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弁護士が解説!神奈川県で遺産相続が揉める家族の特徴6つ

執筆者の写真: 誠 大石誠 大石

なぜ遺産相続で揉めるのか?

遺産相続と聞くと、「うちはそんなに財産がないから大丈夫」「家族の仲がいいから揉めることはない」と考える人も多いかもしれません。

ところが、実際には財産の多寡にかかわらず、相続をきっかけに家族が対立するケースは少なくありません。

「相続なんて、他人事だと思っていたのに…」「こんなことで家族と争うことになるなんて」そんな後悔をしないために、遺産相続で揉めやすい家族の特徴を知り、トラブルを未然に防ぐことが大切です。

神奈川県でも、相続に関する相談件数は年々増加しています。特に、都市部では不動産が相続財産の大半を占めるケースが多く、分け方をめぐって争いになりやすいという特徴があります。また、遠方に住む相続人がいると話し合いが進みにくくなることも、トラブルの要因の一つです。


そこで本記事では、「弁護士が解説!神奈川県で遺産相続が揉める家族の特徴6つ」と題して、

相続で揉める家族の特徴6つ

神奈川県で実際に起こった相続トラブルの例

トラブルを防ぐための3つの対策

万が一トラブルが発生したときの解決策

について、弁護士の視点から詳しく解説します。

「うちは大丈夫」と思っている方ほど、一度目を通していただきたい内容です。将来のトラブルを防ぐためにも、ぜひ最後までご覧ください。


遺産相続で揉める家族の特徴6つ

相続トラブルは、特定の条件がそろうと発生しやすくなります。ここでは、遺産相続で揉める家族の特徴を6つ紹介します。当てはまるものがないか、チェックしながら読んでみてください。


① 家族の仲が悪い

相続トラブルの最大の原因は「感情的な対立」です。遺産相続は、単なる財産分けの話ではなく、「親の愛情の偏り」「過去の家族間の確執」が表面化しやすい場面でもあります。

具体例:兄弟仲が悪く、遺産分割が決まらないケース

神奈川県に住むAさん(長男)は、長年、弟Bさんとはほとんど連絡を取らず、折り合いが悪い状態でした。父親が亡くなり、相続の話し合いが必要になったものの、Bさんは「兄貴が全部決めるなら勝手にやれ」と協議を拒否。Aさんは「ちゃんと話し合いたい」と何度も連絡を試みるも、Bさんが応じず、結果として遺産分割協議が進まないまま数年が経過してしまいました。

このように、相続人同士の関係が悪いと話し合いがスムーズに進まず、最悪の場合、調停や裁判に発展する可能性もあります。遺産相続を機に、家族関係がさらに悪化することも珍しくありません。


② 家族関係が複雑で相続人が多い

相続人が多いと、意見が合わず、揉める可能性が高くなります。特に、離婚・再婚を繰り返している家庭では、異母兄弟や異父兄弟が相続人になることでトラブルが発生しやすくなります。

具体例:再婚家庭で前妻の子どもと後妻が対立

神奈川県で暮らすCさん(男性・70代)は、若い頃に離婚・再婚を経験。前妻との間に生まれた子ども(Dさん)と、現在の妻(Eさん)はほとんど面識がありませんでした。Cさんが亡くなった後、Dさんは「父の財産の半分を相続する権利がある」と主張。一方でEさんは「父が長年築いてきた財産は私たち家族のもの」として、Dさんに相続させたくないと考えていました。結果、両者は対立し、弁護士を交えた交渉に発展しました。

このように、家族構成が複雑な場合、相続トラブルが発生しやすくなります。


③ 特定の相続人が財産を管理していた

相続人のうち一人が生前から財産を管理していると、「使い込み」や「不正」の疑いがかけられやすくなります。

具体例:親の通帳を管理していた長男が疑われたケース

神奈川県横浜市に住むFさん(長男)は、認知症の父親と同居し、父の財産を管理していました。父が亡くなった後、弟Gさんが「父の口座にあるはずのお金が減っている」と指摘。Fさんは「父の生活費に使った」と説明しましたが、Gさんは納得せず、「兄が勝手に使ったのでは」と疑いを深めました。結果、Fさんは財産の使い道を説明する証拠を求められ、トラブルが長引くことに

