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横浜の相続対策に影響大!民法改正案の最新情報

  • 執筆者の写真: 誠 大石
    誠 大石
  • 8月25日
  • 読了時間: 12分

更新日:5 日前

はじめに

相続対策を考えるうえで、遺言の作成はとても重要な手続きです。しかし、「手書きじゃないとダメ?」「保管はどうすればいいの?」と不安に思われる方も多いのではないでしょうか。特に横浜のような都市部では、高齢の親がいるご家庭や、離れて暮らす家族の間で相続への関心が高まっています。


そんな中、現在進められている民法改正案では、遺言制度に大きな変更が検討されています。特に、デジタル技術を活用した新たな遺言の方式や、公的機関での保管制度の導入など、私たちの暮らしにも大きく関わる内容が盛り込まれています。


この記事では、弁護士の視点から、横浜にお住まいの方に向けて、民法改正案の内容や注意点をわかりやすく解説します。相続対策をこれから始めたいとお考えの方も、ぜひ参考にしてみてください。


横浜で相続対策を考えるなら知っておきたい民法改正案の概要

今回の民法改正案の中でも、特に注目されているのが「遺言の方式」に関する変更です。これまで、遺言書は主に「自筆証書遺言」や「公正証書遺言」などが主流でしたが、今後はより柔軟で、現代社会に合った形での作成が可能になるかもしれません。


まずポイントとなるのが、デジタル技術を活用した新たな遺言方式の創設です。現在検討されている案は、大きく分けて3つの案があります。


A案では、遺言の内容をパソコンなどで入力し、電子ファイルとして作成したうえで、その内容を本人が口述し、録音・録画によって記録する方式です。

さらに、証人が立ち会って内容の確認をする案や、立ち会いを不要とし、生体認証などの技術で本人確認を行う案も含まれています。


B案は、公的機関、たとえば法務局などで、電子的に作成した遺言データを保管する制度です。本人がオンラインで申請し、必要に応じて出頭して内容を口述することで、真意を確認する手続きが行われます。


一方のC案では、遺言内容を紙に印刷して保管することを前提とした方式です。こちらも公的機関での本人確認や保管申請が必要ですが、デジタルに不慣れな方にとっては親しみやすい方法かもしれません。


これらの方式の導入により、遺言を残すための選択肢が広がるとともに、法的なトラブルの予防にもつながることが期待されています。特に、横浜のように高齢者世帯が多く、相続問題が身近にある地域では、今回の民法改正が大きな意味を持つことになるでしょう。


デジタル時代に対応した新たな遺言方式とは?

デジタル技術を取り入れた新しい遺言方式は、これまでの手書き中心のやり方に比べ、格段に利便性が高まります。

たとえば、A案では、パソコンなどで遺言の内容を記録したうえで、本人がその内容を声に出して説明し、録音・録画で保存する方式が検討されています。


特に注目されているのがAの中でもさらに細分化されて検討中の案です。

A1案では、2人以上の証人が立ち会い、遺言の内容と本人の意思を確認することが求められます。

一方、A2案では、証人の立ち会いは不要とされ、生体認証などの技術で本人性を担保する仕組みです。


このような方式の導入によって、体の不自由な方や遠方に住む方でも、より簡単に遺言を作成できる環境が整いつつあります。特に、家族と離れて暮らす高齢者が多い横浜では、こうした制度が心強いサポートとなるでしょう。


公的機関による保管制度の導入予定内容

新たな民法改正案では、遺言の保管方法についても大きな見直しが検討されています。特に、B案とC案では、公的機関が遺言を保管する制度の創設が提案されています。

たとえば、法務局などが想定されており、遺言者が作成した内容を提出し、本人確認を受けたうえで正式に保管される流れとなります。


この制度が導入されることで、遺言書の紛失や改ざんのリスクを減らせるだけでなく、相続開始後に相続人が遺言の有無を確認できる仕組みも整備される予定です。具体的には、証明書の発行や閲覧、他の相続人への通知といったサービスが想定されています。


横浜のように人口が多く、相続に関わる関係者も多様化している地域では、こうした一元的な保管制度は非常に実用的です。遺言の存在を明確にし、無用なトラブルを未然に防ぐ効果が期待されます。


横浜の弁護士が見る遺言制度の今後の課題と注意点

民法改正によって遺言制度がより柔軟になる一方で、現場では新たな課題も見えてきます。特に、デジタル技術を取り入れた遺言方式は便利である反面、真意性や本人確認の精度が問われるため、注意が必要です。


