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横浜で自宅の不当売却を防ぐ「死因贈与仮登記」とは

  • 執筆者の写真: 誠 大石
    誠 大石
  • 7月9日
  • 読了時間: 19分

更新日:7月20日

はじめに

高齢の親が横浜市内に自宅を所有している場合、「第三者に騙されて自宅を売却してしまわないか」「知らないうちに自宅を担保に入れられないか」と不安を感じるご家族もいるでしょう。

高齢者を狙った不動産トラブルでは、本人が巧妙な説明を信じて契約書へ署名したり、実印や印鑑証明書を第三者へ渡したりすることがあります。親族や知人が本人を囲い込み、不利な不動産取引を進めるケースにも注意が必要です。

このような不当売却への備えとして検討できる方法の一つが、死因贈与契約に基づく「始期付所有権移転請求権仮登記」です。

ただし、死因贈与仮登記は、自宅の売却を法律上完全に禁止する制度ではありません。いわゆる「不動産ロック」という言葉から、仮登記をすれば所有者が一切処分できなくなると考えるのは正確ではありません。

一方で、受贈予定者の権利を登記簿上に表示し、不動産会社、買主、司法書士、金融機関などに将来の権利移転リスクを知らせられるため、不自然な売却や担保設定を発見し、思いとどまらせる抑止力が期待できます。

本記事では、横浜で高齢の親の自宅を守りたい方に向けて、死因贈与仮登記の仕組み、詐欺被害の防止に役立つ理由、制度の限界、実際に利用する際の注意点を弁護士が解説します。


死因贈与仮登記とは

死因贈与は贈与者の死亡によって効力が生じる契約

死因贈与とは、贈与者の死亡によって効力が生じる贈与契約です。

例えば、父親が長男との間で「自分が死亡したときは、横浜市内の自宅を長男に贈与する」と合意する場合が該当します。

遺言による遺贈と似ていますが、法的な性質は異なります。遺言は遺言者が単独で行う行為であるのに対し、死因贈与は贈与者と受贈者との合意によって成立する契約です。

民法554条は、贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与について、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用すると定めています。


