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【相続トラブル】鎌倉・湘南で抵当権がついた不動産を受け継ぐ際の3つのポイント

  • 執筆者の写真: 誠 大石
    誠 大石
  • 3月18日
  • 読了時間: 9分

はじめに

「相続が始まったら、不動産に抵当権がついていたんです…」

これは実際に、鎌倉や湘南エリアでよくご相談いただく声です。

親から不動産を相続できると聞くと、多くの方が「家がもらえる」「土地が残る」と前向きに考えますよね。でも、いざ相続の手続きを進めてみると、「抵当権が設定されていた」「根抵当権が登記されている」など、専門用語が飛び交い、不安に感じる方が少なくありません。

都市部である鎌倉・湘南では、不動産の価値が高いため、生前に住宅ローンや事業融資の担保として不動産が使われているケースも多くあります。実際には、特定の相続人のために親が不動産を担保にしていた…ということも。

「これは本当に相続して大丈夫?」「他の兄弟と不公平じゃないの?」

こんな悩みに直面したとき、冷静に対処するための知識が必要です。


【相続トラブル】鎌倉・湘南で抵当権がついた不動産を受け継ぐ際の3つのポイント

この記事では、鎌倉・湘南で実際に起こりやすい抵当権付き相続不動産のトラブルをテーマに、弁護士の視点から押さえるべき3つのポイントをわかりやすく解説していきます。


鎌倉・湘南での抵当権付き相続不動産の基本知識

● 抵当権・根抵当権とは?

相続財産のなかに「不動産」が含まれている場合、その不動産に抵当権根抵当権が設定されていることがあります。

  • 抵当権:特定の借入れ(例:住宅ローン3,000万円)の返済を保証するために不動産に設定される担保権。

  • 根抵当権:一定の限度額の範囲内で、繰り返し借入れができる(例:事業用融資枠3,000万円)場合に使われる担保権。

これらが設定されたまま相続が発生すると、相続人は「担保付きの財産」を受け継ぐことになるため、評価や分割、活用に注意が必要です。


● 鎌倉・湘南の事例:父が担保提供していた別荘

📌 事例

鎌倉市内に別荘を持っていたAさん。長男が事業を始める際、資金調達のためにAさんがこの別荘に根抵当権(限度額3,000万円)を設定しました。実際の借入額は1,500万円ほどでしたが、契約上は3,000万円まで借りられる内容。

Aさんが亡くなった後、相続人たちは「別荘をどう分けるか」を協議しようとしましたが、根抵当権が設定されていたため、金融機関の承諾なしには売却も活用もできず、遺産分割が一時ストップしてしまいました。


● なぜ抵当権が問題になるのか?

抵当権が設定されていると、以下のような問題が生じます:

  • 不動産の価値が正しく評価しづらい

    → 抵当権の残高によっては、実質的な価値が下がる

  • 売却・活用に制限がかかる

    → 金融機関の同意や債務の返済が必要な場合も

  • 相続人間で不公平感が生まれる可能性

    → 「誰かのために担保提供されていたのでは?」という疑念

このような状況を放置すると、相続人間でトラブルが起きやすくなります。


● 弁護士の視点:最初に登記簿を確認することが大事

抵当権・根抵当権は不動産登記簿に明記されています。相続が始まった段階でまず行うべきは、対象不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)を取得し、担保の有無を確認することです。

特に鎌倉・湘南のように不動産の資産価値が高いエリアでは、「見た目は価値があるのに、実際には担保のせいで価値が大きく削がれている」ケースもあります。


弁護士が解説!相続トラブルを防ぐ3つの重要ポイント

● ポイント①:担保提供が「特別受益」に当たるかを確認する

相続人の一人のために、被相続人(亡くなった親など)が不動産を担保提供していた場合、それが“特別受益”に当たるかどうかは非常に大きなポイントです。

📌 具体例:住宅ローンの連帯保証と抵当権

湘南地域に住んでいたBさんは、長女の住宅購入に際して、自宅を担保にして連帯保証人となっていました。Bさんの死後、その家にはまだ抵当権が残っており、他の相続人(長男・次女)は「長女だけ得をしているのでは?」と不満を抱きました。

✅ 判断のポイント:

  • 担保提供だけ → 実質的に財産が減っていなければ「特別受益」に当たらない可能性が高い

  • 担保が実行された(例:競売された) → 実質的に財産が減っているため「特別受益」になる可能性が高い

  • すでに担保不動産が処分されている → かなりの高確率で「特別受益」とされる

このように、抵当権があるだけではすぐに「不公平」とはなりませんが、担保の実行・不動産の消失が絡むと話は変わります。公平な相続のためには、担保の履歴や実行状況を調べることが重要です。


● ポイント②:遺産分割協議では「担保リスク」を加味する

遺産分割の場面では、単に「不動産は◯◯が取得」と決めるだけでなく、その不動産が“担保付き”かどうかで評価を調整する必要があります。

📌 具体例:評価に差がついた鎌倉の土地

鎌倉市内の土地(時価6,000万円)を次男が相続する予定だったが、その土地には抵当権(借入残高2,000万円)が付いていた。長女は「借金付きの不動産を引き継ぐなんて不公平ではない」と不満を漏らしたが、弁護士が評価額を4,000万円に調整し、代わりに預貯金の分配でバランスをとることで納得が得られた。

