【完全ガイド】相続財産の調べ方2024年最新版:不動産・預貯金・有価証券・負債・生命保険を専門家が徹底解説
相続の手続きを進める上で、被相続人の財産を正確に把握することは極めて重要です。
しかし、財産の種類は多岐にわたり、見落としがちな項目も少なくありません。
本記事では、弁護士が2024年最新の情報を基に、主要な相続財産である不動産、預貯金、有価証券(株・投資信託)、負債、生命保険について、それぞれの調査方法を詳しく解説します。
目次:
不動産の調査方法
預貯金の調査方法
有価証券(株・投資信託)の調査方法
負債の調査方法
生命保険の調査方法
よくある質問(FAQ)
まとめ:専門家による相続財産調査のメリット
1、不動産の調査方法
不動産は多くの場合、相続財産の中で最も高額な資産となります。以下の手順で漏れなく調査を進めましょう。
a) 法務局での登記簿謄本の取得
最寄りの法務局で、不動産登記簿謄本を請求します。
閉鎖登記簿の記載内容が財産調査の手掛かりになる場合もあります。その場合には、下記のオンラインでの取得ではなく、法務局での調査が必要になります。
また、「登記情報サービス」といって、オンラインでの調査も可能です。
b) 固定資産税納税通知書の確認
不動産の登記簿を確認するには、「所在」「地番」「家屋番号」といった情報が必要になります。この手掛かりになるが、固定資産税納税通知書になります。被相続人の自宅に保管されている可能性が高いため、必ず確認しましょう。
固定資産税納税通知書に記載されている物件を漏れなくチェックします。
c) 不動産業者への相談
地域の不動産事情に詳しい不動産業者に相談すると、見落としている物件が見つかることもあります。例えば公衆用道路など。
最新の不動産市場動向も把握できるため、相続税評価額の推定にも役立ちます。
d) 名寄帳の取得
固定資産税納税通知書にも記載されていない物件が存在する場合があります。
例えば、被相続人が共有持分権者として共有している不動産、私道、山林、農地など、固定資産税が課税されていない不動産は、固定資産税の納税通知書に記載されていない場合があります。しかし、こうした不動産であっても、名寄帳に記載されている場合があるので、必要に応じて取得することで、漏れなくチェックすることができます。
【ワンポイントアドバイス】
不動産の相続では、相続税評価額と実勢価格の差が大きいことがあります。相続税申告のためには適切な評価が必要ですので、弁護士や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
2、預貯金の調査方法
預貯金は、現金と並んで最も一般的な相続財産です。2024年の最新状況を踏まえ、以下の手順で調査を進めましょう。
a) 通帳やキャッシュカードの確認
被相続人の自宅に保管されている通帳やキャッシュカードを確認します。
近年はインターネットバンキングの利用も増えているため、パソコンやスマートフォンの確認も重要です。
金融機関からのハガキ、郵便物があれば、それも財産調査の契機となります。
b) 取引金融機関への照会
預貯金については、各金融機関に一括で照会する機構がなく、各金融機関毎に照会する必要があります。
但し、支店名までは特定は不要です。「全店照会」ができますので、「どの銀行に預貯金がありそうか?」という点だけでも目星を付けることができれば十分です。
こうして発見した金融機関に対して、残高証明書の発行を依頼します。
被相続人の住所地周辺の主要な金融機関にも照会することをおすすめします。
なお、全店照会をすると、口座は凍結されます。
c) 法定相続情報一覧図の活用
取引金融機関への照会にあたっては、法務局で発行される「法定相続情報一覧図」を使用すると、金融機関での手続きがスムーズになります。
2024年現在、多くの金融機関がこの制度に対応しています。
d) 口座が発覚したら
残高証明書、利息計算書、取引履歴を発行してもらうことができます。
この取引履歴を通じて「使途不明金」「生前贈与」「名義預金」の調査を進めることができます。
【ワンポイントアドバイス】
相続発生時の預貯金の払戻しについては、各金融機関で取り扱いが異なります。スムーズな手続きのために、事前に各金融機関の方針を確認しておくことをおすすめします。
3、有価証券(株・投資信託)の調査方法
有価証券の中でも、特に株式や投資信託は価値の変動が大きいため、慎重な調査が必要です。2024年の最新情報を基に解説します。
a) 証券会社の取引明細書の確認
証券会社は一年に一回、年間取引報告書を郵送しますので、年間取引報告書を発行している証券会社に照会をすることができます。まずは、被相続人の自宅に保管されている証券会社の取引明細書を確認することが重要です。
但し、オンライン証券の利用が一般的になっています。この場合には電子交付されるため、紙媒体での年間取引報告書が存在しません。パソコンやスマートフォンの確認も重要です。
b) 証券保管振替機構(通称「ほふり」)への照会
証券口座が分からない場合でも、上場株式等の振替を一括で管理している証券保管振替機構証券(通称「ほふり」)への照会をすることで、どの証券会社に口座を持っているか調べることができます。
但し、被相続人の住所と氏名の組み合わせで把握していますので、「被相続人Aさん+住所B」と「被相続人Aさん+住所C」は別の人物として照会されてしまいます。そのため、被相続人の住所歴を洗い出しておく必要があります。旧姓も同様です。
