メモ– category –
-
メモ
【メモ】相続分の譲渡等により申立人のみが当事者となった場合
実務においては、次の方法により、申立人に遺産を帰属させるものとしている。ア 相続分の譲渡等があったとしても排除決定せずに、調停に代わる審判(家事法284条)により申立人の単独取得を認める方法イ 相続分の譲渡等があったとしても少なくとも相手方の一人を排除決定せずに当事者として残し、調停期日の出席を求め、調停を成立させる方法(片岡武他「家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務」第4版 147ページ) -
メモ
【メモ】災害弔慰金等につき、支給規定上の同順位の遺族からの法定相続分相当額の不当利得返還請求を棄却した事例
仙台高等裁判所 令和6年6月13日判決 原審 仙台地方裁判所 令和5年9月22日判決東日本大震災の津波被害で死亡したAの相続人であるXが、Aと同居していた相続人であるYに対して、①Yが条例に基づいて単独で受給した災害弔慰金、②市から支給された災害義援金について、法定相続分に相当する額の不当利得返還請求をした事案原判決は、災害弔慰金制度や災害義援金制度は、血縁関係の濃淡のみならず、同居関係の有無や死亡者による生計維持などの実生活上の関わり合いも一定程度判断要素に取り込んで支給対象者の順位を決めていることからすると、同順位の遺族が2人以上いる場合にも『当然に』その全員が支給対象者になるとはいえないとした。高裁判決は、さらに踏み込み、支給決定権者は、その裁量的判断により最も支給対象者として「ふさわしい者」に対して支給を決定するものであること、Xらは同順位の遺族であるという「だけ」では、「当然に」その相続分相当額を取得する具体的権利を有するとはいえないと判断。 -
メモ
【メモ】身分行為による遺言の撤回
「身分行為が含まれるとして、遺言による財産処分行為がその後の生前身分行為と抵触するものとして撤回を認めるべきかどうかは問題である。終生の扶養を受けることを前提として養子縁組をしたうえ、その所有不動産の大半を養子に遺贈する旨の遺言をした者が、その後養子に対する不信の念を強くしたため、協議離縁をし、法律上も事実上も扶養を受けないことにした場合、その離縁により遺贈は撤回されたものであるとした最高裁判決がみられる。これに対しては、撤回される行為とこれに抵触する行為とは同種のものであることを要し、例えば、先の遺言養子が後の生前養子により撤回されることは認められるが、異種の場合は撤回を擬制すべきものではないとする批判もみられる。」(新版注釈民法(28)〔補訂版〕406ページ)最判昭和56年11月13日民集35巻8号1251頁「ところで、民法1023条1項は、前の遺言と後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を取り消したものとみなす旨定め、同条2項は、遺言と遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合にこれを準用する旨定めているが、その法意は、遺言者がした生前処分に -
メモ
【メモ】調停における貸金庫の取扱い
「遺産分割調停では、相続人の一人が代表で貸金庫の開扉及び財産の保管をすることに他の相続人が合意すれば、中間合意調書を作成の上、任意に委任状を提出してもらい開披させることになる。この協力が得られない時は、保全処分により財産の管理者を定めて(家事法200条)、貸金庫の開扉にあたらせるなどの手続を検討することになろう。」(「家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務」第4版 60ページ) -
メモ
【メモ】不在者財産管理人と帰来時弁済
「例えば、遺産分割協議の場合、被相続人の戸籍関係書類から不在者の法定相続分を調査した上、不在者の法定相続分を確保する協議書案となっているか、不在者の法定相続分を下回る内容である場合には、不在者が帰来する可能性の高低のほか、例えば、不在者が被相続人から生前贈与を受けているなどして、仮に不在者自身が遺産分割協議に参加していたとしても、法定相続分を確保するような協議がされないと考える場合に該当するかどうかなどを調査することになろう。」「不在者が帰来する可能性が低く、仮に帰来した場合であっても、他の共同相続人において不在者の取得すべき財産相当の代償金等を支払うことができる程度の資力があると認められる場合には、遺産分割の時点では、特定の財産を不在者に取得させず、その代わりに、特定の共同相続人が、不在者が帰来して同人から請求があった場合に、不在者に代償金等を支払うことを約するいわゆる「帰来時弁済型」の遺産分割協議を成立させることも可能と解されている。ただし、帰来時に支払われる代償金等の額が相当程度高額になる場合には、裁判官が帰来時弁済を不相当を判断することもある。帰来時弁済型の遺産分割協議の条項は -
