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高齢者の遺言は無効になる?横浜の弁護士が遺言能力のポイントを解説

執筆者の写真: 誠 大石誠 大石

遺言が無効になるリスクとは?


「せっかく遺言を作成したのに、無効になってしまった……」これは相続トラブルの現場でよくあるケースです。

遺言は、財産をどのように分配するかを決める重要な法的文書ですが、遺言能力(遺言を作成する際の判断能力)が不足していると、裁判で無効と判断されることがあります。特に、高齢者が遺言を作成する場合、認知症や判断力の低下が問題となりやすく、相続人同士の争いに発展することも少なくありません。

「遺言を作ったのに無効になるなんて……」と後々困らないためには、どのような場合に遺言が無効と判断されるのかを理解し、対策を講じることが大切です。

この記事では、横浜市・川崎市で遺言を作成する方や、遺言の有効性が心配な方に向けて、遺言能力のポイントや裁判例をもとに解説します。


遺言が無効になる主な理由とは?

横浜・川崎の裁判例から見る遺言能力の判断基準

遺言を確実に有効にする方法とは?

弁護士の視点から、具体的なポイントを詳しく解説していきます。


遺言が無効になる主な理由とは?


遺言は、原則として遺言者の最終意思として尊重されますが、一定の条件を満たさない場合は 「無効」 となる可能性があります。ここでは、遺言が無効と判断される主な理由 を解説します。


遺言能力が認められないケース


1. 遺言時に判断能力が不足していた場合

遺言が有効と認められるには、遺言者に「遺言能力」があったこと が前提となります。


遺言能力とは?

民法963条では、「満15歳以上であれば遺言ができる」とされていますが、遺言をする際に、遺言の内容を理解し、その法律的な効果を認識する能力が必要 です。

しかし、遺言者が次のような状態だった場合、遺言能力が欠如していたと判断される可能性があります。

認知症の進行により、判断能力が低下していた

精神疾患や意識障害により、意思決定が困難な状態だった

薬の影響で意識がもうろうとしていた


特に、認知症と診断されている場合、遺言が無効とされるリスクが高まります。遺言能力が争われた裁判では、遺言作成当時の医師の診断記録や認知症検査(HDS-R、MMSE)の結果が判断基準の一つ になります。

事例:認知症が進行した高齢者の遺言が無効とされたケース遺言者(85歳)は、認知症の診断を受けていたMMSE(認知症検査)のスコアが7点(30点満点中)と低く、意思判断能力が著しく低下遺言作成の数ヶ月前に成年後見制度の申立てがされていた→ 裁判所は、遺言能力がなかったと判断し、遺言は無効となった

2. 遺言の形式が法律に違反している場合

遺言は、法律で定められた方式に従わなければ無効 となります(民法960条)。

主な遺言の方式

自筆証書遺言(遺言者が全文を自筆で書く)

公正証書遺言(公証人の面前で作成)

秘密証書遺言(遺言内容を秘密にしつつ、公証役場で手続きを行う)

このうち、特に 「自筆証書遺言」 は要件を満たさないことが多く、無効になるケースが多発しています。

自筆証書遺言が無効になる例全文を自筆で書いていない(パソコンや代筆は無効)署名・押印がない日付が曖昧または欠落している(例:「令和○年○月吉日」など)加筆・修正が法律の方式に従っていない

一方、公正証書遺言は公証人が関与するため、方式ミスによる無効リスクが低い というメリットがあります。


3. 遺言が他者の影響を受けた可能性がある場合

遺言は、遺言者の自由な意思に基づいて作成されなければなりません。しかし、次のような場合は、遺言が無効と判断される可能性があります

親族や介護者から圧力を受けて作成した遺言(脅迫・強要)

特定の相続人に有利な内容になるよう誘導された遺言

遺言者が遺言の内容を十分に理解していなかった

事例:不当な影響を受けた遺言が無効とされたケース高齢の遺言者が介護を受けていた息子に「他の相続人には遺産を渡すな」と強要された遺言作成時、息子が弁護士との打ち合わせに立ち会い、遺言の内容を誘導した遺言者の過去の発言と内容が大きく異なっていた→ 裁判所は、「遺言が自由な意思に基づいていない」と判断し、無効とした

特に、高齢者が身近な親族の影響を受けやすい場合、公正証書遺言を作成し、公証人の面前で意思を確認することが重要 です。


裁判例から見る遺言能力の判断基準


遺言が無効かどうかを判断する際、「遺言能力」があったかどうか が重要なポイントになります。ここでは、実際の裁判例をもとに、どのようなケースで遺言が無効・有効と判断されるのかを見ていきましょう。


