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再婚同士の相続はどうなる?神奈川県の弁護士が解説

執筆者の写真: 誠 大石誠 大石

はじめに

「再婚すると相続がややこしくなる」――そんな話を聞いたことはありませんか?実は、再婚同士の家庭では 「誰が相続人になるのか」 をしっかり理解しておかないと、思わぬトラブルに発展することがあります。

例えば、前妻(または前夫)との間に子どもがいる場合や、現在の配偶者に連れ子がいる場合、相続の権利はどうなるのでしょうか?「配偶者は相続人になるの?」「連れ子には相続権がある?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。

実際に、神奈川県でも再婚家庭の相続に関する相談が増えています。特に、

  • 前妻・前夫の子どもと、現在の配偶者との間の子どもで相続トラブルが起きるケース

  • 連れ子に財産を残したいが、相続権がないことを知らなかったケース

といった問題が多く見られます。


「再婚同士の相続はどうなる?神奈川県の弁護士が解説」

この記事では、再婚同士の相続について、 弁護士の視点からわかりやすく解説 します。

相続トラブルを防ぐための 具体的な対策 も紹介するので、ぜひ最後まで読んでみてください。


再婚同士の相続の基本ルール

再婚家庭の相続では、「誰が相続人になるのか」を正しく理解しておくことがとても重要です。特に 「前妻(または前夫)の子ども」や「現在の配偶者の連れ子」 の扱いを誤ると、思わぬ相続トラブルに発展することがあります。ここでは、基本的なルールを解説していきます。


配偶者の相続権とは?

まず、 配偶者(現在の夫または妻)は、常に相続人 となります。これは法律で決められており、再婚であっても変わりません。

相続の割合は、相続人の組み合わせによって異なります。

  • 子どもがいる場合 → 配偶者 1/2、子ども 1/2 を分け合う

  • 子どもがいない場合 → 配偶者 2/3、故人の両親 1/3

  • 故人の両親もいない場合 → 配偶者 3/4、兄弟姉妹 1/4


📌 具体例:配偶者と子どもがいるケース

例えば、夫(Aさん)が亡くなり、妻(Bさん)とAさんの前妻との間の子(Cさん)が相続人になった場合、

  • Bさん(配偶者):財産の1/2 を取得

  • Cさん(前妻の子):財産の1/2 を取得

ここで重要なのは、 BさんとCさんが話し合いをして遺産を分ける という点です。

関係性が良好でない場合、遺産分割協議が長引いたり、トラブルに発展したりする可能性があります。


それぞれの子どもの相続権は?

1. 亡くなった人の実子(前妻・前夫との子、後妻・後夫との子)は相続人になる

これは法律上の親子関係があるため、相続権が発生します。


2. 連れ子には相続権がない

現在の配偶者が前の結婚で生んだ「連れ子」には、 法的な親子関係がない ため、そのままでは相続権がありません。


📌 具体例:連れ子に相続権がないケース

夫(Dさん)が亡くなり、現在の妻(Eさん)とEさんの連れ子(Fさん)がいる場合、 Fさんには一切の相続権がない ことになります。

つまり、Dさんの財産は Eさん(配偶者)が2/3、Dさんの両親が存命なら 1/3を両親が取得 することになります(両親が亡くなっている場合は兄弟姉妹が取得)。

このように、再婚同士の家庭では 「実の子ども」と「連れ子」で相続の権利が異なる」 ことを理解しておくことが大切です。


連れ子に相続権を持たせる方法

再婚家庭では 「連れ子にも財産を残したい」 という場合、何らかの対策を講じる必要があります。

ここでは、最も有効な方法である 「養子縁組」 と、それ以外の対策について解説します。


養子縁組の重要性

連れ子に相続権を発生させる 唯一の方法 が、「養子縁組」です。


📌 養子縁組とは?

