個人事業主の相続で許認可が問題になる理由
「相続」と聞くと、多くの人が 遺産分割 や 税金対策 を思い浮かべるでしょう。しかし、個人事業主 の相続では、それだけでは済まない重要なポイントがあります。それが 「許認可の承継」 です。
たとえば、クリーニング業、理容室・美容院、飲食店、たばこ屋、酒類販売、旅館業、風俗営業 などの業種は、営業に特定の許可が必要です。許可を持っていた事業主が亡くなった場合、そのまま家族が営業を続けられるとは限りません。許可の 承継手続き をしないと、事業を続けられなくなる 可能性があるのです。
この許認可の問題は 見落とされがち で、相続が発生してから気づくケースも少なくありません。慌てて対応しようとしても、手続きに時間がかかる ため、最悪の場合、一時的に営業を停止せざるを得なくなることも…。
そこで本記事では、横浜で個人事業を営んでいる方や、そのご家族が相続時に 許認可のトラブルを防ぐためのポイント を詳しく解説します。さらに、弁護士や行政書士などの 専門家と連携する重要性 についてもお伝えします。
横浜の個人事業主が相続時に確認すべき許認可一覧
個人事業主の相続では、業種ごとに必要な許認可をしっかり確認することが重要 です。許認可の手続きを怠ると、営業を続けられなくなったり、新たに取得し直さなければならなかったりするため、事前の準備が欠かせません。
ここでは、横浜の個人事業主が 相続時に特に注意すべき許認可 を業種別に解説します。
クリーニング業・理容室・美容院の許認可
❏ クリーニング業
クリーニング業を営むには、「クリーニング業法」 に基づく営業許可が必要です。相続する場合、許可を引き継ぐためには、保健所への承継届 を提出しなければなりません。
手続きのポイント
✅ 横浜市保健所 に営業許可の名義変更を申請する
✅ 事業所の設備が基準を満たしているか確認する
✅ 事業承継後の責任者の要件を満たしているかチェック
❏ 理容室・美容院
理容・美容業を営むには、「理容師法」「美容師法」 に基づく保健所の許可が必要です。特に 施設の変更 がある場合は、新たに許可を取り直す必要があるため注意が必要です。
手続きのポイント
✅ 横浜市保健所に届出(名義変更・施設変更など)
✅ 理容師・美容師の免許が有効か確認する
✅ 営業形態が変わる場合は、追加の手続きが必要
食品衛生関係の許認可(飲食店・製造業など)
❏ 飲食店営業許可
飲食店や食品製造業を営むには、「食品衛生法」 に基づく営業許可が必要です。許可を受けていた事業主が亡くなった場合、事業を継続するには保健所へ「相続承継届」を提出する必要があります。
手続きのポイント
✅ 横浜市保健所に「営業承継届」を提出
✅ 施設が営業許可の基準を満たしているか確認
✅ 食品衛生責任者の資格を持つ人が必要
❏ 食品製造業・販売業
食品の製造や販売を行う場合は、菓子製造業・惣菜製造業・乳製品製造業 など、業種ごとに異なる許可が必要になります。許可を相続する場合は、事業所の衛生基準が継続して守られていることを確認しなければなりません。
たばこ販売・酒類販売・風俗営業の許認可
❏ たばこ販売業の許可
たばこを販売するには、財務省管轄の「たばこ小売販売許可」 が必要です。相続による許可の承継は可能ですが、承継後も適切な管理が求められる ため、財務局への届出が必須です。
手続きのポイント
✅ 財務局(関東財務局横浜財務事務所)に承継届を提出
✅ 営業の実態が継続していることを証明する
✅ 相続人が販売責任を負えるか確認する
❏ 酒類販売業の許可
酒類の販売には、国税庁の「酒類販売業免許」 が必要です。相続する場合、一定の条件を満たすことで承継が可能ですが、申請が必要です。
手続きのポイント
✅ 関東信越国税局に申請(酒類販売業免許の承継)
✅ 相続人が新たに免許を取得する必要がある場合もある
✅ 事業計画が適正であることを証明する
❏ 風俗営業(スナック・バー・パチンコ店など)
風俗営業(接待を伴う飲食店、パチンコ店、ゲームセンターなど)には、「風営法」に基づく許可 が必要です。相続時には警察署への申請が求められます。
手続きのポイント
✅ 神奈川県警(管轄の警察署)へ承継申請
✅ 営業の継続に必要な要件を満たしているか確認
✅ 相続人が許可基準(欠格事由がないことなど)を満たしているかチェック
まとめ:許認可の確認は相続手続きの最優先事項!