c) 証券会社への照会
判明した証券会社に対して、残高証明書の発行を依頼します。
2024年現在、多くの証券会社がオンラインでの残高証明書発行に対応しています。
【ワンポイントアドバイス】
相続税の申告では、原則として相続開始時の時価で評価します。上場株式の場合、相続開始前後の株価の変動を考慮した評価方法があるため、専門家に相談することをおすすめします。
4、負債の調査方法
相続財産には、プラスの資産だけでなく負債も含まれます。2024年の最新状況を踏まえ、以下の手順で負債も調査しましょう。
a) 借入れ関連書類の確認
被相続人の自宅に保管されているローン契約書や返済予定表、請求書、督促状などを確認します。
近年はペーパーレス化が進んでいるため、電子データの確認も重要です。
b) 金融機関への照会
住宅ローンや個人ローンなどの借入れがある場合、各金融機関に残債額を照会します。
2024年現在、多くの金融機関がオンラインでの照会に対応しています。
c) クレジットカード会社への確認
被相続人が利用していたクレジットカード会社に、未払い残高がないか確認します。
リボ払いやキャッシング利用の有無も確認しましょう。
d) 信用情報機関への情報開示請求
個人のローンやクレジットカードの利用履歴を登録している機関が「信用情報機関」です。被相続人がどの金融機関やどの貸金業者から、どれくらい借入をしているのか詳細に把握するには、重要な手続です。
信用情報機関は3つあるので、すべての機関に対して照会が必要です。 JICC、CIC、KSCと呼ばれる機関です。全て漏れなく調査する必要があります。
【ワンポイントアドバイス】
負債は相続財産から控除できますが、控除できる負債の範囲には制限があります。適切な相続税申告のために、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。また、相続放棄を検討する上でも重要な調査です。
5、生命保険の調査方法
生命保険(死亡保険金)は、基本的には相続財産として扱われません。2024年の最新情報を基に、正確な把握のための手順を解説します。
a) 保険証券の確認
被相続人の自宅に保管されている保険証券を確認します。
近年は電子保険証券も増えているため、パソコンやスマートフォンの確認も重要です。
b) 生命保険会社への照会
発見した保険証券の生命保険会社に、契約内容と受取人を確認します。
主要な生命保険会社にも、被相続人名義の保険契約がないか照会することをおすすめします。
c) 生命保険協会の照会サービスの利用
生命保険協会が提供する「生命保険契約照会制度」を利用すると、加盟している生命保険会社の契約を一括で照会できます。
2024年現在、このサービスの利用がより一般的になっています。
【ワンポイントアドバイス】
生命保険金の相続財産への算入については、契約形態や受取人によって取り扱いが異なります。適切な相続税申告のために、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
また、特別受益の問題からも弁護士への相談をおすすめします。
6、よくある質問(FAQ)
Q1: 相続財産の調査にはどのくらいの期間がかかりますか?
A1: 財産の規模や複雑さによって異なりますが、一般的に2〜3ヶ月程度かかることが多いです。専門家に依頼すると、より迅速かつ正確に調査できる場合があります。
Q2: 相続人の1人が財産を隠している可能性がある場合、どうすればよいですか?
A2: このような場合は、弁護士に相談することをおすすめします。必要に応じて、財産の開示を求める調停や訴訟などの法的手段を検討することができます。
Q3: 海外に財産がある場合、どのように調査すればよいですか?
A3: 海外財産の調査は複雑になる可能性が高いため、国際相続に詳しい弁護士や税理士に相談することをおすすめします。各国の法制度や税制を考慮した調査が必要になります。
Q4: 相続財産の調査を専門家に依頼するメリットは何ですか?
A4: 専門家に依頼することで、見落としのない網羅的な調査、適切な財産評価、相続税申告の最適化などが期待できます。また、相続人間のトラブル防止にも繋がります。
7、まとめ:専門家による相続財産調査のメリット
相続財産の調査は、相続手続きの中でも特に重要なステップです。見落としがあると、相続税の申告漏れや相続人間のトラブルの原因となる可能性があります。本記事で紹介した方法を参考に、慎重かつ網羅的に調査を進めることをおすすめします。
専門家に相談することで得られるメリットは多岐にわたります:
見落としのない財産調査
適切な財産評価による相続税の最適化
複雑なケース(海外資産、事業承継など)への対応
相続人間のトラブル防止
最新の法改正や税制改正への対応
相続は一生に何度も経験するものではありません。不安な点や分からないことがあれば、ためらわずに専門家に相談することが、スムーズな相続手続きの近道となります。
相続財産の調査から相続税の申告、遺産分割協議まで、相続に関するあらゆる場面でサポートいたします。
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弁護士 大石誠
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