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遺留分侵害額請求と遺留分減殺請求は何が違う?法改正で変わった相続人の権利を解説

  • 執筆者の写真: 誠 大石
    誠 大石
  • 7月27日
  • 読了時間: 4分

更新日:7月28日

遺留分侵害額請求と遺留分減殺請求は何が違うのですか?


相続対策として遺言書を作成したり、生前贈与を行ったりする際によく問題となるのが「遺留分」です。特定の相続人に財産を集中させる内容の遺言があった場合でも、一定の相続人には最低限の取り分が保障されています。


この遺留分を守るための制度として、以前は「遺留分減殺請求」がありましたが、2019年7月1日の民法改正により「遺留分侵害額請求」へと変更されました。名称だけでなく、権利の内容や実務上の取り扱いも大きく変わっています。


結論


遺留分減殺請求と遺留分侵害額請求の最も大きな違いは、請求によって取得できる権利の内容です。


旧制度の遺留分減殺請求では、遺贈や贈与の対象となった財産そのものの権利を取り戻すことができました。


一方、現行の遺留分侵害額請求では、侵害された遺留分に相当する「金銭」の支払いを請求する権利となっています。


つまり、現在は不動産や株式などの財産そのものを取り戻すのではなく、金銭債権として解決する仕組みに変更されたのです。


なぜ制度が変更されたのか


旧制度の遺留分減殺請求では、例えば被相続人が長男に自宅不動産を全て相続させる遺言を残した場合、他の相続人が減殺請求をすると、その不動産は共有状態になることがありました。


例えば、長男が自宅の所有権を取得したと思っていても、後から兄弟姉妹が減殺請求を行うことで、不動産の一部共有持分が発生するケースがありました。


この結果、


・不動産の売却が難しくなる

・共有者間で意見が対立する

・事業承継した会社の株式が分散する


といった問題が頻発していました。


そこで民法改正により、遺留分侵害額請求は金銭請求権として整理されました。これにより、財産の所有関係を維持しながら、侵害された相続人には金銭で補償することが可能になりました。


よくある誤解


「遺留分侵害額請求になったので遺留分がなくなった」という誤解がありますが、これは間違いです。


変わったのは請求方法であり、遺留分そのものの権利は引き続き保障されています。


また、「遺言書があれば遺留分請求はできない」と考える方もいますが、これも誤解です。


たとえ有効な遺言書が存在していても、配偶者や子などの遺留分権利者は、法律で保障された最低限の持分について請求できます。


さらに、「兄弟姉妹にも遺留分がある」と思われることがありますが、兄弟姉妹には遺留分は認められていません。


遺留分が認められる主な相続人は、


・配偶者

・子

・直系尊属(父母など)


です。


実務での注意点


遺留分侵害額請求には時効があります。


相続開始および遺留分侵害の事実を知った時から1年以内に請求しなければなりません。また、相続開始から10年が経過すると権利は消滅します。


実務上は内容証明郵便で請求の意思表示を行うことが一般的です。


また、金銭請求となったため、請求を受けた相続人が十分な現金を持っていないケースもあります。


例えば、不動産だけを相続した相続人が多額の遺留分侵害額請求を受けた場合、不動産を売却したり借入れを行ったりして支払資金を準備しなければならないことがあります。


そのため、遺言書作成時には遺留分への配慮や納税資金・支払資金の確保も重要な検討事項となります。


士業としての支援内容


弁護士は、遺留分に関するトラブルの予防や解決をサポートできます。


具体的には、


・遺言書作成時の遺留分対策

・生前贈与の設計

・相続財産の調査

・遺留分侵害額の試算

・内容証明郵便の作成支援

・遺産分割協議のサポート


などが挙げられます。


特に事業承継や不動産承継が絡むケースでは、遺留分の問題が大きな紛争につながることもあるため、早い段階で専門家へ相談することが重要です。


まとめ


遺留分減殺請求と遺留分侵害額請求の違いは、旧制度では財産そのものを取り戻す権利だったのに対し、現行制度では金銭請求権として解決する点にあります。


2019年の民法改正によって、相続財産の共有化を防ぎ、事業承継や不動産承継を円滑に進めやすくなりました。


もっとも、遺留分そのものがなくなったわけではありません。遺言書を作成する側も、請求する側も、遺留分の仕組みを正しく理解しておくことが大切です。相続トラブルを未然に防ぐためにも、遺言や相続対策を検討する際は専門家へ相談することをおすすめします。


弁護士 大石誠

横浜市中区日本大通17番地JPR横浜日本大通ビル10階 横浜平和法律事務所

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電話:〔045-663-2294

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