【弁護士監修】神奈川で不動産を相続したら?任意売却と競売のメリット・デメリット
- 誠 大石
- 4月14日
- 読了時間: 12分
更新日:4月18日
相続不動産の換価処分、悩んでいませんか?
不動産を相続したけれど、「売却するならどう進めればいいの?」「相続人全員の意見がバラバラで話が進まない…」といったお悩みを抱えている方は、神奈川県でも少なくありません。
特に、相続した不動産を現金に換えて分ける「換価分割」を考える際には、「任意売却にするか、それとも競売にするか」という選択が重要なポイントになります。
任意売却は市場価格での売却が期待できる一方で、相続人全員の合意が必要というハードルがあります。
一方の競売は、裁判所の手続きで進むためスムーズな面もありますが、売却価格が下がったり、物件の印象が悪くなったりするデメリットも。
この記事では、神奈川県で相続した不動産をどう処分するのがベストか?
任意売却と競売の違いやそれぞれのメリット・デメリット、さらに弁護士の視点から注意点をわかりやすく解説していきます。
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神奈川県での任意売却と競売、それぞれの特徴とは
相続した不動産を現金化して相続人同士で分ける――これが「換価分割」です。
その方法としてよく比較されるのが「任意売却」と「競売」です。それぞれどんな特徴があるのか、神奈川県での実情も踏まえながら見ていきましょう。
任意売却の仕組みとメリット
任意売却とは、相続人全員の合意のもと、不動産会社などを通じて通常の売却手続きを行う方法です。いわば「普通に売る」やり方なので、市場価格に近い金額で売却できる可能性が高いのが最大のメリットです。
例えば、横浜市内や川崎市内など、人気エリアにある物件であれば、競争力のある価格で買い手が付きやすく、結果的に手元に残るお金も多くなる傾向があります。
また、内見対応や価格交渉の自由度が高いため、柔軟な対応ができる点も安心材料です。ただし注意点として、相続人全員の合意がなければ進められないため、意見が対立している場合は難航しがちです。
競売の流れと注意点
一方の競売は、家庭裁判所や地方裁判所を通じて、不動産を強制的に売却する手続きです。相続人のうち誰か1人でも希望すれば、他の相続人の反対があっても競売は進行します。
ただし、こちらはあくまで“裁判所が関与する制度”なので、手続きは厳格で時間がかかります。通常6か月〜1年程度かかることもあり、費用も別途かかります。さらに、売却価格は市場価格を大きく下回るケースが多いため、最終的に手元に残る金額が少なくなるリスクもあります。
神奈川県内でも、相続人同士の話し合いがまとまらず、やむなく競売へと進む例は少なくありません。また、登記簿に「競売開始決定」が記録されることで、物件の信用やイメージに悪影響が出る場合も。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、状況に応じてどちらを選ぶかが重要になります。
弁護士が解説!任意売却と競売の5つの違い
任意売却と競売、どちらも相続した不動産をお金に換える方法ですが、その中身を比べてみると、実は大きな違いがあります。
ここでは、特に知っておきたい5つのポイントについて、弁護士の視点からわかりやすく解説します。
① 売却価格の差と経済的損失リスク
まず一番大きな違いは「いくらで売れるか」です。
任意売却は、不動産会社を通じて市場に出すので、市場価格に近い金額で売れる可能性が高くなります。神奈川県のように物件の需要が高い地域では、スムーズに売却できるケースも多く、売却益も見込みやすいです。
一方、競売の場合は、買い手が限られる上に価格が大幅に下がりがちです。裁判所主導で売却されるため、入札方式となり、相場の6~7割程度の価格になることも少なくありません。
つまり、任意売却の方が経済的メリットは大きいといえます。
② 相続人の同意が必要かどうか
次に注目したいのが「手続きに誰の合意が必要か」です。
任意売却の場合、原則として相続人全員の合意が必要です。誰か1人でも「売りたくない」と言えば話は進まず、売却できません。
これに対して、競売は相続人のうち1人でも申し立てが可能です。他の相続人が反対していても、裁判所の判断で競売は進行していきます。
つまり、「話し合いがまとまらない時」には、競売が使われやすくなるわけです。
③ 手続きのスピードとコスト面
任意売却は、不動産会社との打ち合わせや買い手探しなどを含めても、比較的スムーズに進むケースが多く、数ヶ月以内に売却完了することも可能です。手続きも通常の不動産売買と似ていて、比較的簡便です。
