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「兄弟姉妹に遺留分がない」のはなぜ?相続順位との違いを解説

  • 執筆者の写真: 誠 大石
    誠 大石
  • 3 日前
  • 読了時間: 4分

相続の相談でよく聞かれる疑問の一つが、「兄弟姉妹は法定相続人なのに、なぜ遺留分が認められていないのか」という点です。相続では、被相続人の意思を反映する遺言と、相続人の生活保障を目的とした制度がバランスを取りながら運用されています。その中で重要な役割を果たすのが「遺留分」です。しかし、すべての法定相続人に遺留分が認められているわけではありません。


この記事では、兄弟姉妹に遺留分がない理由や相続順位との関係、実務上の注意点についてわかりやすく解説します。


兄弟姉妹に遺留分がないとは


遺留分とは、一定の相続人に法律上保障された最低限の相続分を指します。被相続人が遺言によって財産を特定の人へ集中して承継させた場合でも、遺留分権利者は不足分を請求できます。


一方で、民法では配偶者、子、直系尊属(父母や祖父母など)には遺留分が認められているものの、兄弟姉妹には認められていません。そのため、「全財産を第三者へ遺贈する」という遺言があった場合でも、兄弟姉妹は遺留分侵害額請求を行うことができません。


つまり、兄弟姉妹は法定相続人になる場合があっても、遺留分権利者には含まれていないのです。


相続順位と遺留分は別の制度


相続順位と遺留分は混同されやすいですが、目的が異なります。


相続順位とは、誰が法定相続人になるのかを決めるルールです。第一順位は子、第二順位は父母などの直系尊属、第三順位は兄弟姉妹となっています。


一方、遺留分は相続人の生活保障や家族関係への配慮を目的とした制度です。そのため、相続人であることと遺留分を持つことは必ずしも一致しません。


例えば、被相続人に子も親もいない場合、兄弟姉妹が法定相続人になります。しかし、遺言によって全財産を他人へ遺贈された場合でも、兄弟姉妹は遺留分を主張できません。


このように、相続順位は「相続人になる順番」、遺留分は「最低限保障される取り分」であり、法律上は別々の制度として設計されています。


兄弟姉妹に遺留分が認められていない理由


兄弟姉妹に遺留分が認められていない理由として、被相続人との関係性の違いが挙げられます。


配偶者や子は、通常、被相続人と生活や経済基盤を共有しているケースが多く、相続による生活保障の必要性が高いと考えられています。また、父母などの直系尊属も家族関係の中で特別な位置づけがあります。


これに対し、兄弟姉妹は独立した世帯を持ち、それぞれが別の生活基盤を築いていることが一般的です。そのため、相続による生活保障の必要性は比較的低いと考えられています。


また、被相続人の財産処分の自由を尊重する観点からも、兄弟姉妹には遺留分を認めず、本人の意思を優先させる仕組みになっています。


兄弟姉妹が相続人になるケース


兄弟姉妹が相続人になるのは、被相続人に子や孫などの直系卑属がいない場合で、さらに父母や祖父母などの直系尊属もいないケースです。


例えば、独身で子どもがなく、両親も既に亡くなっている方が亡くなった場合、兄弟姉妹が相続人になります。


この場合、遺言がなければ法定相続分に従って財産を相続できます。しかし、有効な遺言によって他人へ財産を承継させる内容が定められていれば、兄弟姉妹はそれに対抗することが難しくなります。


なお、兄弟姉妹が亡くなっている場合には、その子である甥や姪が代襲相続人になることがありますが、甥や姪にも遺留分は認められていません。


士業の視点から見る実務上の注意点


相続実務を扱う専門家の立場から見ると、兄弟姉妹が関係する相続では遺言書の重要性が特に高いといえます。


例えば、「長年世話になった友人へ財産を残したい」「内縁の配偶者へ財産を承継させたい」という場合、兄弟姉妹しか法定相続人がいなければ、適切な遺言書を作成することで希望を実現しやすくなります。


一方で、遺言書の形式不備や内容の不明確さがあると、相続手続きが複雑化する可能性があります。公正証書遺言の活用や専門家による事前確認は有効な対策です。


また、兄弟姉妹間でも感情的な対立が生じることがあるため、財産承継の意図を明確にしておくことが円満な相続につながります。


まとめ


兄弟姉妹に遺留分がないのは、相続順位と遺留分が異なる制度であり、兄弟姉妹には生活保障の必要性が比較的低いと考えられているためです。兄弟姉妹は法定相続人になることがありますが、遺留分権利者には含まれません。


そのため、兄弟姉妹しか相続人がいない場合には、遺言による財産承継の自由度が高くなります。一方で、遺言書の作成方法や相続手続きには法的な注意点も多く存在します。


将来の相続トラブルを防ぎ、自分の意思を確実に実現するためには、弁護士などの専門家へ早めに相談し、適切な相続対策を進めることが重要です。


弁護士 大石誠

横浜市中区日本大通17番地ゲートテラスヨコハマ10階 横浜平和法律事務所

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