メモ
【メモ】いわゆる危急時遺言について、民法所定の口授、筆記、読み聞かせ等の事実が認められないとして、遺言の無効を確認した事例
遺言無効確認請求控訴事件 東京高裁 令和6年8月29日判決原審(横浜地裁)は、自宅において遺言の趣旨を口授したとの事実を認定した上で、同日に入院先の病院において遺言の趣旨を口授したとする本件遺言の記載と口授の場所が異なる点は遺言の無効原因にならないとした。これに対して控訴審は、そもそも被相続人による遺言の趣旨の口授、作成者により筆記、読み聞かせ等の事実が認められないとした。・口授等がなされた日付や場所等に関する証人の供述内容が合理的な理由もなく一致せず又は変遷している。そして口授等の場面を撮影した動画等の証拠は提出されなかったようであり、口授等の事実を認めるための信用できる証拠はないと判断した。・遺言確認審判の存在自体が遺言無効確認訴訟を担当する裁判官の心証に影響することはない。・証人が知り合い、親戚の弁護士、知り合いの司法書士であり、証人3名の属性に照らすと、他の相続人との関係で本来的に中立的な立場の者とはいえず、虚偽の危急時遺言を作成する動機がなかったとはいえない。・遺言書作成当時の体調について、自筆証書遺言等、普通方式での作成を断念せざるを得ないような客観的状況ではなかった(入院 -
メモ
【メモ】遺産分割審判と配偶者居住権
「家庭裁判所は、配偶者居住権の設定を命じる遺産分割審判をすることができるが、その場合、配偶者居住権の成否、存続期間、建物所有権が制約される不利益度合い等を考慮することが求められる。」「家庭裁判所は、他の相続人に対し、配偶者居住権の負担付所有権(土地・建物)の取得を希望する者がいるかを確認し、仮に取得希望者がいない場合でも、現物分割の原則に従い、取得させるのが相当な当事者がいないかを検討し、そのような当事者がいない場合には、配偶者居住権の負担付きの不動産として任意売却するか競売に付することになる。見通しとして、任意売却・競売によっても売却・競売できる可能性が低い場合には、共有分割による合意を目指すことにならざるを得ない。」(「家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務」第4版 380ページ)【審判例】・遺産分割申立事件 福岡家裁 令和5年6月14日 審判相手方Bは、本件各建物につき存続期間を相手方Bの終身の間とする配偶者居住権を取得し、今後とも本件不動産に居住することを希望している。相手方Cは、配偶者居住権が設定された本件各建物を取得することを了解している。申立人は、本件不動産の取得を希望 -
メモ
【メモ】遺言公正証書の存在を告げないことと相続欠格事由
「相続人による遺言書の破棄・隠匿行為が「相続に関して不当な利益を目的とする」ものでないときは、5号に言う相続欠格者にあたらない。このように判例は、5号については二重の故意を必要とする立場を採用しているものと言える。通説も、二重の故意を要求している。他方、偽造・変造・破棄・隠匿を限定解釈することにより対応する方向を是とする見解もある。」(詳解相続法 潮見 42ページ)「遺言書の破棄又は隠匿行為が相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったときは、これを遺言に関する著しく不当な干渉行為ということはできず、このような行為をした者に相続人となる資格を失わせるという厳しい制裁を課することは、同条5号の趣旨に沿わない」(最判平成9年1月28日民集51巻1号184頁)「本条5号は、有効な遺言であることを前提として、被相続人の遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した者を欠格とする。本条5号の偽造等の行為は、「相続に関する遺言」に対して行われたことを要する。」「「隠匿」とは、被相続人が作成した遺言書の発見を妨げるような状態におくことをいう。判例は、原本が公証人役場に保管されている公正証書遺言については、共 -
メモ
【メモ】信託の終了に関する紛争