競売は、家庭裁判所や地方裁判所での手続きになるため、どうしても時間がかかります。申し立てから実際の売却まで6ヶ月〜1年以上かかることも珍しくありません。また、競売には申立手数料や執行費用なども発生します。
時間的にも費用的にも、任意売却の方が“軽い”方法と言えるでしょう。
④ 売却代金の管理方法と透明性
任意売却の場合、売却代金の分配については相続人同士の話し合いや合意が前提となります。売却代金を信託口座で一時保管するなど、相続人間での取り決めが必要になるケースもあります。
一方、競売の場合は、売却代金の管理や分配が裁判所の手続きに則って行われるため、ルールが明確です。トラブルになりにくいという点では、一定の安心感があります。
つまり、「手続きの透明性」においては、競売にもメリットがあると言えるでしょう。
⑤ 周囲に与える印象と物件のイメージ
最後に意外と見落とされがちなポイントですが、「周囲への印象」も違ってきます。
任意売却は、あくまで通常の売却なので、物件に「売却中」の表示がされる程度で、特別な悪印象を持たれることはありません。
しかし、競売になると、不動産登記簿に「競売開始決定」が記載され、周囲の人にも知られてしまう可能性があります。また、買い手からの印象も悪くなりやすく、敬遠されることも。
特に、神奈川県のような住宅地が多いエリアでは、物件の印象が資産価値に直結することもあるので注意が必要です。
ここまで見てきたように、任意売却と競売はそれぞれに特徴があり、状況に応じて使い分けが必要です。
裁判所が競売による換価分割を命じるのはどんなとき?
「できれば任意売却でうまくまとめたい」と思っていても、現実には相続人同士の意見が合わず、話が前に進まないというケースも少なくありません。そういった場合に、最終的な選択肢として登場するのが「裁判所による競売」です。
では、裁判所はどんなときに競売による換価分割を命じるのでしょうか?いくつか代表的なパターンをご紹介します。
相続人の間で売却の合意が取れないケース
もっともよくあるのが、相続人同士で任意売却に合意できない場合です。
たとえば、兄弟の一方が「売却したい」と言っても、もう一方が「思い出がある家だから手放したくない」と反対する…。こうしたパターンは神奈川県内でも非常によく見られます。
このように話し合いが平行線をたどり、任意売却の見込みが立たない場合、裁判所は「公平な分割が難しい」と判断し、競売によって強制的に不動産を現金化し、それを相続人に分けるという決定を下すことがあります。
不動産の管理・維持が困難で、早期処分が望ましい場合
空き家のまま放置されている物件や、老朽化していて管理費・税金がかさむような物件については、早急な処分が求められることもあります。
たとえば、横須賀市や小田原市のように高齢化が進む地域では、相続人の誰もその不動産を使う予定がない…ということも珍しくありません。それでも話し合いが進まず放置されてしまうと、建物の劣化や近隣トラブル、固定資産税の負担など、問題がどんどん大きくなってしまいます。
このような場合、裁判所は「早く現金化して分けることが全体の利益になる」と判断し、競売を命じることがあります。
遺産分割調停や審判での最終判断として
相続がうまくまとまらない場合、家庭裁判所での遺産分割調停や審判に進むことになります。その中で不動産について合意ができず、調停が不成立となった場合、裁判所は「審判」という形で最終的な決定を出すことになります。
このとき、共有者(相続人)が多く、分割や現物給付(誰かが物件を相続して代償金を払う等)が難しいと判断された場合、「競売して現金化、それを公平に分ける」という判断がされやすくなります。
こうした審判は、形式的には「共有物分割訴訟」と似た考え方に基づいており、「公平」「迅速」「実現可能性」という観点で判断されるのが特徴です。
任意売却が難航した後の“最終手段”として
ここまで読んで、「じゃあ最初から競売のほうが楽なのでは?」と思う方もいるかもしれません。ですが、競売はやはり「価格が下がる」「印象が悪くなる」「手続きが煩雑」など、デメリットが多いため、あくまで“最終手段”として位置づけるべきです。
実際、裁判所もまずは当事者間での協議や任意売却による解決を促すことが多く、それがどうしても無理だったときに、競売という手段を選ぶことになります。
このように、競売は万能な方法ではありませんが、どうしても任意売却が難しい場合には、法的に確実な解決手段として活用される場面がある、ということは知っておくと良いでしょう。
神奈川県での実例紹介|任意売却を選んだケース