たとえば、A2案では証人の立会いが不要とされ、生体認証や電子署名によって本人性を担保する仕組みが検討されています。

しかし、弁護士の立場から見ると、これだけで真に本人の意思が反映された遺言であると判断するのは難しいケースもあります。特に、電子署名については、家族による不正利用の可能性も完全には否定できません。


また、録音・録画による記録方式も一見すると確実に思えますが、高齢者やIT機器に不慣れな方がうまく扱えるかという懸念もあります。たとえば、横浜のように高齢者人口が多いエリアでは、機器操作の不慣れからくる記録ミスや形式不備によって、せっかくの遺言が無効とされるリスクもあります。


さらに、証人の立会いにウェブ会議を用いる案についても、通信環境や映像の不鮮明さから、証人が本当に遺言者の意思を確認できたのかという点に疑問が残ることがあります。日弁連もこの点について、反対の意見を示しています。


これらの点から、制度が整っていく中でも、最終的な真意の確認にはやはり専門家のサポートが不可欠です。どの方式を選ぶかによってリスクの程度が異なるため、遺言を作成する際は、信頼できる弁護士に相談し、具体的な状況に応じたアドバイスを受けることが何より大切です。


デジタル遺言における真意性・安全性の懸念

デジタル方式の遺言が導入されることで利便性は向上しますが、その一方で「本当に本人の意思によるものか?」という懸念は拭いきれません。特に、A2案のように証人が立ち会わない形式では、生体認証や電子署名といった技術が本人確認のカギを握ります。


しかし、生体認証の設定や電子署名の管理が本人以外の手によって行われた場合、不正のリスクがゼロとは言えません。また、高齢者が自ら操作するにはハードルが高いケースも多く、親族による関与が疑われる事態も想定されます。


弁護士としては、こうした新たな方式を利用する場合こそ、専門家による第三者の関与や、手続きの記録・確認が欠かせないと感じています。形式が整っていても、その裏にある意思の真実性をしっかりと担保することが、より重要になるでしょう。


証人の立会いや本人確認のポイントとは?

遺言が法的に有効となるためには、「本人の意思に基づいて作成されたこと」が明確である必要があります。その点で重要なのが、証人の立会いや、適切な本人確認の手続きです。


A1案では、遺言者が遺言の内容を証人の前で口述し、その様子を録音・録画することで、真意性を担保する方式が採用されています。証人が2人以上必要であり、内容をきちんと確認することが求められます。ただし、日弁連はウェブ会議による証人立会いには慎重な立場を示しており、通信環境によって正確な確認ができない恐れがあるとしています。


一方で、証人なしでの本人確認を行うA2案は、より簡便な方式である反面、セキュリティ面での課題も多く、弁護士としては慎重な活用が望まれるところです。どちらの方式を選ぶ場合も、遺言者の立場に立った丁寧な対応が不可欠です。


案名

概要

日弁連の意見

主なポイント(補足)

A1案(証人立会型)

- 電磁的記録に遺言内容等を記録 - 証人2名の前で全文を口述    - 証人が口述の符合を承認    - 一連の口述・状況を録音録画

✔️ 賛成

✅ 真意性・真正性を担保     ✅ 録音録画により後日検証可能  ❌「趣旨」の口述案には反対   ❌ Web会議による立会いには反対(伝達の不確実性)      ⚠️ 証人資格やAI作成遺言の問題点にも言及

A2案(証人不要型)

- 証人不要   - 電磁的記録+電子署名     - 全文口述を録音録画      - 第三者排除・生体認証等を要件とする

反対

⚠️「相当な措置」が不十分で真意性を確保できない ⚠️ 実質的内容の省令委任は不適切 ⚠️ 小型イヤホン等による不正のリスク       ⚠️ 電子署名の限界(親族等による関与防止が不十分)

B案(電磁記録+公的保管)

- 遺言内容を電磁的記録     - 公的機関にオンライン申請   - 本人確認+全文口述(Web会議も可)      - 保管された遺言は検認不要

✔️ 賛成

✅ 本人確認・全文口述で真意性担保✅ 偽造・紛失防止、公的機関での保管      ✅ 検認不要により手続き簡素化  ❌ 宣誓による口述代替案には反対 ✅ Web会議は公的機関管理下であれば許容

C案(書面+公的保管)

- 電磁的記録を印刷して書面作成 - 公的機関に提出・本人確認  - 出頭+全文口述(Web会議も可) - 書面保管。検認不要

✔️ 賛成

✅ 書面を希望する遺言者ニーズに対応       ✅ 本人確認・全文口述でB案と同等の信頼性    ❌ 宣誓による代替には反対    ✅ Web会議での口述は許容    ⚠️ 電子的な実行可能性はB案に劣るが現行制度よりは優良


