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弁護士が解説!神奈川県で遺産相続が揉める家族の特徴6つ

  • 執筆者の写真: 誠 大石
    誠 大石
  • 2月7日
  • 読了時間: 12分

更新日:8月20日

はじめに

「うちは財産が少ないから大丈夫」「家族仲もいいし、相続でもめるなんてありえない」——相続について、そんなふうに考えている方は少なくありません。

しかし、私たちが実際に相談を受ける中で感じるのは、「財産の多さ」や「仲の良さ」だけでは、相続トラブルは防げないという現実です。


神奈川県でも、近年は相続に関する相談が増加傾向にあります。特に横浜や川崎といった都市部では、不動産が相続財産の中心になることが多く、「誰が相続するのか」「売るのか、住み続けるのか」といった話し合いで意見が対立しやすい傾向があります。また、家族構成の複雑化や遠方に住む相続人との連絡の難しさなど、現代ならではの事情もトラブルの火種になります。


「まさか自分の家族が、相続でもめるなんて……」という声は、毎年数多く聞かれます。誰もが避けたい相続トラブルですが、その多くは“ある共通点”を持つ家庭で発生しています。


- 相続トラブルが起きやすい家族の特徴

- 神奈川県で実際に起こった事例

- 弁護士がすすめる予防策と解決策

について、わかりやすく解説していきます。


相続は「突然やってくる現実」です。備えの第一歩として、ぜひ最後までお読みください。


神奈川県での遺産相続トラブルの実態

神奈川県は、東京に隣接する都市圏として人口も多く、横浜市や川崎市といった大都市を抱えています。このような地域では、相続財産に占める「不動産」の割合が高く、遺産分割が困難になるケースが目立ちます。

実際に、私たち弁護士のもとには「実家の相続をめぐって兄弟で揉めてしまった」「遺産が不動産しかなく、どう分ければいいか分からない」といった相談が数多く寄せられています。特に神奈川県では、次のような背景から相続トラブルが発生しやすい傾向にあります。


不動産の分割が難しい

神奈川県のような都市部では、相続財産の大部分が不動産(自宅や土地)というケースが多く見られます。不動産は現金のように「等分」することができないため、「誰が住むのか」「売却するのか」「共有するのか」といった点で意見が対立しやすくなります。


たとえば、鎌倉市にお住まいのご家族で、実家を相続するか売却するかで兄妹が対立し、最終的に代償分割で決着がついたというケースもありました。不動産の評価額や売却時期によって公平さが変わるため、話し合いが難航しがちです。


家族関係の複雑化

また、近年は再婚・離婚が増えており、異母兄弟・異父兄弟が相続人になることで、関係性が希薄なまま話し合いに臨むことになります。結果として、お互いの考え方や感情の溝が埋まらず、調停や裁判に発展することもあります。


川崎市の事例では、前妻の子どもと後妻の間で「父の財産の相続割合」をめぐって意見が食い違い、家庭裁判所での調停となったこともありました。


遠方に住む相続人との連絡が困難

神奈川県に限らず全国的に増えている傾向ですが、相続人が遠方に住んでいる、あるいは海外在住というケースもトラブルの一因になります。連絡が取りにくい、手続きが遅れる、本人確認や署名のやりとりに手間がかかるなど、実務的な障害が積み重なり、結果的に「協議が進まない」「他の相続人の不信感が募る」といった状況に陥ります。


横須賀市のご相談者様からは、「海外に住んでいる兄とまったく連絡が取れず、不在者財産管理人の選任をすることになった」というご報告もいただきました。


相続で揉める家族の6つの特徴とは?

相続トラブルは突然起きるものではなく、もともと家族の間に潜んでいた問題が「相続」をきっかけに表面化するケースがほとんどです。ここでは、実際に神奈川県でのご相談をもとに、遺産相続で揉めやすい家族の特徴を6つ紹介します。


ご自身やご家族に当てはまる項目がないか、確認しながら読み進めてみてください。


# 1. 家族の仲が悪い・疎遠になっている

相続トラブルの最大の原因は「感情的な対立」です。財産の問題というより、「昔からのわだかまり」「親への不満」「兄弟間の嫉妬」などが根底にある場合が少なくありません。

たとえば、横浜市のご相談者Aさん(長男)は、弟との関係が10年以上途絶えていました。父の死後、遺産分割の話し合いをしようと試みたものの、弟は「兄が全部勝手にやればいい」と協議に応じず、話し合いが進まないまま数年が経過。最終的には家庭裁判所の調停に持ち込まれることになりました。