上記のように、許認可が必要な業種では相続手続きを慎重に進める必要があります。 もし相続人が適切に承継手続きを行わなければ、事業が継続できなくなる可能性もあります。
また、業種によっては所轄官庁が異なるため、手続きをスムーズに進めるには弁護士や行政書士などの専門家と連携することが重要 です。
次のセクションでは、許認可の手続きを怠るとどのようなリスクがあるのか、そして許認可をスムーズに引き継ぐための具体的な対策 について解説します。
許認可手続きを怠るとどうなる?リスクと対策
許認可が必要な事業を相続する際、適切な手続きを怠ると、事業の継続が難しくなる 可能性があります。ここでは、許認可手続きを忘れた場合の リスク と 具体的な対策 について解説します。
❏ 許認可手続きを怠るリスク
営業停止や廃業のリスク
許認可を承継せずに営業を続けると、法律違反となり、行政から営業停止命令を受ける可能性 があります。特に、飲食店やクリーニング業などは 営業許可がないと即営業不可 となるため、早急な手続きが必要です。
無許可営業による罰則
許認可が必要な業種で無許可営業を行うと、罰則や行政処分 の対象になります。たとえば、酒類販売業や風俗営業で無許可営業が発覚すると、罰金や営業停止 の処分を受けることも。
相続後の再取得が困難になるケースも
許認可が失効してしまうと、再度新規申請が必要になる場合 があります。しかし、業種によっては 新規の許可取得が厳しくなっている こともあり、一度失効すると 事業の再開が難しくなる 可能性もあります。
❏ 許認可手続きをスムーズに進めるための対策
✅ 事前に必要な許認可をリストアップする
事業主が生前に、自分の事業に必要な許認可を リスト化しておく ことで、相続時の手続きがスムーズになります。
✅ 役所や専門家に相談し、承継手続きを確認する
許認可の承継手続きは、役所の窓口や弁護士・行政書士に相談 することで、スムーズに進められます。
✅ 期限を確認し、早めに手続きを行う
許認可の承継には期限がある ものも多いため、相続が発生したらすぐに手続きを開始 するのが理想です。
横浜の弁護士が教える!許認可相続のスムーズな進め方
許認可を伴う事業の相続は、一般的な相続よりも 手続きが複雑 であり、時間がかかることが多いです。しかし、適切な準備と専門家のサポート を活用すれば、スムーズに進めることができます。
ここでは、横浜の弁護士が教える 許認可相続をスムーズに進めるためのポイント を解説します。
❏ 許認可を見落とさないためのチェックリスト
許認可の承継に関する手続きをミスなく進めるために、まず チェックリストを活用 することが重要です。
✅ 事業に必要な許認可を把握する
クリーニング業、理容・美容業、飲食店、たばこ・酒類販売、風俗営業など、必要な許可をリストアップする。
許可証の原本を保管し、有効期限や名義人 を確認する。
✅ 相続開始後すぐに管轄官庁に相談する
許認可ごとに所轄の役所や警察署、税務署 などが異なるため、速やかに相談する。
手続きに必要な書類を事前に揃えておく。
✅ 承継可能か、新規申請が必要かを確認する
許可の種類によっては、相続人がそのまま承継できない場合もある。
例えば、酒類販売免許や風俗営業許可は、相続人が新たに要件を満たす必要がある。
✅ 期限を確認し、迅速に手続きを進める
許認可の承継手続きには期限がある場合が多く、期限を過ぎると再取得が必要になる可能性がある。
❏ 行政書士や専門家と連携する重要性
許認可の承継手続きは、弁護士だけでなく行政書士などの専門家と連携することが重要 です。
🔹 弁護士が担当すること
相続人間のトラブル防止(遺産分割の調整、遺言書の確認など)
許認可がらみの法律的な問題の解決
許可の要件を満たしていない場合の対応策の検討
🔹 行政書士が担当すること
許認可の承継手続きの実務(書類作成や役所との調整)
各種届出のサポート(保健所・警察署・税務署など)
新規申請が必要な場合の手続きサポート
🔹 税理士が担当すること(必要に応じて)
事業の相続に伴う税務対策
事業用資産の評価や、相続税の計算
弁護士・行政書士・税理士がチームでサポートすることで、相続人の負担を大幅に軽減 できます。
❏ 相続開始後に速やかに行うべき対応
1️⃣ 許認可の承継の可否を確認する
許認可の名義変更が可能か、新規申請が必要かを確認する。
2️⃣ 役所や税務署、警察署に問い合わせる
各所管官庁の窓口に相談し、必要な手続きを進める。
3️⃣ 弁護士・行政書士と連携しながら手続きを進める
必要な書類を揃え、スケジュールを決めて進める。
4️⃣ 必要に応じて遺産分割協議を行う
事業承継に関する遺産分割協議を適切に行う。
5️⃣ 事業の継続に必要な手続きを完了させる
許認可が承継されるまで、事業をどう運営するか計画する。
まとめ – 個人事業主の相続は許認可がカギ!
個人事業主の相続では、事業をスムーズに引き継ぐために「許認可の承継」が重要なポイント となります。クリーニング業、理容・美容業、飲食業、たばこ・酒類販売、風俗営業など、多くの業種で特定の許可が必要ですが、許認可の手続きを怠ると営業ができなくなるリスク があります。
相続が発生した際に慌てないためには、事前に必要な許認可をリストアップし、所轄官庁の手続きを確認することが大切 です。さらに、許認可の手続きには専門的な知識が求められるため、弁護士・行政書士・税理士などの専門家と連携することで、スムーズな事業承継が可能 になります。
「相続=遺産分割や税金対策」だけではなく、許認可の確認も欠かせない視点 です。事業の継続を考えている場合は、早めの準備を行い、トラブルを未然に防ぎましょう!
許認可手続きに関する相談は横浜の弁護士へ!
許認可を伴う個人事業主の相続は、通常の相続手続きに比べて複雑 です。許認可の承継には所轄官庁への届出が必要 であり、期限内に手続きをしないと事業が継続できなくなるリスクもあります。
そのため、許認可の相続で不安を感じたら、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。弁護士は、遺産分割の調整や相続トラブルの解決に加え、許認可の手続きが円滑に進むように行政書士や税理士と連携 しながらサポートできます。
横浜で個人事業を営んでいる方、またはそのご家族で、許認可相続に関する相談がある場合は、お近くの弁護士にご相談ください。専門家のサポートを受けることで、スムーズな相続と事業の継続が可能 になります!
以上、「個人事業主の相続は許認可がカギ!横浜の弁護士が注意点を解説」でした!
弁護士 大石誠
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