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死亡退職金と相続分の関係は?神奈川の弁護士が詳しく説明

  • 執筆者の写真: 誠 大石
    誠 大石
  • 4月21日
  • 読了時間: 14分

はじめに:神奈川県でも相談が増えている?死亡退職金と遺産分割の関係とは

身近な人が亡くなったあと、遺族の方々がまず直面するのが「遺産相続」の問題です。

特に神奈川県のような都市部では、複雑な家族構成や多様な働き方の影響もあって、「これは遺産に入るの?」「誰がどれだけもらえるの?」といった悩みが多く聞かれます。

その中でも、意外と見落とされがちなのが「死亡退職金」です。


「会社からお金が出るって聞いたけど、それって家族全員で分けなきゃいけないの?」

「配偶者だけが受け取るって本当?うちは揉めそうで心配……」

「税金ってどうなるの?」

…こんな疑問を抱えていませんか?


死亡退職金は、ただの「遺産」とは少し違い、扱いが非常に複雑です。

会社の規定や法律、そして過去の裁判例によって、その「位置づけ」が変わってくるからです。さらに、誰が受け取るかで相続人同士の関係性にも影響するため、事前に正しい知識を持っておくことがとても大切です。

この記事では、神奈川県で相続に関する相談を数多く受けてきた弁護士の視点から、「死亡退職金は遺産分割の対象になるのか?」というテーマについて、できるだけわかりやすく解説していきます。


死亡退職金とは?基礎知識と3つの種類

死亡退職金って何?知っておきたい基本ポイント

まずは、「死亡退職金」という言葉を初めて聞いた方のために、基本からお話ししましょう。

退職金といえば、一般的には「長年勤めた会社を辞めるときにもらえるお金」というイメージがありますよね?

それに対して死亡退職金は、働いている方が在職中に亡くなった場合に、そのご遺族に支給されるお金のことを指します。

この死亡退職金には、実は以下のようにいくつかの種類があるんです。


🔹(1)死亡退職金

これは、民間企業の従業員が在職中に亡くなった場合に支払われるものです。最も一般的で、企業ごとに退職金規程が設けられていることが多く、そこに「死亡時にはこの金額を支給します」と明記されています。


🔹(2)死亡退職慰労金

こちらは、会社の役員が亡くなった場合に、その功績をたたえて支給されるお金です。役員は雇用契約ではなく委任契約という立場なので、従業員とは支給の位置づけや根拠も異なります。支給されるかどうかは、株主総会の決議や会社の慣習によって左右されます。


🔹(3)死亡退職手当

これは、公務員が在職中に亡くなった場合に支給されるもので、国家公務員退職手当法や地方公務員法などに基づいて制度が整えられています。支給の対象や金額なども法律である程度明確に定められており、遺族への生活保障という意味合いが強いのが特徴です。


💡請求の流れも知っておこう

死亡退職金を受け取るには、会社に「死亡退職届」などを提出する必要があります。その際には、以下のような書類を用意します。

  • 被相続人(亡くなった方)の除籍謄本

  • 相続人または受取人の戸籍謄本

  • 会社から貸与されていた社員証や資料などの返却物

神奈川県内の企業でも、これらの書類を求められるケースが一般的です。労働災害(業務中の事故など)や通勤災害で亡くなった場合は、会社の方で労災保険の手続きを代行してくれることもあります。


【今すぐ相談予約をする】

電話:〔045-663-2294


死亡退職金は相続財産?弁護士がわかりやすく解説

死亡退職金って相続の対象になるの?

死亡退職金をめぐる最大のポイントは、「これって遺産分割の対象になるの?」という点です。

つまり、亡くなった方の財産として、家族みんなで分ける必要があるのか、それとも特定の人だけがもらえるのか――。ここが争いの火種になることも多いんです。

実はこの点、会社の退職金規程の有無や内容、受取人の指定状況によって判断が分かれます。一緒に確認していきましょう。


🔹(1)受取人が会社規程で指定されている場合

まず、勤務先に「退職金規程」があり、そこに受取人の順位や範囲がしっかり書かれている場合。たとえば、

  • 第1順位:配偶者

  • 第2順位:子

  • 第3順位:父母

といった形で指定されていれば、死亡退職金はその受取人の「固有の財産」となり、相続財産とはみなされません。つまり、相続分に応じて分ける必要はなく、そのまま受け取ることができます。