始期付所有権移転請求権仮登記の仕組み

死因贈与契約を締結しただけでは、贈与者が生きている間の不動産の所有権は贈与者に残ります。受贈者が直ちに所有者になるわけではありません。

そこで、将来、贈与者が死亡した際に所有権移転登記を求める権利を保全するため、始期付所有権移転請求権仮登記を行うことがあります。

不動産登記法105条2号は、将来確定することが見込まれる権利変動について、一定の要件のもとで仮登記を認めています。

仮登記を行うと、受贈予定者の権利が登記簿上に表示されます。贈与者の死亡後に必要な手続を経て本登記を行った場合には、仮登記をした時点の順位が保全されます。


遺言との大きな違いは生前から登記簿に表示されること

遺言に「自宅を長男に相続させる」と記載しても、その内容が生前から不動産の登記簿に表示されるわけではありません。

そのため、通常は不動産会社や買主が登記簿を確認しても、遺言の存在や内容までは分かりません。

これに対して、死因贈与契約に基づく仮登記をしておけば、登記事項証明書に仮登記の内容と権利者が表示されます。

第三者が登記簿を確認した時点で、「この不動産には将来の所有権移転に関する権利が存在する」と認識できることが、死因贈与仮登記の大きな特徴です。


死因贈与仮登記が自宅の不当売却を抑止する理由

不動産会社や買主が仮登記の存在に気づく

不動産売買では、仲介する不動産会社、買主、司法書士などが登記事項証明書を確認します。

その際、始期付所有権移転請求権仮登記が入っていれば、通常の抵当権や差押えがない不動産と同じようには扱えません。

仮登記後に所有権を取得しようとする買主は、将来、仮登記に基づく本登記が行われる可能性を考慮しなければならないからです。

買主側としては、なぜ仮登記が入っているのか、死因贈与契約が現在も有効なのか、仮登記を抹消できるのかなどを確認する必要があります。

したがって、高齢者本人が第三者から不当な勧誘を受けて売却契約を結ぼうとしても、取引に関与する専門家が仮登記を確認し、不自然な取引に気づくきっかけになります。


金融機関による担保評価にも影響する可能性がある

詐欺的な取引は、自宅の売却だけとは限りません。

高齢者に融資契約を結ばせ、自宅へ抵当権を設定させる手口や、第三者の債務を担保するために自宅を利用させる手口も考えられます。

金融機関や貸金業者は、不動産を担保にする際、登記簿を確認して担保価値や権利関係を調査します。

始期付所有権移転請求権仮登記が入っていれば、将来の本登記によって自らの権利関係に影響が生じる可能性を検討しなければなりません。

仮登記があるから必ず融資や抵当権設定を拒否されるとは限りません。しかし、少なくとも通常の不動産より慎重な確認が行われる可能性が高まり、不自然な担保設定をそのまま進めにくくする効果が期待できます。


高齢者本人だけを騙しても問題を解決できないことがある

仮登記が存在しない場合、詐欺を行う者は、高齢者本人から売買契約書、委任状、印鑑証明書などを取得し、所有権移転登記を進めようとする可能性があります。

これに対して、既に死因贈与仮登記が入っている場合、買主が安心して不動産を取得するためには、仮登記の扱いも整理しなければなりません。

仮登記を抹消するには、原則として仮登記名義人の関与や承諾が問題になります。仮登記名義人が抹消に応じなければ、抹消登記手続を求める訴訟などが必要になることもあります。

つまり、高齢者本人だけに働きかければ、直ちに何の問題もない登記状態にできるとは限りません。

受贈予定者である家族などが手続に関与する場面が生じるため、不審な取引を発見したり、取引を止めたりする機会が増えます。

この点が、死因贈与仮登記を詐欺被害の抑止策として評価できる重要な理由です。


登記簿上の「警告灯」として機能する

死因贈与仮登記は、不動産の処分を物理的・法的に完全停止させる鍵ではありません。

より正確には、不動産取引に関与する第三者へ注意を促す「警告灯」と考えるべきです。

仮登記が表示されていれば、買主や金融機関は、そのまま取引を進めてよいか慎重に確認します。不動産会社や司法書士が本人の意思能力、取引の経緯、家族関係などに疑問を持つきっかけにもなります。

