横浜で内縁のパートナーを守るには?遺言書の重要性を弁護士が説明
- 誠 大石
- 2024年9月9日
- 読了時間: 7分
はじめに
「長年一緒に暮らしてきたパートナーがいるけれど、実は籍は入れていない——」そんな内縁関係のご夫婦は、近年の横浜でも珍しくありません。法律上は夫婦でなくても、生活は完全に夫婦そのもの。気持ちも経済的なつながりも深く、家も一緒に購入したという方もいらっしゃるでしょう。
ですが、もし突然どちらかが亡くなってしまった場合、「内縁の配偶者」には法律上の相続権がないという事実をご存じですか?
実際、横浜市内でも「パートナーの死後、住んでいた家から退去を求められた」というご相談を受けることがあります。
このような事態を避けるために有効なのが遺言書の作成です。
この記事では、横浜の弁護士としての視点から、内縁のパートナーを守るために知っておくべき相続の基本と、遺言書の重要性についてわかりやすく解説していきます。
横浜で内縁のパートナーを守るための遺言書の基本知識
「彼がいなくなったあと、私には“何も”残らなかったんです」
これは数年前、横浜市中区に住む60代の女性から実際に伺った言葉です。20年以上内縁関係を続けてきたパートナーが突然亡くなり、住んでいたマンションの名義はすべて彼のもの。遺言もなく、彼のきょうだいが法定相続人として現れ、「出ていってほしい」と一言。
法的には、それが“正しい”という現実。
けれど、20年という時間や、積み重ねた日々が簡単に打ち消されてしまうことに、どこか割り切れない気持ちが残るのも事実です。
内縁関係は、いわば「心は夫婦、法は他人」。
日本の法律では、内縁の配偶者には法定相続権が認められていません。たとえ一緒に生活していても、共有の財産があったとしても、遺言がなければ「相続」は原則、発生しないんです。
ただ、ここで「じゃあ、もうどうしようもないのか」とあきらめる必要はありません。
その“ただひとつの道”が、遺言書です。
法的に効力のある遺言があれば、内縁のパートナーに財産を残すことができます。マンションでも、預金でも、「誰に」「どれだけ」遺すかを明確にしておけば、突然の別れのあとにも、相手の生活を守ることができるのです。
もちろん、遺言書を書くというのは、少し勇気がいる行為かもしれません。
死を意識することでもあるし、「まだ元気なのに…」と思うかもしれません。でも、それでも——「あの人を守りたい」と思うなら、今できる準備をしておくべきなのかもしれません。
遺言書作成で押さえるべきポイント(弁護士の視点)
遺言書を書こうと思ったとき、まず浮かぶのが「何を、どう書けばいいのか分からない」という不安かもしれません。実は、これ、横浜での法律相談でもよくあるご相談のひとつです。
「市販のキットでいいんですか?」「とりあえずメモでも効力あるんですか?」そんな声に、私たち弁護士がまず伝えるのは、“せっかく書くなら、確実に効力のあるものを”ということです。
横浜での不動産が絡む場合の注意点
例えば、横浜市内のマンション。
駅近の築浅物件なんかだと、数千万円単位の資産になりますよね。パートナーの名義になっている場合、遺言書がなければ、あなたがそこに住み続けられる保証はどこにもありません。
さらに問題なのは、「登記」の問題です。遺言書に「不動産を〇〇に相続させる」と書いていないと、法務局での手続きもできず、住んでいるのに名義が動かせないということも起こりえます。
感情的な話だけでなく、こうした「実務の壁」にも、遺言書は必要不可欠なんです。
遺言執行者を専門家に指定するメリット
もうひとつ大切なのが、「誰がその遺言を実行するのか」という視点。遺言書は、書いて終わりではありません。実際に相続手続きを進める「遺言執行者」が必要になります。
たとえば、亡くなった方の兄弟姉妹が相続人として現れたとき。そこに内縁の配偶者であるあなたが、ひとりで話し合いをし、手続きを進めていくのは、精神的にも現実的にもかなりの負担になるはずです。
