2024年7月18日共同通信
「神戸市のマンション管理組合が区分所有者1人に滞納した管理費などの支払いを求めた訴訟で、神戸地裁の書記官が弁論期日の告知を失念し、被告の反論や出廷がないまま判決が言い渡されていたことが16日、分かった。控訴審で大阪高裁は5月「被告に訴訟に関与する機会が与えられないまま判決が言い渡されるのは違法」として、審理を差し戻す判決を出した。
神戸地裁などによると、組合側が昨年7月に提訴し、第1回口頭弁論の期日を告知したが被告の出廷や反論の書面提出はなかった。第2回弁論は書記官が被告に期日を伝え忘れ、そのまま結審。昨年11月、地裁は請求通り約180万円の支払いを被告に命じた。
その後判決正本の送達準備中に告知漏れが判明。訴訟手続きに問題があったとして組合側が控訴した。5月30日の高裁判決で黒野功久(くろの・よしひさ)裁判長は、審理が尽くされていないなどとして差し戻した。
民事訴訟では当事者本人に出廷の義務はなく、通常は代理人弁護士が書面で主張などをする。今回の被告は弁護士を付けていなかった。
神戸地裁総務課は「事実関係を調査した上で適切に対処した。今後このようなことが起きないように指導した」とコメントした。」
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民事訴訟306条には、「第一審の判決の手続が法律に違反したときは、控訴裁判所は、第一審判決を取り消さなければならない。」とあります
・判決言渡期日の指定、告知が欠如していた場合
・言渡し期日調書の記載の不備
・法廷以外の部屋(弁論準備室)でなされた弁論終結
なども、判決の取り消し理由となります。
今回は、訴訟期日の告知を失念していたという報道になります。
弁護士 大石誠