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遺言だけだと詰む?横浜の弁護士が教えるおひとりさま終活3契約

  • 執筆者の写真: 誠 大石
    誠 大石
  • 1月6日
  • 読了時間: 10分

はじめに

「遺言さえ作れば大丈夫ですよね?」——横浜でおひとりさまの終活相談を受けていると、この誤解が本当に多いです。

結論から言うと、遺言“だけ”では足りません。

遺言で決められるのは主に「財産を誰に渡すか(相続)」であって、亡くなった直後から発生する“実務”は自動では回らないからです。

たとえば、病院や施設の支払い・退院や遺体搬送の指示、賃貸の解約や家財撤去、電気ガス水道・携帯・サブスクの解約、葬儀や納骨の手配、役所への死亡届や年金・保険の手続——これらは「誰かが動く」ことで初めて進みます。

家族が薄いおひとりさまほど、ここで手続が止まりやすい。

さらに、認知症などで判断能力が落ちた瞬間、口座から引き出せず施設費が払えない、不動産を売れない、詐欺や不要契約を止められないといった“資産凍結に近い状態”にもなり得ます。

この記事では、よくある誤解を先に切ったうえで、横浜のおひとりさまが「何を・どの順番で」整えるべきかを、分岐表つきで整理します。


1. よくある誤解を先に切る

誤解①「遺言さえ作れば大丈夫」

遺言は大事です。ただし万能ではありません。

遺言が扱える中心は「相続(財産の帰属)」です。一方で、現実に先に来るのは“相続より前の手続”です。


- 病院・施設:費用の支払い、退院・搬送の指示、身元引受に近い実務

- 住まい:賃貸の解約、原状回復、郵便物の整理、家財撤去

- 日常契約:電気ガス水道、携帯、ネット、サブスク、クレカの解約

- 葬儀・納骨:依頼、費用、遺骨の扱い(誰が決めるのか)

- 役所:死亡届、年金、健康保険、介護保険など

これらは「遺言があるから誰かが勝手に動く」ものではありません。つまり、おひとりさま終活の本質は“気持ち”ではなく“担当者の設計”です。


誤解②「元気なうちは困らない」

困るのは元気なときではなく、判断能力が落ちた瞬間です。おひとりさまの場合、認知症等で意思能力が不十分になると、次のような状態に入りやすい。


- 口座からお金が引き出せない(施設費・生活費が払えない)

- 自宅が売れない/貸せない(資金化できない)

- 不利な契約を止められない(詐欺・不要契約)

- 重要書類の紛失・管理不能(手続が詰む)

この段階に入ってからでは、選べる制度が限られます。「今は元気だから後で」は、制度設計としては逆順です。


誤解③「おひとりさまは家族信託が使えない」

半分は正しいです。

家族信託は受託者(財産管理を担う人)がいないと成立しません。おひとりさまはここで壁に当たりやすい。ただし問題は「信託が無理」ではなく、「受託者を誰にするか」です。家族・信頼できる友人がいないなら、専門職受託や信託会社等の検討領域になりますが、難易度が上がるためDIYで雑に触ると事故率が高い。

結論として、多くの横浜のおひとりさまにとって現実的な基本線は、後述する「遺言+死後事務+認知症対策」です。


2. 結論|横浜のおひとりさまが整えるべき「3つの契約」

ここからは“結論パート”です。優先順位は次の順で考えると、実務が止まりにくくなります。

基本セット(優先度順)

1)死後事務委任契約(死後の実務を動かす)

2)遺言(+遺言執行者の指定)(財産の行き先と揉めにくさを決める)

3)認知症対策(任意後見等を中心に検討)


補助:財産目録、重要情報の保管場所、見守り体制(連絡網)


「遺言を作る」で止めると、肝心の死後の実務と認知症リスクが手つかずになります。逆に言えば、この3点を押さえれば、おひとりさま終活はかなり“事故りにくい”設計にできます。


① 死後事務委任契約:横浜で“死後の実務を動かす”要

死後事務委任契約は、亡くなった後に発生する事務(葬儀・納骨・賃貸解約・家財撤去・各種解約・関係者連絡など)を、誰がどこまで担うかを契約で決めるものです。

おひとりさま終活で最初に整える理由は単純で、「死後は本人が動けない」からです。


【具体的に入れやすい委任範囲(例)】

- 病院・施設費の精算、関係書類の受領

- 葬儀社への依頼、火葬・納骨、遺骨の引渡し先

- 賃貸の解約、原状回復手配、家財撤去業者の手配

- 電気ガス水道、携帯、ネット、サブスク等の解約

- 郵便転送・停止、各種会員サービスの退会

- ペットがいる場合の引受先への引渡し(重要)