横浜での相続対策に民法改正案がどう活きるか

横浜は人口が多く、多世代が共に暮らす家庭や、親子で離れて生活している家庭も少なくありません。そのような環境では、相続に関する準備や手続きが複雑になりがちです。今回の民法改正案で導入が検討されている新たな遺言方式や保管制度は、横浜に暮らす人々にとって大きな味方となる可能性があります。


まず、遺言の作成方法の選択肢が広がることで、これまで遺言作成にハードルを感じていた方でも、取り組みやすくなります。たとえば、体力的に外出が難しい高齢者が、自宅にいながら録音・録画を活用して遺言を作成できる点は非常に画期的です。また、デジタル化によって書面を郵送する手間や、押印などの煩雑な作業を省略できるケースも出てきます。


保管制度の導入も、横浜のような大都市においては特に効果的です。相続が発生した際、「遺言がどこにあるかわからない」「内容に疑問がある」といったトラブルは非常によく見られます。法務局などの公的機関が遺言を保管し、内容を証明する仕組みが整えば、相続人間の無用な争いを防ぐことにもつながります。


また、横浜では不動産を所有しているご家庭も多く、相続の際には登記や名義変更といった手続きも発生します。遺言によって所有権の移転がスムーズに進めば、相続手続き全体の負担も軽減されます。特に、法的に有効な遺言書が事前に準備されていれば、家族間の合意形成もスムーズに進み、安心して次の世代へ財産を引き継ぐことができます。


民法改正によって、より柔軟かつ確実な遺言制度が整えば、横浜の相続対策は一段と現実的で身近なものになります。だからこそ、制度の詳細を正しく理解し、自分に合った方法で備えておくことが大切です。


遺言の作成・保管の選択肢が広がるメリット

民法改正案によって、遺言の作成・保管方法に複数の選択肢が用意されるようになると、個々の事情に合わせた柔軟な対応が可能になります。たとえば、「パソコンの操作に慣れているが、外出は難しい」という方にはA案のような方式が合っていますし、「紙でしっかりと形に残したい」という方にはC案が向いています。


また、公的機関による保管制度が導入されれば、「遺言をどこにしまったかわからなくなってしまう」といった不安も解消されます。遺言の存在が確実に記録され、必要に応じて内容が証明される仕組みは、相続人にとっても大きな安心材料になります。


こうした多様な手段が用意されることで、より多くの人が自分にとって最適な形で相続の準備を進めることができるようになります。制度が整えば整うほど、実際の活用が進むことも期待されます。


改正案が与える影響と横浜の実情に即した対策法

横浜は高齢化が進んでいる一方で、首都圏の一部として世代交代や財産の移転が活発な地域でもあります。そのため、相続に関するトラブルも比較的多く、遺言の有無が問題になるケースも少なくありません。


今回の民法改正案によって、デジタル遺言や公的機関による保管制度が整備されれば、こうしたトラブルの予防に大きな効果が期待できます。特に、遺言書の存在や内容が明確になれば、「こんな遺言は知らなかった」という争いを避けやすくなります。


横浜では、早い段階で弁護士などの専門家と連携し、自身の財産や家族構成に合った遺言の作成を進めることが肝心です。新制度の導入に備えて、いまのうちから自分に合った準備を始めておくことが、安心につながる第一歩となるでしょう。


まとめと今後の動向~横浜の相続対策はどう変わる?~

民法改正案によって、遺言制度はこれまで以上に多様化・柔軟化が進むことになります。デジタル化や保管制度の整備は、横浜のように高齢者が多く、家族構成が複雑な地域にとって、相続対策をより身近にする大きな一歩です。


ただし、方式が増える分、どの方法が自分に適しているかを見極めるのが難しくなることも考えられます。だからこそ、制度の内容を正しく理解し、専門家の力を借りながら、後悔のない準備を進めていくことが大切です。


横浜で相続・遺言に関するご相談は弁護士へ

遺言や相続の手続きは、一見するとシンプルに思えるかもしれませんが、実際には法律の知識や手続きの正確さが求められる分野です。特に、民法改正によって新しい制度が導入される今後は、選択肢が広がる一方で、判断に迷う場面も増えるかもしれません。


横浜で相続対策をお考えの方は、ぜひ弁護士にご相談ください。弁護士であれば、ご家族の状況やご本人のご希望に合わせて、最適な遺言方式や準備の進め方をご提案できます。また、トラブルが起きる前にしっかりと手続きを整えておくことで、ご家族への負担も大きく減らすことができます。


無料相談や初回相談を受け付けている事務所も多いため、気軽に一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。


弁護士 大石誠

横浜市中区日本大通17番地JPR横浜日本大通ビル10階 横浜平和法律事務所

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