養子縁組とは、法律上の親子関係を作る手続きです。再婚相手が連れ子と養子縁組をすれば、連れ子は 実子と同じ権利で相続できる ようになります。


養子縁組のメリット

  1. 相続権が発生する(実子と同じ割合で相続できる)

  2. 遺留分が認められる(遺言書で不利な扱いをされても最低限の相続が保証される)

  3. 家族としての法的なつながりが強まる


📌 具体例:養子縁組をしたケース

夫(Gさん)が亡くなり、現在の妻(Hさん)と、Hさんの連れ子(Iさん)がいる場合、 Gさんが生前にIさんと養子縁組をしていれば、IさんはGさんの子として相続権を持つ ことになります。

仮にGさんが遺言書を残していなかったとしても、 HさんとIさんが法定相続人として遺産を分けることができる のです。


養子縁組をしない場合の代替手段

養子縁組が最も確実な方法ですが、さまざまな事情で 「養子縁組は難しい」 という家庭もあります。その場合、以下のような方法で連れ子に財産を渡すことができます。


1. 遺言書を作成する

法定相続人でなくても、 遺言書を作成しておけば、財産を渡すことが可能 です。

  • 「○○の不動産を連れ子に相続させる」

  • 「預貯金の○○万円を連れ子に遺贈する」

といった内容を明記すれば、スムーズに財産を受け継ぐことができます。


📌 具体例:遺言書を活用したケース

夫(Jさん)が亡くなり、現在の妻(Kさん)とKさんの連れ子(Lさん)がいる場合、Jさんが 「Lに自宅を遺贈する」 という遺言書を残していれば、Lさんは問題なく自宅を相続できます。

しかし、 他の法定相続人(例えばJさんの実子)が遺留分を請求する可能性 もあるため、注意が必要です。


2. 生命保険を活用する

生命保険の 受取人を連れ子に指定する 方法も有効です。

相続財産は「遺産分割協議」の対象となりますが、 生命保険の死亡保険金は受取人が単独で受け取れる ため、スムーズに連れ子へ財産を渡すことができます。


📌 具体例:生命保険を活用したケース

夫(Mさん)が死亡し、妻(Nさん)とNさんの連れ子(Oさん)がいた場合、Mさんが生前に Oさんを生命保険の受取人に指定していた なら、Oさんは 確実に保険金を受け取ることができる ため、遺産分割トラブルを回避できます。


養子縁組をするべきかの判断ポイント

養子縁組をしたほうがいいケース

✅ 連れ子を実子と同じように扱いたい

✅ 将来の相続トラブルを避けたい

✅ 連れ子と親の関係が良好で、手続きに問題がない


養子縁組をしないほうがいいケース

⚠️ 連れ子と再婚相手の関係が複雑で、縁組が難しい

⚠️ 実子との相続バランスを考慮する必要がある

⚠️ 手続きや戸籍の変更を避けたい


再婚家庭での相続トラブルを防ぐには

再婚家庭の相続は、家族関係が複雑な分、トラブルが発生しやすい ものです。特に以下のようなケースでは、 相続争いに発展する可能性が高い ので注意が必要です。

  • 前妻・前夫の子どもと、現在の配偶者やその子どもとの間で遺産の取り分でもめる

  • 遺言書がないため、法定相続人同士で話し合いがまとまらない

  • 実子と養子(連れ子)の間で感情的な対立が起こる

ここでは、再婚家庭における 具体的な相続トラブルの事例と、その防止策 を解説します。


もめやすいケースと対策

ケース1:前妻の子と現在の配偶者が対立する

📌 具体例

Aさん(夫)は再婚し、現在の妻Bさんと暮らしていました。しかし、Aさんには前妻との間にCさんという子どもがいます。Aさんが亡くなり、遺言書を残していなかったため、BさんとCさんの間で相続争いが発生しました。

Cさんは「父の財産の半分を相続する権利がある」と主張し、Bさんは「Aの晩年を支えたのは私だから、もっと財産をもらうべき」と対立。結局、話し合いはまとまらず、裁判に発展しました。