そこで、第三者の弁護士などを「遺言執行者」に指定しておくことで、遺言の内容通りに淡々と進められる、つまり“もめごとを最小限に抑える”ことができるのです。
このように、遺言書を「書く」だけでなく「誰に任せるか」まで考えておくことで、その人を本当に守れるかどうかが変わってきます。
言い換えれば、遺言書は“愛情”を“しくみ”に変えるためのツールなのかもしれません。
▶ 相続でもめないために押さえておきたいポイントはこちらの記事で詳しく紹介しています。
横浜で内縁関係の相続対策を行うメリット
遺言書を書くというのは、どこか“特別な人”のためのもの、そう思っている方もいるかもしれません。でも、実はそうじゃないんです。
“特別ではない日常”を、これからも続けていくための準備。それが相続対策なのだと思います。
特に、ここ横浜のような都市部では、家賃も物価も高く、生活基盤を失うリスクは地方に比べてシビアです。仮に、パートナーの死後、急に住んでいた家を手放さなければならなくなったら…慣れ親しんだ場所を離れ、見知らぬ環境に身を置くことになるかもしれません。それは、心身ともに大きなストレスになるでしょう。
横浜市内の公正証書遺言の作成環境と支援制度
幸い、横浜には公証役場が市内に複数あり、公正証書遺言の作成がスムーズに行えます。特に、高齢の方や体が不自由な方には、公証人が病院や自宅まで出張してくれる制度もあります(※条件あり)。
弁護士として依頼を受けた場合は、ヒアリングから文案の作成、公証役場とのやりとり、証人の手配まで一括でサポートできます。「ひとりでは難しい」と感じている方にも安心していただける体制が、横浜にはあるんです。
地域の弁護士に相談することで得られる安心感
そして何より大切なのは、「地元の事情に詳しい専門家とつながっておくこと」です。たとえば、相続対象となる不動産の価格帯や売買の傾向は、地域によって大きく異なりますし、相続人の関係性や背景も十人十色。インターネットで得られる知識だけでは、とても追いつかないリアルがそこにあります。
「内縁なんて、自分には関係ないと思ってた」そう話していたご相談者の方が、最後には「これでようやく、未来に備える一歩が踏み出せました」と笑顔になる瞬間も、私たちはたくさん見てきました。
相続対策は、「不安をゼロにする」というよりも「もしものとき、自分や大切な人が迷わないようにするための準備」。
その視点さえ持てれば、少し肩の力を抜いて向き合えるかもしれません。
まとめと結論
「内縁のパートナーには相続権がない」これは紛れもない法律の事実ですが、だからといって何もできないわけではありません。遺言書があれば、大切な人の暮らしを守ることができる。
それは、お金の問題というよりも、「その人に、どう生きてほしいか」という想いをカタチにすることなのかもしれません。
横浜という大きな街で、同じように不安を抱える方は決して少なくありません。“いま”動いておけば、将来の不安を“安心”に変えることもきっとできるはずです。
まずは、身近な法律の専門家に気軽に相談してみる——その一歩が、あなたと大切な人の未来を支えるきっかけになるかもしれません。
弁護士に相談する理由とお問い合わせ情報
「遺言書なんて、まだ早い気がする」「何から始めればいいか分からない」——そう思われる方こそ、一度弁護士にご相談ください。
相続のこと、家のこと、ご家族との関係のこと。どんな些細な不安でも、法律と現実の“間”を埋めるのが、私たち弁護士の役目です。
横浜エリアでは、公正証書遺言の作成サポートや、遺言執行者としての業務にも対応しております。初回のご相談は無料で承っている事務所も多くありますので、気軽に一歩を踏み出してみてください。
あなたの想いを、未来につなげるお手伝いをいたします。
以上、「横浜で内縁のパートナーを守るには?遺言書の重要性を弁護士が説明」でした
弁護士 大石誠
横浜市中区日本大通17番地JPR横浜日本大通ビル10階 横浜平和法律事務所
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