遺留分侵害額請求とは?相続で最低限守られる権利をわかりやすく解説
- 誠 大石

- 2 日前
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相続では、亡くなった方の財産を誰がどのように受け継ぐかが大きな問題になります。遺言書によって特定の人に多くの財産を残すケースもありますが、一定の相続人には法律上「最低限受け取れる権利」が保障されています。それが「遺留分」です。
そして、その遺留分が侵害された場合に不足分を請求する制度が「遺留分侵害額請求」です。近年は家族構成や財産状況が複雑化し、相続トラブルが増加しているため、この制度への理解は非常に重要になっています。
ここでは、遺留分侵害額請求の基本的な仕組みや手続き、注意点についてわかりやすく解説します。
遺留分侵害額請求とは何か
遺留分侵害額請求とは、法律で保障された最低限の取り分である「遺留分」を侵害された相続人が、財産を多く取得した人に対して金銭を請求できる制度です。
たとえば、「全財産を長男に相続させる」という遺言が残されていた場合でも、配偶者や他の子どもには一定割合の遺留分があります。その取り分が不足している場合、侵害された相続人は不足額を請求できます。
以前は「遺留分減殺請求」と呼ばれていましたが、民法改正により現在は「遺留分侵害額請求」に変更されました。現在の制度では、不動産そのものを取り戻すのではなく、原則として金銭で解決する形となっています。
行政書士や司法書士、弁護士などの士業実務でも、遺言作成時や相続相談時に遺留分への配慮は極めて重要なポイントとなっています。
遺留分が認められる人
遺留分が認められるのは、兄弟姉妹を除く法定相続人です。具体的には、配偶者、子ども、直系尊属(父母など)が対象となります。
たとえば、配偶者と子どもがいる場合は、法定相続分の2分の1が遺留分として保障されます。相続人が直系尊属のみの場合は、法定相続分の3分の1が遺留分です。
一方で、兄弟姉妹には遺留分がありません。そのため、「兄には財産を渡さない」という遺言があっても、兄弟姉妹は遺留分侵害額請求を行うことはできません。
相続対策を行う際には、「誰に遺留分があるのか」を正確に把握することが重要です。行政書士などの専門家は、戸籍調査を通じて相続関係を整理し、適切な相続設計を支援します。
どのような場合に問題になるのか
遺留分侵害額請求が問題となる典型例は、特定の相続人に財産が集中しているケースです。
たとえば、次のようなケースがあります。
・長男だけに全財産を相続させる遺言がある
・生前贈与で一人の子どもだけ多額の援助を受けていた
・再婚相手に大部分の財産を残している
・事業承継のため後継者へ財産を集中させている
こうした場合、他の相続人の遺留分が侵害される可能性があります。
特に中小企業の事業承継では、自社株や事業用資産を後継者へ集中的に承継させる必要があり、遺留分対策が非常に重要になります。税理士や行政書士、弁護士など複数の専門家が連携して対策を行うことも少なくありません。
遺留分侵害額請求の手続き
遺留分侵害額請求を行う場合、まず相手方に対して請求の意思表示を行います。通常は内容証明郵便を利用して正式に通知するケースが一般的です。
その後、話し合いで解決できない場合は、家庭裁判所で調停や訴訟に進むことになります。
ここで重要なのが時効です。遺留分侵害額請求権は、「相続開始および侵害を知った時から1年」で時効になります。また、相続開始から10年が経過すると請求自体ができなくなります。
期限を過ぎると権利を失うため、早めの対応が必要です。
行政書士は内容証明作成や相続関係書類の整理などを支援し、訴訟対応が必要な場合には弁護士へ引き継ぐ形でサポートすることが一般的です。
遺留分トラブルを防ぐ方法
遺留分を巡る争いは、家族関係に大きな亀裂を生むことがあります。そのため、生前から適切な相続対策を行うことが重要です。
代表的な対策としては、次のような方法があります。
・遺言書を適切に作成する
・相続人間で事前に話し合う
・生命保険を活用する
・生前贈与を計画的に行う
・専門家へ相談する
特に公正証書遺言を利用すると、法的な不備を防ぎやすくなります。また、遺留分に配慮した財産配分を検討することで、将来の紛争リスクを減らせます。
士業の現場では、「法的に正しい」だけでなく、「家族関係に配慮した相続設計」が重視されています。
まとめ
遺留分侵害額請求とは、相続人の最低限の権利を守るための重要な制度です。遺言書があっても、一定の相続人には法律で保障された取り分があります。
しかし、実際の相続では感情的な対立が起こりやすく、話し合いが難航するケースも少なくありません。また、請求には時効があるため、迅速な対応も必要です。
相続トラブルを防ぐためには、早い段階から遺言や財産分配を検討し、必要に応じて弁護士などの専門家へ相談することが大切です。専門家のサポートを受けながら適切な対策を進めることで、円満な相続につなげることができるでしょう。
弁護士 大石誠
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