相続人が財産を管理している場合は、使途を明確にするため、領収書や記録をしっかり残しておくことが重要です。


④ 生前贈与が行われていた

親が特定の子どもに「生前贈与」を行っていた場合、他の相続人との間で「不公平感」が生まれることがあります。

具体例:自宅を長男に贈与し、次男が不満を持ったケース

Hさん(父親)は、生前に自宅を長男Iさんに贈与していました。父が亡くなった後、次男Jさんは「長男だけが得をしている」と不満を抱き、「特別受益」として持ち戻し計算を要求。結果、遺産の計算方法をめぐって争いが発生しました。

このようなケースでは、親が生前に「なぜ特定の相続人に贈与したのか」を文書で残しておくと、トラブルを防ぎやすくなります。


⑤ 介護をした相続人がいる

介護の負担が偏っていた場合、「寄与分」の主張が争いの火種になることがあります。

具体例:長女が介護をしていたが、遺産を平等に分けることに納得できないケース

Kさん(長女)は、10年間母親の介護をしていました。しかし、相続の際に兄Lさんと「平等に分けよう」と言われ、納得できず「私は母のために尽くしたのだから、もっと多くもらうべき」と主張。これが原因で兄妹の関係が悪化し、弁護士を交えた交渉に発展しました。

介護をした相続人が正当な寄与分を受け取るためには、介護に関する記録や証拠を残しておくことが大切です。


⑥ 連絡の取れない相続人がいる

相続人の中に行方不明者がいると、遺産分割協議が進まず、手続きが停滞してしまいます。

具体例:海外に移住した兄と連絡が取れず、手続きが遅れたケース

神奈川県在住のMさん(次男)は、相続手続きを進めようとしましたが、海外に移住した兄Nさんと連絡が取れず、話し合いが進みませんでした。最終的には不在者財産管理人を選任し、手続きを進めることに

行方不明の相続人がいる場合、弁護士に相談し、法的手続きを進める必要があります。

私の肌感覚ですが、海外在住、行方不明、音信不通などのケースがここ数年でとても増えたように感じます。


神奈川県で実際に起こった遺産相続トラブル事例

神奈川県では、都市部ならではの不動産をめぐるトラブルや、家族関係の複雑さによる相続争いが多く見られます。ここでは、実際に起こった相続トラブルの事例を2つ紹介します。


① 相続人同士の話し合いがまとまらず、手続きが進まないケース

事例:親の財産をめぐり、兄弟が対立

横浜市在住のOさん(長男)は、父親が亡くなった後、弟Pさんと遺産分割の話し合いを始めました。相続財産は父親名義の預貯金と不動産でしたが、Pさんは「自分は父の面倒を見ていたから多くもらう権利がある」と主張。一方、Oさんは「相続は平等に分けるべきだ」と反論し、協議が難航しました。

さらに、Pさんが父親の口座から死亡前に多額の引き出しをしていたことが発覚し、Oさんが「これは不正な使い込みではないか」と疑う事態に。双方が弁護士を立てて主張を繰り返し、結局、遺産分割協議がまとまらず、家庭裁判所での調停に発展しました。


ポイント:円滑に遺産分割を進めるためには?

  • 相続人同士で冷静に話し合い、第三者(弁護士や司法書士)を交えるのが有効

  • 親の財産管理をしていた相続人は、使途を記録しておく(無用な疑いを防ぐため)

  • 感情論ではなく、法的なルールに基づいて話し合うことが重要


② 相続財産の大部分が不動産で、分割が難しいケース

事例:実家を相続するか売却するかで対立

神奈川県鎌倉市に住んでいたQさん(父)が亡くなり、相続人である3人の子ども(Rさん・Sさん・Tさん)は遺産分割の話し合いを始めました。相続財産の大半は、Qさんが住んでいた自宅(評価額3,500万円)で、預貯金はわずかでした。

Rさんは「思い出の詰まった実家だから自分が相続して住み続けたい」と希望。一方で、SさんとTさんは「自分たちも法定相続分を受け取る権利がある。売却して現金で分けよう」と主張。意見が折り合わず、話し合いは平行線をたどりました。

最終的には、Rさんが家を相続する代わりに、SさんとTさんへ「代償金」としてそれぞれ500万円を支払うことで合意しました。しかし、Rさんにはそれだけの現金がなかったため、住宅ローンを組んで代償金を支払うことになりました。


ポイント:不動産をめぐる相続トラブルを防ぐには?

