相続関連の面談、特に生前対策に関するご相談では、お客様の状況やご家族の事情をヒアリングするのが基本です。
しかし、ヒアリングした情報を整理する時間を十分に取らずに提案フェーズに進むと、後々トラブルやミスが生じるケースがあります。特に相続分野は専門性が高く、料金も高額なため、お客様との間に「情報ギャップ」が生まれやすいのが現状です。
この「情報ギャップ」を埋めるためには、ヒアリングした内容を適切に「まとめ」、潜在的なリスクを整理するプロセスが不可欠だと気づきました。
多くのお客様にとって、相続や資産管理は馴染みのない領域です。そのため、専門家側が想定するリスクや提案内容が、十分に伝わらないことも少なくありません。結果として、「なぜこのサービスが必要なのか」をお客様が理解できず、提案が受け入れられないという事態が発生します。
この課題を克服するために、以下の5つの工夫を取り入れることにしました。
1. ヒアリングシートの活用
面談時に使用するヒアリングシートに、「お客様の思い」や「リスク整理」の欄を追加しました。これにより、重要なポイントを漏らさず、面談後の情報整理もスムーズに行えるようになりました。
2. リスクの具体化と可視化
ヒアリング内容を基に、具体的なリスクを明示するようにしました。たとえば、
家族間での争続リスク
時間経過による次次相続のリスク
認知症などによる判断能力低下のリスク
これらを実例とともに説明することで、お客様が自分事としてリスクを認識しやすくなりました。
特に生前対策については、「節税」「納税資金」「資金繰り」「事業承継」「争族」「認知症」「身寄り(おひとりさま)」という7つの観点を過不足なく検討することが重要です。
3. チェックリストや資料の活用
リスクを整理した後、チェックリストや具体例の資料を使用することで、お客様の理解をさらに深める工夫をしました。「こんなケースではトラブルが発生した」「法改正に伴い、こうした対策が必要になる」など、現実的な事例を交えることで、専門用語だけで説明するよりも説得力が増しました。
4. お客様の思いを再確認する
リスクを整理した後は、改めて「お客様の目指すゴール」を確認する時間を設けました。「家族が安心できる環境を作りたい」「揉め事を避けたい」など、思いを言葉にしてもらうことで、次の提案フェーズに進む際の共通理解が生まれました。
5. サービスの価値を明確に伝える
最後に、「このままでは起こり得るリスク」と「それを防ぐための具体的な対策」を丁寧に説明し、サービスの本質的な価値を伝えるようにしました。お客様にとって、相続対策は人生で数回しか経験しない重要な決断です。この決断をサポートするのが専門家の使命だという意識を改めて強く持ちました。
結果として、これらの取り組みにより、お客様から「分かりやすく、安心して任せられる」と評価をいただく機会が増えました。また、面談の質が向上したことで、サービス提案の受注率も改善しました。
まとめ
相続面談では、ヒアリング事項の「まとめ」と「リスク整理」を丁寧に行うことが、信頼関係の構築とサービス提案の成功に直結します。
お客様の不安に寄り添いながら、リスクを可視化し、実現したい思いを叶えるサポートを提供する。
この姿勢を持ち続けることが、専門家としての信頼を高める鍵だと実感しました。
「相続面談で信頼を得るために欠かせない5つの工夫」でした。
弁護士 大石誠
横浜市中区日本大通17番地JPR横浜日本大通ビル10階 横浜平和法律事務所
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