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高齢者の詐欺被害を防ぐ!神奈川の弁護士が教える民事信託の仕組み

  • 執筆者の写真: 誠 大石
    誠 大石
  • 4月20日
  • 読了時間: 8分

更新日:4月30日

はじめに:高齢者を狙う詐欺が増加中。神奈川県でも深刻な実態

近年、高齢者をターゲットにした詐欺が後を絶ちません。特に「投資話」や「不動産の売却話」など、一見もっともらしい内容で近づいてくる詐欺師にだまされ、大切な財産を失ってしまうケースが神奈川県内でも増えています。

実際、「有名企業の社債だから安心」や「今すぐ売れば高く買い取ります」などと言われて信じてしまい、後から後悔する…そんなご相談が、私たち弁護士のもとにも多く寄せられています。


参考:


こうした被害を未然に防ぐ方法として、最近注目されているのが民事信託(家族信託)です。信頼できる家族に財産の管理を任せることで、「うっかりだまされてしまう」リスクを大幅に減らすことができます。

今回は、弁護士の視点から「民事信託って何?」「どうやって詐欺防止に役立つの?」といった疑問に、わかりやすくお答えしていきます。


神奈川県で注目される民事信託とは?

「民事信託」または「家族信託」という言葉、聞いたことはあるけれど、内容まではよく知らないという方も多いのではないでしょうか。

簡単に言うと、「信頼できる家族などに、自分の財産の管理や運用を任せる契約」です。

たとえば、高齢のお父さん(委託者)が、「今後、自分がしっかり判断できなくなったときのために」と思い、息子さん(受託者)に財産の管理を託すとします。ただし、財産の最終的な利益(受益権)は引き続きお父さんが持ち続けます。つまり、“管理は任せるけれど、使うのは自分”という状態が保たれるのです。

民事信託のポイントは、契約によって自由に設計できる柔軟性にあります。成年後見制度のように家庭裁判所の関与を必要とせず、元気なうちから始められるのが大きなメリットです。

神奈川県でも、将来の認知症や判断能力の低下を見越して、民事信託を活用するご家庭が増えてきています。弁護士としても、「詐欺被害を防ぎながら、財産の自由度もある程度保てる方法」として、自信を持っておすすめできる制度です。

さらに、信託契約には、家族間の信頼関係を前提にしながらも、必要に応じて「信託監督人」や「受益者代理人」などを設けることもでき、第三者の目で不正を防ぐことも可能です。


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民事信託が高齢者の詐欺被害を防ぐ理由

高齢者の詐欺被害を防ぐために民事信託が有効とされる理由は、大きく3つあります。以下、弁護士の視点から詳しく解説します。


財産の管理・処分権限が移転される

民事信託では、信託契約の締結により、財産の名義や管理権限が委託者(本人)から受託者(家族など)へと形式的に移転されます。これにより、たとえば本人名義の不動産や預金は信託財産として受託者が管理することとなり、本人自身が自由に処分することができなくなります。

この点が詐欺対策に極めて有効です。たとえ悪意ある第三者が高齢者に接触し、不動産売却や高額商品の購入を勧誘したとしても、本人にその処分権限がなければ、契約自体を締結できません。詐欺師側にとっては“狙っても無駄”な構造ができあがるのです。


使途を制限する契約設計が可能

信託契約では、受託者が信託財産をどのように使用するかを、あらかじめ具体的に定めることが可能です。たとえば、「生活費の支払いにのみ使用する」「月々○万円以内の支出に限る」といった制限を設けることで、受託者による不適切な支出や第三者からの不当な圧力による支払いが発生しにくくなります。

また、こうした契約内容は、契約書として明文化されるため、後のトラブル防止や家族間の誤解を避けるうえでも有効です。


成年後見制度よりも柔軟に対応できる

詐欺被害対策としては、成年後見制度も一定の効果がありますが、この制度では本人の判断能力が著しく低下しない限り、後見人を選任することが難しく、タイミングが遅れがちです。

その点、民事信託は本人が元気なうちから発動可能であり、「将来への備え」としての運用が現実的です。また、信託の内容を自由に設計できるため、家族構成や財産の内容に応じた柔軟な対応が可能です。

このように、民事信託は制度上の設計によって、「本人がだまされない仕組み」「家族が守れる仕組み」を同時に実現できる点で、極めて有効な詐欺対策ツールと言えるでしょう。