注意点は「受任者が実務として動ける設計」にすることです。

たとえば費用の出どころ(預託金・立替精算・葬儀費用の確保)を曖昧にすると、受任者が動けずに止まります。横浜の賃貸は退去・原状回復・残置物撤去が絡みやすく、ここを契約で具体化しておくほど事故が減ります。


② 遺言(+遺言執行者指定):揉めにくさと実行性を上げる

遺言は「誰に何を残すか」を決める中核です。

特におひとりさまは、相続人が兄弟姉妹や甥姪になるケースが多く、関係が薄いほど連絡・協力が得られず手続が遅れがちです。そこで重要なのが「遺言執行者」の指定です。


遺言執行者を指定すると、名義変更や解約、遺贈の実行などを中心に“動ける担当者”が明確になります。指定がないと、相続人全員の協力が必要になる場面が増え、横浜でも「誰が手続するのか」で止まりやすい。遺言は作るだけでなく、実行担当までセットにして初めて機能します。


③ 認知症対策(任意後見等):判断能力低下による“資産凍結”を防ぐ

判断能力が落ちると、預金の引出し・不動産の売却・重要契約の締結が止まります。

おひとりさまは代わりに意思決定してくれる家族がいないため、施設費の支払いが詰むリスクが現実化しやすい。


基本線は「任意後見」を軸に、必要に応じて

- 見守り(安否確認・早期発見)

- 任意代理(元気なうちからの支払・手続代行)

を組み合わせることです。ここで大事なのは、“やりたいことが実際にできる権限設計”になっているか。不動産を将来売る可能性があるなら、売却・賃貸・管理の判断まで見据えて設計します。


3. 分岐表で整理|あなたはどのルートに進むべきか

制度名を覚えるより、自分がどの分岐にいるかが重要です。


【分岐表A】認知症リスクへの最適ルート(目安)

質問① 将来、不動産を売って資金化する可能性が高いですか?

・YES → 質問②へ

・NO → 質問③へ

――――――――――――――――――

質問② 任せたい相手(家族・信頼できる人)はいますか?

・YES → 家族信託等を検討

・NO → 任意後見(専門職関与を含む)を検討

――――――――――――――――――

質問③ 不動産がなく、預貯金中心で管理が比較的単純ですか?

・YES → 任意後見・見守り+任意代理(委任)等を検討

・NO → 質問④へ

――――――――――――――――――

質問④ 誰にも任せられない、または任せたくないですか?

・YES → 法定後見の可能性も織り込んで検討

・NO → 任意後見を優先して検討


※ 制度名を覚えることよりも、「誰が・どこまで動けるか」を基準に考えることが重要です。

※ 任意後見・委任・見守りは組み合わせ方を誤ると、実際にやりたい手続(売却・支払い等)ができなくなるため注意が必要です。

※ポイント:任意後見・委任・見守りは“組み合わせ方”が肝です。

雑に組むと「施設費の支払いはできるが、家は売れない」「解約はできるが、契約締結ができない」といった“動かない設計”になりがちです。


【分岐表B】死後手続の担い手は誰か(現実)

おひとりさま終活では、「どの制度を使うか」よりも、死後の手続きを誰が実際に動かすのかを決めることが最重要ポイントです。

――――――――――――――――――

① 親族(兄弟姉妹・甥姪)に頼む場合

・現実性:△

・メリット:費用を抑えやすい

・注意点:

 - 関係が薄いと動いてもらえない

 - 相続をきっかけに揉める可能性がある

 - 途中で連絡が取れなくなるケースもある

――――――――――――――――――

② 友人・知人に頼む場合

・現実性:△

・メリット:気持ちの面では一番近い存在

・注意点:

 - 途中で体調・環境が変わり動けなくなる

 - 家族から反対され、手続が止まることがある

 - 法的責任の所在が曖昧になりやすい

――――――――――――――――――

③ 専門家(弁護士など)に頼む場合

・現実性:○

・メリット:

 - 継続性があり、途中で止まりにくい

 - 責任の所在が明確

 - 遺言・死後事務・相続手続を一体で設計できる

・注意点:

 - 費用が発生する

 - どこまでを任せるか、契約で明確にする必要がある

――――――――――――――――――

④ 団体・事業者に頼む場合

・現実性:△〜○

・メリット:

 - サービスがパッケージ化されている

 - 窓口が一本化されている場合がある

・注意点:

 - 実績・継続性の確認が必須

 - 契約範囲外の対応は別費用になることが多い

――――――――――――――――――

※ おひとりさま終活では「頼めそうな人がいる」ではなく「最後まで責任をもって動ける人か」で判断することが重要です。

おひとりさま終活はここが核心です。「誰がやるのか」が決まらないと、遺言も後見も“紙の上”で止まります。横浜での相談でも、最後に差がつくのは制度の知識ではなく、担当者と費用の設計です。


4. 「家族信託は使えない?」への現実的な答え

おひとりさまが家族信託でつまずく主因は、受託者問題です。

受託者は財産管理の実務を引き受け、不動産があれば管理・修繕・賃貸・売却といった判断が乗ります。さらに報告義務、登記や税務との連携なども必要になります。つまり「やってくれる人がいる」ことが前提です。


受託者候補がいない場合、信託を無理に前提にするより、任意後見(専門職関与を含む)+死後事務+遺言を基本線として設計するほうが、現実に回りやすいケースが多いです。

どうしても信託が必要な事情(たとえば不動産の機動的な売却、承継設計の特殊性)があるなら、専門職受託や信託会社等の選択肢も含めて検討しますが、ここは個別性が強い領域です。大事なのは「制度があるか」ではなく、「目的に対して実装できるか」です。


5. 弁護士に相談すべきかの線引き【横浜版】

線引きが曖昧だと動けません。目安を出します。


自分で進めても“大事故”になりにくいケース

- 財産が少額で、不動産がない

- 相続人が明確で協力的(揉めにくい)

- 死後事務を頼める相手が確実にいる

- 目的が「最低限の遺言作成」で完結する

この場合、公正証書遺言の作成など比較的シンプルに進められます(ただし内容次第で例外はあります)。


少なくとも一度は専門家を入れた方がいい境界線(2つ以上で要注意)

□ 不動産がある(売却・賃貸・共有回避の設計が必要)

□ 相続人が兄弟姉妹・甥姪(関係が薄く揉めやすい)

□ 死後事務を頼める人がいない(契約設計が必須)

□ 認知症リスクが現実的(資産凍結が致命傷)

□ 借地権・空き家・共有など難しい不動産がある

□ 特定の人に多く残したい(説明設計が必要)

専門家を入れる意味は「文章を作ること」ではなく、目的と手段がズレた“動かない終活”を防ぐことにあります。


6. 今日から動くためのToDo

最後に、横浜のおひとりさまが今日から動ける形に落とします。


まず1週間でやること(情報整理)

- 財産目録のたたき台(不動産、預貯金、証券、保険、負債)

- 相続人の棚卸し(兄弟姉妹、甥姪が誰か)

- 重要情報の保管場所をメモ(通帳、印鑑、鍵、ID、契約書、スマホロック)


1か月でやること(方針決定)

- 遺言の方向性(誰に何を、理由をどう説明するか)

- 死後事務の範囲(葬儀、住まい、遺品、解約、SNS、ペット)

- 認知症対策の方式(任意後見中心か、委任・見守りの組み合わせか)

ここまで整うと、不安は「漠然」から「管理可能」に変わります。


まとめ(要点の再整理)

- 遺言は重要だが、遺言だけでは死後の実務と認知症リスクが残る

- 横浜のおひとりさま終活の基本線は「死後事務委任+遺言(執行者指定)+認知症対策」

- 不動産がある、相続人が甥姪、死後事務の担い手がいない、認知症リスクが高い等があれば、DIYで進めず専門家を入れた方が安全


終活は「気持ちが落ち着くか」ではなく、「実際に回るか」がすべてです。回る形にしておけば、あなたがいなくなった後も手続は止まりません。


(横浜での具体的な契約設計・費用感・受任範囲の決め方は、個別事情で最適解が変わるため、必要に応じて弁護士に相談してください。)


以上、「遺言だけだと詰む?横浜の弁護士が教えるおひとりさま終活3契約」でした。


弁護士 大石誠

横浜市中区日本大通17番地JPR横浜日本大通ビル10階 横浜平和法律事務所

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