詐欺を企てる側から見ても、仮登記のない不動産と比べて、取引を成立させるための手続や説明が増えます。受贈予定者や専門家に取引を知られる可能性も高くなります。

完全な防御ではないものの、不当な取引の発見可能性を高め、詐欺を実行しにくくするという意味で、実務上の抑止力が期待できます。


注意:死因贈与仮登記は自宅を完全にロックする制度ではない

所有権は高齢者本人に残る

仮登記をしても、贈与者が生きている間の所有権は原則として贈与者本人に残ります。

そのため、仮登記が存在していても、形式上、別の買主への所有権移転登記や、金融機関のための抵当権設定登記が行われる可能性はあります。

仮登記は、裁判所による処分禁止の仮処分や差押えとは異なります。

したがって、「仮登記をしておけば絶対に自宅を売却されない」「第三者による登記は一切できない」と説明するのは正確ではありません。

重要なのは、売却を法的に完全禁止する効果ではなく、後から取引に入る者へ仮登記の存在と順位関係を認識させ、取引を慎重にさせる点です。


死因贈与は原則として撤回される可能性がある

死因贈与契約を公正証書で作成したとしても、贈与者が一切撤回できなくなるとは限りません。

最高裁判所は、死因贈与について、遺言の撤回に関する民法1022条が方式に関する部分を除いて準用されるとの判断を示しています。

そのため、一般的な死因贈与は、生前に撤回される可能性があります。

もっとも、受贈者が一定の負担を履行した負担付死因贈与などでは、自由な撤回が制限される可能性があり、契約内容や履行状況を個別に検討しなければなりません。

死因贈与契約書に「撤回しない」と記載すれば必ず撤回を防げる、という単純な問題でもありません。撤回の可否や効果については、契約前に弁護士へ確認する必要があります。


仮登記の抹消書類を騙し取られる危険は残る

仮登記をした後でも、詐欺を企てる者が高齢者本人や仮登記名義人に接近する可能性はあります。

例えば、次のような書類の作成や交付を求めることが考えられます。

・死因贈与契約を撤回する書面・仮登記の抹消を承諾する書面・登記申請の委任状・印鑑証明書・本人確認書類・実印や登記識別情報

仮登記は強力な抑止材料になり得ますが、関係者全員が騙されて必要書類を提供すれば、抹消手続が進められる危険は残ります。

そのため、仮登記だけで対策を終わらせず、実印、印鑑登録証、本人確認書類、登記識別情報などの管理方法も見直すことが重要です。


預貯金や証券などは守れない

死因贈与仮登記によって対策できるのは、基本的に対象となる不動産です。

預貯金、現金、株式、投資信託、保険の解約返戻金などが仮登記によって保護されるわけではありません。

高齢者の詐欺被害では、不動産だけでなく、預金の引き出し、送金、保険の解約、不必要な金融商品の購入なども問題になります。

自宅を守る仮登記と、預貯金等を守る財産管理の仕組みは分けて考える必要があります。


横浜で死因贈与仮登記を検討したいケース

高齢の親が横浜の自宅で一人暮らしをしている

高齢の親が一人で暮らしている場合、家族が訪問者や電話の内容を把握することは困難です。

特に、子どもが神奈川県外に住んでいる場合や、仕事の都合で頻繁に訪問できない場合、不自然な勧誘や契約に気づくまで時間がかかることがあります。

