相続で経営権を失わないために|神奈川県の弁護士が解説する自社株対策
- 誠 大石

- 6 日前
- 読了時間: 19分
はじめに
会社経営者にとって相続対策は、相続税を安くするためだけの「税務の話」ではありません。むしろ本質は、会社の支配権を次世代に安全に引き継げるかという「経営の話」です。とりわけ非上場の中小企業では、自社株=議決権であり、議決権=経営権そのものです。にもかかわらず、相続が起きた瞬間に株式が複数の相続人へ分散し、後継者の支配権が一気に不安定化するケースが後を絶ちません。
神奈川県内でも、オーナー社長が急逝した後に「家族は仲が良いから大丈夫」と考えて遺言や定款整備を後回しにしていた結果、親族内の対立や少数株主の動きが引き金となって、経営判断が止まる・資金が流出する・代表者が交代する、といった事態に発展する例があります。相続は、起きてから対応するには遅すぎる局面が多く、会社法・民法・税務が同時に絡むため、場当たり的な対処は危険です。
本記事では、「相続で経営権を失わないために|神奈川県の弁護士が解説する自社株対策」と題して、神奈川県で会社法・相続を扱う弁護士の視点から、相続で経営権を失う典型ルート(自社株分散・少数株主リスク・遺留分)を整理し、相続前に打てる具体策を「優先順位」と「実行順序」が分かる形で解説します。
結論から言えば、相続対策とは家族円満の祈りではなく、会社を守るための設計図です。
なぜ相続で経営権を失うのか
相続で経営権を失う最大の理由は、会社の支配権が「株式の保有割合」で機械的に決まるからです。非上場会社の株式は市場で売買されにくい一方、議決権の効力は上場企業と同様に強力で、株主総会の決議ルールに従って代表取締役の解任や役員人事、合併・定款変更などの重要事項が決まります。
ここで見落とされがちなのが、相続が発生した直後から遺産分割が終わるまでの「空白期間」です。株式は相続人間で共有(準共有)に近い状態となり、議決権の行使が思うようにできません。後継者が「いずれ株式は自分に集まるはず」と考えていても、遺産分割協議が長引けば、その間に会社の意思決定が止まったり、他の相続人や少数株主が主導権を握ったりする余地が生まれます。
さらに厄介なのは、株式が分散した後の修復が難しい点です。相続後に「やはり後継者へ集約しよう」と思っても、他の相続人が株式を手放すとは限りません。会社が買い取ろうとしても、会社法上の分配可能利益の制限や資金繰りの問題が立ちはだかります。そして、たとえ遺言で後継者に集中相続させても、他の相続人には遺留分という最低限の取り分が保障されており、現金請求(遺留分侵害額請求)が現実化します。
つまり、相続における経営権喪失は「揉めたら起きる」ものではなく、揉めなくても制度上“起き得る構造”を持っています。会社は感情で動きません。決議要件・議決権・定款条項といったルールで動きます。だからこそ、相続前に“ルールの側”を整備し、株式の帰属、議決権の設計、代償資金の確保まで含めて準備することが、会社を守る最短ルートになります。
自社株分散が招く3大リスク
自社株が相続で分散したとき、会社経営者が直面しやすいリスクは大きく3つに整理できます。
① 経営権クーデター(代表取締役解任・人事支配)
株主総会の普通決議は原則として過半数で成立します。後継者が過半数を確保できない状態になると、たとえ社長として現場を回していても、株主側の多数派が結束すれば代表取締役の解任や取締役の入替えが可能になります。相続人が兄弟姉妹である場合、当初は協力的でも、配当・給与・経営方針を巡って関係が変化するのは珍しくありません。「家族だから大丈夫」を前提にすると、支配権を失うリスクを見誤ります。
② 少数株主リスク(経営妨害・買い取り圧力・相続クーデターの火種)
株式が分散すると、相続人の一部が少数株主として会社に関与し始めます。少数株主は、会社の規模や定款内容によっては、情報開示請求、役員責任追及、株主総会招集請求などを通じて会社運営に圧力をかけられます。また、定款に特定の条項がある場合、相続のタイミングで「相続人を株主にしたくない」という名目で、相続人側が不利になる形で株式を手放さざるを得ない局面が生じることがあります。相続後の短期間に手続が進むタイプのトラブルでは、初動が遅れた時点で取り返しがつかなくなります。
③ 遺留分による資金流出(現金請求→株式売却・資金繰り悪化)
後継者に株式を集中させると、他の相続人の遺留分を侵害しやすくなります。遺留分侵害額請求は「現金での支払い」が基本のため、後継者が現金を用意できなければ、株式の一部売却や会社からの配当・役員報酬の増額など、会社の資金を動かして捻出する方向に傾きます。結果として、納税資金と遺留分対応が同時に発生し、金融機関対応や投資判断にまで影響が及びます。相続は家計の問題に見えて、実際には会社のキャッシュフローを直撃します。
