生活を支援する民間サービスへのニーズが高まっています。これらの契約は、病院や介護施設への入所時の保証人代行、死後の事務手続き、遺品整理、納骨など、多岐にわたる業務をパッケージ化した内容が多く、契約金額も100万円〜200万円と高額になりがちです。
とくに横浜では、高齢者人口が多く、地域包括支援センターや行政窓口に寄せられる相談件数も増加しています。契約の形態は、以下のようなものが中心です。
・身元保証契約:入院や入所時の連帯保証を代行
・死後事務委任契約:死亡届の提出、葬儀、納骨などを代行
・遺言執行:事業者が遺言の内容を実現する役割を担う
これらは一見すると「老後の安心」を約束する心強い制度に見えますが、契約内容が複雑で、利用者が十分に理解しないまま契約してしまうことがトラブルの原因となっています。特に、契約書に記載された「解約時の返金条項」や「付帯条件」に注意が必要です。
横浜の具体的なトラブル事例(弁護士の視点から解説)
横浜市内で相談が寄せられた事例の中には、契約直後から不信感が生じ、解約に至ったものの、多額の契約金が返金されずにトラブルとなったケースがあります。
以下は、よくある典型的なパターンです。
■「後出し条件」とクーリングオフ後の圧力
あるケースでは、高齢の夫婦が終身サポートサービスの説明会に参加し、「死後のことまで任せられる」と安心して、その場で契約を締結。契約には30日間のクーリングオフ制度があるとされていましたが、その後すぐに「遺言書を作成してください」と事業者から強く要請されました。
しかも、遺言書にはその事業者を「遺言執行者」として指名する必要があり、さらにその報酬が高額であることが後になって初めて知らされたのです。利用者側は「そういう話は契約時には聞いていなかった」と強い不信感を抱き、解約を申し出ました。
■「定額没収型」解約条項の法的問題点
このケースでは、契約からわずか1か月程度しか経っておらず、ほとんどサービスの提供は受けていない状態でした。しかし事業者側は、「契約書に記載のとおり、解約時の返金額は契約金の半額」と回答。
このような「定額没収型」の解約条項は、消費者契約法第9条第1項第1号に照らして問題がある可能性があります。同条は「平均的な損害を超える損害賠償の予定は無効」としており、まだサービス提供がなされていない場合に高額な控除を行うことは、違法と判断される余地があるのです。
契約トラブルを防ぐための注意点
高齢者サポート契約は、老後の安心を目的とした重要な契約である一方、その仕組みの複雑さや費用の高額さから、慎重な判断が求められます。以下では、弁護士の視点から、契約時に注意すべきポイントを整理します。
■ 弁護士が推奨する契約時のチェックリスト
1. 契約内容を細部まで確認する
サービス内容・契約期間・料金体系・提供範囲などが明確に記載されているか確認しましょう。「何を、いつ、どのようにしてくれるのか」が曖昧な契約は危険です。
2. 解約時の条件・返金条項を確認する
解約が可能な時期や返金の基準、違約金の有無は必ずチェックしてください。とくに「年数による返金率の変動」や「初年度でも50%返金」などの定額控除型条項には注意が必要です。
3. 重要な条件が後出しされないかを確認する
契約時に提示されていない条件(例:遺言執行者の指定、別途報酬の支払い)が後から加わるケースは、トラブルの原因になります。「その場で即決」は避け、必ず文書で確認・保管しましょう。
4. 契約書を家族や専門家と一緒に確認する
一人で判断せず、家族や弁護士などの第三者とともに契約内容をチェックすることが大切です。冷静な視点を持つことで、不要なリスクを避けることができます。
■ 消費者契約法と高齢者支援契約の関係
消費者契約法は、事業者と消費者との間の情報格差や交渉力の差を前提に、消費者を保護する法律です。
特に以下の条文が関係してきます:
- 第9条第1項第1号:「平均的な損害を超える損害賠償の予定は無効」
- 第10条:「消費者の利益を一方的に害する条項は無効」
高齢者サポート契約は、長期・高額・複雑であることから、こうした条項に該当する可能性が高く、法的な検討の余地が十分にあります。疑問がある場合は、契約前でも弁護士への相談を検討しましょう。
横浜全域で見られる傾向と他地域への示唆
横浜市は人口が多く、また高齢化率も年々上昇しているため、高齢者向けの終身サポートサービスへのニーズが非常に高い地域です。市内には多くの民間事業者が参入しており、一見すると選択肢が豊富に見える一方で、トラブルの温床にもなりやすい状況が広がっています。
■ 高齢者特有の心理と判断への影響
この種の契約が抱える構造的な問題の一つは、高齢者が「将来への不安」や「孤立感」「緊急性(入院・体調悪化)」などの心理的要因から、冷静な判断をしづらくなる点です。特に身寄りがない、あるいは家族との関係が薄い場合には、「誰かに頼らなければ」という切実な気持ちから、契約内容を十分に理解しないまま署名してしまうケースが目立ちます。
事業者側がその心理につけ込み、強い言葉で契約を促したり、後から新たな条件を提示してプレッシャーをかける手法は、消費者保護の観点から大きな問題です。
■ 行政の対応強化と制度の今後の動き
こうした背景から、東京都ではすでに2026年に入り、「終身サポート契約」に関する紛争を消費者被害救済委員会に付託し、今後のあっせん・基準化を進める方針を明らかにしています。
横浜市でも、消費生活総合センターを中心に、高齢者の相談対応の強化が求められており、行政と法律専門職の連携がカギになります。
今後は、地域ごとの実情を反映したガイドラインや、契約時の説明義務の明確化など、制度面での整備も期待されます。
このような動きは、横浜市に限らず、全国の自治体にとっても参考になるものであり、地域を問わず同様のトラブルが起こる可能性があるため、早期の情報共有と制度設計が重要です。
まとめと結論(横浜の住民向け)
終身サポート契約や身元保証サービスは、高齢化社会における「安心」を支える重要な仕組みとして注目されています。しかし、その契約内容は複雑かつ高額であり、適切な情報提供がなされないまま契約が進んでしまうと、後に深刻なトラブルに発展する恐れがあります。
横浜市でも、同様の相談件数が年々増加しており、サービスの質や説明の丁寧さには事業者間で大きな差があります。特に、解約時の返金ルールや、後から提示される遺言執行者の指定といった“見えにくい条件”には注意が必要です。
本記事で紹介したような典型的なトラブル事例は、特定の誰かだけでなく、将来的にどなたにも起こり得るものです。契約前には必ず複数のサービスを比較検討し、家族や専門家と相談しながら慎重に判断することを強くおすすめします。
横浜にお住まいの方で、現在契約を検討している方、すでに契約済みで不安を抱えている方は、できるだけ早く信頼できる専門家に相談し、リスクを最小限に抑える行動をとりましょう。
弁護士に相談する理由とお問い合わせ情報
高齢者サポート契約をめぐるトラブルは、契約書の文言や消費者契約法の解釈といった、法律の専門知識が求められる場面が多くあります。特に解約時の返金条項や、遺言執行に関する手続きなどは、一般の方にとって非常に分かりにくく、誤った判断をしてしまうと不利益を被るおそれがあります。
横浜エリアで活動する弁護士としては、以下のような場面でのご相談をおすすめしています。
- 契約内容の事前チェック
- 返金トラブルや事業者との交渉
- 遺言書や死後事務委任契約の法的整理
- 消費生活センターなど行政機関との連携対応
弁護士 大石誠
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