一般的な退職金規程では、労働基準法施行規則42条から45条の規定に準ずるという表現が多いようです。そのような場合には、死亡退職金の受取人の順位は、以下のようになります。

第1順位:労働者の配偶者(事実婚含む)

第2順位:労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた労働者の子ども、

    父母、孫、祖父母

第3順位:第2順位に該当しない労働者の子ども、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹


このルールの背景には、「残された遺族の生活保障を目的としている」という考えがあります。神奈川県内の企業でも、こうした退職金規程を持つところは少なくなく、弁護士の相談現場でも「これはもう奥様が受け取ってOKです」となるケースは多いです。


🔹(2)受取人の指定が民法と異なる場合は?

ところが、会社によっては、民法の相続人の範囲と異なる形で退職金受取人を定めていることもあります。

たとえば「子には一切支給しない」「父母を孫よりも優先する」といったルールですね。

こういったケースで、過去の裁判では、会社側の規程が被相続人の収入に依存していた遺族を守るためのものであると判断され、やはり相続財産ではなく、受取人固有の財産と認められました

つまり、会社側がしっかりと「この人に渡す」と決めているなら、民法とは違っても基本的には遺産分割の対象外となるんです。


🔹(3)退職金の支払い規程がない場合

ここが一番ややこしいポイントです。

もし勤務先に退職金規程がなかったり、受取人の指定が明確でなかったりする場合、死亡退職金は「相続財産」とみなされ、遺産分割の対象となる可能性が高いです。

たとえば中小企業などで「なんとなく社長の判断で支払った」場合など、法的な裏付けがあいまいなケースでは、相続人全員で協議し、法定相続分に応じて分け合う必要があります。

実際、神奈川県でもこうしたケースは珍しくありません。弁護士が間に入らないと話し合いがまとまらず、家庭裁判所での調停にまで進むこともあります。


神奈川県の相続トラブル事例と対策

実際にあった!神奈川県での相続トラブルとその解決法

死亡退職金に関するトラブルは、「もらえると思っていた」「分けてもらえるはずだった」という思い込みから始まるケースが多く見られます。

神奈川県内でも、遺産相続の相談を受けていると、「死亡退職金をめぐって家族の関係が悪化してしまった」という声を耳にすることがあります。

ここでは、よくあるトラブルの事例と、その対処法をお伝えします。


🔹事例1:配偶者と子どもで対立したケース

横浜市にお住まいのAさんのケース。Aさんの父親が勤めていた会社から死亡退職金が支払われたのですが、会社の退職金規程で受取人は「配偶者(=再婚相手)」と明記されていました。

しかし、Aさんは、後妻さんとの感情的な対立もあり、「自分も相続人だから、その一部を受け取る権利があるはず」と主張。遺産分割協議でも対立が続き、家庭裁判所に調停が申し立てられる寸前に。

このケースでは、弁護士が間に入り、退職金の「受取人固有の財産」という法的立場を丁寧に説明し、遺産には含まれないことを納得してもらえたことで、無事に和解が成立しました。


🔹事例2:退職金規程がなく全員で分けることに

川崎市の中小企業で働いていたBさんが亡くなった際、会社から300万円の死亡退職金が支払われました。

しかしこの会社には、明確な退職金規程が存在せず、「昔からこうしていた」という口頭の伝統だけが根拠。

その結果、Bさんの配偶者と2人の子どもがそれぞれ「自分が全額もらえる」と主張し、話し合いは平行線に。最終的に、相続人全員の合意のもと、法定相続分に応じて3人で均等に分けることで解決しました。


