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相続人の特定や連絡が困難な場合はどうすればいい?相続手続の停滞を防ぐための対処法

  • 執筆者の写真: 誠 大石
    誠 大石
  • 9月16日
  • 読了時間: 4分

更新日:2 日前

相続手続きを進める際、「相続人の中に連絡の取れない人がいる」「生きているかどうかすら分からない」など、相続人の特定や連絡が困難なケースは珍しくありません。こうした状況では遺産分割協議ができず、相続手続全体がストップしてしまうことも。この記事では、相続人が不明・連絡不能な場合の対応策を法的観点から解説します。


結論:家庭裁判所を通じて法的手続きを取ることで対処可能

相続人の特定や連絡が取れない場合でも、相続手続きを放置することはできません。こうしたときは、家庭裁判所に申し立てを行うことで、相続人不明・不在の問題を解決できます。具体的には「不在者財産管理人の選任」や「失踪宣告」などの制度を活用することが考えられます。


相続人調査の方法とポイント

まず、相続人を特定するには、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本をすべて収集する必要があります。これにより、子どもや配偶者、前婚の子など、全ての法定相続人を確定できます。過去に転籍や離婚歴がある場合、調査が複雑になることもあります。


戸籍の収集で不明な相続人が判明した場合でも、その人の居所が不明なことがあります。その場合は、住民票の除票、戸籍の附票、郵便照会などを用いて所在を確認します。


連絡不能な相続人がいる場合の対応策

連絡の取れない相続人がいると、遺産分割協議が成立しません。全員の合意がなければ協議は無効とされてしまうからです。このような場合の主な対応策は次のとおりです。


1. 不在者財産管理人の選任申立て:

  相続人の所在が不明であっても、家庭裁判所に申し立てを行い「不在者財産管理人」を選任してもらえば、その管理人が協議に参加できます。


2. 失踪宣告:

  音信不通の期間が7年以上に及び、生死不明である場合には、家庭裁判所に「失踪宣告」を申し立てることで、その相続人を法律上死亡とみなすことができます。


3. 相続財産清算人の選任:

  相続人全員が不明な場合や、遺言で相続人がいないとされている場合などは、「相続財産清算人」の選任が必要です。この清算人が遺産を管理・処分します。


よくある誤解:一部の相続人だけで協議しても有効だと思ってしまう

「とりあえず話の通じる相続人だけで遺産分割協議をしてしまおう」と考える人もいますが、これは非常に危険です。相続人全員が協議に参加し、同意しなければ、その協議は無効になります。後日、発見された相続人から無効を主張され、手続きが白紙に戻るリスクがあります。


実務での注意点:時間がかかることを見越して早めの対応を

不在者や失踪者がいる場合、家庭裁判所の手続きを経る必要があり、時間がかかるのが実情です。数か月から1年以上かかることも珍しくありません。また、申立書類の作成や資料の収集には専門的な知識が必要です。こうした煩雑さを避けるためにも、できるだけ早い段階で専門家に相談するのが望ましいです。


士業としての支援内容:相続人調査から家庭裁判所の手続き代行まで

弁護士・行政書士は戸籍収集や相続関係説明図の作成、住民票の追跡など、相続人調査の面で大きなサポートを提供します。また、司法書士や弁護士は家庭裁判所への申立て業務を代理することが可能です。これにより、依頼者は複雑な手続きをスムーズに進められます。


特に遺産に不動産が含まれている場合や、相続人が複数いるケースでは、専門家の関与が結果的に時間と費用の節約につながります。


まとめ:相続人不明でも法的に対応可能。早めの調査と専門家相談がカギ

相続人が特定できない、または連絡が取れないといった場合でも、法的な手続きを踏めば相続手続きを進めることは可能です。ただし、準備や調査には時間と労力がかかるため、早めに着手することが重要です。相続に関する不安や不明点があれば、まずは行政書士などの専門家に相談してみることをおすすめします。


相続人の特定や連絡が困難な場合はどうすればいい?相続手続の停滞を防ぐための対処法でした。

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