信託契約に、信託の終了に関し、「受益者は、受託者との合意より、本件信託を終了することができる。」旨の条項が存在する場合の解釈信託法164条1項は「委託者及び受益者は、いつでも、その合意により、信託を終了することができる。」と規定している。自益信託の場合、委託者と当初受益者は同一人物であり、いつでも信託を終了させることができることになるが、同条3項は別段の定めを許容している。⇒上記の信託条項は、信託法164条1項とは両立せず、当事者が信託法のデフォルトルールを変更したものであり、信託法164条3項の「別段の定め」に該当する。したがって、本件信託条項は信託法164条1項に優先し、委託者兼当初受益者は、単独で任意の時期に信託を終了させることはできない。【紛争を起こさせないために実務家が行うべきこと】①委託者の意思確認信託契約書の作成に関わる実務家が推定相続人の希望に引っ張られ、委託者の意思確認が不十分になることがある。その結果、委託者がこんなはずではなかったと、信託契約の成立や終了を争うことになる。②推定相続人に対する説明特定の推定相続人に対しては信託契約を締結したことを秘密にしておく必要が -
メモ
【メモ】受益者代理人と信託監督人の使い分け
●委託者が実現したいことが財産管理であるのか、財産承継であるのか、それとも、その両方であるのかを検討する。財産管理であれば、任意後見と民事信託が選択肢になり、財産承継であれば、遺言と民事信託が選択肢となる。(家庭の法と裁判 35号 8ページ)●信託監督人は、全ての受益者のために、自己の名をもって受託者の監督や受益者保護に関する権限を行使する。他方、受益者代理人は、その代理する特定の受益者のために、代理人として、受益債権に関する権限や信託の意思決定に関する権限を含む、受益者が有する信託法上の一切の権利を行使する権限を有する。いずれも受益者の保護のために受託者に対する監督権限を有する点で共通するが、受益者代理人が選任されると、受益者本人は、信託法92条各号の権利及び信託行為において定めた権利しか行使できなくなり(信託法139条4項)、受益者本人の権利が制限されることになる。受託者の監督という観点からは、原則として信託監督人の活用を考え、特に受益者代理人を選任する事情がある場合に、受益者代理人を利用することが望ましいといえる。(家庭の法と裁判 35号 20ページ)●遺留分侵害行為をどのように -
メモ
【メモ】相続分の譲渡に関する法的整理と実務上の留意点
1 相続分の譲渡とは • 概念 相続分の譲渡とは、相続人が有する「遺産全体に対する割合的持分(包括的持分)」や法律上の地位を、他の相続人や第三者に譲渡する行為をいいます。 • 具体的財産の譲渡との違い 相続分の譲渡は、遺産の個別の財産(特定の不動産や預金債権など)を移転するのではなく、あくまでも「包括的持分」を移転する点が特徴です。 2 法的根拠 • 民法第905条(趣旨) 民法上、相続人は自己の相続分を譲渡することが認められています。 • 裁判例 • 東京高等裁判所昭和28年9月4日決定 「相続分の譲渡は、共同相続人の一人として有する一切の権利義務が包括的に譲受人に移り、譲受人は遺産分割に関与する地位を得る。」 • 和歌山家庭裁判所昭和56年9月30日審判 「遺産分割前の相続分の譲渡は、何等の要式も必要なく、通知や登記がなくとも他の相続人に対抗し得る。」3 相続分の譲渡の方法1. 時期 • 相続分の譲渡は「遺産分割前」であることが要件とされています。2. 方式 • 法律上は口頭でも書面でも有効で、民法上の特段の方式は定められ -
メモ
【メモ】遺留分侵害額請求の消滅時効と遺産分割協議の申入れ
「遺留分侵害額請求権行使の意思表示は受遺者・受贈者に対して金銭債権を発生させるのに対し、遺産分割協議の申入れは、共同相続人に対して遺産の分割を求めるものであり、両社は内容を異にする。したがって、原則として、遺産分割協議の申入れには遺留分侵害額請求権行使の意思表示が含まれないとみられる。」(中略)「現行法の遺留分侵害額請求権については、改正前の遺留分減殺請求権と異なり、行使によって遺留分権利者は遺産を取り戻すことができず、単に金銭債権を取得するのみであるから、先例の基準はそのままでは妥当しない。しかし、相続人中の1人に全財産が遺贈され、遺贈の効力を争わずに遺産分割協議の申入れがされた前掲平成10年最判のような事案では、(相続人中の1人の相続分をすべてとする相続分指定でも同様である)、以前の減殺請求権の場合と同様に、申入れに(黙示の)遺留分侵害額請求権行使の意思表示が含まれているとみるのが合理的とみられる。」(論点体系「判例民法11」第4版 574ページ~575ページ)「相続法改正後の民法では、金銭請求しかできず、遺産を構成する個々の物又は権利の一部を請求することはできないから、上記判例の