🔹弁護士が教える!神奈川県でトラブルを防ぐ3つの対策

こうしたトラブルを防ぐために、弁護士としておすすめするポイントは以下の通りです。


✅1. 会社の退職金規程を事前に確認しておく

勤務先によって規程の内容は大きく異なります。「誰に支払われるのか」が明記されているかどうか、ご家族がまだ元気なうちに確認しておくことが重要です。


✅2. 遺族の間で事前に話し合っておく

いざというときに「聞いていなかった」「不公平だ」とならないよう、死亡退職金がどう扱われるか、事前に家族内で共有しておくことも大切です。


✅3. 専門家に早めに相談する

死亡退職金の扱いは、会社の制度・相続人の構成・税務の知識など、さまざまな観点から検討が必要です。特に神奈川県のような都市部では、家族構成や資産状況が複雑になりがち。一人で悩まず、弁護士や税理士に相談しましょう。


死亡退職金と相続税の関係も要注意

死亡退職金にも相続税がかかる!?“みなし相続財産”のしくみとは

ここまでで、死亡退職金が「相続財産に入るかどうか」が会社のルールや状況によって異なることを見てきました。

でも実は、もうひとつ大事な論点があるんです。

それが、「死亡退職金には相続税がかかる可能性がある」という点です。

「え、遺産じゃないってさっき聞いたけど?」と思われた方もいるかもしれませんね。それには理由があります。


🔹死亡退職金は“みなし相続財産”

税法の考え方では、死亡退職金は「みなし相続財産」に該当します。

これは、相続財産ではないけれど、被相続人(亡くなった方)の死亡によって受け取る財産という性質から、相続税の課税対象になるというルールです。

同じく「みなし相続財産」に含まれるのが生命保険金。つまり、

  • 受取人のもの(だから遺産分割しなくてOK)

  • だけど税金はかかることがある

という、ちょっと不思議なポジションにあるんですね。

遺族には、以下のような場合に相続税が課税されます。

・死亡退職金として支給される金額が被相続人の死後3年以内に確定したもの

・生前に退職していて、支給される金額が被相続人の死後3年以内に確定したもの


🔹非課税限度額を知っておこう

ただし、すぐに「税金がかかる!」と心配する必要はありません。死亡退職金には、非課税の限度額が設けられているからです。

その計算式はこちら:

👉 500万円 × 法定相続人の人数 = 非課税限度額

たとえば、配偶者と子ども2人の合計3人が法定相続人であれば、500万円 × 3人 = 1,500万円までが非課税となります。

仮に死亡退職金が2,000万円だった場合、相続税の課税対象になるのは差額の500万円ということになります。


🔹相続放棄しても税金は逃れられない!?

もうひとつ、見落とされがちなのがこのポイント。

もし死亡退職金の受取人が、相続自体は放棄していたとしても、みなし相続財産として死亡退職金を受け取ったなら、相続税の納付義務が発生するんです。(相続放棄の効力には影響しません)

「相続は放棄したから、税金は関係ないと思ってた」というご相談は、神奈川県でもよく聞かれます。でもこの場合、放棄したことと税金の支払い義務は別の話

くれぐれもご注意くださいね。


死亡退職金は「特別受益」になる?実際の判例と判断基準

「もらいすぎじゃない?」死亡退職金と特別受益の関係

相続の場面では、「死亡退職金を受け取った相続人が、他の人より多く得をしているのでは?」という疑問が出ることがあります。このときに問題となるのが、「特別受益」という考え方です。

特別受益とは、相続人の一部が生前贈与や遺贈などで特別な利益をもらっていた場合に、その分を相続分から差し引いて計算する制度のことです。公平な相続を実現するためのルールですね。

では、死亡退職金はこの特別受益にあたるのでしょうか?答えは…ケースバイケースです。


🔹判断のポイントは「受取人固有の権利」かどうか

死亡退職金が特別受益にあたるかどうかは、主に以下の2つの観点から判断されます。

  1. 受取人が「固有の権利」としてもらったのか

  2. 他の相続人との間に極端な不公平が生じていないか

もし退職金規程などにより、死亡退職金が明確に「この人に支払う」と決まっていて、その人が固有の権利として受け取っているなら、原則として特別受益とはされません。


🔹特別受益と認められた裁判例

ある会社で、役員が亡くなった後、株主総会の決議でその家族に7,360万円もの死亡退職慰労金が支給されました。

しかし、この会社には退職金に関する明確な規程がなく、株主総会でも受取人の指定は行われていませんでした。そのため、裁判所は「これは受取人固有の財産とは言えない」と判断し、死亡退職金を遺産に含めて、特別受益として扱うべきとしました。