解決策

  • 遺言書を作成し、財産の配分を明確にする

  • 生命保険を活用し、配偶者の生活費を確保する(受取人をBさんに指定)

  • 生前贈与を活用し、配偶者や子どもに財産を分配する


ケース2:連れ子に財産を渡したいが、他の相続人が反対する

📌 具体例

Dさん(夫)は再婚し、妻Eさんとその連れ子Fさんと暮らしていました。DさんはFさんを本当の子どものように育てていたものの、養子縁組はしていませんでした。

Dさんが亡くなった際、Dさんの実子Gさんが相続を主張し、「Fさんには相続権がないので財産を渡す必要はない」と反発。DさんはFさんのために財産を残したかったのですが、適切な対策を取らなかったため、Fさんは何も受け取れませんでした。

解決策

  • 養子縁組をすることで、連れ子に相続権を持たせる

  • 遺言書を作成し、「Fさんに○○の財産を遺贈する」と明記する

  • 生前にFさんへ贈与を行い、トラブルを未然に防ぐ


遺言書の作成と遺留分の注意点

1. 遺言書の重要性

再婚家庭では、遺言書があるかどうかで相続のスムーズさが大きく変わります。特に、

  • 「この財産を誰にどれだけ渡すか」を明確に指定できる

  • 遺産分割の争いを防ぎ、スムーズに相続手続きを進められる

  • 連れ子や配偶者に確実に財産を残せる

というメリットがあります。


📌 おすすめの遺言書の書き方

  • 公正証書遺言を作成する(証人がいるため、無効になりにくい)

  • 「○○の財産を○○に相続させる」など、具体的に記載する

  • 付言事項(「連れ子のFを大切に思っていたため、遺産を渡す」など)を加えることで、感情的な対立を防ぐ


例文(公正証書遺言の一部)

私は、○○(被相続人)が死亡した場合、私の財産のうち、自宅不動産(神奈川県○○市○丁目○番地)を配偶者○○(氏名)に相続させる。また、預貯金のうち○○万円を連れ子○○(氏名)に遺贈する。

2. 遺留分に注意する

遺言書を作成する際に注意しなければならないのが 「遺留分」 です。遺留分とは、法定相続人(配偶者や実子など)が最低限相続できる権利のことを指します。

📌 例えば…

  • 夫が「全財産を再婚相手の妻に相続させる」と遺言を残した場合、前妻の子が遺留分侵害額請求を行うことができる

  • 「配偶者にすべて相続させる」と書いても、子どもがいれば遺留分を請求される可能性がある


解決策

  • 法定相続人の遺留分を考慮して遺言書を作成する

  • 生前に遺留分に配慮した財産分けを行う

  • 子どもと話し合い、理解を得た上で相続対策を進める


トラブルを防ぐための専門家の活用

再婚家庭の相続は、感情的な対立や法律的な問題が絡み合い、当事者だけで解決するのが難しいケースが多い です。

弁護士に相談するメリット

  • 相続トラブルの防止策をアドバイスしてもらえる

  • 遺言書の作成や養子縁組の手続きなどをサポートしてもらえる

  • 相続発生後の遺産分割協議をスムーズに進められる


📌 神奈川県の相続相談窓口

神奈川県には、弁護士会や公証役場、行政書士会など、相続に関する相談ができる窓口が複数あります。弁護士に相談することで、「自分の家庭に最適な相続対策」 を見つけることができます。


神奈川県で相続相談をするなら

再婚家庭の相続は、家族構成が複雑になることでトラブルが起こりやすい ものです。そのため、相続の専門家である 弁護士に早めに相談すること が重要です。

ここでは、弁護士に相談するメリット や 神奈川県で相続相談ができる窓口 について詳しく解説します。


弁護士に相談するメリット

相続問題は、家族間のトラブルに発展しやすく、法律の知識が必要になる場面も多い ため、弁護士に相談することでスムーズな解決が期待できます。


1. 遺言書の作成をサポートしてくれる

「遺言書を作成したいが、法律的に有効な形にしたい」

弁護士が関与することで、適法で争いになりにくい遺言書 を作成できます。

📌 具体例:適切な遺言書の作成

  • 公正証書遺言の作成支援(公証人との調整も含む)