# 2. 相続人の人数が多く、関係性が複雑

相続人が多くなると、それだけで話し合いは難しくなります。特に、離婚・再婚を経験している家庭では、異母兄弟や異父兄弟が相続人となり、血縁はあっても心のつながりが薄いため、トラブルの火種となることが多いです。

川崎市であった事例では、前妻の子ども(Dさん)と現妻(Eさん)の間で、「父の財産を誰がどれだけ相続するか」をめぐって対立。両者が顔を合わせたこともない関係だったため、感情的な衝突も激しくなり、弁護士同士による交渉へと発展しました。


# 3. 特定の相続人が財産を管理していた

一人の相続人が、被相続人の生前から通帳や資産を管理していた場合、他の相続人から「お金を使い込んだのでは?」と疑いをかけられることがあります。


横浜市在住のFさん(長男)は、認知症の父親と同居し、日常的に父の生活費や医療費を支出していました。父の死後、弟Gさんが「口座の残高が減っているのは不自然だ」と不信感を抱き、Fさんに支出の明細を求める事態に。説明できる領収書はあったものの、すべてを証明することは難しく、兄弟の関係は悪化してしまいました。


# 4. 生前贈与が行われていた

特定の子どもに生前贈与があった場合、他の相続人は「不公平だ」と感じることが多く、遺産分割時に「特別受益」として持ち戻しの主張が出ることがあります。


鎌倉市のHさんは、生前に自宅を長男Iさんに贈与していました。父が亡くなった際、次男Jさんが「長男だけが得をしている」として持ち戻しを要求。結果として、遺産分割協議が紛糾し、調停に発展しました。


親としての思いや意図があったとしても、それが他の相続人に伝わっていないと、不満や対立の原因になりかねません。


# 5. 介護の負担が偏っていた

高齢化社会において、親の介護を担う相続人がいる家庭も増えています。問題となるのは、「介護の貢献=相続分を多くもらうべき」という考えと、「法定相続分は平等であるべき」という考えのズレです。


藤沢市のKさん(長女)は、10年間母親の介護を一人で行ってきました。しかし、相続の際に兄Lさんから「財産はきっちり2等分しよう」と言われ、納得できず対立。「自分がどれだけ時間とお金を費やしたか」を主張するも、証拠が乏しかったため、話し合いは難航しました。


寄与分の主張をするには、介護の内容・期間・費用などの詳細な記録が重要です。


# 6. 連絡が取れない相続人がいる

相続人の中に「音信不通」や「海外在住」の方がいる場合、遺産分割協議そのものが進まず、結果としてトラブルへと発展します。

横須賀市のMさんは、相続手続きを進めようとしましたが、兄が数年前から海外に移住しており、連絡がつかない状態に。不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に申立てる必要があり、余計な時間と費用がかかることになりました。

近年では、連絡が取れない相続人に関する相談が増加傾向にあり、社会問題にもなりつつあります。


トラブルを防ぐための弁護士が勧める3つの対策

相続トラブルは、発生してからでは解決に時間も費用もかかります。だからこそ、「事前の対策」が何より重要です。

ここでは、相続の現場を数多く見てきた弁護士の立場から、特に効果的な3つの対策を紹介します。これらを実践しておくことで、神奈川県にお住まいの方も安心して将来に備えることができます。


# 1. 遺言書を作成する

もっとも確実で効果的な相続対策は、遺言書の作成です。

遺言書があれば、基本的にはその内容に従って遺産が分割されるため、相続人同士の話し合いを最小限に抑えることができます。感情的な対立や、「言った・言わない」といった水掛け論も避けられます。


神奈川県川崎市の事例では、遺言書を残さずに亡くなったため、長男と次男が相続割合をめぐって激しく対立。最終的には調停にまで発展し、解決までに1年以上かかってしまいました。遺言書があれば、こうした事態は防げたはずです。


- 公証役場での「公正証書遺言」がおすすめ(原本保管があり、無効リスクが少ない)

- 遺留分に配慮した内容にする(ゼロにするとトラブルの元になる)

- 弁護士・司法書士に内容を確認してもらうのが安心


# 2. 成年後見・任意後見制度を活用する

高齢になると認知症などで判断能力が低下することもあり、生前の財産管理が問題になるケースが増えています。こうした状況で「使い込みでは?」と疑われ、相続トラブルに発展することも少なくありません。


その対策として有効なのが、「成年後見制度」や「任意後見制度」です。

たとえば、藤沢市のケースでは、母親と同居していた長女が財産管理をしていましたが、母が亡くなった後に弟から「財産が減っている」と指摘されました。もし任意後見契約を事前に結んでいれば、信頼できる後見人による管理記録が残されており、不信感を招くことはなかったかもしれません。