神奈川での民事信託の活用事例

民事信託の活用は、理論だけでなく実際の事例からこそ、その効果と重要性がよく理解できます。

ここでは、神奈川県内での実例をもとに、信託設計の工夫や効果についてご紹介します。


不動産詐欺を未然に防いだケース

ある神奈川県内のご家庭では、高齢のお母様が、悪質な不動産業者から「今売れば資産価値が上がる」としつこく営業を受けていました。

物件は築古ではあるものの駅近で、資産価値は一定ありましたが、売却の必要は一切ない状況です。

ご家族が不安に感じ、私のもとに相談に来られたのがきっかけで、民事信託を活用することになりました。

その後、業者が再び売却を迫ってきた際も、「本人はすでに処分権限を持っていない」と伝えることで、トラブルなく交渉を打ち切ることができました。このように、民事信託により“契約を締結できない状況”をつくることが、最大の防御になるのです。


監督人や受益者代理人の設置も有効

また、民事信託の設計段階で「信託監督人」や「受益者代理人」を設けることで、受託者(たとえば長男)が勝手な判断をしないようチェック体制を強化することも可能です。

たとえば別の事例では、長女が信託監督人、三男が受益者代理人として参加することで、三方向からの管理・監視体制が整い、信託の透明性と公正性が確保されました。

こうした制度設計は、単に法的に安全というだけでなく、家族間の信頼を維持し、無用な誤解やトラブルを防ぐ点でも有効です。


民事信託の注意点と弁護士の役割

民事信託は非常に柔軟で便利な制度ですが、その一方で設計や運用を誤ると、かえってリスクを高めてしまうこともあるという点には注意が必要です。


「信託もどき」に要注意

実務上しばしば見受けられるのが、いわゆる「信託もどき」と呼ばれるケースです。たとえば、見よう見まねで契約書を作成し、名義だけ「信託口」に変更したものの、実態としては従来通り委託者が自由に財産を使っている…といった状況です。

このような場合、第三者から見れば形式的に信託の形を取っていても、実質的な管理・処分権限が委託者に残っていると判断される可能性があります。つまり、詐欺師からのアプローチに対し、結局は本人が契約してしまう余地が残ってしまうのです。

また、信託の運用においても、税務・登記・資産評価といった複雑な論点がからむため、専門知識なしでは適切に管理することが困難です。


弁護士が関与することの意義

民事信託の設計には、「誰に何を託すのか」「どこまでの権限を持たせるのか」「第三者のチェック機能をどう設けるのか」など、法的・実務的に緻密な検討が必要です。

弁護士が関与することで、これらの要素をバランスよく盛り込み、形式的にも実質的にも有効な信託契約を設計することができます。また、相続や遺言、成年後見制度など他の法制度との関係も考慮しながら、総合的なリスクマネジメントが可能となります。

加えて、弁護士は万が一トラブルが発生した場合にも、契約内容や証拠に基づき、適切に法的対応を行うことができます。民事信託は「作って終わり」ではなく、「適切に機能させ続ける」ことが大切です。そのためには、信頼できる法律の専門家の継続的な関与が不可欠です。


まとめと今すぐできる対策

高齢者を狙った詐欺被害は年々巧妙化し、身近な問題になっています。神奈川県でも、投資詐欺や不動産詐欺に関する相談は後を絶ちません。

こうした被害を未然に防ぐ手段として、民事信託(家族信託)は非常に有効な制度です。信頼できる家族に財産の管理を委ねることで、本人が詐欺に巻き込まれるリスクを大きく減らすことができます。

しかし、信託は自由度が高い反面、設計を誤ると“抜け穴”が生まれてしまう可能性もあります。制度を正しく理解し、実効性ある契約を作るためには、弁護士など専門家の関与が不可欠です。

まずは、「うちの場合は民事信託が合うのか?」という視点から、気軽に法律相談を受けてみることをおすすめします。被害に遭ってからでは遅いため、元気なうちの予防的対策が何よりも大切です。


神奈川県で弁護士に相談するには?

神奈川県には、民事信託に詳しい弁護士が数多く在籍しています。特に、相続・高齢者支援・資産管理を専門とする事務所であれば、信託に関する相談もスムーズに対応してもらえるでしょう。

まずは以下のような形で相談を始めるのがおすすめです:

  • 「民事信託を使った詐欺対策を考えている」

  • 「親の財産管理が心配」

  • 「成年後見との違いやメリットを知りたい」

最近では、初回相談無料の事務所も多く、対面だけでなくオンライン相談も可能です。実際に信託契約を設計する際には、弁護士だけでなく税理士や司法書士と連携するケースもあるため、ワンストップで対応できる事務所を選ぶと安心です。

将来のトラブルを防ぐためにも、早めの一歩が大きな安心につながります。ぜひ、この機会に信託の可能性について検討してみてください。

高齢者の詐欺被害を防ぐ!神奈川の弁護士が教える民事信託の仕組みでした!


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