  • 不動産は「誰が住むか」「売却するか」を事前に話し合っておくのがベスト

  • 売却が難しい場合は「共有にする」「代償分割を検討する」などの選択肢を考える

  • トラブルになった場合は、弁護士や不動産の専門家に相談するとスムーズに解決しやすい


相続トラブルを防ぐための3つの対策

遺産相続でのトラブルを防ぐためには、事前の対策が何より重要です。ここでは、相続を円滑に進めるために有効な3つの方法をご紹介します。


① 遺言書を作成する

遺言書は、相続トラブルを防ぐ最も効果的な手段の一つです。 遺言書があれば、基本的にその内容に従って遺産を分割することになり、相続人同士の話し合いが不要になるケースもあります。

具体例:遺言書がなかったために兄弟が対立したケース

神奈川県川崎市のUさん(70代男性)は、子どもが2人いました。長男Vさんは両親と同居し、次男Wさんは遠方に住んでいました。Uさんは「長男に多めに財産を残したい」と考えていましたが、遺言書を作成せずに亡くなってしまいました。

その結果、遺産分割協議では「法定相続分で均等に分けるべき」と主張する次男と、「同居し、親の面倒を見ていたのだから自分の取り分を増やしたい」と考える長男が対立。最終的には、弁護士を交えた交渉の末、家庭裁判所での調停へと発展してしまいました。


遺言書を作成する際のポイント

公正証書遺言を作成すると確実(公証役場で作成し、原本を保管してもらえるため、紛失や無効リスクが低い)

遺留分に配慮した内容にする(特定の相続人の相続分をゼロにすると、遺留分侵害額請求をされる可能性がある)

専門家に相談して作成する(法律的に無効にならないよう、弁護士や司法書士に確認してもらうのが安心)


② 成年後見・任意後見制度を活用する

認知症などで判断能力が低下すると、財産管理が適切に行えず、相続時に「使い込み」を疑われたり、財産が不明確になったりするリスクがあります。 これを防ぐために活用できるのが「成年後見制度」や「任意後見契約」です。

具体例:認知症の親の財産管理をめぐるトラブル

神奈川県藤沢市のXさん(長女)は、認知症の母親と同居しながら財産管理をしていました。母親が亡くなった後、弟Yさんが「母の財産が減っている。姉が使い込んだのでは?」と疑いを持ち、相続トラブルが発生。

もし、母親が元気なうちに「任意後見契約」を結んでおけば、財産管理を適正に行う仕組みが整い、不要な疑いを避けられた可能性があります。


後見制度の種類

任意後見制度:本人が元気なうちに、信頼できる人(家族や弁護士など)を後見人に指定できる。

法定後見制度:本人の判断能力が低下した後、家庭裁判所が後見人を選任する。

家族の財産管理を明確にすることで、相続時のトラブルを防ぐことができます。


③ 家族信託を利用する

家族信託は、将来の財産管理や相続をスムーズにする新しい仕組みです。 遺言書と異なり、自分が存命中の財産管理も託すことができるため、近年注目されています。

具体例:高齢の父親が家族信託を活用し、相続を円滑に進めたケース

神奈川県鎌倉市のZさん(80代男性)は、自分の財産(自宅と預貯金)を長男に管理してもらいたいと考えていました。そこで、「家族信託」を利用し、長男を受託者に指定。

この結果、

Zさんの判断能力が低下しても、長男が財産管理を適切に継続できるようになった

Zさんが亡くなった後も、信託契約に基づいて遺産がスムーズに引き継がれた

相続時に「誰が何を相続するか」が明確になっており、家族内で揉めることがなかった

家族信託は、認知症対策や、将来の財産承継を円滑にする方法として非常に有効です。


家族信託を利用する際のポイント

信頼できる人を受託者に選ぶ(財産を管理する人が適切であることが重要)

信託契約をしっかり作成する(弁護士や司法書士に相談するとスムーズ)

不動産を信託する場合は登記が必要(手続きの手間を理解しておく)


相続トラブルが発生したときの対処法

どれだけ事前に準備をしていても、相続トラブルが発生してしまうことはあります。そんなときに冷静に対応できるよう、適切な解決策を知っておきましょう。ここでは、弁護士に相談するメリットと、スムーズに解決するためのポイントを解説します。


① 弁護士に相談するメリット

相続トラブルがこじれると、相続人同士の話し合いでは解決が難しくなることがあります。そんなときに頼れるのが、相続問題に詳しい弁護士です。

具体例:遺産分割の話し合いがまとまらず、弁護士が介入したケース

神奈川県横須賀市のAさん(長男)は、亡くなった父の遺産を巡って、弟Bさんと対立していました。Bさんは「父の財産の大半を自分が受け取るべきだ」と主張し、Aさんは「法定相続分どおりに分けるべきだ」と考えていました。話し合いは平行線をたどり、感情的な対立が激しくなっていきました。