親が自宅を特定の子どもへ承継させたいと考えているのであれば、死因贈与契約と仮登記によって、その予定を登記簿上に示しておくことが選択肢になります。


親族や知人による囲い込みが心配される

高齢者の財産を狙うのは、面識のない詐欺業者だけではありません。

親族、知人、同居人、宗教団体などが高齢者を囲い込み、ほかの家族との連絡を制限したうえで、不動産の売却や担保設定を進めるケースも考えられます。

仮登記があれば、囲い込みを行う人物が高齢者本人だけを説得しても、仮登記名義人との関係を整理しなければならない可能性があります。

仮登記名義人が定期的に登記簿を確認していれば、不自然な所有権移転や抵当権設定を早期に発見できることもあります。


自宅だけは特定の家族に承継させたい

「預貯金の管理は自分で続けたいが、自宅だけは長男に承継させたい」「同居して介護してくれている子どもに自宅を残したい」と考える方もいます。

家族信託では、不動産の管理処分権限を受託者へ移す設計が一般的です。本人にとっては、財産管理の自由が制約されたように感じることもあります。

これに対して、死因贈与仮登記では、所有権を本人に残したまま、将来の承継予定を登記簿上に示すことが可能です。

財産管理権全体を他人へ移したくない方にとって、自宅に対象を絞った比較的軽い対策として検討できる場合があります。


遺言だけでは生前の不当売却が心配な場合

遺言は、死亡後の財産承継を指定するために重要な制度です。

しかし、遺言の内容は通常、生前の登記簿には表示されません。本人が生前に自宅を売却すれば、遺言に記載された自宅が相続開始時に残っていない可能性があります。

死因贈与仮登記を併用すれば、将来の承継予定を生前から登記簿上に表示できます。

遺言だけでは不当売却への備えが不十分だと感じる場合、死因贈与仮登記を含めて対策を検討する余地があります。


弁護士が解説する死因贈与仮登記の注意点

本人の判断能力が十分なうちに契約する

死因贈与契約も契約である以上、当事者には契約内容を理解し、判断できる能力が必要です。

既に認知症が進行し、対象不動産、受贈者、契約による効果などを理解できない状態では、有効な契約を締結できない可能性があります。

契約後にほかの相続人から、「契約当時、本人には判断能力がなかった」「受贈者が無理に契約させた」と主張されることも考えられます。

将来の紛争に備えるためには、本人と受贈者を別々に面談する、本人の意向を記録する、医師の診断を受けるなど、契約時の状況に応じた対策が必要です。


公正証書による契約を検討する

死因贈与契約は、後日の紛争を防ぐため、公正証書で作成することが考えられます。

公正証書にすることで、契約内容や作成時期が明確になり、当事者の意思を確認した記録も残ります。

ただし、公正証書にすれば、契約の有効性が将来一切争われなくなるわけではありません。公正証書であっても、作成当時の判断能力、詐欺や強迫の有無、契約の撤回などが問題になる可能性はあります。

公正証書は重要な証拠になりますが、万能ではないことを理解しておきましょう。


死因贈与執行者を指定する

贈与者が死亡した後は、仮登記から本登記へ移行する手続が必要です。

相続人の協力が得られない場合、登記手続が滞る可能性があります。そのため、死因贈与契約の中で死因贈与執行者を指定し、死亡後の手続権限を明確にしておくことが重要です。