この3つは、単独で起きるのではなく連鎖します。株式が分散し、少数株主の圧力が増し、遺留分の資金が必要になり、会社のお金が動く。ここまで来ると、後継者は経営に集中できず、意思決定が遅れ、組織が揺らぎます。だからこそ、相続前に「株式をどう集めるか」だけでなく、「反対する人が出ても会社が揺れない設計」に落とし込む必要があります。
神奈川県の会社経営者に多い相続トラブル事例
神奈川県は製造業・建設業・物流業・不動産関連業を中心に、オーナー経営型の中小企業が非常に多い地域です。創業から30年、40年と続く企業も多く、経営者自身が高齢化する一方で、相続・事業承継の準備が十分に進んでいないケースが目立ちます。
神奈川県内の相続トラブルで典型的なのは、「株式は後継者が継ぐ前提だったが、実際には法的に未整理だった」というパターンです。たとえば、遺言書がなく、法定相続に従って株式が配偶者と子ども複数人に分散した結果、後継者が過半数を確保できず、重要な経営判断がすべて株主間調整待ちになる事例があります。この段階で金融機関は慎重姿勢に転じ、融資や条件変更が止まり、経営環境が一気に悪化します。
また、神奈川県では「外部少数株主」が残っている企業も少なくありません。創業当初に知人や取引先が出資したまま、その後の整理をせずに相続を迎えてしまうケースです。相続をきっかけに、これまで表に出なかった少数株主が権利を主張し始め、株主総会の招集請求や資料開示請求が連続することで、後継者が防戦一方になることがあります。
さらに多いのが、「相続後に何とかしよう」と考えた結果、何もできなくなるケースです。相続発生後は、定款変更にも株主総会特別決議が必要となり、すでに対立関係にある相続人や少数株主が反対すれば、売渡請求条項の削除や種類株式の導入といった対策は事実上不可能になります。結果として、相続前であれば選択肢が複数あったはずの企業が、相続後には“打つ手なし”の状態に追い込まれます。
神奈川県の事例に共通するのは、「揉めてから相談に来る」点です。しかし、会社法と相続法は、事後対応よりも事前設計を圧倒的に重視する制度です。トラブルが顕在化した時点では、すでに経営権の主導権が後継者の手から離れかけていることが多いのが実情です。
弁護士が見た「防げたはずの失敗」
実務で強く感じるのは、「これは相続前なら防げた」というケースの多さです。その失敗には、いくつか共通点があります。
第一に、定款を長年見直していなかった点です。株券発行会社のまま放置されていた、相続人に対する売渡請求条項が無自覚に残っていた、種類株式の規定が曖昧だった――こうした定款上の問題は、相続が起きた瞬間に“武器”として使われます。経営者本人は善意で作った条項でも、相続時には後継者に不利に作用することがあります。
第二に、株主名簿と実態が一致していない点です。名義株が整理されていない、すでに亡くなっている株主の名義が残っている、相続が連続して誰が株主か分からない。この状態で相続を迎えると、議決権の行使や株主総会の成立自体が不安定になり、会社運営が停滞します。
第三に、「家族内で話せば何とかなる」という過信です。相続前は円満でも、相続後に立場が変わると利害が衝突します。後継者は経営を守りたい、他の相続人は公平な財産分配を求める。この構図自体は自然ですが、制度設計をしていないと、感情の対立が会社の意思決定を直撃します。
これらの失敗に共通する本質は、「相続を経営の延長として設計していなかった」ことです。弁護士の立場から見れば、相続対策とは紛争を前提に、最悪の事態でも会社が揺れない構造を作ることにあります。結果論として揉めなかったとしても、揉めても耐えられる設計がなければ、経営者としての責任を果たしたとは言えません。
相続のタイミングで自社株を買い取られるリスクとは
相続対策において、経営者が最も見落としやすく、かつ致命的なリスクが「相続のタイミングで、自社株を少数株主に買い取られる可能性」です。これは一般に知られている相続税や遺留分の問題とは異なり、会社法の仕組みそのものに由来します。実務では、この現象が「相続クーデター」と呼ばれることもあります。
多くの中小企業の定款には、「株式の譲渡制限」や「相続人に対する売渡請求」に関する条項が入っています。これ自体は、本来、会社の安定性を守るための制度です。第三者が意図せず株主になることを防ぎ、経営者と株主の信頼関係を維持するために設計されています。しかし、相続という場面では、この制度が後継者に対して牙をむくことがあります。