このように、担保付きの不動産は「時価」ではなく「正味価値」で評価することが、公平な分割の第一歩になります。


● ポイント③:金融機関との調整は早めに行う

抵当権や根抵当権が設定されている不動産をスムーズに相続・処分するには、金融機関との調整が必要不可欠です。

  • 担保解除を求める場合 → 借入金の返済や別担保の提供が必要なケースも

  • 担保が実行される可能性がある場合 → 他の財産からの補填や債務整理の検討が必要

📌 ワンポイントアドバイス:

遺産分割協議の前に、金融機関へ「債務残高証明書」を請求しておくと、相続人全員が担保リスクを正確に把握できます。弁護士が間に入ることで、スムーズな交渉が可能になる場合も多いです。


鎌倉・湘南の相続実務でよくあるケーススタディ

● ケース①:親が子の事業のために自宅を担保提供していたケース

📌 事例

鎌倉市で暮らしていたCさんは、自営業を営む長男の事業資金の借入れに協力するため、自宅に根抵当権(限度額4,000万円)を設定していました。

Cさんの死後、自宅を相続したのは次男。しかし、根抵当権が残っていたことで、金融機関からの担保解除を求められ、結果的に次男が金融機関と交渉する羽目に

✔ 解説

このようなケースでは、「自宅の価値が目減りするだけでなく、相続人が予想外の交渉リスクを抱える」ことになります。また、次男からすると、「長男のための担保なのに、自分が不利益を被るのはおかしい」と感じるのも当然です。

弁護士の関与が早ければ、相続協議の中で“誰がその負担を負うか”を明確にできた可能性があります。


● ケース②:根抵当権付きの不動産が競売されたケース

📌 事例

湘南地域に複数の不動産を所有していたDさん。

生前、長女が利用する会社のために、事務所ビルに根抵当権(限度額5,000万円)を設定。ところが長女の会社が経営難に陥り、借入の返済が滞ったことで、Dさん死亡後、担保が実行されてビルが競売されてしまいました。

✔ 解説

このような場合、相続人たちは本来なら受け取れるはずだった財産を失ってしまうことになります。このビルが相続財産から消滅したことは、形式的には「贈与」でなくても、実質的に“長女だけが得をし、他の相続人が損をした”構造になっており、「特別受益」として扱われる可能性が高くなります。

➡ 事前に債務の実態把握と担保のリスク評価ができていれば、他の相続人の不満や争いを最小限に抑えることができたでしょう。


● ケース③:担保提供が相続人間のトラブルに発展した例

📌 事例

藤沢市で起きた例では、被相続人の不動産に設定された抵当権が、次男の住宅ローンの担保であることが判明。

長女・長男は「なぜ親の財産が、次男のために使われたのか」と猛反発し、遺産分割協議が長期化。感情的な対立に発展し、最終的には家庭裁判所での調停に持ち込まれることになりました。

✔ 解説

このケースのように、担保の背景に家族内の力関係や感情的なわだかまりがあると、法的な争い以上に心理的なダメージが大きくなります。

➡ 第三者である弁護士が早期に介入して、法的な整理と感情の調整を行うことが、円満な相続に向けた現実的な解決手段になります。


まとめと弁護士からのアドバイス

不動産を含む相続には、見た目には分からない「重み」が隠れていることがあります。特に、抵当権や根抵当権が設定された不動産は、相続の中でも非常に注意が必要な財産です。

鎌倉・湘南エリアのように地価が高い地域では、親世代が事業の支援や子の住宅ローンの保証のために不動産を担保提供しているケースが珍しくありません。そして相続が始まったとき、その「見えないリスク」が遺産分割を複雑にし、相続人間の感情的な対立を引き起こすこともあります。


✅ 今回のまとめ:3つの大事なポイント

  1. 担保提供が「特別受益」に該当するかの判断には慎重さが必要

  2. 遺産分割では担保の存在を考慮した「公正な評価と調整」が不可欠

  3. 金融機関との交渉や法的リスクは、専門家の早期関与がカギ


「これ、うちも当てはまるかもしれない…」と感じた方は、どうかそのままにせず、登記簿の確認から始めてみてください。担保付きの不動産を相続するかどうか、そしてその場合にどんなリスクがあるのか、“知ること”が最初の一歩です。


鎌倉・湘南で相続不動産に悩んだら弁護士に相談を

この記事を読んで、「うちの場合もどうなんだろう…」「兄弟と話す前に、誰かに相談したい」と感じた方もいらっしゃると思います。

相続に関するトラブルは、感情と法律が複雑に絡み合うため、早い段階での専門家のサポートがとても重要です。

特に抵当権や根抵当権が絡むケースは、法的な判断や金融機関との調整が必要になるため、弁護士のアドバイスが有効です。


📍 横浜の弁護士として、鎌倉・湘南エリアにも対応可能です

  • 鎌倉市・藤沢市・逗子市・茅ヶ崎市・葉山町など、湘南一帯でのご相談も多数

  • 初回相談はオンライン・電話対応も可能

  • ご希望があれば、不動産の登記確認・評価・分割案作成などもサポートします


💬「ちょっと話を聞いてみたい」そんな方も歓迎です

相続トラブルを未然に防ぐためにも、まずはお気軽にご相談ください。「早く動いておいて良かった」と思っていただけるよう、丁寧に対応させていただきます。


弁護士 大石誠

横浜市中区日本大通17番地JPR横浜日本大通ビル10階 横浜平和法律事務所

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