  • 遺留分を考慮した遺言書の作成

  • 付言事項(遺言書に家族へのメッセージを残す)を加え、トラブルを防ぐ


2. 養子縁組の手続きをサポート

「連れ子に相続権を持たせたいが、手続きが不安」

養子縁組をすることで、連れ子も実子と同じように相続できるようになります。弁護士は 必要な手続きを正確に進める だけでなく、家庭の事情を考慮し、最適なアドバイスを提供できます。

📌 具体例:養子縁組を活用した相続対策

  • 連れ子と養子縁組を行い、法定相続人にする

  • 養子縁組が難しい場合、遺言書や生命保険を活用するアドバイスを受ける


3. 相続トラブルを未然に防ぐ・解決する

「前妻の子どもと、現在の配偶者の間で争いになりそう」

「遺産分割協議がまとまらない」

再婚家庭では、実子と養子(連れ子)との間で対立が起こるケース もあります。弁護士に相談することで、円満な相続を実現できるよう調整できます。

📌 具体例:弁護士が関与したトラブル回避

  • 遺産分割協議を弁護士がサポートし、公平な合意形成を進める

  • 相続放棄や遺留分侵害額請求など、法的手続きを正しく進める


神奈川県の相続相談窓口

神奈川県には、相続に関する相談ができる窓口が複数あります。以下の機関を活用することで、弁護士への相談をスムーズに進められます。

1. 神奈川県弁護士会の無料相談

📍 神奈川県弁護士会(横浜市中区日本大通9)

  • 相続に関する無料相談を実施

  • トラブル回避のためのアドバイスを受けられる

相談方法

  • 事前予約制(電話またはWeb)

  • 一定の時間内で無料相談可能

2. 公証役場での遺言書作成サポート

📍 神奈川県内の公証役場

  • 公正証書遺言の作成が可能

  • 遺言執行者の指定など、相続手続きを円滑にするサポート

活用ポイント

  • 遺言書を法的に有効な形で作成できる

  • 弁護士と連携しながら進めるとより安心


弁護士に相談する際のポイント

弁護士に相続相談をする際は、事前に準備をしておくことでスムーズに進めることができます

相談前に準備すべきこと

  1. 相続関係図を作成する(誰が相続人になるかを整理)

  2. 財産のリストを作成する(預貯金・不動産・株式など)

  3. 遺言書の有無を確認する(あれば持参)

  4. 相続トラブルの懸念点を整理する(前妻の子、連れ子などとの関係)


📌 実際の相談の流れ

  1. 初回相談(現状のヒアリング)

  2. 相続対策のアドバイス(遺言書・養子縁組・生命保険など)

  3. 必要な手続きを依頼(相続放棄・遺産分割協議のサポートなど)


まとめ

再婚家庭の相続では、配偶者と子どもの相続権の違い や 連れ子の扱い に注意が必要です。

特に、

連れ子に相続権を持たせたい場合は養子縁組を行う

トラブルを防ぐために遺言書を作成する

弁護士に相談し、適切な相続対策を進める

といった対策が重要になります。


📌 神奈川県では、弁護士会や公証役場、司法書士会などで相続相談が可能 なので、早めに専門家に相談することをおすすめします。

相続は 「事前の準備」 が何よりも大切です。再婚家庭ならではのリスクを理解し、円満な相続を実現するための一歩を踏み出しましょう


弁護士 大石誠

横浜市中区日本大通17番地JPR横浜日本大通ビル10階 横浜平和法律事務所

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電話:〔045-663-2294


再婚同士の相続はどうなる?神奈川県の弁護士が解説

 
 
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