- 任意後見制度:本人が元気なうちに、信頼できる人を後見人に指定できる

- 法定後見制度:判断能力が低下した後、家庭裁判所が後見人を選任する


- 家族が後見人になる場合は、公私の区別がつきやすいよう記録を明確に

- 弁護士や司法書士を後見人とするケースでは、より透明性が確保される


# 3. 家族信託を活用する

近年注目されている相続対策のひとつが「家族信託」です。これは、将来の財産管理や承継を、契約に基づいて家族に託す制度で、柔軟で実務的な対応が可能になります。


神奈川県鎌倉市のZさん(80代男性)は、自身の老後と相続の不安から、長男と家族信託契約を結びました。その結果、認知症が進行しても長男が契約に基づいて財産を管理し、Zさんの死後もスムーズに相続が行われ、家族間のトラブルは一切起こりませんでした。


- 契約書をしっかり作成する(専門家の関与が不可欠)

- 不動産を信託する場合は、信託登記が必要

- 受託者は信頼できる人に(親族・専門職どちらも選択可能)


これらの3つの対策は、「うちは揉めないから大丈夫」と思っているご家庭ほど、ぜひ今すぐに検討していただきたい内容です。


相続トラブルが起きたときの解決方法

どれだけ準備をしていても、感情や人間関係が複雑に絡み合う「相続」では、トラブルが避けられないこともあります。万が一揉めてしまった場合、どのように対処すればよいのでしょうか?

ここでは、トラブルが起きた際に実践したい3つの解決法をご紹介します。


# 1. 弁護士に相談する

相続トラブルが発生した際、最も頼れるのは「相続に詳しい弁護士」です。

神奈川県横須賀市の事例では、兄弟間で相続財産の割合をめぐって対立が発生。話し合いは感情的になり、協議は完全に行き詰まりました。そこで、長男が弁護士に相談。法的な根拠を整理し、証拠を整えたうえで弁護士が代理人として交渉したことで、冷静な協議が可能となり、調停や裁判に進まず解決しました。


弁護士に相談するメリット:

- 法律に基づいた正しい主張ができる

- 感情的なやりとりを避け、交渉が円滑に進む

- 調停・裁判にも対応可能なため、長期的な見通しを立てられる


# 2. 相続人同士で冷静に話し合う工夫をする

感情的な対立を防ぐためには、話し合いの「進め方」も重要です。


# 3. 調停・裁判を視野に入れる

相続人同士の話し合いでは解決できない場合、家庭裁判所での「調停」や「審判(裁判)」を利用することになります。


調停とは?

- 家庭裁判所での話し合い手続き

- 調停委員が間に入って意見を調整

- 裁判より柔軟で、費用も比較的安価


審判とは?

- 調停でも合意できなかった場合に、裁判官が最終判断を下す

- 強制力はあるが、時間と費用がかかる


できる限り調停での合意を目指し、それでも解決できなければ審判へと進むのが一般的です。


相続トラブルは、初期対応を誤ると泥沼化しやすいものです。問題が起きたときこそ、冷静に、そして専門家の力を借りることが大切です。


まとめと結論

相続は、人生に一度あるかないかの大きな出来事です。そして、神奈川県のように都市部特有の事情がある地域では、相続をきっかけに家族の関係が崩れてしまうケースも決して珍しくありません。


今回ご紹介した「相続で揉める家族の特徴」や「神奈川県で実際に起こったトラブル」は、誰にでも起こり得る現実です。しかし、事前の準備と冷静な対応、そして必要に応じた専門家のサポートがあれば、多くのトラブルは未然に防ぐことができます。


「うちは大丈夫」と思っている今だからこそ、この記事をきっかけにご家族で話し合い、安心できる相続対策を始めてみてください。


弁護士に相談する理由とお問い合わせ情報(神奈川県エリアに対応)

相続問題は、法律・感情・お金が複雑に絡み合うため、「話し合いでは解決できない」と感じたときこそ、弁護士への相談が有効です。

特に神奈川県内では、不動産や複雑な家族構成を背景とした相談が年々増加しています。相続に詳しい弁護士に依頼すれば、状況の整理から解決方法の提案、必要に応じた調停・裁判対応まで一貫してサポートを受けられます。


当事務所では、神奈川県内(横浜・川崎・藤沢・鎌倉など)に対応し、相続トラブルの実績も多数ございます。初回相談は無料ですので、「相談すべきか迷っている」という段階でも、どうぞお気軽にお問い合わせください。


以上、「弁護士が解説!神奈川県で遺産相続が揉める家族の特徴6つ」でした


弁護士 大石誠

横浜市中区日本大通17番地JPR横浜日本大通ビル10階 横浜平和法律事務所

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この記事は、2025年8月20日に更新しました。

 
 
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