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【メモ】遺留分侵害額請求の消滅時効と遺産分割協議の申入れ

  • 執筆者の写真: 誠 大石
    誠 大石
  • 2024年12月10日
  • 読了時間: 2分

更新日:2025年3月19日

「遺留分侵害額請求権行使の意思表示は受遺者・受贈者に対して金銭債権を発生させるのに対し、遺産分割協議の申入れは、共同相続人に対して遺産の分割を求めるものであり、両社は内容を異にする。したがって、原則として、遺産分割協議の申入れには遺留分侵害額請求権行使の意思表示が含まれないとみられる。」(中略)「現行法の遺留分侵害額請求権については、改正前の遺留分減殺請求権と異なり、行使によって遺留分権利者は遺産を取り戻すことができず、単に金銭債権を取得するのみであるから、先例の基準はそのままでは妥当しない。しかし、相続人中の1人に全財産が遺贈され、遺贈の効力を争わずに遺産分割協議の申入れがされた前掲平成10年最判のような事案では、(相続人中の1人の相続分をすべてとする相続分指定でも同様である)、以前の減殺請求権の場合と同様に、申入れに(黙示の)遺留分侵害額請求権行使の意思表示が含まれているとみるのが合理的とみられる。」

(論点体系「判例民法11」第4版 574ページ~575ページ)


「相続法改正後の民法では、金銭請求しかできず、遺産を構成する個々の物又は権利の一部を請求することはできないから、上記判例の個々の物または権利の一部を請求するという形式の遺産分割の申入れをしただけでは遺留分請求をしたとは認められないことになるか、あるいは、申入れの趣旨が金銭その他の財産給付を認めるという意思内容は同じであり、代物弁済が成立することもあり得るのであるから、同様に解すべきか、上記判例の射程距離は問題である」

(「実務 相続関係訴訟」第3版 371ページ)


「遺留分侵害額請求の意思表示により生じた金銭債権と遺産分割との間での要件・効果および裁判手続の違いに鑑みれば、遺留分を侵害されたと主張する相続人が自己の遺留分を主張して金銭の給付を求める行為は、遺産分割の手続を申し入れる行為とは分けて捉えるのが適切である。遺留分を侵害された相続人が遺産分割協議を申し入れたり、家庭裁判所に審判を申し出たとしても、これによって直ちに遺留分侵害額請求をしたとは言いがたい。遺産分割協議の申入れの中に遺留分の主張が含まれると解するのは適切でない。」

(「詳解 相続法」潮見佳男 545ページ)


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