相続が発生すると、後継者は被相続人の株式を取得します。しかし、会社法上は「相続で株式を取得した者」も、定款の定めによっては、会社や他の株主から「その株式を売り渡せ」と請求される立場に置かれます。ここで重要なのは、後継者が大株主であっても、この売渡請求の対象になる点です。90%の株式を相続しても、制度上は「排除される側」に回る可能性があるのです。
さらに問題なのは、時間です。売渡請求は、相続発生後、極めて短期間で進行します。後継者が相続手続、葬儀、金融機関対応、従業員対応に追われている間に、少数株主側が株主総会の準備を進め、決議が成立することも珍しくありません。相続は感情的にも負担が大きい局面ですが、法制度は一切待ってくれません。
このリスクが現実化すると、後継者は「自社株を手放すか」「短期間で価格交渉や裁判手続に入るか」という二択を迫られます。いずれを選んでも、経営に集中できる状況ではありません。特に、会社の将来性や成長戦略を十分に反映しない低い評価額での買取が進められると、後継者にとっては取り返しのつかない結果になります。
重要なのは、このリスクが「例外的な特殊ケース」ではないという点です。定款に該当条項があり、相続人以外に少数株主が存在する会社であれば、いつでも起こり得ます。つまり、対策を取っていない限り、相続クーデターは潜在的に“常時オン”の状態にあるといえます。
弁護士が解説する「相続クーデター」の法的仕組み
相続クーデターが成立してしまう最大の理由は、売渡請求に関する会社法の構造にあります。ポイントは、「誰が議決権を行使できるか」です。
売渡請求を実行するには、株主総会の特別決議が必要です。特別決議は、議決権の3分の2以上の賛成で成立します。ここで一見すると、後継者が大半の株式を相続していれば問題ないように見えます。しかし、会社法は、売渡請求の対象となる相続人に対して、その決議における議決権行使を認めていません。
つまり、後継者が90%を相続していても、その90%分の議決権は“カウントされない”のです。残りの10%を持つ少数株主だけで、特別決議が成立してしまう理論構造になります。これは、相続人が自分に有利な決議を通すことを防ぐための制度ですが、実務では完全に逆転しています。
決議が成立すると、後継者には株式売渡請求の通知が届きます。そこから先は、20日という非常に短い期間内に、会社との価格協議をまとめるか、裁判所に価格決定の申立てを行わなければなりません。この期限を逃すと、売渡請求はそのまま確定し、後継者は株式を失います。
さらに厄介なのは、裁判所が決める株価が、相続税評価額と一致しない点です。裁判所は、配当還元法や収益還元法などを用いて評価するため、相続税評価よりも低い金額になることも珍しくありません。結果として、後継者は「高い評価額で相続税を払い、低い評価額で株式を失う」という二重の不利益を被る可能性があります。
このように、相続クーデターは、感情や人間関係とは無関係に、法的に淡々と進行します。だからこそ、相続後に慌てて対応するのではなく、相続前に制度そのものを使えない状態にしておく、あるいは影響を受けない構造にしておく必要があります。
経営権を守るために相続前にやるべき自社株対策
相続で経営権を失わないための最大のポイントは、「相続が起きた瞬間に、会社法上の選択肢が残っている状態を作ること」です。相続後に打てる手は極端に限られますが、相続前であれば複数の有効な選択肢があります。ここでは、弁護士の実務感覚から見て、現実的かつ再現性の高い対策を整理します。
第一の基本戦略は、「自社株を後継者に集中させる設計」です。経営権は株式の保有割合で決まる以上、後継者が安定的に過半数、可能であれば3分の2以上を確保できる構造を作ることが出発点になります。ただし、単純に遺言で集中相続させるだけでは、遺留分の問題が必ず発生します。そこで重要になるのが、代償資金の確保です。
実務で最も多く使われるのが、生命保険を活用した代償分割です。経営者を被保険者、後継者を受取人とする保険を設計しておけば、相続発生時に後継者は現金を確保できます。この現金で他の相続人の遺留分相当額を支払うことで、自社株を分散させずに済みます。保険金は遺産分割の対象外になるため、交渉がこじれにくい点も大きなメリットです。
第二の戦略は、「持株会社スキームの活用」です。経営者が保有する事業会社株式を、事前に持株会社へ集約しておくことで、相続の対象は持株会社の株式になります。事業会社の株主構成が変わらないため、相続クーデターや少数株主リスクを根本から遮断できるのが最大の強みです。一方で、設立コストや管理負担が増えるため、会社規模や将来のM&A計画も含めて検討する必要があります。