Aさんは弁護士に相談し、法的なアドバイスを受けた結果、

相手の主張の根拠を明確にし、必要に応じて証拠を準備

相続人同士ではなく、弁護士を通じて交渉を進めることで冷静な話し合いが可能に

最終的に弁護士を交えて遺産分割協議を成立させ、裁判に発展することなく解決

弁護士に依頼することで、法律に基づいた正当な主張ができ、不当な要求を避けることができます。


② 相続人同士で冷静に話し合うためのポイント

相続トラブルは、感情的な対立が大きな障害になることが多いです。できるだけ円満に解決するために、以下のポイントを意識しましょう。

1. 感情論ではなく、法的根拠をもとに話し合う

相続は法律で定められたルールに基づいて行われます。「自分が世話をしたから」「親と仲が良かったから」などの感情論ではなく、相続分や特別受益、寄与分などの法的概念を理解したうえで話し合うことが大切です。

2. 話し合いのルールを決める

・感情的にならないよう、冷静に話す・話し合いの記録を残す(録音や議事録を作成)・必要に応じて、第三者(弁護士や司法書士)に同席してもらう

これらの工夫をすることで、不要なトラブルを防ぐことができます。


③ 調停・裁判になった場合の対処法

もし話し合いで解決できない場合、家庭裁判所での「調停」や「審判」に進むことになります。

調停とは?

・裁判所で行う話し合い(裁判ではなく、あくまで協議)・中立な調停委員が間に入り、相続人同士の意見を調整・裁判よりも費用が安く、柔軟な解決が可能

審判(裁判)とは?

・調停でも解決できなかった場合、裁判官が最終的な判断を下す・強制力があるため、最終的な決定を確定できる・ただし、時間と費用がかかるため、できる限り調停で解決するのが望ましい

調停や裁判を避けるためにも、相続トラブルはできるだけ早い段階で弁護士に相談するのがベストです。


神奈川県で相続に強い弁護士に相談しよう

相続トラブルは、法律や感情が絡み合い、当事者同士だけでは解決が難しくなることが多いです。神奈川県で相続に詳しい弁護士に相談すれば、スムーズな解決が期待できます。

ここでは、相続問題を弁護士に相談するメリットや、弁護士の選び方について解説します。


相続問題を弁護士に相談するメリット

弁護士に相談することで、以下のようなメリットがあります。

法的に正しい対応ができる

相続には法的なルールがあるため、「何が正しいのか」を明確にし、公平な解決が可能になります。

相続人同士の交渉を代理してもらえる

感情的な対立が激しい場合、弁護士が代理人として交渉を行うことで、冷静かつ合理的な話し合いが可能になります。

調停・裁判に発展した場合の対応も任せられる

もし家庭裁判所での調停や裁判に進んだ場合、弁護士があなたの代理として手続きを進めてくれます。


神奈川県で相続に強い弁護士の探し方

神奈川県には多くの弁護士がいますが、相続問題に強い弁護士を見つけるためには、以下のポイントに注目しましょう。

1. 相続問題の解決実績が豊富な弁護士を選ぶ

弁護士にも得意分野があります。相続トラブルの解決実績が豊富な弁護士を選ぶことで、よりスムーズな解決が期待できます。

2. 相談しやすい弁護士を選ぶ

相続問題はデリケートな内容が多いため、親身になって話を聞いてくれる弁護士かどうかも重要なポイントです。

3. 初回相談無料の弁護士を活用する

多くの弁護士事務所では、初回相談無料のサービスを提供しています。まずは相談してみて、信頼できるかどうかを確かめるのも良いでしょう。


弁護士に相談するときの準備

スムーズに相談を進めるために、事前に準備しておくと良いものを紹介します。

被相続人の財産目録(預貯金、不動産、株式などの一覧)

相続関係が分かる資料(戸籍謄本、遺言書の写しなど)

相続人同士の話し合いの経緯が分かるメモ

これらを用意しておくと、弁護士が状況を的確に把握し、最適なアドバイスをしてくれます。


相続トラブルは早めの相談がカギ!

相続問題は、放置するとどんどん複雑化し、家族間の関係も悪化してしまいます。

相続でトラブルが起きそうなとき

遺産分割協議がまとまらないとき

相続人同士の対立が深刻化しているとき

このような場合は、できるだけ早く弁護士に相談し、適切な解決策を見つけることが大切です。


弁護士 大石誠

横浜市中区日本大通17番地JPR横浜日本大通ビル10階 横浜平和法律事務所

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