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株・投資信託の相続で注意すべき5つのポイント【横浜の弁護士解説】

執筆者の写真: 誠 大石誠 大石

更新日:2024年12月16日

はじめに


株や投資信託を相続する場合、どんな手続きが必要なんだろう?」「税金や分割方法って、どうやって決めるんだろう?」

こんな疑問を抱えていませんか?株式や投資信託は、現金や不動産と違い、相続の手続きや注意点が独特です。特に評価額の算定や分割方法を間違えると、相続人同士のトラブルにつながりやすいと言われています。

横浜でも、株や投資信託を巡る相続問題で弁護士に相談されるケースが年々増えています。実際の現場では、遺産分割協議や税務申告の段階で悩む方が多いのです。そこで本記事では、横浜の弁護士である私が、株や投資信託を相続する際に注意すべき5つのポイントをわかりやすく解説します。

この記事を読むことで、株式や投資信託を相続する際の手順やトラブルを回避するコツがわかります。また、専門家に相談すべきタイミングや手続きの具体例も紹介しますので、ぜひ最後までお付き合いください。



①株式や投資信託の相続における基本事項


評価額の算定方法とその基準

株や投資信託の評価額は、相続税や遺産分割を決定する際の重要な要素です。

相続開始時(被相続人が亡くなった時点)の時価が基準となり、具体的な評価方法は次の通りです:

  • 上場株式:

    1. 相続発生日の終値

    2. 相続発生日の前後3か月間の終値の平均値

      いずれか有利な方法を選択できます。この柔軟性は、株価の変動を考慮するためです。

  • 投資信託:

    相続発生日の基準価額(NAV)が用いられます。こちらは株式ほど選択肢が多くありませんが、金融機関からの資料請求で簡単に確認可能です。


    株価や投資信託の価格変動により、分割時の公平性を巡る争いが生じる可能性があります。調停や審判で解決する際には、評価時点の時価に基づき分配されます。


遺産分割の基礎知識

株式や投資信託は、不動産や現金とは違い、分割方法にも特有の注意点があります。一般的な分割方法には次の3つがあります:

  1. 現物分割:

    株や投資信託そのものを相続人で分配します。しかし、株式の分割後に少数株主になると、権利行使や売却が難しくなるリスクがあります。

  2. 代償分割:

    1人が株式や投資信託を受け取り、その代わりに現金で他の相続人に補償する方法です。資産価値が高い場合に有効です。

  3. 換価分割:

    株式や投資信託を売却して現金化し、相続人で分配する方法です。市場の状況次第では有利な分配が可能です。



②遺産分割で注意すべき実務ポイント


株式や投資信託分割時の少数株主リスクと対策

株式を現物分割すると、一部の相続人が少数株主になる場合があります。これは企業の意思決定への影響力が低下し、売却時にも制限を受ける可能性を伴います。例えば、家族経営の非上場株式では特に問題が顕著です。このリスクを避けるためには、代償分割や換価分割を検討するのが現実的です。


名義変更手続きの流れと必要書類

株式や投資信託の名義変更には、証券会社や管理会社での手続きが必要です。横浜の金融機関でも、以下のような書類が一般的に求められます:

  • 被相続人の死亡診断書

  • 戸籍謄本

  • 遺産分割協議書(相続人全員の署名と捺印が必要)

これらの書類を事前に準備し、専門家のアドバイスを受けながら進めることで、スムーズな手続きが可能です。



③税務面の注意点とリスク管理


相続税の評価方法と課税計画

相続税の対象となる株式や投資信託は、評価方法によって課税額が大きく変わります。上場株式の場合、発生日の終値と3か月平均のいずれか有利な方法を選べるため、事前に資産状況を把握し適切な計画を立てることが重要です。


取得費加算の特例とその期限

相続財産を売却する際、相続税の一部を取得費に加算することで、譲渡所得税を軽減できます。ただし、この特例は相続税申告期限から3年以内に売却した場合に限られます。この期限を超えると、通常の税制が適用されるため注意が必要です。


評価額の変動リスク

株式や投資信託の評価額が申告後に大きく変動した場合、譲渡益や損失が発生します。特に申告後に売却する場合、譲渡益課税が問題になるため、事前に売却計画を立てることが重要です。