任意売却と競売、理屈では分かったけれど、実際にどんなケースで任意売却が選ばれているのか知りたい方も多いのではないでしょうか。
ここでは、実際に神奈川県内であった2つの事例をもとに、任意売却がうまくいったケースをご紹介します。
事例①:横浜市の実家を相続した3人兄妹のケース
ご両親が住んでいた横浜市港南区の戸建て住宅を、3人の兄妹が相続することになりました。いずれもすでに別の場所に自宅を持っており、物件を利用する予定がなかったため、「売却して現金で分けよう」という方向で意見が一致。
ただし、1人だけ「古くても思い出があるから残しておきたい」と気持ちの整理がつかない様子でした。
そこで弁護士から、「現金化することで相続人全員が公平に利益を得られる」ことや、「固定資産税や今後の管理リスク」について丁寧に説明。
最終的には任意売却での処分に同意が得られ、市場価格に近い2,800万円で売却成立。仲介した不動産会社も相続に詳しい業者を選定したことで、スムーズに進めることができました。
事例②:平塚市の空き家を早期に処分したケース
両親が亡くなり、平塚市内の空き家を相続したAさん兄弟。しばらく放置されていたこともあり、建物は劣化が進み、近隣からも「早く対処してほしい」と言われていたそうです。
最初は兄弟の一人が「住むかもしれないから取っておこう」と言っていましたが、実際に使う見込みがないまま1年近くが経過。このままでは維持費もかかるうえ、隣家からのクレームにも繋がりかねないと判断し、弁護士を介して話し合いの場を設けました。
「競売になると価格が大きく下がる」ことや、「今ならまだ買い手が見つかりやすい」という市況データを提示したことで、ようやく全員が納得。結果的に、地元のリフォーム業者が再販目的で購入してくれ、予定より早く売却完了。競売よりも数百万円多い金額での売却となりました。
これらのケースに共通するのは、やはり「相続人同士の協力」や「専門家の関与」があったこと。特に神奈川県のように市街地と郊外が混在するエリアでは、「今すぐ売るか」「維持するか」の判断が難しい物件も多いため、冷静な情報提供と話し合いの場作りがカギになります。
神奈川の相続不動産で競売を選ぶべきケースとは
これまでご紹介したように、基本的には「任意売却の方が経済的メリットが大きい」のが一般的です。それでも、状況によっては競売という選択肢が“現実的な解決策”となるケースもあります。
ここでは、神奈川県内で実際にあった、競売を選ばざるを得なかったケースをご紹介します。
意見の対立がどうしても解消できない場合
川崎市にある収益物件を兄弟3人で相続したケースでは、長男が「賃貸で運用を続けたい」、次男が「売却して現金化したい」と主張し、三男はどちらでもないという中立的な立場でした。
何度話し合いをしても意見は平行線。任意売却の提案もまとまらず、最終的に次男が裁判所に共有物分割請求を申し立てました。
結果、裁判所が「合意形成が困難」と判断し、競売による換価分割を命じる審判が下されたのです。このように、「話し合いではもう前に進まない」という状況では、競売が現実的な解決方法となります。
維持・管理が困難で放置リスクが高い物件
相模原市内の山林付き空き家を相続したAさん一家は、物件が遠方にあることから誰も管理できず、年々老朽化が進んでいました。固定資産税の支払いも負担となり、倒壊のリスクも出てきたため、役所からも指導が入る寸前に。
「このままでは近隣に迷惑をかける」と判断した相続人の一人が競売の申し立てを行い、裁判所も早期処分が妥当と判断して競売を実施。スピーディに現金化され、後のトラブルを防ぐことができました。
このように、任意売却が理想とはいえ、どうしても合意が得られない場合や、放置リスクが高い物件では、競売が必要になることもあります。弁護士としては、「競売=悪いこと」ではなく、冷静に必要性を判断して使うべき手段だと考えています。
まとめと結論|後悔しない不動産換価のために
相続した不動産をどう現金化して分けるか――。任意売却と競売にはそれぞれメリット・デメリットがありますが、やはり経済的にも心理的にも有利なのは「任意売却」です。
ただし、話し合いがうまくいかない場合や、物件の維持が難しい場合は、競売という選択肢もやむを得ない現実的な手段となります。
「できれば円満に、でも現実的な方法も知っておきたい」そんなときこそ、早めに専門家に相談することで、後悔のない判断ができるはずです。
相続は感情が絡む分、判断を後回しにしがちですが、不動産には“待ってくれないリスク”もあるということを、ぜひ心に留めておいてくださいね。
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