遺言と相続リテラシー
- 誠 大石
- 2024年5月28日
- 読了時間: 2分
先日、日経新聞社主催の相続シンポジウムに参加しました。
パネルディスカッション②のファシリテーターが、事務所の元先輩ということもあり、現地参加に応募したところ、当選。
パネルディスカッションで特に印象に残ったのは以下の点でした。
【日本人の死生観と相続観】
・正常性バイアス遺言がないことの不都合性についての啓蒙活動が必要
・アメリカは、72歳以上の人口のうち81%が遺言書を残している。18歳〜34歳では24%主要因はエステートプラン
・戦後の死生観の空洞化からの過渡期
・「他者との関係性を法的に文書化すること」への遠慮がある(空気を読むことの対極の行為)
・「生と死を語り合うことで、他人の価値観に触れ、自分の価値観に気付く(死生観を形成する)機会を作ること」が大切
⇒これは縁ディングノートですね!
【認知能力と遺言能力】
・真意性の担保に付言事項(動機・経緯)を活用すると良い
・公証役場では後日、遺言能力をめぐって紛争になるかもしれないと認識すると、遺言者の当日の様子を記載した“遺言メモ”を作成している。これは23条照会や文書送付嘱託で取れる
・長谷川式で1ケタ台の点数の人は、認知症の検査をしないことも多い(一見して明らかだからテストする意味がない)。そういう患者の、うっかり調子良いタイミングを捕まえて、その瞬間を切り取ってカルテに記載があるために、法的紛争になるのではないか。ただ、医療現場の目的はあくまでも治療であって、カルテを目的外で使用されても…
・アメリカでは第三者からの影響を受けた遺言ではないか、という観点からの訴訟が多い典型は、庭師、看護師に相続させるという内容。遺言書作成のために弁護士を手配したのも庭師、看護師
・アメリカには遺留分の制度がない。また、ノーコンテストクローズという条項を入れておくことがある。つまり、遺言無効確認訴訟で敗訴した場合には、有効な遺言で指定された相続分すら取得させないという条項。これで訴訟を牽制している面がある
ファシリテーターを務めておられた先輩の勇姿を拝見しつつ、非常に勉強になりました
弁護士 大石誠
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