④専門家と連携してトラブルを回避する方法


株式や投資信託の相続は、法律だけでなく税務や金融知識も必要なため、複雑化しやすい分野です。そのため、専門家と連携することがトラブルを回避する最善の方法となります。


弁護士と税理士による適切な分割と節税対策

弁護士は、相続人同士の合意形成や、法的に適切な遺産分割協議書の作成をサポートします。一方で、税理士は相続税の計算や申告を担当します。

両者が連携することで、次のようなメリットが得られます:

  • 法的トラブルを未然に防ぐ: 法律のプロである弁護士が関与することで、相続人間の不公平感を解消できます。

  • 税務負担を最小限に抑える: 税理士が相続税評価額や特例の活用を計画的に行います。

例えば、少数株主リスクを避けるための代償分割案を弁護士が提案し、それに基づいて税務面の最適解を税理士が提供する、といった連携が可能です。


横浜の証券会社とのスムーズな連携

横浜には多くの証券会社や金融機関があり、相続手続きに関するサポート体制が整っています。しかし、それぞれの手続きには異なるルールや必要書類があるため、事前に専門家を通じて確認するのが賢明です。弁護士が証券会社との連絡窓口を担うことで、手続きの効率化や書類不備のリスクを軽減できます。



実例から学ぶ相続対策


相続におけるトラブルや成功事例を知ることで、事前に備えを講じることができます。ここでは、株式や投資信託を含む相続に関する実例を紹介します。


株式相続でのトラブル事例と解決策ケース1: 評価額の相違による相続人間の対立

ある家族では、被相続人が所有していた株式の評価額をめぐり、相続人同士で意見が分かれました。一部の相続人は、株価が高騰していた時点の評価を主張し、他の相続人は遺産分割時点の価格を基準にすべきだと主張しました。このようなケースでは、法律に基づき相続開始時の基準で評価を統一する必要があります。

解決策: 弁護士が遺産分割協議を主導し、公平性を保つ分割案を作成。さらに、税理士が株価の適切な評価方法を明確にしたことで、トラブルを解消しました。


投資信託の分割で成功したケーススタディケース2: 換価分割で全員が納得した事例

投資信託を複数の相続人で分割する際、現物分割では公平な配分が困難でした。このため、全相続人が合意し、投資信託を売却して現金化する換価分割を採用しました。

結果: 売却資金を公平に分配し、遺産分割協議が円滑に進みました。このような方法は、金融商品の特性を理解した専門家のアドバイスがあってこそ実現します。



⑤相続後の資産運用と管理の重要性


相続が完了した後も、受け継いだ資産をどのように管理し、運用するかが重要です。特に株式や投資信託は、適切な運用を行わなければ資産価値を減少させるリスクがあります。


信託化や共同管理の活用例

相続人間で資産を共有する場合、トラブルを防ぐ手段として「信託化」や「共同管理」が挙げられます。これにより、以下のようなメリットが得られます:

  • 資産の分散によるリスク軽減

  • 相続人同士の意思決定が明確になる

  • 運用方針が統一される

例えば、ある家族では、受け継いだ株式を信託銀行に預け、信託口座を通じて安定的な運用を行う仕組みを構築しました。


将来の相続リスクを最小化する方法

相続資産が増えるほど、次世代での相続リスクも高まります。そのため、以下の方法で将来の負担を軽減することが重要です:

  1. 資産の定期的な棚卸しと評価

  2. 次世代の相続計画を専門家と共に作成

  3. 生前贈与や相続税対策を活用

資産管理に長けた専門家と連携することで、長期的に安定した資産運用を実現できます。



まとめと弁護士への相談のすすめ


株や投資信託の相続は、評価額の算定、分割方法、税務処理など、複雑な手続きが絡みます。そのため、早い段階で専門家に相談することが、トラブルを防ぐ近道です。

特に横浜では、地域特有の金融機関や税務署の対応も考慮する必要があります。弁護士に相談することで、適切な分割や税務対策を講じることが可能です。ぜひ、当事務所までお気軽にご相談ください。


以上「株・投資信託の相続で注意すべき5つのポイント【横浜の弁護士解説】」でした。


弁護士 大石誠

横浜市中区日本大通17番地JPR横浜日本大通ビル10階 横浜平和法律事務所

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