第三の戦略が、「種類株式・黄金株による議決権設計」です。後継者に拒否権付種類株式(いわゆる黄金株)を持たせることで、重要な決議については後継者の同意がなければ成立しない構造を作ることができます。これにより、株式数が一時的に分散しても、経営権の中枢は守られます。ただし、定款設計が複雑になり、税務評価が不明確になるケースもあるため、専門家の関与は必須です。
第四の重要対策が、「定款の見直し」です。特に注意すべきなのが、相続人に対する売渡請求条項の有無です。この条項がある限り、相続クーデターのリスクは完全には消えません。相続前の段階で、条項を削除する、もしくは発動条件を厳格に制限することで、リスクを大幅に下げることができます。相続後に定款を変えようとしても、特別決議が必要となり、現実的ではありません。
これらの対策は、単独で使うよりも、組み合わせて設計することで効果を発揮します。重要なのは、「税金が安くなるか」よりも、「最悪の事態でも会社が動き続けるか」という視点で優先順位を付けることです。
弁護士が勧める優先順位付き対策ロードマップ
相続対策は一度に完成させるものではありません。経営者の年齢、後継者の成熟度、会社の業績に応じて、段階的に進めることが重要です。以下は、実務上おすすめできる優先順位付きロードマップです。
第一段階(今すぐ着手):定款・株主構成の確認
まず行うべきは、定款の精査と株主名簿の整理です。株券発行会社になっていないか、売渡請求条項が入っていないか、名義株や所在不明株主がいないかを確認します。ここを放置したままでは、どの対策も不安定になります。
第二段階(60代前半~中盤):評価と設計
次に、自社株の相続税評価を行い、遺留分がどの程度発生するかを把握します。その上で、生命保険・遺言・贈与・持株会社などの手段を比較し、どの組み合わせが最適かを設計します。この段階で家族会議を行い、方針を共有しておくことが後の紛争予防につながります。
第三段階(60代後半):実行フェーズ
設計が固まったら、生命保険の加入、定款変更、必要に応じた株式移転を実行します。ここで重要なのは、一気にやりすぎないことです。後継者の経営能力や関係性を見極めながら、段階的に進めます。
第四段階(70代):最終確定
最終的に、公正証書遺言を作成し、誰がどの財産を引き継ぐのかを明確にします。この段階では、弁護士・税理士の関与は不可欠です。曖昧な表現は、将来の紛争の火種になります。
このロードマップの本質は、「相続を時間のあるプロジェクトとして扱う」ことです。早く始めるほど、選択肢は増え、リスクは下がります。
定款整備を怠ると起きる最悪のシナリオ
相続対策の議論において、定款は後回しにされがちです。しかし、実務上もっとも深刻なトラブルの多くは、「定款を確認しないまま相続を迎えた」ことに起因します。定款は会社の憲法ともいえる存在であり、相続という非常時には、そこに書かれた文言がそのまま後継者の運命を決めます。
最悪のシナリオの一つが、相続人に対する売渡請求条項が残ったまま相続が発生するケースです。後継者は、株式を相続した瞬間から、会社や少数株主による売渡請求の対象になります。しかも、前述のとおり、その決議に後継者自身は参加できません。結果として、後継者は経営の意思とは無関係に、自社株を失うリスクを常に背負うことになります。
もう一つ深刻なのが、株券発行会社のまま放置されているケースです。旧商法時代に設立された会社の多くは、定款に「株券を発行する」と記載されたままになっています。この状態で株式の贈与や譲渡、相続が行われると、株券の交付がなければ第三者に対抗できないという問題が生じます。親族間では問題にならなくても、相続紛争や税務調査の場面で、株主適格そのものが争われることがあります。
さらに、定款が曖昧なまま相続を迎えると、相続後の修正が極めて困難になります。相続後の定款変更には特別決議が必要であり、すでに対立関係にある相続人や少数株主が反対すれば、事実上不可能です。「相続後に整理すればいい」という判断が、結果として会社の主導権を永久に失う引き金になることもあります。
定款は、平時には存在を意識されません。しかし、相続という局面では、定款が唯一のルールブックとして機能します。だからこそ、相続対策の第一歩は、節税でも贈与でもなく、定款の点検と整備であるといえます。
今すぐ確認すべき定款チェックポイント
相続対策の観点から、経営者が最低限確認すべき定款のポイントは以下のとおりです。