🔹一方、特別受益にあたらないと判断された裁判例

こちらは逆のパターンです。

死亡退職金と生命保険金を配偶者が受け取ったケースでしたが、原告(他の相続人)も別途3,000万円の生命保険金を受け取っており、生前にも生活費などの援助を受けていました。

裁判所は、「配偶者が受け取った死亡退職金は、固有の権利に基づくものであり、他の相続人との間に目立った不公平があるとは言えない」として、特別受益にあたらないと判断しました。


🔹弁護士からのアドバイス:感情的な対立を避けるには?

このように、死亡退職金が特別受益かどうかの判断は、受け取る根拠・金額・家族間の事情など、複数の要素によって左右されます。

神奈川県でも、「もらった・もらっていない」の感情的な対立が発端となって、相続トラブルが泥沼化するケースは少なくありません。

こうした事態を避けるには、事前に専門家に相談し、法的な立場を確認した上で話し合いを進めることが何より大切です。


まとめと神奈川県民へのアドバイス

死亡退職金は遺産になる?ならない?迷ったら確認と相談を!

ここまで、死亡退職金と相続の関係について詳しく見てきましたが、ポイントをまとめると以下のようになります。

✅死亡退職金の扱いまとめ

  • 会社に退職金規程があり、受取人が指定されている場合 → 原則として受取人固有の財産となり、遺産分割の対象にはならない

  • 退職金規程がなく、受取人の指定も不明確な場合 → 相続財産とみなされ、遺産分割の対象になる可能性がある

  • 相続税は「みなし相続財産」として課税されることがある → 非課税枠(500万円 × 法定相続人の数)を超えた部分は課税対象に

  • 特別受益かどうかは個別の事情で判断される → 判例によって扱いが分かれるため、感情論で動かず、冷静な判断が大切


🗣神奈川県の方へ:相続は事前準備がトラブルを防ぐ!

神奈川県は都市部で相続に関する資産や家族構成が複雑になりがちです。そのため、死亡退職金のように法的な扱いが一見わかりづらい財産こそ、早めに確認・相談しておくことが重要です。

「あとで話し合えばいいや」と思っていても、実際に相続が発生してからでは感情的な対立に発展してしまうケースも少なくありません。


🔍確認すべきチェックリスト

  • 勤務先に退職金規程があるか確認した?

  • 退職金の受取人は誰に指定されている?

  • 相続税がかかりそうか、非課税枠は超えていないか?

  • ほかの相続人と話し合いの準備はできている?

このあたりをクリアにしておくだけでも、将来のトラブル防止に大きく役立ちます。


神奈川県で弁護士に相談する理由

相続の不安、専門家に任せてみませんか?

死亡退職金をはじめとする相続問題は、法律・税金・感情…さまざまな要素が絡み合う、とてもデリケートなテーマです。特に神奈川県のような都市部では、家族構成も多様で、相続財産の種類も多岐にわたるため、一般の方が一人で判断するのは非常に難しいのが現実です。

「本当に相続財産なの?」「税金はかかる?」「揉めそうなんだけど…」そんなときは、迷わず専門家に相談しましょう。


🧑‍⚖️弁護士に相談するメリット

  • 法的な観点から正しい相続の進め方をアドバイス

  • 遺産分割の場面での交渉・調整を代行

  • 必要に応じて、税理士や司法書士とチームで対応可能

私たち弁護士は、法的トラブルを未然に防ぎ、ご家族が安心して相続を進められるよう全力でサポートしています。


📞お気軽にご相談ください

神奈川県にお住まいの方で、相続に不安がある方はぜひお気軽にご相談ください。初回相談は無料の事務所もありますので、まずは一歩を踏み出してみることをおすすめします。

あなたとご家族の未来を守るために――。

早めの準備と相談が、安心への第一歩です。

死亡退職金と相続分の関係は?神奈川の弁護士が詳しく説明でした!


弁護士 大石誠

横浜市中区日本大通17番地JPR横浜日本大通ビル10階 横浜平和法律事務所

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