誰を執行者にするか、どのような権限を与えるか、単独で登記手続を行える設計にできるかは、契約内容や登記実務を踏まえて検討する必要があります。

弁護士と司法書士が連携し、契約内容と登記手続に矛盾がないように設計することが大切です。


遺留分やほかの相続人との関係も確認する

自宅を特定の家族へ死因贈与すると、ほかの相続人の遺留分を侵害する可能性があります。

死因贈与による自宅の承継自体が実現しても、受贈者がほかの相続人から遺留分侵害額請求を受け、金銭の支払いを求められることがあります。

自宅以外に十分な預貯金がなければ、受贈者が支払資金を用意できず、自宅を売却せざるを得ない事態も起こり得ます。

死因贈与仮登記を検討する際は、自宅だけでなく、預貯金、保険、株式などを含めた財産全体と相続人の構成を確認しなければなりません。


既存の抵当権や差押えを確認する

住宅ローンの抵当権、事業融資の担保、税金滞納による差押えなどが既に登記されている場合、死因贈与仮登記だけでそれらの権利を消すことはできません。

仮登記より先に登記されている権利は、原則としてその順位に応じた効力を持ちます。

住宅ローンが残っている自宅について死因贈与仮登記を行う場合は、ローン契約の内容や金融機関との関係も確認する必要があります。


自宅を守るための実務的な対策

死因贈与契約と仮登記を一体で設計する

死因贈与契約を締結しても、仮登記をしなければ、将来の受贈者の存在は登記簿に表示されません。

不当売却に対する警告や抑止を重視するのであれば、契約書の作成だけで終わらせず、仮登記まで実施することが重要です。

契約書には、対象不動産、受贈者、効力発生時期、執行者、費用負担、既存債務の扱いなどを明確に記載します。

そのうえで、司法書士と連携して仮登記に必要な書類を準備します。


定期的に登記事項証明書を確認する

仮登記を入れた後も、登記簿を定期的に確認することが有効です。

知らない間に所有権移転登記、抵当権設定登記、差押登記などが入っていないかを確認すれば、不自然な変化を早期に発見できます。

確認を担当する家族や専門家を決め、半年ごと、1年ごとなど、定期的に登記事項証明書を取得する仕組みを作るとよいでしょう。

不審な登記を発見した場合は、登記原因や申請書類を調査し、処分禁止の仮処分、登記抹消請求、契約の無効・取消しの主張などを検討します。


実印や重要書類の管理を見直す

不当な不動産取引を防ぐには、次のような物の管理も重要です。

・実印・印鑑登録証・印鑑証明書・マイナンバーカード・運転免許証・登記識別情報・権利証・預金通帳・キャッシュカード

本人の意思を無視して家族がすべて取り上げることは適切ではありません。

本人の生活や自己決定権を尊重しながら、不自然な持ち出しや大量の証明書取得に気づける管理方法を検討する必要があります。


家族間で連絡体制を作る

高齢者を狙う者は、「家族には相談しないでください」「今日中に契約しなければ損をします」などと言って、本人を家族から切り離そうとすることがあります。

不動産の売却、担保設定、印鑑証明書の取得、公証役場や司法書士事務所への訪問などを行う前に、家族や弁護士へ連絡するルールを決めておくと有効です。

本人が電話一本で相談できる相手を明確にしておくだけでも、詐欺被害の予防につながります。


死因贈与仮登記と家族信託・任意後見の違い

家族信託との違い

家族信託では、本人が委託者となり、信頼できる家族などを受託者として、対象財産の管理処分を任せます。

不動産を信託財産にすれば、受託者が管理権限を持つため、本人が単独で売却することを防ぎやすくなります。

その意味では、不動産の処分を実質的に管理する力は、一般に死因贈与仮登記より強いと考えられます。

一方、信託契約の設計、専用口座の管理、受託者の事務、税務上の確認などが必要です。本人が財産管理権限を他人へ移すことに抵抗を感じる場合もあります。

自宅の将来の承継予定を表示し、不当売却に警告を与えることが主な目的であれば、死因贈与仮登記が適することもあります。


任意後見との違い

任意後見契約は、本人の判断能力が低下した後、家庭裁判所が任意後見監督人を選任することによって効力が生じます。

任意後見人は契約で定められた範囲において、預貯金の管理、各種支払い、施設入所契約、不動産管理などを行います。

不動産だけでなく生活や財産管理全般に備えられる点が特徴です。

もっとも、本人の判断能力が低下するまでは任意後見契約は発効しません。判断能力があるものの、詐欺的な勧誘を信じやすくなっている段階をどのように守るかという課題は残ります。