遺言能力が否定された裁判例(遺言が無効とされたケース)


ケース1:認知症が進行した状態で作成された遺言

事例概要 遺言者:87歳の男性遺言の種類:自筆証書遺言遺言内容:全財産を一人の相続人に譲る遺言作成時の状態:アルツハイマー型認知症(MMSEスコア 7点)

裁判所の判断

✔ 遺言作成時点で 重度の認知症 と診断されていた

✔ 遺言者は過去の発言と矛盾する内容の遺言を作成していた

✔ 医師の診断書に「判断能力が欠如している」と記載されていた

結論「遺言能力なし」と判断され、遺言は無効


ケース2:遺言作成の際、家族の強い影響を受けた

事例概要 遺言者:85歳の女性遺言の種類:自筆証書遺言遺言内容:長男にすべての財産を譲る遺言作成の経緯:長男が遺言作成を主導し、他の相続人には事前に知らされていなかった

裁判所の判断

✔ 遺言作成時、遺言者は 長男の強い影響を受けていた

✔ 長男が弁護士の手配・遺言内容の決定をしており、遺言者の自由意思が疑われる

✔ 遺言者は当時、軽度の認知症を発症していた

結論「遺言の自由意思が認められない」と判断され、遺言は無効


遺言能力が認められた裁判例(遺言が有効とされたケース)


ケース3:認知症の診断があっても、遺言の意思が明確だった

事例概要 遺言者:82歳の男性遺言の種類:公正証書遺言遺言内容:財産を3人の子供に平等に分配遺言作成時の状態:軽度認知症(HDS-Rスコア 16点)

裁判所の判断

認知症はあったが、日常会話や意思疎通は可能だった

公証人が遺言の意思を慎重に確認していた

遺言内容が合理的で、不自然な点がなかった

結論「遺言能力あり」と判断され、遺言は有効


ケース4:遺言作成時に公証人・証人の立ち会いがあった

事例概要 遺言者:79歳の女性遺言の種類:公正証書遺言遺言内容:自宅を長男に、預貯金を長女に譲る遺言作成の経緯:公証人が本人の意思を十分に確認

裁判所の判断

公正証書遺言だったため、形式上の問題がなかった

証人2名(弁護士・公証役場職員)が立ち会っていた

遺言者が自分の意思をはっきり伝えていた

結論「遺言能力あり」と判断され、遺言は有効


横浜・川崎で遺言を確実に有効にするためのポイント


1. 公正証書遺言を活用する

自筆証書遺言は無効リスクが高い

・形式ミスがあると無効になる

・偽造や改ざんのリスクがある


公正証書遺言のメリット

✅ 公証人が内容を確認するため、形式ミスがない

✅ 証人が立ち会うため、遺言の有効性が高まる

✅ 方式の不備による無効リスクが低い


2. 医師の診断や専門家の関与を活用する

認知機能が低下している場合の対策

遺言作成前に医師の診断を受け、認知症検査(HDS-R, MMSE)を実施する

弁護士に依頼し、遺言作成プロセスを明確にする

遺言作成時の意思確認を録音・録画する


3. 付言事項を活用して意思を明確に示す

付言事項とは?→ 遺言の中に「なぜその内容にしたのか」を記載する部分

例:「長男には介護をしてもらったため、自宅を譲ります。長女には現金を分配し、公平に扱いたいと考えました。」

付言事項があると、相続人の納得度が上がる

裁判で遺言の意思を証明する材料になる


まとめ・弁護士への相談のすすめ


遺言を確実に有効にするためには、

公正証書遺言の活用

医師の診断・認知症検査の実施

弁護士のサポートを受けるが重要です。


特に 横浜・川崎エリアでは、相続トラブルが増えており、遺言の有効性が問題になるケースも多い です。

「遺言が無効にならないか不安……」「遺言の作成を弁護士に相談したい!」

このような方は、横浜・川崎の弁護士に相談することをおすすめします

無料相談を実施している弁護士もいるため、気軽に問い合わせてみましょう!


以上、「高齢者の遺言は無効になる?横浜の弁護士が遺言能力のポイントを解説」でした!


弁護士 大石誠

横浜市中区日本大通17番地JPR横浜日本大通ビル10階 横浜平和法律事務所

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