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【メモ】相続債務の弁済と相続放棄の関係

執筆者の写真: 誠 大石誠 大石

・相続人の固有財産となる死亡保険金を、保険会社に請求し、受領する行為は、相続財産の処分にあたらない

・相続人の固有財産である死亡保険金をもって行った被相続人の相続債務の一部弁済行為は、相続財産の処分にあたらない

被相続人の猟銃事故共済について自損事故共済金の支払を受けられるか否かの回答を得る目的で、相続人が試みた共済金請求は、民法915条2項の財産の調査に過ぎず、相続財産の処分にあたらない

福岡高裁宮崎支部 平成10年12月22日決定 家裁月報51巻5号49頁)


法定単純承認事由である「処分」とは、一般に相続財産の現状やその法的性質を変更する行為である。

例えば、

被相続人の衣類を形見分けとして近親者に贈与した行為でも、その衣類が経済的価値を有している場合には「処分」にあたる。他方で、交換価値を失う程度に着古した衣類は、「処分」にあたらない

被相続人が代物弁済の予約をしていたのを実行すること、債権を取り立てて受領することは「処分」にあたる


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