遺言との違い

遺言は、死亡後の財産承継を定めるために有効です。

しかし、遺言には原則として、生前の不動産取引を外部へ警告する機能はありません。

死因贈与仮登記は、受贈予定者の権利を登記簿上に表示できる点で、遺言とは異なる生前の抑止力を持ちます。

もっとも、両者は必ずしも二者択一ではありません。自宅は死因贈与契約と仮登記で対応し、ほかの財産は遺言で承継先を指定するなど、併用することも考えられます。


不動産と預貯金を守る二層構造

高齢者の財産を総合的に守るためには、不動産と金融資産を分けて対策することが重要です。

不動産については、死因贈与仮登記によって将来の受贈予定者を外部へ示し、不自然な売却や担保設定に警告を与えます。

預貯金等については、任意後見契約、財産管理委任契約、家族信託、金融機関の見守りサービスなどを利用し、不審な引き出しや送金を発見しやすくします。

考え方としては、次のような二層構造です。

不動産は、仮登記によって外部から見える警告を設ける。

預貯金等は、管理権限や見守りの仕組みによって不正利用を防ぐ。

どの制度を組み合わせるべきかは、本人の判断能力、家族関係、財産の内容、本人が維持したい自由の範囲によって異なります。


死因贈与仮登記に関するよくある質問

仮登記をすれば自宅を絶対に売却できなくなりますか

いいえ。

死因贈与仮登記は、法律上の処分禁止ではありません。所有者本人による売買や抵当権設定の登記が形式上行われる可能性はあります。

ただし、仮登記が登記簿に表示されることで、買主、不動産会社、司法書士、金融機関などが将来の権利移転リスクに気づきます。

そのため、仮登記のない不動産と比べて取引が慎重になり、不当な売却を発見・抑止する効果が期待できます。


死因贈与契約は撤回できますか

一般的な死因贈与については、生前に撤回される可能性があります。

ただし、負担付死因贈与において受贈者が負担を履行している場合など、自由な撤回が制限される可能性もあります。

契約の種類、内容、履行状況によって結論が変わるため、個別の確認が必要です。


仮登記を勝手に抹消されることはありますか

仮登記の抹消には、原則として仮登記名義人の関与や承諾が問題になります。

仮登記名義人が同意していないにもかかわらず、有効な権限や書類もなく自由に抹消できるわけではありません。

もっとも、仮登記名義人が騙されて承諾書や委任状を交付する危険や、裁判によって抹消を求められる可能性はあります。

仮登記後も、実印や本人確認書類を適切に管理する必要があります。


認知症になった後でも契約できますか

認知症の診断を受けているだけで、直ちにすべての契約ができなくなるわけではありません。

しかし、死因贈与契約の内容や効果を理解できない状態で締結した契約は、意思能力がなかったとして無効になる可能性があります。

判断能力に不安がある場合は、契約前に医師や弁護士へ相談してください。


家族信託と死因贈与仮登記はどちらがよいですか

目的によって異なります。

本人による不動産処分を実質的に制限し、家族に管理を任せたい場合は、家族信託が適する可能性があります。

本人に所有権と管理権限を残しながら、将来の承継予定を登記簿へ表示して不当売却を抑止したい場合は、死因贈与仮登記が選択肢になります。

費用だけで決めず、本人の希望、判断能力、家族関係、財産内容を踏まえて比較することが大切です。


まとめ|死因贈与仮登記は不当売却への警告と抑止に役立つ

死因贈与仮登記は、高齢者の自宅を法律上完全にロックする制度ではありません。

仮登記後も所有権は本人に残り、形式上は売買や抵当権設定が行われる可能性があります。死因贈与契約自体が撤回される可能性や、仮登記抹消に必要な書類を騙し取られる危険もあります。

その一方で、死因贈与仮登記を行うと、受贈予定者の権利が登記簿上に表示されます。

不動産会社、買主、司法書士、金融機関などが仮登記に気づき、取引の経緯や本人の意思を慎重に確認するきっかけになります。

仮登記を整理するには受贈予定者の関与が必要になることもあり、高齢者本人だけを騙せば簡単に不動産を取得できるとは限りません。

したがって、死因贈与仮登記は、絶対的な処分禁止ではないものの、不当な売却や担保設定を発見し、詐欺を実行しにくくするための実務上の抑止策になり得ます。

より効果を高めるためには、次の対策を組み合わせることが重要です。

・公正証書による死因贈与契約・始期付所有権移転請求権仮登記・死因贈与執行者の指定・登記事項証明書の定期的な確認・実印や登記識別情報の管理・任意後見や家族信託による預貯金等の保護

本人の判断能力が低下してからでは、利用できる制度や契約内容が限られる可能性があります。

横浜市内に自宅を所有する高齢の親について、不当な売却、第三者による囲い込み、認知症による判断能力の低下などが心配な場合は、問題が起きる前に対策を検討することが大切です。


横浜の弁護士へ死因贈与仮登記をご相談ください

死因贈与仮登記が適しているかどうかは、自宅の権利関係、住宅ローンの有無、家族構成、相続人の遺留分、本人の判断能力などによって異なります。

仮登記だけを行えば、すべての詐欺被害を防げるわけではありません。場合によっては、家族信託、任意後見契約、財産管理委任契約、遺言などを組み合わせた方が適切です。

弁護士へ相談することで、本人の希望を尊重しながら、必要以上に財産管理の自由を奪わない対策を検討できます。

横浜で高齢の親の自宅を守りたい方、自宅の不当売却や担保設定が心配な方は、本人の判断能力が十分なうちに弁護士へご相談ください。

※本記事は一般的な法制度を解説したものであり、個別の案件について法的な結論を示すものではありません。契約や登記を行う際は、具体的な権利関係を確認したうえで、弁護士、司法書士、税理士等へご相談ください。


以上、「横浜で自宅の不当売却を防ぐ「死因贈与仮登記」とは」でした。


『止まった相続を終わらせる弁護士』大石誠

横浜市中区日本大通17番地ゲートテラスヨコハマ10階 横浜平和法律事務所

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横浜で自宅の不当売却を防ぐ「死因贈与仮登記」とは

 
 
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