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相続人がいない場合、財産はどうなる?知っておきたい相続の最終処理

  • 執筆者の写真: 誠 大石
    誠 大石
  • 19 分前
  • 読了時間: 3分

相続に関する相談で意外と多いのが「もし相続人がいなかったら、その人の財産はどうなるのか?」という質問です。高齢化や単身世帯の増加に伴い、配偶者や子どもがいない、または親族との関係が希薄というケースも珍しくありません。


今回は、相続人がいない場合の財産の行方や、制度上の取り扱いについて詳しく解説します。


相続人がいない場合の結論

相続人が全くいない場合、その人の財産は最終的に「国庫(国の財産)」に帰属します。つまり、誰にも相続されず、国のものになるということです。ただし、財産がすぐに国に渡るわけではなく、一定の法的手続きや期間を経て決まります。


相続人がいない場合の財産処理の流れ

まず、故人に配偶者、子、親、兄弟姉妹などの法定相続人がいるかどうかを確認します。法定相続人が誰もいない場合、または全員が相続を放棄している場合、次のような手順を踏むことになります。


  1. 特別縁故者の申し立て 家庭裁判所を通じて、故人と特別な関係にあった人(例:内縁の配偶者、長年介護していた知人など)が「特別縁故者」として財産の全部または一部の分与を受けるよう申し立てることができます。

  2. 相続財産管理人の選任 相続人がいない場合、利害関係人や検察官の申し立てにより、家庭裁判所が「相続財産管理人」を選任します。この管理人が財産を整理し、債権者への弁済や特別縁故者への分与を行います。

  3. 国庫への帰属 特別縁故者もおらず、債権者への支払いも終わった場合、残った財産は国に帰属します。これは民法第959条に基づく処理です。

 


よくある誤解

「相続人がいないなら、自動的に近所の世話をしていた人が財産をもらえる」と思われがちですが、これは誤解です。親しい関係であっても法定相続人でなければ自動的に相続することはできません。特別縁故者としての申し立てと裁判所の認定が必要です。


また、「相続放棄したら次に近い親族が相続できる」と誤解されることもありますが、放棄が連鎖的に進み、最終的に誰も相続しない場合は上記の流れになります。


実務での注意点

相続人がいないと判明した後は、速やかに相続財産管理人の選任を申し立てる必要があります。この申立ては誰でもできるわけではなく、一定の利害関係(例:故人に対する貸金債権など)が必要です。


また、特別縁故者として認められるには、申立て期限(公告期間満了から3か月以内)を守る必要があるため、うっかりしていると権利を失う可能性があります。


士業としての支援内容

行政書士や司法書士、弁護士などの専門家は、以下のような支援を行います。


- 相続関係調査(戸籍調査による相続人の有無の確認)

- 相続財産管理人選任の申し立て書類作成

- 特別縁故者としての申立て支援

- 財産調査や債権者対応


特に、故人と親族関係が希薄だったり、手続きが煩雑な場合は専門家の支援が欠かせません。


まとめ

相続人がいない場合、最終的には財産が国に帰属することになりますが、その前に特別縁故者や債権者への分与の可能性もあります。法的な手続きには期限や証明が必要なため、早めに専門家に相談することをおすすめします。


万が一の備えとして、遺言書の作成や信託の活用など、事前にできる対策も視野に入れておくと安心です。


弁護士 大石誠

横浜市中区日本大通17番地JPR横浜日本大通ビル10階 横浜平和法律事務所

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