第一に、「株券を発行する」という記載があるかどうかです。記載がある場合は、原則として株券発行会社に該当します。相続・贈与・譲渡の安全性を確保するためには、「株券を発行しない」旨への変更を検討すべきです。
第二に、「相続人等に対する売渡請求」に関する条項の有無です。この条項がある場合、相続クーデターの温床になります。削除または発動条件の見直しを相続前に行うことが重要です。
第三に、種類株式に関する定めです。拒否権付種類株式や議決権制限株式を導入している、あるいは将来導入予定がある場合、定款の設計が実態と合っているかを確認します。中途半端な設計は、かえって紛争を招きます。
第四に、株主名簿に関する規定と実態です。定款に基づき、株主名簿が正確に整備されているか、名義株や所在不明株主が放置されていないかを確認します。
これらは、いずれも専門的な判断を要する事項です。経営者自身の目視確認だけで済ませず、弁護士などの専門家とともにチェックすることが、後継者を守る最短ルートになります。
神奈川県で弁護士に相談すべき理由
相続対策について「まずは税理士に相談する」という判断は一般的ですが、経営権の問題まで含めて考えると、それだけでは不十分なケースが多く見られます。なぜなら、相続で経営権を失うリスクの多くは、税務ではなく会社法・民法の構造に起因しているからです。
特に神奈川県の中小企業では、株主構成が複雑であったり、定款が長年更新されていなかったりする例が少なくありません。このような状況では、「相続税はいくらか」「納税資金は足りるか」だけを検討しても、根本的なリスクは解消されません。売渡請求条項、議決権制限、種類株式、株主総会決議要件といった論点は、弁護士が関与しなければ適切な判断ができない分野です。
また、相続対策は「紛争を起こさないための設計」であると同時に、「紛争が起きても会社が揺れない構造」を作る作業です。これは、実際に紛争対応を経験している弁護士だからこそ、現実的なシナリオを想定した助言が可能になります。理論上は有効でも、実務では使えない対策は少なくありません。
さらに、神奈川県内で事業を行う企業の場合、地域特有の取引関係や金融機関対応も無視できません。相続をきっかけに経営体制が不安定になると、金融機関や主要取引先の評価が一気に変わることもあります。相続対策は、社内だけで完結する問題ではなく、対外的な信用維持の問題でもあります。
弁護士に早い段階で相談することで、税理士・司法書士と連携しながら、法務・税務・登記を一体で設計することが可能になります。結果として、後継者が「相続後に走り回る必要のない状態」を作ることができるのです。
まとめ|相続は経営者にとって最後の経営判断
会社経営者にとって相続対策とは、単なる相続税対策ではありません。それは、会社の支配権を誰に、どのような形で引き継ぐのかという、最後の経営判断です。自社株が分散すれば、経営権は揺らぎ、少数株主や親族間の利害対立が会社経営に直接影響します。
本記事で見てきたとおり、相続のタイミングでは、後継者が想像以上に不利な立場に置かれる制度が存在します。相続クーデター、遺留分による資金流出、定款条項による排除――いずれも、感情や信頼では防げないリスクです。
重要なのは、「何も起きていない今」こそが、最も多くの選択肢を持てるタイミングだという点です。相続が発生してからでは、打てる手は限られます。逆に、相続前であれば、定款の整備、株主構成の整理、資金手当、議決権設計など、会社を守るための現実的な選択肢が残されています。
相続対策を後回しにすることは、築いてきた事業を次世代に「未処理のリスク」として引き渡すことにほかなりません。経営者としての責任は、事業を育てることだけでなく、安全に引き継ぐことまで含まれます。
【相続・事業承継のご相談】
自社株の相続や事業承継について、
・定款を何年も確認していない
・株主構成を正確に把握していない
・後継者に経営権を集中させたいが方法が分からない
このような状態であれば、早めの専門家相談が重要です。
神奈川県で相続・会社法を扱う弁護士であれば、相続税だけでなく、経営権・議決権・定款構造まで含めた総合的な視点での助言が可能です。初回相談では、定款・株主構成・家族関係を確認するだけでも、潜在的なリスクが明確になります。
「まだ元気だから」「そのうち考える」ではなく、選択肢がある今こそが行動のタイミングです。会社と家族の未来を守るために、まずは現状確認から始めてみてください。
弁護士 大石誠
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